さて、四国ツーリング再開は香川県西部の高瀬町からのスタート。ここからは相方も合流し、いつものような感じのムリをしない行程とドライビング(!?)の旅になります。

まずは讃岐平野を横断する国道11号で丸亀市へと向かう。
さすがに連休中のため、朝から車が多い。渋滞気味の中30分ほどで丸亀駅前に到着。
そこには丸亀市猪熊弦一郎現代美術館があります。


 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

町の中心となる駅の真ん前にこんな大きな公共施設(市立図書館も中に入っている)があること自体驚きですが、この美術館は建築としても地域の文化施設としても、日本で一、二を争う素晴らしい内容の美術館だと思っています。


丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)
この美術館に訪れるのは2回目。前回は学生の時で、建築のデザインとかコンセプトに注目して見てまわった記憶があります。
あれから約4年。
現在は建築設計を生業としている私。現業ではディテールについて知識を求められることが多いので、今回はその辺を重点的に見てまわろうと考えていました。

防火戸の納まり、階段の蹴込み、竪穴区画の処理など、考え抜かれたディテールに今更ながら感心。

普通ならどうしても「なんでこんなものが」というような物体が空間に現れてきてしまうもんですが、この建築にはそういうものがほとんどありません。内部空間は純粋に作品を収めるハコに徹しています。展示品を干渉するのにジャマになる要素が何も無いということですが、だからといって空間がおもしろくないわけではなく、歩き回ることの楽しさ、向こうを眺めることの楽しさというものがしっかりとつくられているところがスゴイわけです。

この美術館は日本現代美術の巨匠、猪熊弦一郎氏のコレクションしか持たない記念館風の美術館です。

無邪気で自由な氏の作品には衰えぬエネルギーに満ちていて、没後10年以上たった今でも新鮮さを感じることができます。

ちなみにここは、展示室だろうとどこだろうと写真撮影がOKという珍しい美術館です。

3階の企画展示室では、ヴォルフガンク・ライプ展をやっていました。

蜜蝋や花粉、米粒等の、自然や命を連想させる素材で作品を生み出すのが作者のスタイル(らしい)。
作品のそのものの素材感や形を感じるのではなく、その周りに漂う空気みたいなものを感じるとおもしろいのかなと、素人ながらに思うのでした。

ちなみに、これは帰ってきてからしぎさんのHPを見て気が付いたんですが、しぎさんが1月に豊田市美術館で見た企画展とまったく同じですね。。。豊田と丸亀は2つとも同じ設計者(谷口吉生氏)なので、そういうつながりの企画だったんでしょうか。
(ここだけ撮影禁止だったので、写真はしぎさんのHPでどうぞ)


最後にミュージアムカフェで一服。

MIMOCAブレンド。かなりスパイシー。個性的な味です。

ミュージアムショップでポストカードを数枚買い、仕事を任せてきた先輩のお土産に(そんなんで済ますんかい!)。

いつ見ても勉強になるいい建築なので、またいずれ来てみたいと思います。



丸亀市を後にして高松市方面へとクルマを走らせる。次の目的地は高松市の東部に位置する牟礼町。

途中予讃線の「鬼無駅」に寄り道。
昨日から合流している相方がどうしても寄ってくれというので来てみた。

「桃太郎電鉄」の石碑。それだけ。
なぜか香川にはこれの他にも桃鉄の駅弁があったりして関係が深い。
なんで?


余計な寄り道をしてしまったので時間が厳しくなってきた。実はPM3:00までに牟礼に着かなければならない。

国道11号バイパスは渋滞気味。辛抱の時間が続く。

この11号バイパスは、開通したての高松自動車道の下を走っている片側3車線の大きな道路だが、なぜか鉄道との交差が全部踏み切りである。結構恐ろしい。東京じゃありえん。
ちなみに名古屋にも同じような状況があるんのだが、あっちはもっとすごくて、踏み切りどころか行き止まり(!!)になっている。
以前その行き止まりのおかげで迷子になってしまった経験あり。名古屋の道は不親切極まりないので要注意である。

まぁ、大きな道に平然と踏み切りがあったりすると、その苦い思い出が蘇ってくるってだけの話です。



 イサム・ノグチ庭園美術館

何とかPM3:00前に牟礼に到着。やって来たのは「イサム・ノグチ庭園美術館」。
日本人の父とアメリカ人の母をもつ彫刻家イサム・ノグチ。彼が日本で創作活動を行なっていた家屋を、そのまま公開しているという場所です。

この辺り一帯は石材所ばかり。近くの山からは良質の石(庵治石)が多く採れるということで、こういった産業が集中的に発達したようです。

その石材街と採掘現場に隠れるようにたたずむイサム・ノグチの住処。

この世を去ったその時からまったく状態を変えないまま保存されており、彫刻家の息吹を今でも強く感じることができます。

残念ながら美術館内(といっても家屋と庭なんですが)は撮影禁止だったので写真はなし。

けど、ここは一見の価値ありです。かなり感じるものがあります。


これはちょっと離れた所にある受付の建物

特に「エナジーヴォイド」という作品には圧倒されました。その名の通り「空虚な力」に言い知れぬ迫力を感じ、身動きが取れなくなりました。
何度も写真で見たことのあるものなんですが、実物が放つ力はとんでもなく強い。

ぜひ見て感じてきてほしい。彫刻家の意志がそのまま残されていて、その意志を「気」として感じることができる。ぜひ。

武家屋敷を移築した「イサム家」や、イサムが眠る彫刻庭園は、建築、ランドスケープとしてもかなり興味深くて、とても気に入った場所になりました。

ちなみにここは事前の予約がないと入場できません。
見学できる日、時間も限定されているので要注意。見学料は2000円とちと高めですが、内容の素晴らしさと現状を維持していく困難さを考えたら納得です。

近くにはイサム・ノグチの遊具が配置された小さな公園も。


さて、日も傾き出したのでそろそろ帰りますか。
帰ると言っても、予定では今晩は鈴鹿の実家に泊めてもらうことになってます。
まだ高松周辺にいながら、既にPM4:00を軽く回っている。
本当にたどり着くのかなぁ。

帰りも橋を渡るのでは芸がないので、徳島港から出ているフェリーで本州に渡る予定。なので、まずは徳島に向かう。
そう言えばよく考えてみると、徳島は通過しているだけでまだ何にもしてないし見てない。

うーん、それで四国全部まわったって言えるんだろうか。。
せめて徳島名物「たらいうどん」くらい食っとかにゃあ。


というわけで、山を越えてやってきた徳島県土成町。たらいうどんの聖地(!?)です。

国道318号沿いには、たらいうどん店がいっぱい。その中でブルータスに載っていた「新見屋」という所で食べることにしました。

駐車場から階段を降りていって渓流沿いにあるのがお店。

外で食券買ったら座敷に通されます。


1人前500円也。出てくるのに20〜30分かかります。何に時間かかってるんでしょう?

たらいうどん3人前。さぬきうどんに比べて麺が太い。

でも一番違うのはめんつゆ。
ジンソクという魚で取ったダシは、何とも言えぬ独特の味わい。

さらにつゆには卵がとかれているが、これはこの店オリジナルなのかどうなのかは不明。

とにかく同じうどんでも、さぬきうどんとはまた違ったおいしさがあって満足できました。



店を出るともう真っ暗。
ここでフェリーの時刻表に初めて目を通すと、思っていたより本数が少ないことが判明。
しかも1時間だと思っていた所用時間が、実は2時間であることも判明。次の便を逃すと鈴鹿に着くのは明朝!?っておい、そりゃいくら何でもって思い、PM9:00の便に何としても乗るべくEK9を駆る。

吉野川を渡ってすぐに県道30号に入って一路徳島港へ。

この道が結構流れ良くって正解でした。
結果余裕を持って徳島港(南海フェリー発着場)へ到着。

なんとドライブスルーでクルマごと乗船券を買い(こんなシステムは初めてだったので緊張した)、そのままフェリーの腹に収まる。

二等船室のような場所で寝転がりながらPowerBookでDVD見てると、あっという間に和歌山港に到着。

思い出いっぱいの四国とのあっけない別れでした。


和歌山港到着がPM11:00で、そこから阪和自動車道、西名阪自動車道、名阪国道と乗り継いで鈴鹿到着はAM1:30頃。

徳島の山奥で晩飯を食べていたことを考えると、四国もそんなには遠くないんですかね。




DATA

この日の走行距離:345km
見かけたお遍路さん:2人


・・・・・・・・

次の日は渋滞を避けるためにPM6:00に鈴鹿を出発。
確かに東名は空いていたけど、そこに行くまでの国道23号、1号が混んでいて疲労。


東京IC出口でやっていた道路工事が原因
計画性のない車線規制に絶句
さらに極めつけは、東名東京料金所から東京IC出口までのわずか6km足らずの距離を走るのに2時間近くかかって撃沈(歩いた方が早いやんけ!)。

結局自宅に着いたのはAM2:00。
あんまりきれいな終わり方じゃなかったのが残念。


DATA

この日の走行距離:397km
見かけたお遍路さん:0人



7日目 / エピローグ


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