雪解け甲州ふらり旅 〜クリスタルライン敗退


                                                     

寒い冬もようやく終わりを告げた感のある頃。
本格的なツーリングシーズン到来を前に、休日の早い時間を利用して、軽めのプチツーリングをすることにした。
冬の間もなんだかんだ言って伊豆とか雪の心配のない所に行ったりはしていたのだが、春めく陽気を盾に、東京近辺ながら「山」方面に行き先の照準を合わせたのだ。

朝6時にエンジン始動。無限のエキゾーストシステムは、アフターのマフラーにしては静かと言えど重低音には違いない。ご近所様の安眠を妨げるわけにはいかないので、暖気も程々に走り出した。

                           

まずは秩父方面へと向かう。

秩父へは新大宮バイパスから川越に出て、県道15号で日高、それから国道299号に出るのが定石だが、いかんせん退屈な道のり。

同じ退屈でも多少の変化をつけるため、川越街道から国道463号で所沢、入間、R299と行くルートをとった。朝早いからこそとれるルートか。混雑せずいいペースで走れたが、R299の正丸への道のりは、トラックに阻まれてダラダラ連隊走行になってしまった。

秩父から国道140号。写真は道の駅「あらかわ」の手前辺り。良い天気になってきた♪

   
 

道の駅「大滝温泉」を過ぎた後は、R140の旧道へと向かう。国道の表示は無く、三峯神社への方向表示が目印。

程なくして、←のトンネルが現れる。
車幅・車高制限の標識が表すように、大型信号機による交互通行のトンネル。その閉塞感もなかなかのものだが、内部でタイトにカーブしている上、途中に分岐まである。

                     
           
                           
スリリングなトンネルを抜けると、秩父湖がお目見え。
クルマを降りて眺めてみたものの、残念ながらあまり心打たれるほどの景色では無かった。逆光だし。
 
                           
                           

旧道は湖の脇から二手に分かれる。北側のルートが秩父往還で、なかなか景観が良い印象があったので、今回もそっちのルートをとることにした。

およそ首都圏の国道とは思えない道幅&高所感の道が続くが、昔の街道っぽく、集落が道に密集して寄り添っている。

生活臭漂う民家や商店が、山肌に張り付くようにして存在する景観はなかなかのもの。

結構イイなぁ。

 
         
         

やがて秩父往還の旧道は、R140のバイパスと合流。近代的な山越えの幹線道路の様相に早変わりする。

埼玉県と山梨県を結ぶ唯一の山越え路だけあって、いつも交通量の多い雁坂峠越えだが、今日は休日の朝ってこともあって、いたって静かなもの。

峠に向かって豪快に上がっていく2車線のワインディングを、気持ち良く流していく。
途中ペースの異なる前走車が現れても、大方すぐに譲ってくれたおかげで、かなりキモチのいいドライビングが堪能できた。

雁坂トンネルは通行料金710円の有料道路。安くない額だけど、ルート開拓の困難さを考えるとやむなしか。

トンネルを抜けた後の山梨側の下り坂は、直線的に高度を下げていく高速コース。
ラッキーなことに追い付くクルマも現れず、風を切って一気に駆け下りる爽快感を味わえた。

いつもは隊列を成して越える雁坂ルートだけに、この日の単独走でコースの印象はずいぶん違ったものになった。
結構スピードの乗る高速ワインディングルートと言っていい。条件が良ければ、なかなかオイシイ。

         

坂道を完全に降り切った辺りに道の駅「花かげの郷まきおか」があるのでトイレ休憩。山梨県側の空は雲に覆われていて、イマイチ薄暗かった。今日の山梨県地方は1日中晴天の予報だからこっち方面に来たのにな。。

この「まきおか」の道の駅と言えば、山梨県北部の山岳地帯に張り巡らされる林道を繋いだ、通称「クリスタルライン」の東側の入口だ。響きの良さとは裏腹に、地図上では明らかに普通の感覚の人なら躊躇ってしまいそうな、狭く長い山岳路が描かれている。
僕はと言えば、存在こそ知っていたものの、なかなか走破する機会も無く今日に至っている。

               
県道210号を琴川沿いに登っていくと、川を跨ぐ切り返しが現れる。
2車線あった舗装路は、ここから一気に道幅を狭めている。
   
         
       
   
前方にはこんな案内図が。杣口林道の案内はともかく、クリスタルラインのルート図まで立ってるなんてビックリ。
                             

そのクリスタルライン(杣口林道)に進入してみる。

林道とは言え、そこは「クリスタルライン」などという通称が付いているだけあって、道路状況はかなり良いようだ。
もちろん十分にすれ違いができるほどの道幅は無いが、エスで進入するのを躊躇ってしまうほど酷いものではない。むしろ林道の名からすればキレイな方だ。

                           
   

林道はうっすらと雲の霧に包まれていて、前日降った雨が路面を濡らしている。道端には解けずに残った雪が・・・

徐々にその量は多くなるものの、路面を侵すような雰囲気はなく、安心して進むことができるレベル。

 

進むにつれてワインディング度はハードさを増していくカンジだったが、ある程度来た所から2車線のキレイな道路に変化した。一瞬のことかと思いきや、案外延々と続いていく。
ペースも飛躍的に上がって、ワインディングを楽しむ。

 
   
 

片手にダム湖が見えてくる頃には、いつの間にやら薄くたれ込めていた雲はすっかり晴れて、抜けるような青空が広がってるじゃないか!

思わずエスを停めて、周囲の景色を堪能する。
人里から逃れるように山深くに入り込んできたつもりだったが、琴川ダムの周辺は意外に人工物が目につくフツーの田舎の風景といった具合。

ダム湖畔には工事車両が作業中。道路には大きな青看が立ってたりして、林道を繋ぐクリスタルラインのイメージとは裏腹な光景が広がる。

それでも、遠く山の向こうに辛うじて真っ白な頂を見せる金峰山(たぶん)と青空のコントラストは美しい。
以前(2006年)、廻り目平にキャンプツーリングに訪れた際、その2日目に登っていた山だ。

右手の丘が金峰牧場。
ここまで結構長い距離を走った気でいたが、地図を見て全然進んでないことを認識する・・・

           

クリスタルラインは琴川ダムを過ぎると、すぐに焼山峠に至る。

ここからトレースは荒川林道にスイッチするが、その林道入口からは圧雪路が続いているのが見えるではないか・・・

「(荒川林道は)冬期閉鎖です」という立て看板も目に入るが、ゲートは無く入り込むことはできそうな感じ。
しかしエスは完全夏靴仕様。いくら溶け始めの圧雪路とは言え、無茶はしたくない。

   
                     

もうひとつの分岐である焼山林道は、逆に路面に雪は無いけどゲートで閉鎖されている。
つまり引き返すほか方策が無い状況となったのだ。

EK9なら突撃してたかもしれないけど(実際そうやって撃沈したことも・・)、クルマがクルマだけにこういう状況では無理はしないのだ。
気分はあっさり引き返すことに傾いた。

しかしこの青空。澄んだ空気。誰もいない静かな時間。このまま立ち去るのは惜し過ぎる。。。

 
 

てわけでコーヒータイムとした(^ ^)v

最近は日帰りでも、ツーリングチェア(ただのキャンプチェアですが)とジェットボイルをトランクに潜めている。こんな場面に遭遇した際に、景色をゆっくり眺めながらちょっと落ち着いた時間を過ごすため、またツーリングそのものに潤いを付加するため、今シーズンから試みているスタイル。

ジェットボイルの湯沸かし力は凄まじい。コーヒー1杯分なら火をつけてから30秒かそこらでもう沸騰してしまう。速攻でコーヒーを落とせる体勢に入れるのだ。
いくらゆっくりするとは言え、お湯が沸くのをまだかまだかと待ち続けることがないのがイイ。

勝手にツーリングチェアと読んでるのは、先日導入した小川キャンパルのリラックスアームチェア。
これがムチャクチャ座り心地が良いのである。かさ張るけどお気に入り。

袋小路の林道でリラックスタイムを楽しむ。
日差しは思った以上に強く、のんびり座っていても暑く感じてくるくらい。

視線を落とせば春間近の雪原。
太陽光の反射で直視できないほど眩しく輝いている。

あぁキモチイイなぁ。。

不思議と眠くはならなかったが、長時間存分に日光浴をした気分。
ただでさえ日に焼けるオープンドライブ。更に日焼けを助長させたのは言うまでもなく。。

 
 

コーヒータイムを味わった後は、元来た道を引き返すのだ。

先ほど通った琴川ダムの湖は全面凍結していたが、急激に上昇した気温によって、豪快なモヤがかかっていた。

まるで湖面から雲が湧き出ているかのような光景。
周辺の道路も雪解け水でウェット状態だが、暖められたアスファルトの温度によって立ち上る湯気に覆われている。

温泉街でも走っているかのような、そんな感じ。

       

杣口林道の逆向きは、路面の状況もわかっているので、多少スピードを保って駆け下りてみる。

意のままに動くエスの運動性能を味わいながらのドライビング。

クルマとドライバーとの一体感を増幅させる重量バランスの良さが、エスの大きな美点のひとつ。

リズムに乗った時の一体感は、なんとも表現し難い快感に満ちている。

 
         
    R140に戻った後は、フルーツライン経由で塩山へ。
先程コーヒーを飲みながら考えたその後の行程は、国道411号で柳沢峠を越えて、奥多摩方面へと向かい、丹生川村から県道ワインディングを楽しもうというもの。
土曜とは言え休日ではあるし、東京近郊ながら交通量の少なそうな道を選んで走りを楽しみたい気分なのだ。
                                   
                     
                             
 

大菩薩峠への分岐からの山梨側柳沢峠登りはタイトコーナーの連続だったはずだけど、ここ数年の大改修でどんどん新ルートが完工されて、豪快な山岳ハイウェイに変貌しつつある。

山間を橋で繋ぎトンネルで貫き、ループ橋で一気に高度を上げる。400番台国道とは思えない高企画な整備が着々と進んでいる。さすが東京都の奥座敷(からの観光ルート)

       
                       
 
峠付近の区間はまだ整備が追い付いておらず、タイトコーナーが連続する区間が残っている。R style的には、こういう道は無くなってほしくないなぁ。
ヘアピンコーナーも数多く登場するが、イン側が超急勾配になってAピラーで進路方向が見えずに失速する場面も。。
いつも決まってオーバーステアな挙動が極端に出るコーナーとかあったりするんだけど。
 
  柳沢峠を越えてオイラン淵の辺りまでは、タイトコーナー多く路面も荒い。
途中舗装が剥がされている所もあった。エスで未舗装は走りたくないのはヤマヤマだが、通らなきゃ進めないものは仕方ない。
                         
   
                         
オイラン淵付近以降は、渓谷に沿った平坦なワインディング。切り立った巨大な岩壁の直下を縫って走る。
ここの辺はなかなか豪快な景観で、結構凄いと思う。コースレイアウトも多様なコーナーが揃って難しいけど面白い。
実はかなりお気に入りのコースだったりするのだ。
   
 
やがて丹生川村の中心部へ。
塩山からここまで単独走行で楽しめた。土曜の昼間なのに。なんてラッキー。
人里離れた観光ルートで、交通量は多い割に見所の少ないのがR411塩山〜丹生川区間。これが走ってるクルマが少ない状況になると、様々なバリエーションに富んだ魅力的なワインディングになるのだ。
 

丹波山から県道18号線にスイッチ。杉林の中の今川峠を越える。1速を使いたくなるようなタイトコーナーの連続をクリアして小菅へ。

一瞬国道139号を通って県道18号へ。入るなり片側通行の工事区間があり、再び泥濘となった未舗装の区間を走るハメに。

 
     

県道18号鶴峠。道幅の広い2車線のワインディングで、登りながらも気持ち良くスピードが乗る中速コーナーが連続する。

ここに限ってやたらリアが落ち着きなくアウトに出ようとする挙動が目立った。
これまでのコースと比べて劇的に広い割には、グリップレベルが低い。それが楽しさでもあるわけだけど。

   
                           
                           

上野原に入って、山間の集落を縫って走っていく。渓谷状のワインディングでは、引き続きエスの運動能力を引き出しながらドライビングを楽しんでいく。
集落内は意識的にペースを落として走行。ゆっくり、静かに、優雅に。

それにしてもちーっともクルマに追い付かない。
今年度版のツーリングマップルではオススメルートとして着色されているけど、交通量の少なさ、適度なワインディングと集落風景の混在した風景を考えれば、なるほど、と思わないでもない。

                           
 

県道522号に入り、その後陣馬街道にスイッチして和田峠を越えて八王子に至って帰ろうと考えていたが、なんと陣馬街道(和田峠)は昼間全面通行止。そのまま国道20号甲州街道に下りる他に術はなかった。。

汗ばむ陽気にも関わらず、クリスタルラインに続いて道を阻まれる結果に。

                             

昼過ぎに甲州街道に出てしまったこともあり、気分は帰途になってしまう。
予想通り真っ昼間の甲州街道は交通量が多かった。というのも、実は甲州街道ってこんな日の高い時間に走ったことがないのだ(たぶん)。大体いつも夜中か早朝。

大垂水峠だって、こんな時間にモロに越えるのは初めて。
たまたま信号で前が離れたため、今日最後のワインディングをちょっとの間だけ楽しむ。すぐに追い付いてしまった。
その後は高尾山口までノロノロ。

   

八王子もR20で通過。
日野は新しく開通したバイパスを初めて通った。
この辺りでフューエルメーターが(いつものように)突然ブラックアウト。エンプティランプが点灯していたため、府中で給油。
計算上は帰宅まで足りるはずなのだが、精神衛生上良くないので・・・(EK9時代にガス欠リタイアした経験がトラウマだったりする)

府中は渋滞したけど、調布以降は流れた。環八に出て練馬に帰還。
そんなに酷い混み方ではなかったにもかかわらず、甲州街道に出てから3時間近くも要していた。。

最後に時間がかかってしまったもんだから、余韻としてはイマイチ。
やはりワインディングを楽しんだ後は、時間をかけないで帰った方がいいかも。今回の場合は、昼間だったし中央道で帰るべきだったかもしれない。
 

およそ半日ちょっとのプチツーリングだったけど、結構単独でワインディングを楽しめたので満足できた。

が、時期的には多少早過ぎて、クリスタルラインを走破できなかったのは残念と言えば残念。今後出直して、ばっちり走破してやろうという気になった。

山の雪解け水と道路改良工事区間によって、エスのボディはグラデーション付きのツートンに。。。この状態で街中をオープンで走るのは結構シンドイものがある。

 
帰って早速洗車場に向かったのは言うまでもない。  
 
Touring S2000
   
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