HONDAの吸気系統が非常に良くできているのは有名で、下手に社外品に換えてしまうと却ってパワーダウンしてしまうということはよく知られている。HONDAの看板エンジンたるDOHC VTECは特に顕著で、シビックと言えど侮れないエアクリシステムが装着されている。

が・・・

インテグラタイプR(DC2)のエアクリは専用品なのに対して、同世代の弟分たるシビックタイプR(EK9)のそれはベース車(EK4)と一緒なのである。つまり先発のインテRで、エアクリまでも専用品に換えなければタイプRに相応しい走りを獲得できなかったということを示したにもかかわらず、シビックRではそうしなかったのだ。コスト的に厳しい等の制約条件があったのだろうが、EK9オーナーとしてはちょっと寂しい事実。。。

         

<<< 空気を溜めておくレゾネーターチャンバーや消音ボックス等、純正としてはいいシステムではあるんだけど、エンジンルーム内の空気を吸ってるので、どうしても吸気温度が上がってしまう。吸気温度が高い=パワーが出ない、なのだ。

インテRで異なったシステムを採用したということは、排気量が200cc小さいだけのシビックRにも同じようなインテークシステムが効果有るんではなかろうか。。というか、そうすることで本来の性能が解放されるんではないだろうか。。

         

そういった疑問に加え、走行距離が10万kmを越えてさすがにパンチが無くなってきたエンジンをなんとかしたいという気持ちもあった。特に6000rpm以降のハイカム領域。回ってるだけでトルクがついてこないような気がする(体感スピードは速いのだが)。購入した当初の、6000rpm以降のあのプチッとキレたような回り方が形を潜めて久しい。。もう一度あの刺激を味わいたい!
その一念が、封印していたエアクリ交換という形となった。

吸排気はノーマルのままで速くなるのがコンセプトだったけど、エンジンを回す気持ち良さまで封印してまでこだわることもないだろう。

         
今回選んだのは、無限のエアクリ&ボックスのキット。
社外品の大半がフィルターのみなのに対して、コレは吸気システムそのものを最適化しようとする仰々しいモノ。先にも書いたように、HONDAのインテークはデリケートなので、本当に性能を上げようとするならこれくらいしないとダメなのだ。
その代わり、これがかなり高価な代物なのである。ちょっと試してみるっていうようなレベルじゃない(汗)。でも無限は評判が(価格以外は)すこぶるいいし、低回転のトルクはそのままに、高回転のパンチを得るという今回の目的にぴったりハマってたので、思い切って導入することにした。
         
キット内容はこんなの

購入は通販で。数日後えらくデカイ箱が届く。こんな大きいモンなんか!と恐る恐る開けてみると・・・
フルバケの時もそうだったが、無限の箱は無駄に大き過ぎると思うのですが。。。いかがなもんでしょ?

さっそく取り出してみた。想像以上の大物だ(笑)。
ボックスケースはかなりエグい形をしている。 複雑怪奇。

肝心のフィルター。有名なハナシではありますが、、無限のエアクリはK&N製です。モロK&Nの箱に入ってんじゃん。。
っつーわけで、これだけmade in USA ! アメリカンな色合い。

ショートパーツの数々。この多さ、裏返せばそれだけきめ細かいシステムってことで、そこんとこはやはりセミワークス無限ってとこか。取付はかなり面倒そう。

         
取り付けます
 

以前付けてたSPOONのようなフィルターだけを置き換える純正交換タイプは、それこそものの10秒足らずで交換終了!ってなカンジだったが、BOX丸ごと交換する無限は一筋縄ではいかない。気合を入れてスタートする。(って言っても単純作業なんだけどさ)

<<< 作業前のEK9、ほとんどノーマルのエンジンルーム

       
     
     

まずはフロントバンパーをはずす。下回りのボルトは錆の塊になりつつある・・・5-56を吹付けて、固着したボルトをはずす。

ここであることに気が付く。アレ?対オフセット衝突用のバンパーガードが付いてない!?どういうこと???

 

この時点でバンパー右側面に隠れているレゾネーターチャンバーが露出する。説明書によれば、本来この次はこれをはずす作業になるのだが、、私のEK9にはこれが存在しない。もちろん外した覚えはない。
要は中古で購入した当初から付いていなかったわけで、それがバレないように穴塞ぎ加工までしてあるという始末。そう、さっきのバンパーガードが付いていないのも、おそらく故意。
こういうこと平気でやる消費者騙しの中古車屋(岩槻の某店・・)が世の中には存在するのだ。。。

 

・・・ま、無いもんは外せないので次に行きます。

純正のエアクリボックスをごそっと外す。下側のボルトは金具ごと外す。インテークパイプには、意外にもカポッとはまってるだけだった。外れたりせんのだろうか。。

外したボックスを持ってみると、これが結構重い。消音ボックスも付いてるからなー。
無限のボックスはFRP製でかなり軽いので、フロントの軽量化が期待できそう。

 

エアクリボックス外したら、エンジンルーム内にごそっと空間ができる。せっかくだから軽くお掃除。

その後、無限のボックスケースを入れる。これが知恵の輪状態(笑)。試行錯誤の後、所定の位置に収める。が、ラジエターのロアホースが密着した状態だ。これではよろしくないので、ホースのバンドを緩めて接触しない程度に捻って位置決め。
ケースがエグイ形をしてたのは、このホースとかその他エンジンルーム内のいろんなものに接触しない為だ。この辺の配慮はさすがである。他のメーカーだとこうはいかないだろうなぁ。

 
 

キット付属のファンネルを、インテークパイプに差し込む。
このアルミ製のファンネルが空気の流速を高めてくれる(らしい)
無限だけにアルミ削り出し(凄い製作機械を持ってるとか)だと思うが、なかなか凝ったパーツである。
パイプはさすがにキツくて(ゆるゆるだと却って困るが)入らないので、シリコンスプレーを軽く吹いて差し込む。

この時点で位置合わせ。ボックスケースとファンネルが所定の位置で結合できるよう調整する。位置出ししながら、ファンネルとケースをそれぞれ付属のボルトとステーで固定する。
厳密には平行でないが、純正的なマッチングは無理だろうから妥協した(ま、ホンダだし)

   
 
 

フィルターをファンネルに差し込んで固定する。この状態だと、いかにも!ってカンジで趣向に合わないのだが・・・


ボックスのフタを被せれば大人しいもの。全然問題無し。
しかしこのフタ、ビスで6ヵ所も留めなければならない。気密性を高めるという性能の観点からすれば喜ばしいものの、メンテナンスの面からすれば結構面倒臭い。
しょっちゅうフィルター見て様子を確認って気にならない。。。

 
 

上側は完成したので、次は下回り。

バンパー内(レゾチャンが存在するハズのスペース)に、ボックスケースの口がこんなふうに出てきている。
これを付属のステーとホースバンドで固定。かなりキチキチ。

       
     
ラッパを差し込む。口は上向きに。
無限の最大の弱点は、この吸気口が低い位置にくること。バンパー内吸気でパワーを稼いでいる(詳しくは後述)ので仕方ないが、この低さだと深い水溜りに入った時、水を吸ってエンジンがオシャカになってしまう恐れがあるのだ。。(説明書には15cm以上の深さの水溜りは走行するな、とある)
極力それを避けるための上向き。ラッパには小さな穴が開けてあって、水が溜まらない仕組みになっているのが心憎い(っていうか当たり前か)
 
この後、吸気口に大量の水が直接入らないようにするアルミ板のスプラッシュガードを取り付けようとしたのだが・・・どう考えても説明書の位置に付かない。というか、車体側にステーを付ける穴がない。
私のEK9はこの辺がもうぐちゃぐちゃ(前オーナーの事故の後遺症)に直されてて(まったく・・)、どこが正常なのかわかんないくらい(哀)。本来あるハズの車体側のステーやビス穴も無いんだろうってことで、仕方なく諦める。。。
 
 

各ボルトにゆるみがないか再度確認して、バンパーを元に戻す。
最後に無限のシールを貼ってやれば、めでたく完成。

エンジンをかけて、異音等を軽くチェック。アイドリング時は以前とほとんど何も変わらない。もっと吸気音とか聞こえると思ってたので拍子抜け。

さっそく試しに行こう!

         
インプレにGO!
 
インプレに利用しているいつもの某ワインディングへ。
行くまでの街乗りでは、ほとんど変化はなし。低速域でもトルクダウンは感じられず、むしろエンジンが滑らかに回るような気はする。音も純正とほとんど変化なし。

ワインディング区間に入り、ストレートでアクセルを踏み込んでハイカムゾーンへ。こっからが凄かった!
中回転から今までにない勇ましい音になり、6000rpmでハイカムに切り替わると、いきなり弾けた様に高音になり、そこから一気に8400rpmまで昇り詰める!!ぶるぅぁああああああああんんってカンジ(←表現にムリ有り)

久しぶりに烈しいVTECの咆哮を聞いた。
最近はエンジンもややお疲れ気味で、VTECの切り替わりも大人しく、6000rpm以降もエンジンは威勢良く回転を上げていくけどどこか華奢な回り方になっていた。一応レッドゾーンまで回るけど、トルクがついてこないでただ回ってるだけという気がしなくもなかったのだ。それが一変した。こりゃスゲー。

音がかなり勇ましくなって速くなった気がしてるだけなのか?と思いつつ、アクセルコントロールしていろいろ試してみる。

2速4000〜6000rpmはさすがに若干もたつく感じはあるものの、6000rpmを過ぎるとトルクがモリモリ発生し、7000rpm以降は一気にレッドまで吹け上がる。7000以降の力強さはとても1.6リッターとは思えないほど。ビンビンを通り越してギンギン。かなり骨太なトルク感も持ち合わせている。
この辺は先日交換した軽量フライホイールの効果もあるだろう。フライホイールが軽くなって回ることは回るようになったがトルクは現状維持、それが無限エアクリによってトルクも増幅されて、相乗効果でかなり力強いエンジンになったという印象だ。

以前までは3速に入るとハイお休み〜ってカンジで、もっさりとした回り方になってしまってたんだが、これもかなり解消。5000rpm付近のいわゆる「VTECの谷間」も案外スムーズに回転が上がっていく。
余程の低回転でなければ、どこからでも強烈に立ち上がる。踏み込んだ時の音がまたイイんだ。これが無限の吸気音なのか。エンジン音と絡まってすごくヤル気にさせる音になっている。
意味も無くアクセル踏み込んじゃうよ〜。

 

どうして無限エアクリでトルクが上がるのか、について考えてみた。

純正エアクリはエンジンルーム内の空気を吸っている。エンジンルームは当然高温なため、空気の密度が薄い。エンジンに送り込まれる空気の密度が薄いってことは、爆発力にも影響し、パワーが出ないということになる。

それに対して無限はバンパー内吸気で、比較的冷えた空気を吸うことができる。温度が低い空気は密度が濃いので、燃焼効率も上がる。ってわけでトルクが出るのでは・・と考えられる。(インテR純正は無限方式に近い)

実際CMX-100で吸気温度を計ったところ、純正ではこの時期、街乗りで60℃くらい。対して無限は40℃くらい。1℃につき1馬力は違うと言われてる(らしい)吸気温度でこの差はでかい。さすがに20馬力上がってることはないと思うけど、、、ハイカムの高回転域は明らかにパワフルになった。低中回転域のトルク感を落とさずにこの性能アップは、パワーの上げ難いNAとしては貴重だ。

また、アクセルレスポンスがイイのも見逃せない変化だ。
軽量フライホイールとのコンビネーションで、ほとんどアソビのないレスポンス。自分の意図した分だけ忠実に反応する車体は、クルマとの一体感を特に大切にしてる自分にとっては何より嬉しいもの。ますます自分の身体にフィットするクルマになってきた感じだ。

 

と、ファーストインプレッションはかなりグッドだった無限のエアクリ。さすが高いだけのことはある。無限の開発力恐るべし。
購入当初のまだ車が新しかった頃は、このくらいのパンチはあったような気がする。それが気がつかない程度に徐々に失われてきて、タペット調整、フライホイール交換、エアクリ交換という一連のレベルアップで、だいぶ元に戻ってきたというのが正しいところかな。

悪天候の際は注意を要するというのが、快速ワインディング仕様からはちょっとズレてる気がしないでもないが、人馬一体の気持ち良さ優先ってことでヨシ。無限製品はフルバケに続いてかなり満足度高いです。

 
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フィルターの洗浄(2006/01追記)

フィルターは1万km走ったら洗浄してくれと確か書いてあったけど、何にもしないうちに2万kmも走ってしまった。。最初付けた頃の、ハイカムに入った時のあの猛々しい音が何となくナリを潜めてきたようなカンジもあり、フィルターを取り出して洗浄することにした。

 

取り出したフィルターは意外とキレイ。砂利とか小さな虫は少し詰まってたけど。もっとドス黒くなってるかと思った。そのかわり、ボックスケース内には小石がいっぱい転がっていた。

砂利道は結構走ったからなぁ。。

フィルター掃除には専用のクリーナーを使用。無限のはK&N製なので、クリーナーもK&N製を用意。無限純正部品としても取り寄せできるけど、 無限ブランドの分(!?)若干高い。右がクリーナー、左がフィルターオイル。

クリーナーをぴゅっぴゅっと吹いて30分程待ち、フィルターの内側(エンジン側)から水をかけて洗い流す。フィルターオイルと砂埃が流されていく。目立った汚れが流されていったわけじゃないけど、乾燥させるとかなりキレイになった感じ。

丸1日陰干しで乾燥する。水分が残ってると当然エンジンに悪影響なので十分に。
この間、ヒダに挟まった小石をちまちまと取り除いた。

最後の仕上げはフィルターオイル。全体がまんべんなく赤紫色になるよう均一に吹き付ける。
K&Nらしい色が戻ってきた。

 

満を持して再装着。ケースのネジ山が1ヶ所潰れているハプニングはあったが(車検時か(- -#))

フィルターオイルのおかげで、見た目は新品時のそれに近い感じ。早速近所を試走してみたところでは、あんまり違いはわからない。心なしか低速時のもたつきが解消されているような気がする程度かな。
でもいざハイカムに入れてみると、あぁそう言えばこういう感じだったなという感触が戻っていた。音、トルク感が装着当初に戻って、B16Bが本来の元気さを取り戻した、という気がする。

 
ま、純正から交換した時ほどハッキリとわかる程のものではない(当然だが)けど、エアクリは集塵性を除けばエンジンに送り込まれる空気の抵抗にしかならないので、キレイにしておくことにこしたことはない。
無限(K&N)のフィルターは何回でもクリーニングが可能なので、できるだけキレイな状態を保つようにしたい。
(クリーニングすると最低1日はクルマ動かせなくなるのはちょっとイタイけど・・)
 
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