四国2009 〜四国西部・山河海街を走り尽くす旅
 
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4日目 fourth day

昨晩はフライシートに叩き付ける雨音で何度か目を覚ました。
何故か朝には止んでいるだろうという甘い期待を胸に眠っていたが、起きてみたら立派に雨降りっぽかった(- -;
テントをたたんで出発した直後に極端に雨脚が強くなり、国道56号を行く視界は著しく遮られる。

途中、県道37号に入る。

宇和海にはいくつもの半島が突き出し、海岸線は入り組んでいる。いわゆるリアス式海岸の趣であり、その海岸線をなぞるようにして道路が張り付いている。
今日の前半は、半島周遊道を巡ることをメインテーマにすることにした。生憎の天気ではあるけれど。

リゾート地のような南レク街路を過ぎれば、港と漁村の合間を抜ける道路が途切れることなく続く。
雨降る休日の漁村は、とても悲しげな風景に見えてしまう。
               
何にも考えずに海岸線を走っていたら、→の写真の先で行き止まりになってしまって焦った(汗
どうやら手前の集落で、県道は右折して内陸に向かっていたらしい。そんな表示なんて無いのが、こういう場所では常識。
 
               
             
 

雨が小振りになった漁港でしばしの停車。
南宇和の小さな半島にも、その他の例に漏れず、途切れることなく集落が続く。

県道37号で半島を周遊したらR56に戻り、そのまま宇和島市街を通過。R56の交通量は多くなりつつあったが、吉田で国道378号に乗り換えると、また一人旅に逆戻りになった。

             
宇和島と八幡浜の海岸線を行く国道378号は、ツーリングマップルで見つけた瞬間、コレは絶対走らなければ!!って思ってしまうような、果てしなく続くシーサイドワインディングの様相を呈している。
長年楽しみにしていたルートだったが、天候は回復せず、幌は閉じたままの走行に終始せざるを得なかった。
低調なテンションで淡々と走り続ける。
楽しみにしていた道なのに、天気がこんな感じだと、ちっとも盛り上がってこないなぁ。
大崎鼻へと向かう宮野浦辺りでは、かなりガツンとくる断崖路があったりするけど、それでも盛り上がるまでには至らず。。
     

大崎鼻は国道からかなり入り込んだ先にあったが、低調なテンションを少しでも回復するため、入り込めるところまで行くことにする。

岬の突端まで道は続いていて、その岬はちょっとした公園のように整備されていた。

   
珍しい形をした小さな灯台の先には、宇和海の壮大な眺め。
天候のおかげで、海の青さに感動するには至らなかったけど。
 
                                 
   

この後も延々R378の海岸狭路を走り続けたけど、雨ってこともあって立ち止まることもなく、写真を撮ることもなく、ひたすらに前進。
テンションはやはり低いままなのであった。。(- -;

                                 

大崎鼻前後は珍しく、集落も民家も無い区間があったが、それ以外はやっぱり生活臭プンプンの四国のワインディング。

その連続する集落の中で、一際大きな町に進入した。
・・・と言っても、ちょっとAコープがあったり銀行の支店があったりする程度の差だが。。

三瓶という町で、その港に「海の駅」という名の物産館っぽい施設があったので立ち寄ってみた。

 
町民主催のお祭り屋台の集まりみたいな施設だったが、客の入りは大繁盛。まんぼうプールには小さな子供で人だかりができるほど。
 
八幡浜と言えば、まずはじゃこ天である。揚げ立てで膨らんだ状態のをハフハフ食べるのが格別なのだ(^ o^)
四国に来たら、必ず味わいたいご当地B級グルメのひとつ。

物産店にはその他にも、地元で採れた果物や魚介類が数多く並んでいた。

その中から、愛媛に来たらまずは柑橘類、ということで、「ニューサマーオレンジ」なる柑橘の袋詰め。
そして、八幡浜名物「八幡浜ちゃんぽん」の麺とスープのセット購入。
いずれも今晩の食事を想定して。

<<< カンケー無いけど、物産店の目の前にあったタクシー屋。建物とのギャップも呼び名も、なんかイイ。

   

三瓶がR378宇和島〜八幡浜間のちょうど中間地点みたいなような位置付けなので、ここから更にまた延々とシーサイド漁村ロードをウネウネなぞっていくことになる。

幸い(!?)天気が良くないのでテンポ良く進んでいくことができたが、それも景色がイマイチだから、ってことで、あまり喜べたものではない。
ただ雨は小康状態が続いているので、三瓶からは幌を明け放って走っていた。

     

R378が内陸に入っていくと八幡浜市街になる。
リアス式海岸シーサイド探索ルートは、これでおしまい。あっさりしたレポート内容だけど、時間は結構かかっているのだ。(既に昼前)

八幡浜は、国道197号と交わる町の中心部の交差点を起点に渋滞していた。
そこを抜けて、今度はR197を内陸方面へと向かっていく。

お次はガラリと趣向を変えて・・・

大洲

伊予の小京都と称されるほどに、昔ながらの街並みのノスタルジックな趣が残る町、大洲。
松山と宇和島の中間辺りにありながら内陸であることもあって、今まで訪れたことがなかった。

今回その大洲を初めて訪問するも、まったく予備知識無しなので、気侭に散策してみることにした。

   
  どこにクルマを停めていいかもわからなかったので、とりあえず市街地のただ中にある「まちの駅」なる施設に来てみたが、満車で停められず。近くの市役所の立体駐車場に誘導されて駐車することになった。
ここからは徒歩。2時間程度を目標に、歩ける範囲を散策開始。
   
  まず訪れた「おおず赤煉瓦館」。西洋の香り漂うレンガ造の建物は、元々明治時代に建てられた銀行の建物。今は物産館みたいになっている。

町の中を流れる肱川。対岸には小さなお城が。。。あれが大洲城か。ホントに小さいな(^ ^;
河原にはたくさんの屋形船が並んでいる。大洲の肱川では鵜飼が有名らしいので、シーズンになったら一斉に繰り出すのだろう。「うめたこ」って何だ?

赤煉瓦館の裏手には、昔の駄菓子屋みたいな店を集めたテーマパークのような一角があった。
この手の雰囲気は、完全に親の世代の郷愁、って感じ。現在では全く需要の無さそうなオモチャが並んでいるが、こういうのって一体どこで仕入れてくるんだろうか。。

それはそうと、この一角で調理してた中華そばが美味しそうだったので、昼飯代わりに食した。「中華そば」と言っても、出てくるものは「ちゃんぽん」。八幡浜が近いから、そばと言えばコレなのかもしれない。

 
 
                             
赤煉瓦と先の一角「ぽこぺん横町」以外は静かなもんである。こういう何でもない街並みに、その町独特の歴史的、空間的魅力みたいなものが感じられることが多々ある。この道の先にも魅力的な何かが待ってるような、そんな期待が膨らむ。

臥龍山荘

古い街並みを散策しながら進んでいくと、ぽこぺん一帯に集結していた家族連れとは異なった年代の観光客が集まる、一目で魅力的なお屋敷が待っていた。

明治期に建てられたこの山荘は、桂離宮や修学院離宮を参考に、大洲のみならず遠く京都の名工までをも集結させて建築されたという。
屋敷の建物自体はさほど大きくないようだが、粋な趣味的空間である茶室の延長として、その全体が構築されているのが外観からも想像できる。

いわゆる数寄屋の匂いプンプン漂う臥龍山荘。期待に胸躍らせて訪問してみる。

現在は市によって管轄され、内部は一般に公開されているものの、撮影は禁止ということで、この場で紹介できないのが非常に残念。
それくらいこの数寄屋建築は素晴らしい魅力に溢れていた。
繊細にして大胆にして、素朴な中にも粋なコダワリが。。

大洲に来たら、必見の名所だと断言できる。

 
内部はダメだったので、庭園からは撮らせていただいた(^ ^;
臥龍山荘は、庭園がまた素晴らしい。様々な樹木がセンス良く配置され、その狭間にはいくつもの個性的な庭石が配置されている。
そう言えば、大洲散策中は雨に降られていない。(三瓶から雨は止んでいた)
庭園はそれまで降った雨によって、しっとりとした情緒ある風情を見せていた。
苔が地表を覆うタイプの庭園なので、カラッと晴れ上がった天候の時より、この日のような湿度の高い日の方が、この庭園の魅力を存分に味わえるような気がする。

庭園の中にも、母屋から離れた建物がいくつか建っていたが、庭の一番奥に、崖から突き出すようにして建つ「不老庵」もまた、一見の価値がある。

臥龍山荘の敷地は、肱川に面した小高い山なりの地形の一部にあるのだが、その山肌に突き出すような形で崖上に建つのがこの庵なのである。

室内から外部を眺めた風景はまさに、肱川に飛び出す空中舞台の如き絶景である。
不老庵の縁に腰掛けた人は、足元の臥龍淵に浮かぶ舟の上にいるような錯覚を覚えることだろう。水面に反射した月の光が、ドーム状の竹網代天井を照らすという巧妙な仕掛けも興味深い。
不老庵には、数寄屋風情をわかりやすく表すポイントがある。
地表に根を張った生きた槇の木を捨て柱として、建物の基準に使用しているとのこと。つまりは樹木が建物と一体化しているわけだが、不思議なのは建物と一体化してから成長もせず朽ちもせず葉を茂らせているところ。まさに人為一体である。
 
臥龍山荘は、全く存在も知らず、散策途中にたまたま見つけたにしては大ヒットなスポットだった。てゆーか、自分の趣向的には、コレ見ずして大洲に何しにきたのか、と思うほど重要な所である。
おかげで大洲散策は至極満足できた。臥龍山荘の後は再び街並みの散策をしながら駐車場へと戻る。
当初の予定通り、だいたい2時間くらいで再出発。
 

内子

肱南ICから大洲道路に乗り、松山自動車道内子五十崎ICで降りる。その間10分くらい?大洲の隣町である内子へ。
大洲も内子も観光地で、GW真っ直中、結構人もクルマも溢れてたので、時間短縮のためにと有料道路でやってきた。

R56はバイパス上になっていて、放っておくと内子の町は通り過ぎてしまう。
利用できる駐車場を探しながら走っていると、運良く町並駐車場という観光駐車場の存在を発見。駐車料金を払ってお寺の前のスペースに陣取る。
降りて写真を撮ってみると、ちょっとだけ絵になった^ ^;

内子は、大洲同様古い町並みが残る観光の町。
藩政時代、和紙と和蠟燭の生産で栄え、その頃の流れを汲む町並みが残っているらしい。大洲同様、初めての訪問だ。

町並駐車場は、内子の町のかなりハズレに位置するけど、バスを含め大抵の観光客がこっちからやってくるためか、迷わず観光スポットに導かれるよう整備されている。
手元には頼りない地図しかなかったが、何となく歩いているだけでも目的の町並みには簡単に辿り着けそうだった。

内子の街並みは、大洲とは全く雰囲気が異なっていた。
大洲が一部を除いて割と普通に古ぼけた(笑)民家が並んでたのとは対照的に、内子の街並みは意匠的な統一性が残された状態になっている。

その最大の特徴と言えるのが、黄色味がかった漆喰の壁面。内子周辺には良質の黄土が産出されたのだろう。地域性のあるデザインとして、語り継がれている様を見ることができる。

その特色ある色彩を除けば、雰囲気的には本州中山道辺りの宿場町に似たものがある。悪く言えば、観光の為に過度に整備されたテーマパークのような街並みと言えなくもない。
内子は大洲藩時代より木蝋による和ロウソクの生産が盛んで、漆喰塗りの街並みは当時の経済力を物語る景観だ。
ただ、現在和ロウソクを生産するのは、この「大森」という店くらいになってしまったという。店の中では実際に和ロウソクを手作業で製造している様子が実演されていた。

内子座

内子の街並みから内子駅の方に数百メートル離れた所にある、内子座にも足を運んでみた。
大正時代に、民衆が自分たちの娯楽のために自ら建てたとされる演劇場。歌舞伎や人形芝居、そして映画までもがこの演劇場で上映され、内子の人々に親しまれてきたという。

木造二階建てで、入母屋の瓦葺き屋根とシンメトリックなファサードが、どこか古いお役所か大学みたいな佇まいだ。

 
         
 

そんなコンサバティブな外観を眺めつつ内部に入ると一転、大きなホールの空間に思わず感嘆の声が出てしまう。

木造ながらにして、2層吹抜けの大空間が、この建物のほとんどの面積を占めていたのだ。

 

舞台から客席の方を見る。規則正しく並ぶペンダントライトがどこかロマンチック。

元が歌舞伎場なので、舞台やその周辺には演出上必要な様々な仕掛けが施されている。
舞台は大きく円形に切れ目が入り、回転させることができるようになっている。

 
当然「花道」もあってその途中には床下から役者がせり上がる装置も。
民衆が自分たちのために建てた演劇場ながら、その機能には妥協がないように思える。

舞台や花道の地下にも入ることができる。
「奈落」と呼ばれるこの地下空間で、先の回転舞台を回したりするのである。もちろん動力は人力。

内子座は時代によって変わる娯楽文化に合わせて細かな改修を受け入れながら存続していたが、ある時、老巧化で取り壊される寸前まで行ったそうだ。
それが内子町民の熱意によって存続、復元され、現在はそれなりの舞台設備を確保しつつ、再び劇場として機能しているらしい。つまり、これでも現役の劇場なのだ。

内子座を堪能した後、元来た道を戻っていく。
何の予備知識もなく訪れた町だったが、シンプルで魅力のわかりやすい観光地だった(^ ^;
内子と言えば、街並みなんかより酢卵!って人も中に入るのだろうか。一度見たら意識せざるを得なくなる謎の特産品。。。
  最後に街並みの端にあった土産物店で休憩がてら物色。
愛媛に来たら、ってことでみかんジュースを味わっておいた。
大洲、内子と、伊予の歴史的街並みを堪能できたことで、この日はここまでとはまた異なった充足感があった。
クルマを降りて町を散策してるとさすがに時間が経つのは早い。そろそろ寝床が気になる時間になっている。
 

内子からは国道379号を進むことにした。
走り始めると、すぐに町から外れた。ここから再び内陸深くに入っていく。
国道380号に切り替わり、小田の集落を過ぎると、狭くて暗い峠道になる。夕方に向かうこの時間に、四国山中のマイナーな3桁国道を走るクルマもなく、単独行が続いていたが、2日目のようなアツい走りは鳴りを潜め(笑)、大人しめに真弓峠を越える。

峠を越えると道は見違えるほどに走りやすくなり、程なくして国道33号に合流。そのまま北上して久万高原の町中で夕食の買い出しをする。
よく考えたら、既に昼間に三瓶である程度食材の買い出しが済んでたので、ビール程度の買い出しになった。

久万高原から県道12号を走って、ふるさと旅行村へ。ここのキャンプ場にチェックイン。既に夕刻のイイ時間になっていたが、旅行村の管理室は営業中で、難なく受付OK。
キレイな芝生のフリーサイトは、そんなに広くはない上、既にファミリーキャンパーが何組か陣取っている状況だったが、隙間を見つけて幕営。それでもここ2日間のキャンプ場よりは、よっぽど広々使えそうだった。

テントを立て終えたら温泉へ。今回のツーリングは、この段取りがすっかり定着してるな(^ ^;
訪れたのは、旅行村から東へ数km行った所にある国民宿舎古岩屋荘だ。山中に唐突に現れる大きな宿泊施設は違和感たっぷり。ここで日帰り入浴とした。

近所に45番礼所の岩屋寺があるためか、お遍路さんやってる人が入浴してて、まだ今日の宿が決まってない(連休中なので宿舎はとっくに満室)とか、どこか夕食食べれる所ないかとか、そういう会話が客どうしで行われていた。
案外無計画なお遍路さんもいるんだね(^ ^;;

   
3日目 / 5日目