庄内平野へ 〜六十里越街道

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米処で有名な庄内平野は、山形県の日本海側、鶴岡、酒田を中心とした広大な平地だ。
太平洋側の仙台からだと2つの山脈を越えなければならないので一見遠く感じるけど、山形自動車道が通っていることもあって2時間もあれば日本海を望む庄内地方に出れてしまう。案外近いのだ。

この山形道を沿うルートで西を目指すと、計らずも蔵王、月山、そして鳥海山と、東北を代表する名峰を間近に眺めながらの極上ルートになる。蔵王は幾度かレポートしているので、今回は特に月山と鳥海山の山腹をなぞるワインディングルートをご紹介。久しぶりのガイド的ツーリングレポートをどうぞ♪

                                       
   

仙台から高速で山形県へ。
山形道に入るとやがて視界を蔵王連山が覆う。蔵王は巨大な山塊で、どこが熊野岳でどこが刈田岳なのか判然としない。
晴れた冬の朝なんかのぱりっとした空気の中で見る雪の蔵王もまたキレイなんだな。

今回は高速で通過だけど、時間があれば蔵王エコーラインで蔵王越えがやっぱりいいでしょう。交通量は凄まじく多いけど、蔵王の迫力を味わうには外せないワインディングルートだよね。

山形盆地を横断して寒河江を過ぎると、再び深く大きな山塊の懐に飛び込んでいく。月山である。

山形盆地と庄内平野を隔てる月山は、日本海側から流入する気流をマトモに受けるので、冬場はとてつもなく雪深い。深遠なる白の世界が広がるのみだ。
山並みも深く険しいので、冬場に内陸と海沿いを繋ぐのは、この山形道と最上川沿いの国道47号のみ。しかも山形道は、月山ICと湯殿山ICの間で一度一般道に降りることになる。高速未通区間だが、接続する国道112号、通称月山道路は自動車専用道で、実質高速みたいな様なもんだ。

   
                         
     

月山道路は、テクニカルながらハイアベレージを許容する高規格山岳ハイウェイで、それはそれで走り甲斐のある道なのだが、いかんせん交通量が多い。写真の前を行くようなトラックがばんばん走っている。

Rstyle的には、やっぱり旧道を走ってナンボ。月山道路の下を行く旧道ながら現役の国道112号、通称六十里越街道を走ってみよう。

     
                                   

国道112号 六十里越街道

月山道路ができる以前の峠越えの道だったと思われる六十里越街道。いくつもの長いトンネルで月山の中腹を貫いている月山道路に対して、地形に忠実にひたすら蛇行しながら巨大な山塊を越えていく。これぞ峠道。
どんなワインディングなのか心躍らざるにはいられない。

           
  志津温泉を過ぎると、月山の登山口へと向かう分岐がある。この日は登る予定はなかったけど、この上ない晴天の中で、月山を間近に見たい欲求に狩られて寄り道をする。
月山南山麓の姥沢登山口へと通じる県道114号。
深い緑色の森の中を、一筋のアスファルトが続く静寂の道。澄んだ青空にEK9の鼓動だけが響いている。
                             
                     
程なくして辿り着く姥沢登山口。スキー場もあって駐車場はすこぶる広い。
車道はここまで。あとは登山者の世界。
 

向こうに見えるのは月山?かどうかはわかんないけど、いかにもキモチ良さそうな稜線がはっきりと見てとれる。こんないい天気の中、あんなとこ歩けたら最高だろうなぁ。気持ち良過ぎて失神しそうだ(^ ^);

月山は案外アプローチの容易な山で、ここの他に北側山麓8合目からも登山が可能。初夏のニッコウキスゲ大群落が素晴らしいらしい。そのうちぜひ登ってみたい山だ。


ひとしきり月山を間近に楽しんだ後、六十里越街道に引き返す。

     
国道に戻ってすぐに、おにぎりマーク発見。
グニグニに歪んで傾いているあたり、実に旧道っぽくてヨイ。
ここは旧道ながら地図上は現役の国道の様だけど、結局ここにしか標識は無かった。
 
 

このおにぎりマークを過ぎてすぐに現れた、恐ろしくねじ曲がった路面。ブラインドコーナー云々以前に、どう通過しようともクルマのお腹を擦ってしまう。

ここからが六十里越街道の本領発揮だった。

雑木林というか何と言うか、雑多な感じの森の中を抜ける山道。木陰に隠れたと思ったら視界が開け、平坦なストレートが出てきたと思ったら、崖っぷちの断崖路になったり。かなり環境の変化の激しいワインディングだ。  
     
   
路面は薄汚れ、交通量の少なさを物語っている。実際、これだけの距離(20kmくらいはあるのだろうか)を走りながら、追いつくクルマどころか対向車さえも全く会うことがなかった。月山道路が平行しているから当たり前だけど、それにしてもこの人気の無さは・・・
所々路肩が崩れてたり、落ち葉が堆積していたりで結構リスキーな場面もある。そこんとこ心して走りを楽しめば、これほど占有感を感じられるコースもない。

六十里越街道のちょうど中間点あたりで、湯殿山へ通じる道と交わる。
湯殿山に登る道路は有料。ワインディングを期待して走ってみたものの、距離は短くあっという間に行き止まり。通行料金と言うより入山料というべきだろう。近くの羽黒山もそんな感じ。

赤い鳥居からはバスで湯殿神社に参拝可能だが、興味をそそられなかったのでそのまま引き返した。

     

湯殿山を過ぎた後の後半部分も、ひたすらに狭い山道が続く。狭いとは言っても、写真で見ると結構道幅あるんだけど。

時折月山道路が通る方角に視界が開けて、大パノラマが広がる。高所感もそれなりにあって、眺望的にもなかなか楽しめるワインディングだ。

ただ、途中にこれといったイベントは皆無に等しいので、まぁ万人にはとても勧められないけど。余程こういう道が好きな人にしか通ってみてとは言えないね。だから誰も通らないんだろうけど。

           
  とか思ってたら、最後の最後に滝があった。
別に何の案内板も無いんだけど、申し訳程度に駐車スペースがあったから気付いただけ。
 
滝を過ぎて坂を降りると、志津温泉以来の集落があって月山道路に合流する。
長い長いワインディングロードの終了。奥只見ばりの孤独感とボリュームを感じられて、満足感の高いなかなかの峠道だった。
   
お次は鳥海山!
 
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