最終日4日目はまだ真っ暗な時間に起床。朝食を簡単に済まして静かに撤収。
これまででもっとも冷え込んだ朝で、EK9のルーフとガラスには夜露が凍り付いていた。海沿いとは違って山間はやはり冷え込み方が違う。

早起きの理由は、まず湯の峰温泉のとある共同湯に入るため。もうひとつは、朝早い空いている時間のうちに熊野本宮に初詣をするため。
まずは311号の旧道沿いにある湯の峰温泉に向かいます。

                                         
 

湯の峰温泉

もうもうと立ちこめる湯気。豊富な湯が川に流れ出し、温泉街の情緒を演出する。この川に沿って、雰囲気のいい木造の宿が軒を並べる湯の峰温泉街。温泉街情緒では、関西地方随一ではないでしょうか?

       
                       
                   
                                     
    上の写真の手前に見える囲いは、源泉が湧出する湯桶。
ここでタマゴや野菜を茹でたりするわけです。私も近くの売店でタマゴを買って温めておいたんですが、、、なんと盗まれてしまいました。。(まったく、心の貧しい人がいるもんだ)
 
                                         
 

つぼ湯

湯の峰温泉には通常の共同浴場の他に、「つぼ湯」という貸し切り制の共同湯があります。
共同湯の番頭さんに入浴料(260円)を払うと番号札をくれます。この番号順に入るという仕組み。人気がありそうなので早朝に来たにもかかわらず2組待ち。1組30分までなので、結局入るまで1時間待つハメに。。

   
                             
    小屋の中に入ると、まさにそこには「つぼ湯」。
天然の岩風呂で、奥の方から源泉がふつふつと涌いてきている。
小栗判官の湯治伝説が残る歴史ある温泉で、その泉質も味わい深い。濃厚な硫黄泉は、時々色が変化する神秘の湯だそうだ。
つぼ湯は、その歴史、泉質、情緒、どれをとっても素晴らしい温泉だった。1時間待って入った甲斐があったというもの。
川湯や渡瀬の広〜い露天風呂より、湯の峰のしっとり小さなつぼ湯の方が私の好みですな。
     
       

熊野本宮大社

言わずと知れた全国の熊野信仰の総本山。山中にひっそり、というわけではなく、本宮町の町中にずでんという形で鎮座しています(というか大社の周りに街ができたんだろうが)

 
                                 
               

この隣にもうひとつ大きな社がある
無料で振る舞われていた温泉粥と梅干(さすが紀州)がとても美味しかった

   
今年の初詣のつもりで来ました。総本山なので、それはもうすごい混雑ぶりなのかなと思ってましたが、ご覧の通り。
朝早いからか、まだ閑散としてて、クルマも真っ正面の小さな無料駐車場に停められたくらい。
→熊野本宮のマーク(?)、八咫烏(ヤタガラス)。
どっかで見たことあるなーって思ったら、これサッカー日本代表が付けてるマークじゃない?
正確には、日本サッカー協会のマークになってるらしい。お守りもこのヤタガラスがモチーフにされている(代表と同じ、鮮やかな青地のお守りを購入した)
                                 
   

熊野本宮からは国道168号を東へ。
深い谷の熊野川に沿って走る。

途中国道169号へ折れ、瀞峡方面に向かう。さらに311号との分岐を向かえるが、どっちに行こうか迷ったあげく、311を選択。この先に、三重県の千枚田があるのだ。

                                 

丸山千枚田

三重県紀和町の(相当)山深くにひっそりとある棚田。写真には収まり切ってないが、相当規模は大きく見応えがある。
ただ、やっぱり稲を育てる時期ではないので、景色としてはイマイチなのは仕方ない。夏、ないしは稲刈り直前の秋がいいだろうな。
ちなみに、ここにたどり着く道はすんげえわかりづらい。方向感覚に自信のない人はやめといた方がいいかも。

                                 
千枚田へアプローチする311号もこの通りの山道。途中すれ違いの困難な部分もある(木陰の路面にはコケが生えてたりする)
一応、こういう道は苦にならない方なので余裕だが、走り慣れてない人だとちょっと苦しいかも(実際そういう人の後ろについて走ることになったので冷や汗かいた)。でもこれはまだ序の口。この後もっとすごい山道が待ち受けている♪(楽しそうだな)
 
                                 
 
                                 
  311の途中で絶景ポイントを発見!
なんと180°ターンする川。こんな珍しい景色に会えてしばし感動。
軽トラで乗り付けてきたおじさんが、脚立と三脚をセットしている。なんでも、この時期川を上るプロペラ船がこの時間に通るとのこと。それを狙いにきたそうだ。しばし眺めて雄大な景色を堪能する。
                                 
   

国道169号(瀞峡)

瀞峡(どろきょう)沿いの169号は、かなりの狭路。しかも距離が長いので、集中力と忍耐力が要求されるハードコース。こんな道が延々続くので、瀞峡という景勝地があるにもかかわらず、道行くクルマは皆無。完全な単独行♪

 

一部改良工事が進み、道幅の広い2車線のトンネルが連続する区間も完成していた。いつかは焼き鳥みたいに山々を串刺しにする味気ないバイパスにとって代わってしまうのかな。

右の写真はとある橋の上からとったもの(影が写っている)
谷の深さは目も眩むほど。海から何kmも離れてないのに、紀伊半島の山深さは想像以上だ。

さすがに長いなーと感じた瀞峡区間だったが、北山村の中心部までは1時間足らずのドライブだった。
北山川に沿う北山村の市街地(ていうか集落だな)を抜けて、さらに山の中へ入っていく。

ところでこの北山村、よく地図を見てみると、実は「飛び地」になっているのである。どういうことかというと、北山村は和歌山県に属するが、四方を三重県と奈良県に囲まれている。これはちょっと珍しい(自治体まるごと飛び地っていう他に例はない、と思う)
何で飛び地になってるのか。ちょっとウンチクを垂れておくと、 昔、林業で栄えた現在の北山村は、切り取った材木を船で運び出す港があった新宮と密接な関係があった。 県境を決定する際、新宮市が和歌山県に属することになったので、北山村も和歌山県に属することになったそうである。
地図マニアにはちょっとオモシロイ話。

 
七色ダムの上を通ってさらに進むと、国道309号にぶつかる。これを下北山村方面へ。
この道は交通量がそれなりにあって、久しぶりに前走車についていく形になった。
しかしそれも国道425号にスイッチするまで。ここからは、マジで孤独の単独行になる。。
             
 

国道425号(下北山〜十津川)

紀伊半島には国道とは名ばかりの「酷道」が多いが、その筆頭にあげられるのはやはりここ国道425号だろう。地図で見ても、これ林道じゃないの?って思っちゃうような山道。でもちゃんと全線舗装はされています。

 
                                 
      路面は所々荒れていて、交通量の少なさがうかがえる。見通しも悪く、スピードを出せるような道ではないので気にならないが、2輪はスリップに気を付けた方がいいかも。
EK9くらいの車幅なら苦労はしないだろうが、3ナンバーのクルマはすれ違いが難しいだろう。まぁそんなクルマで入り込むような道ではないのは確かである。
                   
           
                         
  当然?トンネルに電気なんてついてない。すれ違いも無理。でも対向車が来たらわかるので、そんな神経質になることはないが。  
                                 
     

途中から道はどんどん高度を上げていく。完全なヒルクライムステージに突入。山肌を縫うように狭路のタイトコーナーが続く。
まんまラリーのスペシャルステージをアタックしている気分だ。

すっげー楽しい♪

                                 
  峠の最高点に達すると、たった今登ってきたコースを遥か下に望むことができる。
この直後、長いトンネルを抜けると十津川村。とは言っても、人の気配のする所まではまだまだ同じ感じの道を走らなければならない。
 
                                 
  結局、十津川村の中心に抜けるまでは1時間程の道のりだった。
その間出会った通行者は、対抗してきたバイク(当然ツーリスト)が3台のみ(それと峠で車中で昼寝してた人1人。なんでまたこんなとこで??)。時期というのもあるが、これだけ交通量が極端に少ないと、逆に何かあったときに助けが呼べないのは不安なところ。十分な安全マージンをとった走行と、万全のメンテナンスを施してから望みたい。そうすれば、自分のペースの走りを楽しめることこの上なし!今度は十津川〜龍神区間も走ってみたいな。
(紹介しといて言うのもなんですが、今回走った「酷道」の中でも最もハードなエキスパートクラスのコースなので、こういう道が苦手な人は遠慮してください)
                                 
  十津川で国道168号線を右に折れると、すぐに十津川村の中心部。道の駅で、ここまでの長かった山道ドライブの疲れを癒します。
食堂で地場のそば粉を使った十割そばを頂こうと思ったんですが、すでに売り切れ。八割そばをもりで頂きました。
                                 
                                 

湯泉地温泉「滝の湯」

十津川村の中心部に涌く湯泉地温泉には、共同湯が2つありますが、今日は「滝の湯」を選択。
元々旅館だった建物を共同湯にしたとあって、休憩所などがつく整備された入浴施設ですが、内湯と露天ともにこぢんまりとしたもの。今回は露天のみ楽しみましたが、どこまでも透き通った清流を眺めながらの入浴に満足。お湯は掛け流しで、若干青みがかっていていました。

 
                                 
   

国道168号(十津川〜西吉野)

日本一面積の広い村、十津川村を南北に縦断する168号はさすがに交通量が多い。2車線の整備された区間が増え始めているようだが、1.5車線程度の山道もかなり残っている。ま、これまでの山道から比べれば楽勝だけど。

 
                                 

谷瀬の吊り橋

その168号の途中で、谷瀬の吊り橋に寄る。ツーリングマップルによると、長さ297m、高さ54mの鋼製の吊り橋だそうだ。確かに高くて恐怖症の人にはタマランでしょうが、下がすっかり整備された河川公園(キャンプ場)なので、なんかこう「わざわざ作ったもの」という感じがしてどうなの?というのはある。 高さはなくとも、四国のかずら橋の方が雰囲気あって好きだな。

     

                                 
     

がっしりとしたワイヤーで吊られていて、言うほど怖いとは思わない。なぜか歩行面だけ板張りなんですが。。

ちなみにここ、かずら橋とは違って普通の生活道路(?)で、通学路にもなってたりする。だから通行料はなし(駐車料金はしっかり取られる)。しっかりしたつくりなのも当然と言えば当然か。

                                   
国道168号を西吉野村まで来た頃には、かなり薄暗くなっていた。そこから県道20号線で下市町に抜ける。柿畑の中を抜ける、なかなか面白い景色の道。
下市から国道169号、県道28号、国道370号と乗り継ぎ、榛原の町の中へ。ここで少し道を間違えたりしながら(榛原の道わかりにくいよ)国道369号に出て北上し、針ICから名阪国道へ。ここまで来ればもう庭みたいなもの。とは言いつつも、混雑時の名阪の危険性はよく承知しているので、スローペースでのんびり亀山ICまで流す。
                                   

亀山から国道1号で鈴鹿はすぐ。
鈴鹿サーキット前のセルフスタンドで最後の給油を済ませた後、市内の実家へと辿り着きました。

この日は実家に泊めてもらい、次の日は親友のしぎさん夫妻と時間を過ごしたりなんかして、実際東京に帰ったのは2日後。正月休み最後の夜だったこともあって、東名の渋滞に遭遇することもなく、気持ち良く旅を締めくくることができました。

 
 

いかがでしたか?今回の潮岬への旅。真冬にも関わらず、かなり満足できる旅ができたと思います。
潮岬で年を越し、初日の出(実際に見たのは生まれて初めて)を拝むというイベントがあったので、かなり充実度が高い内容でした。

しかし、紀伊半島というくくりで見ると、実際はまだその半分くらいしか楽しんでいないのが実状。時間の関係で行けなかった所がたくさんあります。
白浜から北側の海岸線、龍神温泉に十津川温泉、高野山にそこへと続く高野龍神スカイライン、大台ヶ原(これは季節の関係上仕方ないが)など、まだまだ行きたい所がいっぱい。(だから今回のツーリングは「紀伊半島」ではなく、あえて「潮岬」にした)
これだけすべて消化するには、まだまだ時間がかかりそうです。

 

今年のツーリングは幸先の良いスタート。本来ならシーズンオフだけど、行ける時間が限られつつあるので、行ける時に行っておくスタイルにならざるを得なくなってます。
それでも極力遠くへ出かけて、このサイト上で旅の魅力をお伝えできたらと思ってます。

それでは今回はこのへんで。。。

 
3日目 / Touring Top