アーシング


アーシングって知ってますか?

読んで字の如く「アースをすること」。よく電力が大きい家電製品のコンセントからひょろっと枝分かれしてる細いコードがアース線。こいつを地面に接続することで、感電したり落雷でブッ壊れたりしないようにできるわけです。
クルマの分野で言うアースとは、それとは少し意味合いというか役割が異なっていて、主に電流を電源に返す事、あるいは返すための道のこという(と思います)。

小学校の理科でやった実験を思い出しましょう。電池に豆電球をつないだら、豆電球が光りますね。電池のプラスから電流が流れ出て、コードを伝って豆電球のフィラメントを発熱させて、またコードを伝ってマイナス側に帰ってきます(電子は逆だとかそういう難しいことはなし。あくまで小学生レベル)。
ここで、コードの代わりに何でもいいから電気を通しそうな物を使って電池と豆電球を接続したとしましょう。そしたら豆電球はつくことはつくけど、大抵コードの時より弱く光りますね。これは電気を通す抵抗が強くなったためで、どれだけ電池が新しくても強く光らせることができないはずです。

実はこれと同じことがクルマでも起こってるんです。
クルマの電池、つまりバッテリーは、鉛蓄電池という自己発電可能な特殊な電池ですが、プラス極とマイナス極があることには変わりません。
このバッテリーのプラス極からコードが延びて、様々な機器に電気を送っているわけですが、実はクルマの場合、マイナス極に延びるコードがありません。ではどうやって電流を循環させているのかというと、マイナスのコードの代わりにボディを使っているわけです。
クルマのボディは、数少ない例外を除いて鉄でできているわけで、一応電気を通すことが可能です。クルマで使われる電気は、ボディを伝ってバッテリーのマイナス極に戻ってくる仕組みになっています。
ところがこのボディは一応は電気を通してくれるものの、抵抗が大きくて効率よく電気が流れているとは言えないんですねぇ。

ここでさっきの理科の実験を思い出してください。
コード以外の導体では豆電球があまり光りませんでしたね。つまりこのコード以外の抵抗の強い導体が、クルマではボディに当たるわけ。
この抵抗の強い導体を、電流をよく通すコードに変えれば豆電球は明るく光るわけだから、クルマの場合もマイナス線をボディではなくコードに変えてやれば、電流がよく流れて効率が良くなるわけです。
そういった理屈でコードを追加するのが「アーシング」というわけです。現在のクルマはいろんな部分で電気を利用しているので、アーシングによって電気の効率をよくしてやることでいろんな効果が期待できます。


・・・用意するもの・・・

ここ数年でメジャーになったアーシングなので、カー用品店には車種別にキットが市販されています。でも非常に高価(1万〜3万円位)なので、部品を買ってきて自作してみました。揃えた材料は次の通り。

●コード(8sq)4m

280円/0.5m×8=2240円

コードはなるべく太いものを選びます。なかなか売っているところがなくて探すのがタイヘンですが、カー用品店のオーディオのコーナーに売っているオーディオ用の計り売りケーブルが良いみたいです。というのもオーディオのケーブルも抵抗が少なく容量の大きいケーブルを使用するからで、ケーブルに求める性能がアーシングと一致するからです。
今回は、エーモンから発売されているアーシング用ケーブルを購入。太さは8sq(スケア=コードの太さの単位)で、アーシングにはこれくらいかさらに太いコードが適しているみたいです。
ちなみに今回4m買いましたが、かなり余りました。車種にもよるけど、最初は3mで十分かも。

●O型端子 10個

980(6φ)+680(8φ)=1660円

端子は抜け防止のために、O型リング状のものを用意します。
これもなるべく抵抗が少ないものがベター。今回使用したものは、やはりエーモンの24Kメッキされた端子。ちょっと値は張りますが、そんなに数は必要ないのでいいものを用意しました。コードの太さに合う端子を買うことが重要です。また端子の穴径は、大抵6φで間に合うと思います。

その他に工具として電工ペンチが必要。これはまともに買うと高いし、そうめったに使うものでもないので、安物で済ませました。
カー用品店やホームセンターでも売っている結束バンド(コードを束ねておくやつ)も1袋用意しておきましょう。
あとはボルトを緩めるメガネレンチかラチェットレンチ。ニッパーは電工ペンチがしょぼい場合にあると役に立つかもしれません。


・・・どこにつなぐか・・・

クルマはいろんなところで電気を利用しているので、コードをどこに追加するか決まっているわけではありません。ただ、効果が期待できるコード追加箇所はある程度推測できるので、その辺をつないでいこうと思います。

まずはエンジンヘッド。ここにはプラグというエンジンで一番重要な電装部品があるので、その電気をバッテリーに逃がすことで燃焼効率アップを図ります。
それからディストリビューター(デスビ)。ここはプラグに電気を送っている所なので、やはり燃焼の効率アップに効果がありそうです。
あとはバルクヘッド(っていうのかわかんないけど、とにかく運転席とエンジンルームの隔壁部分)。ここは室内に近いので、オーディオの電気を戻して効率を上げることを狙ってます。
とりあえずこんな感じで装着していく予定。このようにアーシングは、何となく効果がありそうな部分を考えながら、自分で選んでつけていくところが楽しい。明確にここが絶対に必要という箇所はないし、つけて壊れることもないので、大胆にいろいろ試せるのが面白いですね。
だからこれは一例に過ぎないので、まだまだ効果があるところがあるかも知れません。また、クルマによっても効果がある部分は全然違ってくると思います。


・・・コードをつくる・・・

さて、いよいよ製作に取りかかります!
まず、さっき決めたつなぐ場所に無駄なく届くようコードを切断していきます。

それぞれの接続箇所からバッテリーのマイナス端子まで、コードを実際に合わせながらニッパー等でカットしていく。
カットするコードはある程度余裕を持った長さにしておく。特にヘッドつまりエンジンは、走行中前後にかなり揺れるからね。またコードのとり回しの際に、余裕が必要になるという意味もあります。

切れたら今度は端子を両端に付けます。
まずは適度に皮むき。
小さい頃プラモデルやらラジコンやら非常によく作ってたので、懐かしい作業。
逆に作ったことない人には、案外難しいらしいです。

できたら端子を通しましょう。
今回はビニルの被覆も使用するので、あらかじめ通しておきます。
そして、電工ペンチでしっかりと挟んでとめます。
安モンのペンチで案の定8sqの穴がなかったので、他の穴で代用。ぬおおおおってな感じで、ものすごく力が必要だった。
電工ペンチじゃなくてハンマーやマイナスドライバーでも代用できるらしいが、そんなんでやってたら日が暮れそう。

コードを引っぱっても、ちょっとやそっとでは抜けないようになったらオーケー。
合わないペンチでやったのであまり見た目はよろしくありません。
でもこういうふうに隠れるので全然オーケーです♪

で、つなぐ本数だけ(今回は4本)端子をつけて完了です。


・・・コードを装着する・・・

さあ、いよいよクルマに装着していきましょう!

まず一番最初にやることは、バッテリーのマイナス端子を外すこと。これは重要です。
電気関係をイジるときは、基本的にマイナス端子は外しましょう。でないとショートなどの事故の恐れがあります。電気関係をナメてはいけません。
特に注意したいのは、まちがってプラス端子を外さないこと。プラス端子はビニルか何かで覆われてるのでまちがえんとは思いますが。。あとプラスとマイナスを触れさせてもいけません。クルマが燃えます。。。

脅かすのはそれくらいにして(単純なことばっかりだから大丈夫でしょ)、マイナス端子を外したら装着を始めましょう。

装着はとてもカンタンで、ボルトorネジと共締めするだけ。コードのとり回しだけ気にしながら次々につないでいきます。

    
エンジンヘッドはこのボルトにそれぞれ共締め。ラチェットorメガネでちょちょちょいです。

デスビはここんとこのネジに共締め(見にくくてすいません)。ドライバーがちょっと入りづらかった。 バルクヘッドは何カ所もボルトがあるので、どれか緩めやすいボルトでいいと思います。

見てわかる通り、プラグの電気を返したいならどこかプラグに近いところ、オーディオならどこかオーディオに近いところでつなげば十分です。つなげる場所に神経質にならなくても効果は現れます。

バッテリー側の端子はこういった感じで強引に共締めしました。
本当はターミナルブロックっていう延長コードみたいな役割をしてくれるものがあれば良かったんですが、いいモノが見つからなかったので、とりあえずタコ足配線にしておきました。

    
端子を共締めしただけではコードがぶらついてしまう(エキマニなどに当たって溶けてしまう恐れがある)ので、結束バンドでまとめておきます。
エンジンルームの見栄えも意識しないとね。
エンジンヘッドのコードは、若干たわみをもたせておきましょう。

これでアーシング装着はすべて完了。
最後にボルトのゆるみがないかもう一度確認しておきましょう。特にマイナス端子は要注意。これが走行中外れると非常に危険なので。。


・・・インプレッション!・・・

さて、装着して次の日、さっそくワインディングに走りに行って来ました。

真っ先に気が付いたのはトルク特性の変化。B16Bは6000rpmでハイカムに切り替わりますが、その直前で一度トルク、つまり加速感が落ち込みます。これによって6000rpm付近で段つき加速になるんですが、これが見事に解消されたんです!
これは明らかな変化だったので、相当ビックリしました。
5000rpm過ぎてもトルクの喪失が抑えられ、そのままの勢いでハイカム領域に入っていきます。猛々しい加速感は感じられなくなりましたが、リニアにトルクがついてくる感じで、かなりの性能アップを果たした実感がします。

そして2つ目の変化。オーディオの音がクリアになりました。これは狙ったとおりです。
もともとフロントにしかスピーカーがついてないし(リアは邪魔だし割れていたので外してしまった)、第一エンジン音やらロードノイズがでかいので、音は聞こえていればいいっていうのが私のスタンス(エンジン音がオイラのミュージックだぜ)。なので、オーディオの音はお世辞にもいいとは言えなかったのですが、アーシングを施したことによって、それまでの曇った音が、幾分か透き通った音に変化しました。
バルクヘッドのコードがいいはたらきをしてるんだと思います。

さらにもうひとつ。まったく想定していなかった、エアコン。これがある意味一番助かったかもしれない・・。
去年からどうも調子が悪かったエアコンですが、今年になっていよいよおかしくなっていました。どういう症状か詳しいことは省きますが、とにかくエアコンつけて走るくらいなら窓全開で走った方がマシというような状況でした(それくらいエアコンにエンジンの調子を狂わされた)。
それがアーシングしたことによって、キレイさっぱり解消してしまったんです!これには驚きました。
大枚はたいて修理出すか、思い切ってエアコン取っちゃうか、本気で考えていたので、この効果にはホント助かりました。
どのコードがどう効いているのかはわかりませんが、アーシングによる効果であることは間違いありません。

というわけで、装着後すぐに体感できたのはこの3点。他にもこれからわかってくる変化があるかも知れません。
とにかくアーシングによってどこか具合が悪くなったというところはないので、かなりオススメのパーツですね。コストパフォーマンスは何よりも高いと思います。これだけの効果で5000円しないのは安すぎ。
中速域のトルクが上がっていることからわかるように、燃焼効率が上がっているので、プラグの焼け具合だけしっかり管理しておけば、他に心配な点もありません。
ヘタに高いパーツを買ってきて交換するより、よほど効果があって安くできるので、かなりオススメしたいリフレッシュメニューです。





戻る


R style since 2002. Copyright 1059. All Rights Reserved.