4日目・・・

   

お世辞にも爽やかとは言えない朝。
それでも今回の旅で初めてテントで熟睡できて、かなりスッキリとした気分。

コーヒーを入れて、わずかな時間ながら海辺のキャンプを楽しんだ。

     

隼人町の辺り
幹線道路だけど、結構イイ道

 

国道10号を西へ。この日は連休合間の平日なので、出勤ラッシュらしい混雑の中を鹿児島市に向かって走る。

今日は奄美へのフェリーに乗船する日。フェリー会社に夕方16:00までに鹿児島新港に来てくれと言われているので、薩摩半島を周遊して鹿児島に戻ってくるプランを考えた。
16:00は結構早いので、そんなには走れないような気がする。いろいろ行きたい所はあるが、とにかく開聞岳だけは外せないので、とりもあえずもそこへ向かうことにした。

                                         
 

鹿児島市手前で10号がシーサイドラインになる付近で、ようやく桜島が姿を見せてくれた。
上空は相変わらず厚い雲に覆われていて、桜島の火山活動を見てとることはできない。

鹿児島のように日常的に降灰するような環境では、クルマのエンジンなんかにも影響が出るのかな。エアクリとか社外にするのには勇気要るだろうな。

   
                                         
 

鹿児島市の中心部を横断。鹿児島中央駅前から市電と並走した後、トンネルくぐって鹿児島ICへ。

ここから指宿スカイライン。最初谷山ICまでは九州自動車道の延長といったカンジだが、これを過ぎると急に森の中を走るワインディングになり、同時に雨も降り出した(涙)

 
指宿スカイライン

スカイラインの名の通り、尾根道っぽいワインディングロード。鹿児島から指宿手前の頴娃まで、かなりの長距離を走る。

鹿児島湾からほとんど離れていないのに、こんなに高度があるとはオドロキ。次第に濃霧で視界を奪われ、濡れた路面のグリップを確かめながら疾走する。

                 
   
                     
    緑に囲まれて走ることのできる素晴らしいワインディングの様だが、それは最後まで想像の域を出なかった。ずーっと雲の中。。 ま、それはそれで幻想的な雰囲気があってまぁまぁ良かったんだけれど。      
                                   
                                   
 

有料区間が終わっても、暫くは似たような雰囲気の道を南下する。

池田湖近くまで来ると、いよいよ開聞岳がお目見え。真正面に堂々とそびえ立つ姿は、まさに薩摩富士!美形だ。

 

観光バスの後ろについて、薩摩富士の麓を目指す。

雨天で徐々にその姿を隠しつつあったが、段々と目の前に近づいてくるその姿には迫力さえ覚える。
1000mに満たない山なんだが、半分海に足を突っ込んだような形で突然生えてきたような形状が面白い。登っても単調で退屈そう。眺めて楽しむ山だな。

   
  勢いでどんどん県道を南下し、開聞岳東側の長崎鼻という岬に辿り着いたが、混んでる上いかにも観光地っぽい状況だったので(雨も強くなってきたし)、折り返すことに。
その後、近くの原野にぽつんと立つ開聞温泉にやってきた。
     
開聞温泉
オレンジ色の建物がカワイイ。共同湯的な温泉で、構成はとてもシンプル。

かなり見つけにくい場所にある

脱衣所は開け放たれ、番台も無人の放置営業状態。常連向けといった風情で、一見さんの旅行者が来るという前提は存在しないかのようだ。

浴室は真ん中に浴槽があるのみの典型的な共同湯の構成で、ここに注がれる赤褐色の温泉が素晴らしい。雨で若干薄まっているような印象があったけど、それでも温泉の力を知るには十分。
赤の濃さは小赤沢温泉には劣るものの、全国有数の赤い温泉としてオススメできる。

 
来訪者は地元の人ばかりで、静かに長湯を楽しむ光景が見られた。
利用者に注意を促す浴室の張り紙が強気でイカす。「大の大人が熱い熱い言うな。そんなことは二才児でもわかる」っていうのが一番気に入った(その他も多数有り)
   

本来ここまで来たなら指宿温泉で有名な砂湯を楽しむところだが、GWで混雑は必至。 ただでさえ入浴人数には限界がある方式だし、ここで時間を潰すにはいかなかったのだ。砂湯は去年別府で入ってるしね。
それよりこの開聞温泉は、砂湯に取って代わって余りあるいい温泉だったので大満足。

     

さて、再び開聞岳ドライブを再開しよう。
開聞岳をドライブって言っても、登山道路があるわけじゃない(そんな規模の山じゃないし)

開聞岳の東裾に、麓自然公園という場所がある。ここの入口ゲートのすぐ手前に、藪の畦道に下りていくような細い道が分岐している。小さな看板に「←開聞岳一周」(だったような気がするが定かでない)と書いてあるので、迷いもなく突っ込んだ。

     
  するといきなりトンネルが現れる。決して開聞岳の体内をぶった切るトンネルなんかではない(位置的に)
どうも自然公園の下を通るためだけのトンネルのようだ。
 
       
 

天窓のあるトンネル

 
                     
    これがまた狭くて暗い。電灯なんて当然無くて、なぜか等間隔に並んでいる天窓から差す光のみ。まるで防空壕か何かの中を走ってるみたいで、まるで道路トンネルを走っているという気がしない。
結構延々と続いており、なかなかのスリル。途中、軽トラが対向してきたけど、これはすれ違うことができた。
暗いから狭く感じるけど、そんなにキツイ程ではないみたいだ。
                                       
トンネルを抜けると、今度は周りに何にも無い寂しい道が続く。何も無いと言うよりは、何も見えないと言った方が正確か。道路の両脇に繁々と生える草木の向こうに何があるのかわからないといった感じだ。
うっすら霧はかかってるし、ひんやりとした空気感で何とも心細い。
地図で見る限り、この道は開聞岳と海に挟まれた絶景ロードっていうカンジがしたのだが・・・結局開聞岳も大海原も拝めずじまい。
                                       
 
開聞岳
                                       

開聞岳の南裾をなぞるように走り切り、西側から国道に出ようと走っていると、再び開聞岳が姿を現した。
麦畑の向こうにそびえる円錐形火山。薄暗い天気の中ではそのシルエットしか判別できないけど、迫り来るような迫力に圧倒される。 地面の一点を摘み上げてできたような単純な形態なので、どこから眺めてもほとんど同じ形ってのも面白い。

その流麗な容姿にすっかりと見入ってしまって、雨の中バシバシとシャッターを切り、はたまた車内からワイパー越しに暫く眺めを楽しんだ。

   
・・・・・
     
 

国道226号を西へ。枕崎までは30分の道のり。
逆向きに走れば、開聞岳を眺めながらのドライブウェイになるけど、この天気では・・・ね(今回何度このセリフを吐いていることだろう)

 
       
 

枕崎お魚センター

枕崎はカツオ漁で有名な大きな漁港を抱える町。その漁港近くにある産直にやってきた。
お昼でも頂こうとしたものの、かなりの混雑だったので諦める。代わりにさつま揚げ(鹿児島入ってから毎日食べている)と、酒盗(かつおの塩辛)を購入。

  いわしのさつま揚げ
本場は美味い
                     
                                   
  この時点で(大して何もしてないのに)昼を過ぎてたので、鹿児島に折り返すことにする。
どういったルートで帰るか悩んだ末に、知覧を経由する県道34号で戻ることに決定。薩摩半島南部を斜めに横断するルートのひとつだ。
                                   
        知覧までは、広大なお茶畑の中を疾走する。
この時まで、知覧がお茶で有名ってことを知らなかったオレ。。こんな南国にもお茶の生産地があるんだなー。
   
                                   

知覧特攻平和会館

知覧の平和公園に立ち寄る。ここには特攻隊の記念館がある。
太平洋戦争末期の特攻隊はもちろん知っているが、知覧飛行場から飛び立ったということは実は知らなかったオレ(知らんことばっか)。知覧を離陸し、開聞岳を最後の母国風景として、沖縄に向かって飛び立っていったという。

記念館には、特攻隊として命を散らした若者全員の写真が壁一面に貼られ、彼らにまつわる数々の記録や資料、戦闘機等が保存されている。

 

はっきり言って、涙無しには見られない内容だ。確実に生きては帰れないとわかっていて飛び立つという壮絶な心理状態を克服して飛んだ彼ら。その強靭な精神に敬服し、こんな悲劇が二度とあってはならぬとありきたりながら思うのであった。。

                                   

知覧武家屋敷通り

次は薩摩の小京都と言われる知覧の街並みを散策しに来た。
県道から一本中に入ると、城下町風情を残す静かな街並みが残っている。萩の街並みと似ているような気がする。
庭園が有名で、何箇所か散策できる所があったが、路地を歩くだけで雰囲気を楽しんだ。

                       
                  なぜだかどの家も、門構えが同じであまり個性がない。
キレイな路地ではあるが、ちょっと印象には乏しいかな。
                                   
 

県道23号で東へ。指宿スカイラインを横切り、錦江湾へと下りてくる。

既に15時を回っているので、鹿児島新港に16時なら丁度いいくらい。なかなかうまい時間の使い方だったなと満足していると、市内で渋滞に捕まって動かなくなってしまった。
新港に行くにもこの道しかないので耐え続け、20分遅れでようやく到着。慌てて乗船手続きをした。

                                   
 

新港も大混雑。受付もさることながら、乗船待ちのクルマの待機所がなくて困った。
荷下ろし荷運びしているフォークリフトと大型トラックに混じって乗船を待つ。

 鹿児島新港奄美航路の受付所前

奄美大島名瀬港行きを示す貼紙をウィンドウに貼る
一気に気分が盛り上がってきた
 

出航間近になってようやく乗船指示が出た。
比較的大きなフェリーだが、乗用車のスペースがえらい狭かった。狭いスペースで隙間なく詰め込まれるため、バックで寸止めのテクニックを要求される。

周りのクルマを見ると、ウィンドウに車屋の張り紙が。。
周りはどうも中古車として島に売られていく車のようだ(軽ばっかりなんだよね)。旅客は自分を含めてほんの数台。(客室は滅茶苦茶混んでたのに)。。奄美群島をクルマで渡るという発想は、フツーの人はしないみたいだね。。(どうりで簡単に予約とれちゃうわけだ)
 
  今回乗船したのは、マリックスラインのクイーンコーラル号。奄美大島、徳之島、沖永良部島、与論島、沖縄本島を順に停泊していく航路。マリックスラインと大島運輸が毎日交互に運行している。
鹿児島を18時に出航し、最初の停泊地、奄美大島の名瀬港には翌朝5:20に到着する。寝てる間に奄美に行けちゃうというのがポイント。昼間の時間は(ドライブで)有効に使いたいからね。
   

さて、明日はいよいよ奄美大島。今回のメインディッシュとして、日程をずらしてまで訪れる待望のエリアだ。

予定では丸々2日を奄美で楽しむことにしている。唯一不安なのは天気だが、今のところ何とかもちそうではある。
果たしてどんな景色とワインディングが待っているのか。期待は膨らむ一方。

そしてその期待を裏切らない、素晴らしい体験が待っていたのだった。。。

フェリーから桜島を見てる・・のだが・・

     
 
     
3日目 / 5日目