ワインディングスペシャルな運動性能を求めて (2007/02 装着時のレポート)

   

かねてからの懸案事項だった足回りのセッティングに対して、S2000に様々な価値を付加するメニューが充実するASMさんのダンパーキット、つまり車高調を装着しました。

エスともなると、市場には無数ともいえるサスキットが氾濫しているので、その中から選択するだけでも一苦労。EK9の時同様、主にWebで情報を集め、自分の用途とスタイルにマッチしたものを選ぶという方針で絞り込み、最終的には信頼性やアフターケア、あとは装着の満足感(笑)で、ASMオリジナルのキットが第一候補となりました。

たまたま同店でチューニングセールがあり、お目当てのサスキットがお得に装着できるという情報を得て、この機会を逃すまいと早速アプローチ開始。
自分の使用スタイルや疑問点、サスキットそのものの特性など、事細かにメールで相談。総店長はわかりやすく親切に対応してくださり、これなら間違いないだろうということで正式に注文して後日取付けへ。

選択したのは、ASM SRE ダンパーキット 1WAY。
ASMには計4種類のS2000用オリジナルダンパーキットがラインナップされているけど、その中でもSRE=SACHS RACING ENGINEERING製のリバンプ側のみ減衰調整可能な1WAYモデルが今回のキット。
同店が目指したタウンユースからタイムアタックまでの幅広い対応性と、フラットライドな乗り味が特長とのこと。

非常に高価(汗汗)ですが、他製品と比較しても見るからに品質が高く、オーバーホール可能でその際に仕様変更が可能、更に製造元代理店がASMで定期的に即日OH対応してくれるなどアフターにも安心感があり、これから長い距離を付き合っていくダンパーに初期投資をするのは悪い選択ではない、と判断して購入決意しました。

 

組み合わせるスプリングはSwift製12kg/mm(前後共)。巷でウワサのハイパコが良かったんだけど、セール対象外となってしまうので、国産の雄であるSwiftに決定。

EK9の時は勉強のために自力で取付けしたもんだけど、同じダブルウィッシュボーンだし、左リアにコツが要りそうなので、今回は取付けもお店に依頼。
さすがにS2000には慣れててスムーズ。ガラス越しに興味津々で観察してるうちに終了。

本来ならアライメントとるべきだけど、ダンパーに組み付けたSwiftが初期ヘタリの発生するバネだということで、500kmほど走った後に再度車高の調整と同時にアライメントをとることとしました。

       
車高はとりあえず推奨の、F:20〜25mm、R:25〜30mmの車高ダウン(幅があるのは個体差がある為)
仕上がりを見ると、確かに下がってはいるけど、そんなエゲツないシャコタンではなく、どっちかってゆーとこれが正規の車高なんじゃないの!?っていうくらいフェンダーとタイヤの空きが自然な感じ。運転席に座ってみても、極端なダウンは感じません。

明らかに低くはなってるけど、マフラーが車止めに擦るほどではない。いつも利用してるガソリンスタンドは出入口の切下部が厳しいが、意識してれば擦ることもなかった。日常ユースにはほぼ問題無しか。

組み付け当日はまだバネも落ち着いていないし、第一アライメント調整してないので、走りの評価はまだ下せません。また次の機会ということで。
自慢のフラットライドが、メインステージであるワインディングロードでどんなテイストを感じさせてくれるのか!?

 
ASM SRE 1WAY に何を求めるのか (2007/02 装着後のレポート)

ASM SRE 1WAYを選択したのは、ドライブフィールの質感と、一層の運動性能をS2000に付加する為です。

基本的にスポーツカーらしい引き締まったサスセッティングによって、ロードインフォメーションの多い足回りを持つS2000。一言で片付けようとすると「固め」なわけだけど、かと言ってロールが少ないわけでもない。

直進時はどことなくヒョコヒョコとしていて、コーナリング時のピッチング&ロールは思いのほか多め。その車体の動きをコントロールする減衰が、何となく動き方にマッチしていない。

結果として、腰軽で落ち着きの無いフィールをどうしても感じてしまう。感覚的だけど、それが質感の薄さと感じてしまいます。

運動性能と一言で言ってもいろいろ想像できるけど、ここで求めたのはレスポンスという性能。
先程書いた通り、スプリングが制御するロールと、ダンパーが制御する減衰の関係に、自分の感覚とのズレがありました。
直感的な運動特性に対して、実際の車体の動きが微量ながら緩慢に感じる。それをレスポンスの不足と感じてしまう。
その辺りを改善して、本来のレスポンスの良さを引き出したい。
そうすれば、僕が個人的に重要視するダイレクト感が、一層得られるハズ。

   

そんな理由から、ASM SREダンパーキット 1WAYを選んだわけ。

正直、上記の症状を改善できるかどうかは全く未知数だが、これまでとは一味違った性能を付加してくれることは確か。

より理想的な質感と運動性能が得られるよう、より綿密な対話をS2000と続けていかなければなりませんね。

 
First Impression !! (2007/02 初めてのワインディング走行後のインプレ)

先週取付けたASM SREのバネの初期ヘタリを出し、各所を馴染ませるという目的を兼ねて、箱根〜伊豆半島のワインディングを巡ってきました。
まだアライメント調整前なので本来の性能とはいかないけど、なんとなく素性を感じ取れたので印象を。。

まず普通の道を低速域で走ってる分には、純正とさほど変わり無しですね。
路面の細かい凹凸は確実に拾います。ただされがイヤな突き上げになって跳ね返ってくるということはない。収束が速い感じで、微弱な動きでも減衰がしっかり発生してる証拠かなと。

でもよく考えてみたら、スプリングレートは前後12kg/mmになってるわけで、それだけでも純正から比べたら随分動きにくくなってるのにこの動きはオドロキです。(まぁ直巻なので単純比較はできませんが・・)
車高調入れたら乗り心地は諦めてね、というのが以前は定説でしたが、EK9の時のオーリンズPCVといい今回のASM SREといい、理論とテクノロジーに基づいて(コストかけて)ちゃんと作られた車高調ならほとんど問題ないってことですね。
そういった意味でも、車高調は多少高くてもイイモノを入れたいと思うわけです。

脱線しました。
ワインディングですが、ターンパイクや仁科峠までの高速コーナーも基本的にそうなんだけど、伊豆スカや西伊豆スカなんかの中速の連続コーナーでは特に、以前と比べて明らかにロールが減った状態で姿勢を維持したまま、加えてタイヤのグリップも維持したままクリアしていきます。

コーナリング中に無駄な動きが全く無い感じで、路面にアンジュレーションがあっても素早く収束します。
ロールが減ったというと、その分荷重がかからないようにも感じるけど決してそうではなく、タイヤへの荷重はそれはそれでちゃんと乗せることができるんですね。ブレーキング時のピッチングも明らかに減ってますが、前荷重はちゃんと発生するし、コントロール性もいいです。
これも姿勢変化は抑えた中で、ちゃんとアシは動いている証拠。その辺がノウハウであり、良いダンパーの美点なんでしょうね。

コーナー進入時から脱出時まで、とにかく姿勢が安定するため、ブレーキ、操舵、アクセルコントロールに非常に集中できるのがイイ。
車体の揺れが多い状態では、ブレーキングでダイブ、コーナー中にGコントロール、Gが残ってどれくらいアクセル開けていいかがよくわからない・・・といったようなスパイラルに陥りがちでしたが、その辺が改善されそうな感じ。
公道だし速さはそんなに変わらないと思うのですが、操作感に起因する楽しさといった面では素晴らしいアドバンテージだと思います。

 
 

この日はまったく減衰調整しないで、もっとも柔らかい(減衰が速い)状態で走ってこんな印象。一番柔らかいといっても特別乗り心地重視というカンジではないし(純正同等かそれよりちょっとだけハードな感じ)、腰砕けな動きになるわけでもない。
むしろRE050ではこのくらいがちょうど良く、これ以上固めていくならRE01Rくらい履かないとバランスとれないような気もします(調整してないからあくまで予測ですが・・)

ASMによると減衰の調整幅が広いらしく(ちなみに無段階調整です)、ちょっとダイヤル回しただけで結構極端に変わるとのこと。なのでスプリングとタイヤが決まっていれば、公道レベルであれこれ変えることは無さそうな気配。
それがいいことなのかどうかは時間かけて使い込んでかないと何とも言えませんが。。

 
アッパーマウント (2007/02)

→は、ASM SRE 1WAYのアッパーマウント取付部分。
フロントの見え掛かりはごく一般的で、新品のネジ山とわずかに見える赤いアルマイト塗装が目立つくらい。

真ん中の突起の六角柱が無段階に中立位置からソフト側に270°、ハード側に270°回転して減衰力が変わります。
僕のは1WAYなので、減衰が変わるのはリバンプ(伸び)側だけ。バンプ(縮み)側は固定です。

ちなみにアッパーはゴムマウント。ピロではないです。
ピロだとハード過ぎて僕には向かないなぁと考えてたので、ASM SREがゴムで良かった。
性能重視ならピロですが、ショックの垂直方向に力がかかる構造になってるので、ゴムマウントでも特段問題ないとのことでした。
それでも十分過ぎるクオリティだ。。。
   

リアは内張り剥がさないと見えません。
右リアはスペアタイヤも外す必要有り。これはちょっと面倒臭い。

実はそれまでスペアタイヤ下ろしたことなかったので気付かなかったんだけど、、リアって純正でタワーバー着いてたんだね・・・知らんかった。。フロント着いてないのに。(取り付け位置は少々疑問だけど)

             
   
 

さて問題の左リア。
自分で取付けることを萎えさせる構造がコレです。

マウント部に覆い被さるぶっといパイプは、給油口からタンクへのパイプ。
あとさっきのタワーバーとかゴチャゴチャしてて、作業スペースを空けることに苦労を惜しまなければいいんだけど。。

 

マウント部がこんな状況なもんだから、減衰の調整も非常にやりにくい状態。
で、この左リアに限っては調整しやすいように調整ツールなるモノが付属(別売りですが、今回セール中に購入でタダ!)していて、パイプの間を縫ってニョロッと生えてるのがそれ。
これに付属のダイヤルを差し込んでくりくり回せるようになっています。

EK9はハッチバックってこともあって、調整ダイヤルに手が届きやすくてしょっちゅう減衰変えて遊んでましたが、エスの場合はちょっとハードル高いですね。。(まぁちょっと面倒なだけなんだけど)
ショック自体が非常に動きが良くて追従性があるみたいなので、普段はそんなにイジる必要もないのが救い。
でもできるだけ減衰を変えて体感していきたいので、面倒がらずにイジってみようかと考えてます。。

 
取付け後のアライメント調整 (2007/03)

伊豆への行き帰りとワインディングで一気に500km走り切り、各部が馴染んで車高も落ち着いてきた(実際に取付け時より少々低くなってる)ので、この状態で最終的にアライメントのバランスをとることに。

新車時のバラツキの多いクルマだし、今まで一度もとってなくて車高も落としたから、結構バラバラな状態なのかなーと思っていた。実際計ってもらうと、ズレも少なく結構バランス良かったですよーと言われつつ計測シートを見せてもらうと、キャンバーもトーも結構左右差があったように見えた。

    
左 Left
右 Right
調整前
調整後
調整前
調整後
フロント
車高
452mm
452mm
450mm
450mm
キャンバー
-0°19'
-0°55'
-0°40'
-0°55'
キャスター
6°47'
6°47'
6°58'
6°58'
トー
0.7mm
-0.1mm
2.1mm
0.0mm
リア
車高
440mm
440mm
440mm
440mm
キャンバー
-2°12'
-2°03'
-2°28'
-2°09'
トー
5.9mm
2.1mm
5.0mm
2.2mm

車高を下げたことによって、リアのトーがかなりキツくイン側についている。これを推奨値にセット。
シビックの経験上、ダブルウィッシュボーンは車高を落とすと極端にキャンバーがつくイメージがあったけど、リアは多少、フロントなんかはほとんど純正値と変わらなかった。調整でフロントをやや多めにセット。普段走っててもちょっとタイヤの外側に負担集中し過ぎかなっていうのもあったし、これっくらいがバランス的には良いのかも。

調整後早速走ってみると、かなりハンドリングが素直になってて驚いた。
特に高速では、ステアリングに手を軽く添えておくだけでほとんどクルマが正確なラインを自らトレースしていってくれてるような感じ。
それは一般道でも同じで、路面にタイヤがとられるような状況はほとんど無い。非常にニュートラルな特性で、ますますドライバーの意思に忠実なクルマになったカンジだ。

車高に関しては、現状ほぼ前後フラットな状態で、好みによってフロントを下げていくのがセオリーだそうだ。
多少フロントのインフォメーション、荷重が欲しくなった時に少々下げてやると、また違った乗り味が楽しめるかも。5mm程度の変化なら、アライメント変化はそう気にするほどでもないらしい。

実はシビック時代はアライメントってとったことなかった(だってトーしか調整できなくて勿体無いんだもん)ので今回が初めてだったけど、これほど変わるのなら立派なハンドリングチューンですね。。すごく面白いし奥が深いなと改めて思いました。

 
スプリングの性能に気付く (2007/03)

ASM SREダンパーには12kg/mmものレートのバネを組んでいるにもかかわらず、微塵も不快感を感じないあの乗り心地の良さは何なんだろう!?、としばし考えてみました。
ちなみに乗り心地が良い、っていうのは決してフワフワして振動を感じないというト○タ式なものではなく、急激な入力によるカツカツとした衝撃がほとんど無い、ということですから一応。

この点に関していえばむしろ純正よりも優れているくらいで、入力があったという事実を正確にドライバーに伝えるという敏感さを持ちながら、その入力による衝撃の角を取ってソフトに伝えてくれる感じ。

これはやはり、ダンパーのバンプ側初期減衰が速くてスムーズな基本特性にあるんだろうと。。一番ソフトに合わせている減衰力ですが、基本的に純正よりは締まっているはずなので、単純に考えれば乗り心地はハードに感じるはず。

ただそれをほとんど感じさせないのは、減衰が発生する過程、というのが絶妙にセッティングされているからではないかと。つまり初期は速くより滑らかに、それ以降はロールによるバネの縮みを抑える方向で、グッと踏ん張る特性になっていると思われます。

それも大きな理由でしょうが、もうひとつ、スプリングの特性も大きいと思います。
swiftのスプリングは縮んでいく過程でのレート変化が少ないというのがウリですが、荷重がかかった瞬間の応答性の良さ、というのもあると思います。
とにかく小さな入力でも速やかによく動いている、そんな感触がありますね。

ただ固いだけのバネに減衰発生の遅いダンパーでは、決してこうはならないだろうから、どっちを欠いてもこの質感に溢れた乗り心地、懐の深い運動性能は出せないんだろうと思います。

ただバネに関しては、最近正規輸入が始まったHYPERCOはさらにその上をいく性能だというウワサ。
ASMで総店長のハナシを盗み聞き(笑)したところによれば、HYPERCOのしなやかな動きからすれば、swiftでさえもグニャッと感じるほどとか。特にS字の切り返しとかで、その運動性能は歴然とした差が出るそうな。。

 
さすがに変えたばかりですぐに、という気にはなりませんが、何かの機会にぜひその性能を試してみたい。。(いつまでガマンできるのか!?)
ワインディングスペシャルたるR style S2000の突き詰める方向性は、レスポンスとアシに有り。
しばらくはいろいろ感じ取ってみようと思います。
 
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  自然なステアフィールをもう一度 (2007/10 装着直後のインプレ)
             
 

S2000は車高を落とすとステアリングギアボックスも一緒になって下がるため、ジオメトリーが悪化してフィーリングが悪くなるみたいです。
実際、車高を落とすと、ステアリングの切り始めと戻し終わる領域で、ハンドルが重くなるというか反発力を感じるというか、そういう違和感が確かにあるな、という印象でした。

それを解消するためのパーツが、ゼロバンプステアブラケット。
フレームとステアリングギアボックスの間に噛ませる分厚いスペーサーという単純なシロモノですが、車高を下げた個体にはかなり効果があるようなので、フロント廻りに補強バーを入れるついでに装着することにしました。(GT補強シリーズはスペーサーを入れる部分のボルトと共締めするので)

             
 
 
             

装着するかどうかを考える際に引っ掛かったのは、このブラケットを入れることによって考えられるデメリット。ショップのメカニックに確認すると、タイロッドのブーツが上部のフレームに多少干渉するとのこと。
うーんそれはちょっとなぁ・・・と思いましたが、ブラケットを入れてる現車(ASM1号車)で実際によく確認してみると、干渉してると言っても「触れてる」程度だったし、ブラケットを入れることのメリットの方がデメリットを上回るのでオススメという意見も取り入れて、装着することにした次第。

装着後の印象はというと・・・?

これ、入れて正解です。ていうか絶対入れた方がいいような・・・!

ていうのも、確かに凄く自然なフィーリングになったんです。
ステアリングの切り始めと戻し終わりの領域が特に顕著で、それまで反力を感じてたのがウソのようにスムーズな操縦性になりました。
というか、これで車高を下げる前の元のフィーリングに戻ったというだけなんでしょうが。

車高を下げることによる運動性能の向上は絶対無視できないはず。
だからゼロバンプステアブラケットによってその副作用を打ち消してやることは、十分価値あることのような気がします。

ちなみに、装着時の車高はフロント-30mmでした。ゼロバンプステアブラケットは-何mmからが有効なのか?がよく議論になってますが、結論はないみたい。
だから、車高を下げた後のフィーリングに違和感を感じるなら付けちゃった方がいいんじゃないか、としか言いようのないパーツです。
少なくとも僕のこの仕様なら効果アリだと思います。

 
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