4th day
                                     
       

まだ夜が明け切らない時間に月食を見た。

シュラフに入ったまま、眠い目をこすって見上げる。確かに月が欠けていく。人気のない小さなキャンプ場での小さな天文ショー。
半分夢見心地で神秘的な現象を眺める贅沢さ。キャンプならではの醍醐味だね。

     
                                     
 

4日目となるこの日は朝から快晴で、ようやく爽快なドライブができそうな雰囲気。
国道191号をさらに西に向かって走ると、やがて萩の町に入っていく。

毛利氏36万石の城下町、萩。吉田松陰の村塾とか、独自の文化が育まれてる感じのする山陰の小京都だ。
どんな街並みなのか、はっきり言って全然知らない。どの辺が有名なのかもあんまり知らないので、とりあえず「城下町」「武家屋敷」とかいうキーワードに従って細い道を突き進み、海水浴場の駐車場っぽい所にクルマを停めて散策することにした。

   
                                     
萩 城下町の街並み
                                     
白壁の塀に挟まれた小路。朝の澄んだ空気のおかげで眩しいくらいのキレイな白だ。
この辺一帯(城下町エリア)は、あらゆる敷地がこういった塀で必ず囲まれている(学校とかも)。それぞれの敷地が広いためか、塀の中にどんな建物があるのかまったく見えない場合が多い。もちろん現在でも生活してる人がいるわけで、まったく生活感がないわけではないのだが。
 
                     
 
塀の意匠ひとつをとっても面白い
漆喰の白って本当キレイだな
         
                       
    萩にしろ金沢、高山にしろ、歴史的な街並みは我々の目を楽しませてくれるが、住んでる人は大変だろうなぁ。条例で自由に改築やらできないんだから。
萩の場合、必ず塀を設けなきゃならんとかその手の決まりがきっとあるんだろうな。この環境を残している住人に感謝せずにいられません。
   
                       
                   
   

鍵曲

城下町独特のシステムが今も残っていた。
敵の動きを鈍らせるため、路地をクランクさせているのが鍵曲(かいまがり)。簡単には城とかに辿り着けないようにしてあったそうだ。
現在はちょっと日陰になって、落ち着いた雰囲気の路地になっている。舗装してないのは、その雰囲気を壊さないためみたい。粋な計らいだ。

                   
                           
              武家屋敷の門
見張り窓みたいのが付いてる
   
     
 
食い意地を張るわけではないが、この色が凄く印象に残る町だった
               
  萩の街並みに欠かせないのが夏みかんの木。時期的にちょうど夏みかんが生っていて、白壁の街並みにちょうどいいアクセントになっていた。
ホントどの家の敷地にも夏みかんの木があって、塀越しに実ったみかんの黄色が目を楽しませる。時折玄関先に無人販売してる家もあって、とある家で1袋買った。
あとでじっくり味わおう。
   
 

萩城跡

ちょっと離れて萩城の跡。石垣が残るだけ。跡だけ見てもな。やっぱ今も生きている街を見た方が面白いよ。

萩は街並み観光がメインなので、レンタサイクルが多い。でも歩いた方がその良さがよくわかります。

   
萩の街並みはかなり印象に残った。個人的には金沢の街並みに親しみがある(故郷ってこともあって)んだが、あれとはまた違う魅力が萩にはあった。
外見的には、建て詰まっていないために空が青く抜ける風景になるのが珍しい。ちょっとこういう街並みは今までに見たことなかったね。街全体が夏みかんに囲まれているような、一貫した雰囲気で統一されているのも個性があって印象的。今回の旅でもっとも心に残った風景のひとつになりました。
   
・・・・・・
     
   

萩から国道191号を長門に向かって走る。
しばらくは海岸から離れて山中を行く。長門を過ぎたところで一旦国道を離れ、県道66号へ。島が陸続きになったような地形の油谷町の津黄地区に向かう。

←津黄地区の町並み
海にそのまま流れ落ちるような地形。どんなところにも人は住んでいるもんだ。

                                 
 
龍宮の潮吹
 
                                 
 

ナビをしていた相方(ナビされると却って迷う)が地図で見つけて行きたいと言うので来てみた。

潮吹きの名前通り、岩の隙間から海水が吹き上がるとのことで、どんなもんかしばし眺める。風は強いものの天気は快晴。日本海はいたって穏やか。ってわけでまったく潮吹かず。そりゃ常に吹き上がってるわけないか。もっとざっぱーんってくる時に見られるもんなんでしょ。

   
 

この潮吹きは、岩の隙間の空洞に入った空気が押し寄せる海水に圧縮されて一気に放出されることで起きるというカラクリだそうな。上がる時は30m近くもいくそうで、そんなの間近で見たら凄いっていうよりコワいだろうな。

↑ この穴からぴゅーっとでるんだろうか
   
  伏見稲荷か? →
   
               
         

↑ 県道沿いに見つけた段々畑 ↑

この県道に入ってからというもの、ガードレールが全部黄色で気になる。「黄」という字が付く地区が多かったのでそのせいかと納得していた(んなアホな)が、山口県全域が黄色いガードレールに覆われていた。運転してるとどうにも気になって仕方なかったが、帰って写真見てると白いのより目立たなくて(緑に同化してて)案外良かった。そんな理由で黄色なんじゃないだろうけどさ。

   
川尻岬

本州最北西端の岬。最果ての雰囲気たっぷり。けど「最北西端」てよく考えたら微妙じゃない?本州にはここより西の部分も北の部分もあるわけだしね。

神威岬ちっくな構成で、海に突き出た細長い岬を先端まで歩いていくことができる。

灯台はこんな程度(しょぼい・・)
灯台はこれで5本目をゲット。別に灯台ハンティングしてるつもりはないんだが、どうしても先っぽがあると行ってみたくなるもんで。。このサイトで紹介してきた灯台集めたら何本くらいになるんかな(数える気にならん)
                   
岬を出たら、国道191号に戻って豊北町方面へ。

 

角島大橋
豊北町の離島、角島に架かる橋。めちゃくちゃ優美な曲線を描く長大な海上橋だ。さらに海が物凄くキレイでほとんど南国の海。高い透明度でもろ水色。これが日本海とは信じ難い。      
   
この橋、完成したのはつい3年ほど前で、それまで角島は完全に離島だった。まだ開通間もないからか、橋は大混雑。特に九州ナンバーのクルマが多い。九州(福岡)からも気軽に来れる距離の観光地として定着しつつあるみたい。
 

角島灯台

じゃその角島には何があるの?って何にもないんだけどね。
鄙びた雰囲気が楽しめるのがいい。と思ってたけど、角島灯台まで島を縦断する新しい幹線道路は大混雑。駐車場も大混雑。こんな何にもない島にみんな何しにくるんだろうって思うほど人で溢れかえっていた。ちょっと騒々し過ぎるよなぁ。

 
     
角島が山口県の北西限なので、ここからは国道191号を南へ向かうことになる。下関まであと数十km。徐々に交通量も増え、町も賑やかさを増していく。
今回の山陰ツーリング、舞鶴から海沿いに山陰を横断するルートをとってきたので、下関に到着して一応目的は達成ということになる。せっかくのゴール地点なので、ちょっとは観光しようかなという気になり地図をぱらぱらめくってみる。
そう言えばまだお土産を買ってなかったので、そういうのを買えるような物産館っぽい場所を探した。
     
   
下関
   
         
   

海峡メッセ

結局目にとまったのがこれ。物産館と思って来たら全然違った。海峡ゆめタワーなる謎の球体を冠するタワーを併設したメタリックな建物だった。
せっかくなので、クルマを駐車場に放り込んでタワーに上ってみた。

 
 
かなり見応えある眺め。
関門海峡には武蔵と小次郎の巌流島が浮かぶ。
関門橋の先は九州、門司港。もう目と鼻の先。海で隔たれてるのが不思議なくらい。
                 
      展望台には、昨年流行った宮本武蔵と幕末のヒーロー高杉晋作に関する資料が展示されてて結構見入ってしまった。高杉晋作って27才で世を去ってるんだね。自分より若いトシで現代まで語り継がれる功績を残してるわけだ。。  
                 
       

唐戸市場

海峡メッセで唐戸市場の位置がわかった(すぐ近くだったんだけど)ので来てみた。ってももう夕方なので、ほとんど店仕舞い済み。閉店間際の店で寿司をつまむ。ま、特筆すべきほどのものではなかった。が、フグ食べて一応は満足。

 
                       
                         
   

この後、隣のゆめタウンで本来の目的だった土産を購入し、再び走り出した。
今日まだ温泉に入ってないので、下関周辺でチェックしておいた湯谷温泉に向かおう。

国道9号を海峡に沿って走ると、関門橋をくぐる。右手に壇ノ浦、左手に火の山だ。

   
                         
湯谷温泉 湯谷荘
       
県道33号を美祢に向かって数km行くと、下関の奥座敷、湯谷温泉に着く。ここがなかなか隠れた穴場らしい。
でも実際はよくある日帰り入浴の施設のちょっと小さい版ていう程度で、そんな特筆するほど素晴らしい!って程ではなかった。どうもこの湯谷荘はリニューアルしたっぽくって、以前の鄙びた感じが穴場的な評価を受けてたんじゃないかな。
 
       
           
  温泉から上がった頃にはもういい時間になっていたので、そろそろどこかで落ち着かなければならなかったが、この辺に適当なキャンプ場が見つからなかったので、今晩はもう素直に車中泊することに決めた。
美祢市内のファミレスで晩メシ食って、道の駅「おふく」で車中泊を決め込む。カエルの大合唱をBGMに眠りに落ちていく。。。
 
           

 

3日目 / 5日目