冬伊豆 〜冬の定番ツーリング

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自分にとって伊豆半島は、冬のドライブステージだ。
北の方や標高が高い所に向かうことが難しくなる冬場のシーズン、ワインディングを駆け抜けたい衝動を抑え切れなくなって向かうことになるのが伊豆なのだ。
温暖な気候、東京から余裕で日帰りできる距離、豊富なワインディングロード、場所を選べば少ない交通量など、好条件が揃っているのも大きな理由だ。

そんな場所なので、ちょこちょこ出掛けてるのをいちいちレポにしてこなかったけど、久しぶりに書いてみるのもいいかなと思って、定番のルートながらしたためてみることにした。
何も考えずに伊豆に向かえばこんなツーリングになる、ってなイメージなので、ホントお決まりのコースの紹介&レポです(^ ^)

 

早朝、東名東京ICから高速上へ。どうしても腹が減り、港北PAで朝食を摂って再び走り出す。
厚木ICで小田原厚木道路、その次に箱根新道で箱根峠。路上には気温マイナス3℃の表示。前夜に降った弱い雨で、路面はやや濡れている。

箱根峠から県道20号にスイッチし、伊豆半島に向かって南下。
熱海峠にて伊豆スカイライン。料金所で行き先を告げ、760円を支払う。

                                           

伊豆スカイライン

料金所をスタートして右コーナーをクリアすると、登りのストレート。F20Cにムチを入れて加速、スピードが乗ったところで、左コーナー。

ハーフウェット路面を考慮して控えめに入っていくが、それでも立上がりで一瞬リアのグリップを失う。
路面もタイヤも冷え切っているこの時期のスタート時は、用心深くコーナーと対峙する必要があるのだ。

 

最初の風景鑑賞スポットは、鷹ノ巣山園地。朝なら熱海側より富士山側の景色がいい。
真っ白に冠雪した富士の勇姿が、だだっ広い裾野とともに眺めることができる。
この日一日のショートツーリングの安全と楽しみを、富士に向かって願うような気持ちでここに立ち寄り、しばしの時間を過ごすのだ。

伊豆スカイラインは尾根筋を走る中高速コーナー主体の、文字通りのスカイライン。
路面はキレイだし、コーナーも何となくこう素直(^ ^;)な感じ。そういった意味では万人向けかもしれないが、いかんせんスピードが出易いので、その辺は要注意。

走って良し、眺めても良しっていう区間は、熱海峠から亀石峠まで。亀石峠から南は、どっちかってゆーと抜け道的な山道ってカンジ。
そんな区間もピューっと走って、冷川ICで県道12号へ。これで修善寺へと向かう。

温泉街を抜けて、戸田峠をガンガン登っていく。ゴルフ場の中を抜け、だるま山高原を通過し、峠に至った所が、西伊豆スカイラインとの分岐になる。

         
         

西伊豆スカイライン

その西伊豆スカイライン、前回のツーレポに登場した時(5年も前)はまだ有料道路だったけど、現在は無料化され、ただの一県道となっていて、西伊豆スカイラインという名称も残っていない(たぶん)
しかしコース自体はそのまま残っているわけで、西伊豆の尾根筋をなぞる美しいワインディングの曲線美は健在だ。しかも、無料となった今(もう相当経つけど)では、好きなだけ往復して思う存分走ることを楽しめるということなのだ。

         
伊豆スカイラインと比べると、コーナーが多様でスピードレンジも低い(って言っても結構出ますが)西伊豆スカイライン。
周囲の植生からなる景色も素晴らしいが、ここではいつも走ることに集中してしまうのだ。それほどワインディングでスポーツカーを操るという魅力を存分に感じられるコースであるということなのかもしれない。
それでいて、走るクルマは有料の伊豆スカより閑散としていて、走ることが純粋に楽しめる。
間違いなく、関東圏有数のドライビングを楽しめるワインディングロードのひとつである。
         
 

尾根筋を走る西伊豆スカイラインは、走りのスカイラインであるとともに、絶景スカイラインでもある。

この日は駿河湾越しに、南アルプスの3000m級の尾根が見て取れた。
まるで対岸の大陸に居並ぶ山脈のような景色。伊豆という島から海峡を挟んで大陸を遠望するかのようだ。

いつもは強風が吹き荒れる冬の西伊豆スカイラインだが、この日はウソのように静か。
思う存分ゆっくり景色を眺められたことって、今まであったっけなぁ?

                             

元々観光用有料道路だったので、駐車スペースが多いのもこのワインディングの美点。
これといった設えは一切無いものの、クルマを停めて小休止するスペースには事欠かない。ただ、風避けになるものが一切無かったりするので、天候の良くない日は辛いけど。

いつもの撮影スペースにエスを停めて、久しぶりに愛車の一人撮影会を行った。
停車スペースで人に会うことが稀なワインディングなので、自由気ままにクルマを停めて、撮影を楽しむことができちゃうのもなかなかイイところ。

 
 

久しぶりに思い切りエスの写真撮ったなぁ。

写真どころか、マトモにエスに乗ってドライブするのすら、今年初めてのような気がする。。

都会のドライブも絵になるクルマだが、こういう所に連れてくると、やっぱり格段にその良さを発揮してくれるのだ。

西伊豆スカイラインで土肥峠を通過しても、ワインディングロードは続く。

スカイラインと繋がって南下を続ける県道411号西天城高原線は、それまでの多様なコーナーが連続するレイアウトから、ストレートを中速コーナーで繋ぐ高速ステージへと変化する。

そのコースを走り切ると仁科峠だ。爽快で豪快な高速ワインディングはここで終焉を迎える。

 
         
 

仁科峠の小高い丘の上から、今走ってきたばかりの高速ワインディングロードと富士山を眺める。

戸田峠から仁科峠までの区間は、ビーナスライン級の変化に富んだタフなステージで、ドライビングを楽しむにはつくづく最適なワインディングだ。
一本で終わらすのはいかにも勿体無く、やはりここでも何本か走るのが常になっている。

         

今回も、西伊豆スカイラインの中低速区間を中心に、何本か往復してドライビングを楽しんだ。

陽は既に高くなっているとはいえ、まだ午前中。
路面は暖まり切っていないので、リアに荷重が乗り切らない場面でのアクセル操作には繊細な操作が必要だ。
それさえ気を付ければ、FR特有のクイックなコーナリングを楽しめる。

 
         

今回のツーリングではある程度エリア広げて走ろうかなと考えてたので、西伊豆スカイラインとの別れを惜しみながらも、次に向かうことにする。
戸田峠から戸田町の港に向かって下りていく。

             

戸田港

急峻な断崖が続く西伊豆北部の海岸沿いに、駿河湾が入り込むようにして形成された、小さな小さな湾口がある。その奥にあるのが戸田港。駿河湾の恵みを受ける良港だ。

港に沿って、西伊豆北部のメインルート県道17号が走る。道路と港の間は自由に駐車が可能。ロードスターのオフ会かな?たくさん集まっていた。

 
             
  たまたまエスを停めた所に、港町らしい食堂があった。
昼食にはまったくもってして早過ぎる時間だったが、既に暖簾がかかってたし、この後一心不乱に(!?)走り続けたいことも考えて、ここでランチとすることに。
                     
   

地魚が美味しいと言われる西伊豆だし、刺身定食にしてみた。新鮮で美味しくて満足だったが、ご飯がベッチョリしててイマイチ。エビのみそ汁はgood。

     
                       
   

戸田と言えばタカアシガニが有名で、この食堂「魚清」の真ん中にズデンと据えられた生簀にも泳がされていたが、いかんせん高価なので味わうことは叶わず。

                       
     

普段ツーリングしていて、こんなに立派な食事をすることは稀だが、今回はちょっとレポにすることを意識して、西伊豆らしい食事を紹介してみた。

いつもほとんど食事らしい食事など無しに走ってるので、ここ戸田で食事すること自体初めてだったりする。

     
戸田とその南隣の町、土肥を結ぶ県道17号は、断崖の上を走るワインディングロード。やや狭めの2車線路で、海沿いながら高所感があってドライビングを楽しむことができる。
気合い入れて走り出してみたが、すぐにバイクツーリングの集団に引っかかってしまった。
     

やがてフツーにドライブしているようなクルマとも繋がって、結局のんびりドライブ。
時々視界に広がる海の、青と緑の色彩に目を奪われてスピードダウン。ゆっくりとコーナーを抜けて、また集団に追い付く、ってことを繰り返す。

旅人岬の駐車スペースで集団から逃れるついでに、美しい色彩を放っていた西伊豆の海原にレンズを向けたが、さっきまで見え隠れしていた色彩は、やや彩度が落ちてしまっていた。

     
土肥を通過すると、交通量は一段と多くなった。時間的なものもあるだろうけど。
宇久須手前辺りからトンネルが多くなる。国道136号を土肥峠を越えて堂ヶ島へとやってくる観光バス対応かな。
     

宇久須からR136。その宇久須を過ぎてすぐに黄金崎がある。

根石海岸に下りて岬を鑑賞。
次のルートを考えつつ。

宇久須〜堂ヶ島〜松崎と、観光地ロードなので交通量も多く、淡々と流れに沿うしかない。

 
時刻は昼過ぎで、温泉に入るなら空いてる時間だし、心はとっくに温泉になっていた(^ ^;
松崎から下田に向かう県道15号にスイッチ。婆娑羅峠に向かう途中の集落に、お気に入りの温泉がある。
 
 

大沢温泉 大沢荘山の家

県道15号から細い枝道を入っていった先の渓流沿いにある。露天風呂のみの小さな温泉施設だ。

小さいとは言っても温泉は本格的で、何しろ風呂の底からボコボコと大量に湧き出ている温泉が衝撃的。
その新鮮極まりない温泉を、森林浴の如く環境で楽しめるのだから素晴らしい。

ただこの時期、酷い花粉症のひとにはツライかも(笑

 

温泉をじっくり楽しみながら、次のルートを考えていた。結果、婆娑羅峠を越えて下田に出ることに。下田からは石廊崎方面からマーガレットラインを目指して松崎に戻ってくる周回ルートをとるつもりだ。

婆娑羅峠を越えて下田を目指す。温泉上がりの火照った身体に、涼しい風が心地良い。
国道414号に入り、程なく下田へ。
街中は混んでいた。駅前の信号待ちでやや時間を消費したが、R136を石廊崎方面へと向かう方向は空いていた。

   
   

多々戸浜

キレイな砂浜が見たくなって、サーファーが集う浜に来てみた。想像以上に大勢の波乗り達で賑わっていた。
2月とは思えない暖かな日差しと穏やかな波風の中、波と飛沫に戯れる彼らが少しだけ羨ましく感じる。

   
浜の周囲には、雰囲気あるヴィラが立ち並ぶ。
夏にはきっと、この季節とは全く異なった喧噪に包まれていそう。伊豆は冬にしか来てないので、知る由もないのだが。
               
 
     
こんな青い屋根の小さな可愛いペンションも。(本当にペンションかな?そう思ってるだけ(汗)  
                   
 

弓ヶ浜

多々戸浜と比べちゃうと、弓ヶ浜ですら大したことないように見えちゃうんだよね〜(一般的には十分美しい浜辺ではありますが)

こちらにはほとんどサーファーはおらず。波の違いとか、いろいろあるのかな。

南伊豆までの道のりは長い。日帰りで、しかも午前中に思い切り走って、昼頃スパッと帰路に着くっていうスタイルにするには、南伊豆を取り入れるのはちょっと厳しい。

弓ヶ浜辺りまで来る場合は、余程寄り道をしないか、丸々一日かけるかしないとちょっとムリがあるだろう。

今回は敢えて南伊豆まで深入りのパターンです。

 
 
 

あいあい岬

弓ヶ浜や石廊崎といった伊豆半島南端の海岸線を行くのが県道16号。その道を西に向かっていくと、最南端の石廊崎への入口がある。
その石廊崎はアッサリ無視して、その先のあいあい岬で岬の景観美に触れるのがR style流(笑

レストハウスがある駐車スペースからでも眺めは抜群にイイ。この他にも、ちょっとした山の上に登って海原を望むスペースもあったりする。

     
夕刻の光の波長に染まりつつあるレストハウスの建物がイイ雰囲気を醸し出していた。
干物でも干してあったら、南伊豆の情緒バッチリだったな。
 
 
   

当然ながら、冬の伊豆にはバイクも多い。
クルマ以上に冬の行き場が無い乗り物なので、こぞって伊豆に参集するんだろうなぁ。

あいあい岬で見かけた集団は、かなりの若者だった。ツーリングライダーには年配の方が多いような気がするので、何だか新鮮な感じ(^ ^;

                                     

バイクも良いけど、オープンカーはやっぱり景色に映える。
走って良し、眺めて良し。

加えてエスは、一級のスポーツカーでもあるわけで、全身のセンサーを使った純粋なドライビングも楽しめる。

ストイックにドライブするなら、これ以上の相棒は無い。

 
                         
あいあい岬を発ち、R136に再び合流する。
いわゆるマーガレットラインと呼ばれる区間で、松崎を目指す。距離は長めで、しかも全区間険しい海岸沿いの地形を縫うように走るので、立派なワインディングロードだ。
                         

クリアラップ取れれば楽しいことこの上ないコースだが、長いだけにそうもいかないことが多い。
そんな時は、景色を楽しんだり、コックピットに流れ込んでくる気流で土地の空気のニオイを楽しんだり、狭い車線内でのライン取りを研究してみたり。。

考えてみると、運転しながらまったく異なった考え事をするっていうケースはほとんど無いような気がする。
割とクルマを運転することに集中してる方だと思うし、クルマとの対話を楽しむことこそがドライビングの楽しみだと思うから。。

ま、さすがに高速道路の長距離移動では、考え事のひとつでもしてないと退屈ですが。

松崎のコンビニで小休止した時には、時計の針は既に17時に近付こうとしていた。
伊豆にツーリングに来て、こんな時間まで南の方にいたってことはあんまりないことだ。でもそれもある程度は計算の内。一番混みそうな夕刻の時間に小田厚や東名を通ることにならないように、調整しながらルートを選んで走っている結果なのだ。

そんなことも踏まえつつ、ここからは帰途に着くことにしたのだが、ルートは幾通りもある。
このまま海岸線に沿って北上して沼津に出るか、途中で折れて戸田峠や土肥峠を越えて中伊豆経由で三島に出るか、あるいは西伊豆スカイラインに戻って修善寺から三島、または冷川から伊豆スカで箱根か・・・

 
 

最初は松崎から県道59号で仁科峠に登ろうと思ったけど、薄暗い中で路面状況の怪しいアノ道走るのはちょっと・・・だったので、結局宇久須から県道410号で仁科峠に上がることにした。

その県道410号、初めて走った時には狭く感じたものだったが、全国のいろんな道を走ってきた今となっては、狭路の山道ながら、走るには問題の無い状態のいい道の部類に入る。

 

本日初めて走る、狭路ワインディング登坂路を、ここ一番の気合いでドライブ!
イン側になる極低速のヘアピンでは、段差のような高低差が発生するので、1速に叩き込んでクイックに進行方向を変化させる。
有視界ドライブは絶対で、ブラインドでは安全が確認できるまで、ラインに自由度を保っておく。

タイヤのグリップを感じ、荷重の在処をコントロールしながら、エスの持てる運動性能で急峻な山肌を駆け上がる。

 
 

仁科峠まで上がったら、西伊豆スカイラインを経て戸田峠へ向かう。
今朝も散々走ったワインディングロードには、夜の帳が降りつつあった。

仁科峠までの低速ワインディングから、全く性格の異なる高速ステージへ。そのコース変化を楽しみつつ土肥峠を越えて西伊豆スカイラインに入る。薄暗いスカイラインをライトオンで疾走する。
VTECエンジンがけたたましく鳴き、無限で仕上げた給排気システムの咆哮が、宵のスカイラインに木霊する。

戸田峠から修善寺、そこから三島に抜けることが多いが、今回は通行料金払ってでも混雑を避けたかったので、伊豆スカイラインで箱根峠に戻ることにした。要するに、朝と全く同じルートで戻ろうという算段だ。

 
 

冷川ICから伊豆スカイラインへ。走り始めると間もなく数珠繋ぎの隊列になってしまった。
国道の混雑を避けて、抜け道的に利用するクルマが多いせいか、夜も有料の観光道路なのに思いのほか交通量が多い。当然ながら周囲は真っ暗闇。開け放ったままのルーフからは、冷たい風が吹き込んでくる。
ヒーターの出力up。こたつモードで真冬のナイトクルージングに備える。

視界が開ける区間まで来ると、沼津の夜景が眼下に広がっていた。
街の灯りの中で、瞬くヘッドライトの大群が美しい。冬の伊豆ツーリングのシメに相応しい絶景夜景で、今回のショートツーリングは終了した。

 

・・・・って感じなのが、冬の伊豆ツーリングです(^ ^;
昨年は東伊豆にも行ったけど、何となくやっぱり西伊豆の方が自分的には向いてるかなぁ。
南伊豆は深入りすると一日仕事になってしまうので、そこまで行くかは気分次第。ただ、お気に入りの温泉(大沢温泉と河内温泉)が南伊豆にあるので、温泉目当てだと足を伸ばさざるを得ないね。

理想的には、早朝に向かって、西伊豆スカイラインを存分に走って、昼前には帰途に着くのがベストかな。
ちょっと一般的ではないけど、そんな楽しみ方もありってことで。

 
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