9000回転回ることの意味

S2000というクルマのキャラクターは、9000回転を許容するF20Cというエンジンがすべてを物語っていると言っても過言ではないような気がする。
世界中を見渡しても、量産で9000回転まで回せるエンジンのクルマはそうそう存在しない。
同じHONDAの高回転型NAの究極形であるタイプRでさえ、9000という領域には踏み込んではこれなかった。

NAエンジンは基本的に、回転を増すことでパワーを発揮する。
たかだか2リッターNAで250psを絞り出せるのは、9000回転という超高回転を許容できたからに他ならない。

でも、そんな高回転をいつも使えるわけじゃない。
そんな回転使うことなんてそうそうないんだから、9000回転回せることにどれだけ意味があるの?と思われるかもしれない。

だけど、逆にこれは大いに意味あることだと思っている。
別に9000回転回さなくとも、そこまでに至る過程が楽しいわけだし、いざとなれば9000回せるという余裕があるからこそドライビングの幅も広がるのである。

6000付近でハイカムに切り替わり、8000回転からのラスト1000回転、突き抜けるような高音のメカニカルノイズを伴って禁断の領域に昇り詰めていく、永遠とも思える一瞬がまさにエクスタシー。

S2000でしか味わえない時空間がそこにはあるのだ。

 

9000回転という記号性

現行型で2.2リッターとなり、許容回転数は8000回転に落とされた。S2000のみが持つ領域が失われてしまった。
その分トルクが厚くなって乗りやすいクルマになったのが売りのようだが、果たしてボクらホンダスポーツのファンはそんなことを望んでいたんだろうか。

S2000には9000回転回るという、何にも変え難い価値があった。
それを失ってしまったら、S2000がS2000では無くなってしまうような。。

何度も書くけど、常日頃9000回転まで回して走っているわけではない。
けど、「回る」という事実が重要なのだ。その事実が、S2000をS2000として存在させているのだ。
9000回転という事実は、S2000を示す一種の記号として受け入れられている。

実用的だとかそういう次元は無視して、スポーツカーの快楽性能は何たるかをホンダのエンジニアが自由な発想で作り上げた領域。
理屈ではない、そういうところに惹かれるのだ。

そこにS2000のアイデンティティが存在するわけだから。

 

超高回転型エンジンの究極形

8000回転以降の回転域は、狂気的な一瞬だ。
本能的にアクセルを床まで踏み込めば一瞬だけど、理性が働いてしまうとその一瞬は永遠にも感じられてしまう。

最高出力250psは、実に8300回転での出力だ。
ここまで回してこそのエンジンである。パワフルでないわけがない。

また、S2000が紛れもなくホンダのスポーツカーであることを感じる瞬間でもある。
形はシンプルなオープンカーでも、一度ムチを入れれば、どんな国産スポーツより熱く烈しく反応する。

そんな二面性がS2000の魅力でもある。
現代的オープンカーでありながらピュアスポーツ。ホンダDNAの塊。
超高回転型のレーシングカーのようなエンジンが、オープンカー&FRというパッケージングに同居しているのだ。

そんなホンダにしかあり得ないパッケージングで、ホンダしかつくれないであろうスポーツカーであるS2000。
9000回転を許容するエンジンはそのコアテクノロジーであり、ホンダを愛する者にとっては、その一点だけでS2000というマシンを所有する理由になるくらいの魅力を秘めている。

 

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