中国山地横断Touring


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5日目

翌朝。難民キャンプみたいな密度のサイトの中で、手早くテントをたたんで出発。
周りから見ればたぶん、夕方知らないうちにテントが立っていて、起きた頃にはもう無くなっているという、幻のようなテントだったことだろう。 オートキャンプしかしたことない家族キャンパーには理解不能だろうなぁきっと。

 

国道191号を西へと走り、須佐で国道315号にスイッチして内陸方面へと向かう。
R315は海際から内陸に向かって真南に進んでいくルートだが、海抜ゼロ付近から一気に高度を上げていく、豪快な登坂路だった。

その登坂路、いったいどこまで続くのかと思うほど、延々と登り続ける。それだけでなく、ほとんどの区間で登坂車線が設けられ、幅広のコースでかつ高速コーナーの連続なのだ。これぞヒルクライム。豪快極まりないコースに舌鼓を打つ。
FRのトラクションを生かせば、ひたすらに登りのコースも痛快である。

 

道の駅を通過して、県道13号に入る。

朝のこの時間は、距離を稼いだりワインディングを楽しんだりするのには最適な時間帯。
しかし本日は、2日目と同様に、朝の静かな時間帯を利用した町並み散策を楽しむつもりだった。

         

津和野

山陰の小京都として名高い津和野。古い町並みと森鴎外が有名であることの所以か。
自分は今回訪れるまで津和野は山口県だと思っていたが、島根県なんだなここは。(それくらい中国地方の山の中はあやふやだったってこと)

         
県道から街中のメインストリートをそろそろと走りながら、エスを停められる駐車場を探す。
観光地の常で、駐車場の客引きが路上に出ていたが、まだ朝早いこともあってどこもガラガラ。公共の駐車場がどこかにあるだろうと津和野駅まで来たら、駅前で見つけた。そこもガラガラだったので、デコイチの真ん前に停めてみた。
                             
ここからはエスを離れて歩きの散策。の前に、駅前の喫茶店でモーニング。
ごくごく普通のモーニングセットだったが、その素朴さが地方の小都市に合ってる感じがして良かった。
 
           
 
津和野になにがあるのか、これまたほとんど知らないので、街角にある案内板を頼りに歩いていく。
唯一、津和野でぜひ訪れたいと考えていた葛飾北斎美術館は、開館時間がずっと先だったので後回しにして、先に町並みを楽しんでみることにした。
         
メインの古い町並みは1本の観光ストリート(殿町通り)に集中しているようだった。とてもわかりやすい。
まだ朝早かったが、観光客の姿もちらほら見られ、お店はどこもだいたい開いていた。
                             
町並みを形成している商店には、造り酒屋が多かった。
特に有名だとされる、道端のコイが泳ぐ水路は、古い塀が残る一区間にあるだけで、言われるほどのインパクトは感じない。
                             
 

教会や古いお役所の建物など、見て面白い建物は結構あるが、中に入って鑑賞できる建物はほとんどなかった。

純粋に町並みの雰囲気を楽しむのが、津和野の観光なのだろうか。

あっという間に殿町通りを歩き切ってしまったので、津和野川に沿って適当に歩を進めていくと、古い神社の境内の中に吸い込まれていった。
         
             
新緑に包まれた津和野川と、その脇に佇む神社が生み出す情景には趣があった。すぐ脇を鉄橋が渡っているのもまた良い。
時間が合えば、SLやまぐち号も通るはずである。絵に描いたような光景が展開することだろう。
         
   
殿町通りに戻り、同じ通りをもう一度ゆっくり散策する。
今ひとつこれといった見所を掴めないのだが、津和野ってこんなもの?
         
       
個人的な印象に過ぎないが、高梁や吹屋の方が個性的で印象深かった。まぁよく残っているとは思うけど、同じような町並みなら全国にも結構あるような。。
今回は訪れなかった津和野城の方や、鴎外関連のスポットに行けばまた少し違ったのだろうか。  
     
 
殿町通りを相当ゆっくり往復しても、北斎美術館の開館にはまだ30分あまりあったので、津和野川の堤防の上でしばらく時間つぶしをする。

ツーリング中は、なかなかこうやって時間を浪費することはないが、これはこれでぼんやりできて気持ちがいい。

開館と同時に訪れた葛飾北斎美術館。北斎の絵画が津和野で発見されたことに端を発して設けられた美術館だ。
ここに収蔵され展示されている「月見る虎図」という北斎晩年の肉筆画を鑑賞するのが、今回津和野に来た本当の目的だった。
その絵は展示室に入ってすぐの1枚目として飾られていたが、まさか北斎がこんな絵を!?と思わずにはいられない画風と、その何とも言えないほんわかした世界観に魅了されるのだ。

北斎と言えば版画が有名で、富嶽三十六景はその最たる作品だが、その他にも「北斎漫画」と呼ばれる絵の手本集などの肉筆画も特筆に値する。その絵量は膨大で、しかもひとつの世界観に拘らず、変幻自在に様々な世界を見せつけるのだ。

世界的に見ても、ここまで万能な画家はいないのではないだろうか。
北斎という一人の芸術家に的を絞った美術館で、彼が世界中の芸術に与えた影響を改めて思い知らされた。

 

津和野は町並みは今ひとつの印象だったが、北斎美術館を訪れたことで満足感を得ることができた。
駅前の公共駐車場に戻ってみると、順番待ちができるほど混雑していた。人気のある観光地は、朝早く訪れるに限る。

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津和野を出て、元来た県道13号を戻る。

津和野からどうしようかなと考えたのだが、ここまで来たんだし、ついでに萩にも寄ってみるかという気になったのだ。
萩は前回散策しているので、当初は行くつもりは無かったのだが、6年前は松下村塾とか見ていない所もあったので、今回はその辺だけでも見ていくか、ということになった。

県道13号、11号、10号と繋いでいく田園ルートは、津和野~萩間の最短路。ルートとしても趣があって、素朴な風景が展開する。
萩まではかなりの距離があり、市街に入る頃にはすっかり昼になっていた。

 

松陰神社・松下村塾

県道10号から萩市街に入ると、上手い具合に松陰神社のすぐ脇に出てくる形になった。

川の畔に小さな公共駐車場があったので、何も考えないで突っ込んだら一杯で、後ろから来たクルマが詰まって出るに出れなくなってしまった。
ジャマにならないスペースに縦列駐車で数台停まっていたので、それにならって駐車。たまたま見つけて入った駐車場だったが、これがナイスな判断だった。

川を渡って松陰神社に来てみると、とんでもない人の多さに驚いた。出雲大社以上。神社の前の専用駐車場に入るクルマは順番待ち。団体も個人も入り乱れる大観光地だった。

全然意識していなかったが、幕末ブームまっただ中なんだった。。
萩という決して交通の便がいいとは言えない地方都市に、これだけの人出があるというのが凄い。完全に来る時期、時間を間違えた。(「人気のある観光地は朝早く訪れるに限る」なんて言っときながら)

 

それでもせっかく来たのだから、人の波をかき分けて見に行ってみると、神社の中にある村塾と周辺の建物には多くの人が群がっていて、全然幕末の空気に触れるどころの落ち着きは無かった。松陰神社も然り。

てなわけで、さらさらっと写真を撮りながら見ることくらいしかできなかった。
こういう場所は、ゆっくり往時に思いを馳せて見るのが好きなのだが。この時期に来てしまったという選択のミスである。

6年前は白壁の町並みを楽しんだのだが、特にこんな酷い混雑はしていなかったはずである。同じ時期なのに雲泥の差。不思議なものだ。

そそくさと松陰神社を出て公共の無料駐車場に戻ると、そこも既に長蛇の列が形成されていた。たまたま並んでいない時に、たまたま空いている所に停めることができただけらしい。その点だけはラッキーだった。

 
                           

しかし、萩の街中はどうもこんな混雑が続いているようで、他にどこかに立ち寄ろうという気はすっかり失せてしまった。ほんの数十分の滞在で、萩から退散。
R styleのツーリングでは、混雑している所は極力避けるのが基本方針である。


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国道262号、県道32号萩往還で山口方面に南下する形で、萩から退くことにする。

萩往還の道の駅で昼飯、と思ったが、この萩往還の反対車線が大渋滞。どこまでもどこまでも続いて、道の駅からもクルマが溢れていた。

 
そんな道の駅にはもちろん寄らず、そのままトンネルを抜けたが、それでも反対車線の渋滞はまだまだ続いていて、結局秋吉台への分岐までその渋滞は続いていた。相当ノロノロと動きの鈍い渋滞だった。
萩市街に入ったとしても、今度は駐車場待ちが待っているのだ。他人事とはいえ、お気の毒である。
                           
R262を走り続ける。萩往還と呼ばれるこのルートは、山口と萩の両都を結ぶ最短路だけあって、交通量は結構多かった。
今度こそ道の駅に寄ろうと「あさひ」の様子を走りながら伺ったが、ここも混雑してそうな雰囲気だったのでパス。淡々と走り続けることにした。
                           
 

そのうち峠道のような登坂路が続くようになり、最高所の看板を過ぎると、国道9号に合流する。

この合流交差点、両線とも交通量が多いにも関わらず信号が無い。R9のトンネル出口直後に位置するからだと思われる。

そのR9を山口方面へ。急な坂道をどんどん下っていく。高度を落とし切り、いよいよ山口市街という手前で、国道376号に左折した。

今回のツーリングは、中国山地を横断して津和野、あるいは萩の辺りまで到達して舞い戻ってくるというプランをぼんやりと描いていた。一応その2都市に到達し、更には山口市近辺まで来たので、ここから復路に入ることに決めた。

十分時間があるわけではなかったけれど、高速に乗らず、できるだけ山道を楽しみながら戻っていこうと考えていた。今回は中国山地を走ることがテーマなのだから。

 

R376に入ってすぐの道の駅「仁保の郷」で、ようやく道の駅に立ち寄ることができた。
道の駅の中にあったパン屋でパンを買って、軽い昼食を摂る。

R376は向かう方角も定まらないまま、何となく東の方へと向かっているような道だった。今どの町に向かっているのかも定かではない。

中国道と並走する区間を過ぎ、堤防の上を辿る区間を過ぎると、中国道徳地ICがあった。このIC名には覚えがあった。
   
 
その後もローカルな区間が続き、国道489号との分岐を過ぎると山深くなってきたが、3桁国道にありがちな狭路になることはなかった。
 
 
いつの間にかダムサイトを走る道となり、急なコーナーが連続するワインディングへと変化。島地川ダムの上を通過して下っていくと、国道315号に出た。R315は、よくよく考えたら今朝、津和野に向かう際に走った国道である。ぐるっと大回りして戻ってきていることを実感する。
 

ここから国道434号に入るつもりだったが、新しい道とかができていて、一瞬ルートを失ってしまった。
知らない土地で走っていると、道がわからないのは当然と言えば当然だが、地図と経験があればまず迷うことはない。

ただ、今回のように道が入り乱れてるようなポイントでは、いつの間にか違う道を走っていたりすることもたまにある。ツーリングマップルではディテールまでは判別できないので、町中に入ると結構難しい場合があったりするのだ。

 

それでも大抵は勘(笑)でクリアできる。方角の見当がつけば、あとは道路や交差点の雰囲気で見当がつく。
今回もそんな感じでルートを取り戻し、予定通りR434に入ることができた。

さすが400番台国道で、マイナーなことこの上なく、最初にダムサイトを走ったくらいで、その後の印象がほとんどない(笑

随分距離を走った後に、道の駅「ピュアラインにしき」で休憩を入れたのだが、そこに至るまでの印象がとにかく薄かった。

かなり山中を走っているので、道の駅も閑散としているかと思ったら、ちっとも空いてなんかなく、混雑しまくっていた。それでも水分を摂るために休憩。

この日はかなり暑く、一日中オープンで走るほぼ限界に近いところまで、気温が上昇していた。

GWのツーリングは毎年暑いイメージがある。今年は特にそうだったが、前の週まで寒くて長袖重ね着だったのに、GW中は半袖でジリジリ日焼けしながら走るというのが常である。
数日前は、ボディが凍るほどの寒さの中、キャンプしてたのになぁ(^ ^;;

 
道の駅からも、更にR434を辿っていく。
陽はかなり傾きつつあったが、道は山中の色合いを再び濃くしていく。
   
それまで正常?を保っていた400番台国道も、遂に中央線のない狭路に変化した。それなりに交通量はあるのだが。
途中で寂地峡という渓谷の表示を見たので立ち寄ってみたが、駐車場から距離がありそうだったので、歩かずに立ち去ることにした。
まだちょっとキャンプ場まで距離があったので、時間調整したわけだ。
                 
寂地峡からはタイトなコーナーが続く峠道となり、中国道と絡みつつ登り切ると広島県に入った。と同時に、視界が一気に開けた。
 
 

それまでのタイトコースがウソのような、おおらかに視界が広がる道を走っていると、すぐに国道186号に突き当たった。これを左に折れる。

R186の青看板には戸河内の地名があった。昨日、戸河内に至る際に走った国道の先を逆向きに走っていることになる。ようやくここまで戻ったってことか。

   

中国道吉和ICの入口手前で、国道488号との分岐に差し掛かった。
今晩の寝床と目論んでいるのは、このR488を入っていった先にある。ここから先には店らしきものはありそうにない気配だったので、交差点付近で見つけた小さなスーパーで買い出しをする。

R488は、その先にある大規模公園へのアプローチのためとしては過剰と思えるほどしっかりとした道だった。
その大規模公園、もみのき森林公園の中にキャンプ場があるのだった。

森林公園というだけあってバカでかい公園で、フリーサイトまでリアカーに荷物を載せて引っ張っていくスタイルだった。

オートキャンプ場は遠くは慣れた別の所にあったので、どれだけ混んでいたのかはわからなかったが、少なくともフリーサイトには不安になってしまうくらい全然人の気配がなかった。
目の見える範囲に他人がいないというキャンプは、今回のツーリングでは初めてだ。

         
 

森林公園内には宿泊施設もあり、そこに風呂もあったので入浴。

サイトに戻り、夕食には飯を炊いてレトルトのカレーを食べ、明日の行程を思い描きながら、シュラフにくるまって寝た。

     
4日目 / 6日目
     
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