残暑の続くとある9月の週末。久しぶりに走るぞ!朝早起きして気合入れてくぞーって思ってたのに、起きたのは6時。。
普段仕事のある日なら十分早い目覚めだけど、ツーリングの日としてはダメダメの大失敗。ただでさえ3連休の初日なので、東京から地方へ向かう道路は大渋滞間違いなしなのだ。高速は少なくとも6時までに乗ってしまうのが私の鉄則。そんなわけで慌てて出発。練馬ICから関越を北へ向かう。

                                         

予想通り混んではいたものの、渋滞するほどでもなかったのはラッキー。調子良く走って小出ICで降りる。
小出は只見地方への新潟側玄関口。国道252号はめちゃめちゃ山深い中を会津若松まで突っ切るロングツーリングルート。毎年半年以上冬季通行止になっている超豪雪地帯を走る印象深い道路で、こっちはこっちで素晴らしい景観が待っている。

しかし252号は去年も行ってるので、今回はパス。今日はもうひとつの只見ルート、国道352号「奥只見」ルートを走るのだ。

 

最近東京にも浅間山の火山灰が降る
砂まみれのEK9(関係ないけど)

                                         
                                         
   

この352号はずっと前から気になってたルート。
地図で見てみると、糸のように細い道が周りになーんにもない山の中を等高線に沿うように、ただひたすら伸び続けてるのだ。要はいかにも気合いの要りそうな山道なわけだが、そんな国道なら他にだって案外あるもんだ。

でもこの道路には、他にはない特徴がある。
ひとつは二輪車通行禁止だってこと。もうひとつは一方通行だってこと。
国道にもかかわらずこの待遇。日本広しと言えど、こんな国道見たことも聞いたこともない。でもまぁそんな事実はどうでもよくて、こんな規制が残ってるくらいだから、恐ろしいまでの山道っぷりなのではないかと想像がつくことが私には重要なのだ(あんただけだって)

幸い私は四本足なので、ぜひともこの強烈(であろうと思われる)な山岳ワインディングを堪能せねばならぬと燃えていた。それを今日決行するのだ。興奮するねぇ(だからあんただけだってば)

   
                                         
小出ICから東に伸びる国道352号は、湯之谷温泉郷で奥只見シルバーラインに接続。これはこれで大変奇異な道路なんですが、それはまたあとで。。
ここは国道をずんずん進む。
 
                                         
      駒ノ湯温泉まで来ると、ありましたこの標識。
ここまで派手に掲げてあると入っちゃいけないかのように思ってしまうが、四輪で午前中に来てるので合法的に侵入できるのだ。
 
         
   
国道にもかかわらず一方通行ってのは、もうどうしようもないくらい狭いからなんだろうか(ちなみに誰かが一方通行を監視してるわけではないので、無視して通ることもできるんだけどさ)
にしても二輪車通行禁止ってのはよくわからんな。
 
   
  一方通行区間に入ると、山肌を縫いながら緩やかに登っていく林道まがいの狭路に様変わり。
狭路と言っても、すれ違えない程狭いわけじゃないし、ガードロープもあるし、運転しにくいなんてことはない。ただ、とにかく直線らしい直線がまったくと言っていいほどなく、小刻みにステアし続けてコーナーに次ぐコーナーをひたすらクリアしていく忙しいドライビングになる。その割に結構スピード出ちゃうのは、やっぱり対向車が来ないという予測がついているからだろうか。
     

→結構な高所感がある区間で、今登ってきた道が山肌に刻み込まれてるのが見て取れる。

コースのライン取りを意識しながら、右へ左へハンドルを回しまくる。今年の春に足回りを新調して、こういう道がまた一段と楽しくなった。抜群のフットワークに酔いしれながら、夢中でコーナーをクリアしていく。

 
 

ここより狭い道路なんていくらでもあると思うんだが・・

                             
     

ある程度自由にラインを選択できるほど道幅に余裕があるのは意外、というか拍子抜け。もっとどうしようもないくらい狭いと思ってたんだけど・・・

自主規制的な一方通行ながら対向車には1台も会わず、思う存分コーナリングを楽しめた。通行規制無視して走ってくるクルマがいないとも限らないので、マージンはとって走ってたんだけどね。それどころか走ってるクルマには1台も会わなかったよ(一応連休中なんだが)

                                 
      枝折峠でやっと他のクルマに会った(駐車車両ですが)
登山道があるらしく(たぶん越後駒ヶ岳)、ここだけはエライ密度だ。不自然。。
       
                                       
         

枝折峠からはヘアピンで高度を下げるダウンヒルが少しばかり続いて、やがて平坦な場所に下りてくる。そこが銀山平。

一方通行区間はこの銀山平で終わり。
2車線の広い道路がどーんと貫いてて、しばしクルマの休憩ってカンジ。

     
                                       
       

せっかく奥只見まで来たんだから、ちょっと寄り道してみよう。

銀山平からは、352号と平行して走る奥只見シルバーラインに入ることができる。
シルバーラインは奥只見ダムへと続く観光道路(無料)だ。

       
                                       
       

国道を折れるとにわか造りのトンネルが口を開けて待っている。

怪しさ満開のシルバーライン。

   
                             
                 
 
入ったと思ったら、イキナリ交差点かい!
一応トンネルの中なんですが。。信号は点滅式。
ここで右折。
                                         
                       
素掘りのトンネルが延々と続く。シルバーラインは何と!20kmほどある全線がほぼトンネルというわけのわからない道路なのだ。
トンネルの中を頼りなく照らすナトリウムランプ、短いスパンで配置されてやたらと数の多い非常火災報知器、土砂降りの後のようなヘビーウェットの路面、時折現われる急カーブ・・・すべてがなんじゃこりゃ状態。
たまに一瞬ながら外に出るだけでほとんどトンネルの中なので、なんだか運転感覚がおかしくなってくる。今いったい何km/hで走ってるのか、後続車とどれだけ間隔あるのか、ふっとわからなくなってしまう。
 
   

これだけ延々とトンネルが続くのは、ここが奥只見ダムを造るための道路だったからだ。この地域の豪雪に耐えるにはトンネルが得策だったのだろう。

→ こういう路側帯や大型車の展開スペースが完備されていて、意外と親切。舗装はコンクリートのため騒々しく、水はけも悪い。心して通行すべし。

     

奥只見湖にはシルバーラインと国道352号のどちらを使っても行くことができる。
ただ、352号が狭い山道だからか、初心者はシルバーラインを利用するようにとの(公式の)看板をよく見かけた。初心者にこの管理用トンネルに毛の生えた程度の長大なトンネルを勧めるのはどうかと思うが。。
ただ、往復でトンネルと山道をそれぞれ走ったら、いやがおうにも運転技術が磨かれそうではある。(運転が嫌いになってしまう恐れもあるが)
ちなみに、シルバーラインも二輪車通行禁止。カワイソー。

         

奥只見ダム

シルバーラインの終点。シルバーラインでしか来れない日本最大の重力式ダム(コンクリートの重量で水圧を支えるダム)。映画「ホワイトアウト」の舞台と言えば、少しは親近感あるかな?(見たことないですが)
レストハウスや駐車場はキレイに整備されているが、湖はそんなに景観に優れるってわけでもないので、観光客はまばら。紅葉のシーズンは人気ありそうだけどね。
ちなみにここにあるスキー場は、雪が多過ぎて冬季休業するそうです(じゃいつ営業してんだ?)

             
    その駐車場。奥只見を走ってきた物好きな人達。
あれ?よく見るとバイクが??
何でだろう〜♪
               
        公衆便所にあった表示。積雪が6m超えたら雪下ろししてくださいとのこと。そんなに積もるの??って以前に6mも積もってしまった後に雪下ろしなんか可能なんだろうか。。
                 
    銀山平まで戻って、国道352号の続きを楽しむ。ここからは相互通行だけど、道幅的にはさっきとほとんど変わらない。ますます一方通行の意味不明。
                 
  奥只見湖って、平面的(地図的)に見るとタコが足広げてるような形をしているのがいかにも人造湖っぽい。そのタコの足を一本一本なぞるようにして352号は続いている。山肌のわずかな隙間を縫うように走る低速ワインディングだ。
         
     
               
  タコの足先ではいくつもの沢を跨ぐ。ここなんかまだいい方で、ほとんど道路を横切る形で水が流れている。道路上を川が流れているのだ。実に適当な扱いである。
 
                 
       
           
    ただ流れてるだけならいいんだけど、むやみに窪ませてあったりするもんだから、結構慎重にクリアしないと車体にダメージを追ってしまう。そろりそろりといくつもの沢を横切った。
 
道路脇の湖面は高低差があり過ぎてほとんど視界に入ってこない。その代わり、眼前には息を呑むパノラマが現れることしばしば。ほとんど垂直に切り立っているかのような山壁が視界を覆う。
思わず感嘆の声をあげる。豪快な山岳景観に突っ込んでいく、素晴らしい体験が待っていた。
     
       
  山肌は所々削り取られたような痛々しい姿を晒している。冬季の豪雪を物語る荒々しい自然美。安心してこのルートを楽しむには、今この時期しかない。それくらい賞味期限の短いルートなのだ。
         
 
           
 

今年の夏のご多分に漏れず、山深いにもかかわらず汗ばむ陽気だったが、ススキの大群が道路に迫り出していた。ここから秋の紅葉へ一気。そしてすぐに長い冬の世界へと続いていくのだ。

銀山平からは結構走ってるクルマもいた。みんな何してるんだろう?(笑)
普通の人が好んでドライブしに来るところじゃないような気がするが。。

           
    県境の数km手前で様相は変わって平坦で直線主体の道路に変わる。福島県に入ると木々の緑に覆われた森の中を疾走する。結構ハードな山岳路。
尾瀬への分岐を過ぎると、バスも走れる2車線となって高度を下げながら桧枝岐の集落へと入っていく。
           
・・・と、こんなカンジな国道352号奥只見ルート。確かに狭いけど、そんな運転しづらいって程でもなかった。
でもハードワインディングだったねぇここは。ステアがロックするほどのヘアピンで高度を稼ぐような区間はほとんどないものの、小刻みにクルマの向きを変え続けなければならず、そういった意味ではかなり集中力が要る。ブラインドコーナーも多く、対向車に気を使う。路面は路肩が崩れてたり窪みがあったりと、お世辞にも状態がいいとは言えない。でも目を楽しませてくれる野性的な風景は絶品の領域だ。距離が非常に長いので走り応えもある。
結果、相当満腹状態になれる秀逸なワインディングルートといった感想。なんと言っても交通量が極めて少ないのがいい。関東近辺ではダントツに孤独感を味わえる国道だ。走ることに集中できる貴重なワインディングルート。ただひたすら走りたい、クルマと対話しながら極上の自然の中を走り続けたいって時には、ぜひまた利用したいと思わせるルートだった。
           
      ただ最後まで二輪車通行禁止の意味がよくわからなかった。ここより山深いところなら他にもあると思うが。。四輪だけの道ってことで悪い気はしなかったけどね。(実際は何台かのバイクとすれ違いましたが・・・)
             
        桧枝岐村名物「裁ちそば」を食す。つなぎを使用しない平べったいそばだ。
お味の方は、、普通でした。
 
             
    桧枝岐から林道に入って木賊温泉へ(この林道、全線2車線の中高速コースで面白かったー)
               
   

木賊温泉 共同湯

山間の静かな環境に佇む木賊温泉のシンボル。木陰に流れる清流の脇にある露天風呂は、泉源の真上に設けられた素晴らしい温泉だ。ほのかに香る硫黄の香りが心地良い。
渓流で釣りを楽しむ人、川辺で水遊びする子供、その傍らで湯浴みを楽しむ。絵になる風景だなぁ。

               
   

湯の花温泉 湯端の湯

木賊温泉から山一つ隔てた位置にある温泉地。
4つある共同湯のうち、温泉神社の麓の湯端の湯に来てみたが、熱過ぎて入れたものではなかった。木賊で充分暖まった後だったから、ちょっと浸かってもういいやと出てきてしまった。

 
               
      国道352号を東に向かって会津田島。この先どこに行こうか何にも考えてなかったので、コンビニの駐車場でしばし思案する。
このまま南に向かって日光方面に行くか、北に向かって会津若松方面に行くか。。
結果、特に何の理由もなく北へと向かった。時間は16時を回ってたけど、まぁ適当にどこかで寝ればイイや。
                 

国道400&401号

会津若松に行くには国道121&118号が一般的だが、通ったことあるので、今回はこっちを利用してみた。
これが結構走り応えがあって大当たり!
400号はダムを越えた辺りから急に狭くなって、1速を使わなければならないほどの急勾配連続ヘアピンなんかが出現したりして、かなり手に汗握った。
401号はそれに比べてスピードの乗るワインディングだが、交通量も少なく、アクセルを踏めるコースだった。

                             
 

会津高田、会津坂下を通過して喜多方のスーパーセンターで夕食の買い物をして外に出ると、もう完全に陽は落ちていた。当初どこかのキャンプ場で寝ようと思ってたけど、ここまで暗くなっちゃったらキャンプ場で料金払うのもバカバカしくなって、裏磐梯の道の駅で車中泊。

連休なのに誰もいないなーと思って寝てたら、夜中にどんどん人が集まり出して大盛況。隣でバーベキューが始まってビックリ。今までの道の駅の中でもかなり開放的な雰囲気の夜だった。

 
                             
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