3日目・・・

   

道の駅「くにの松原おおさき」

昨日といい今日といい、道の駅は車中泊組が多くてさすがGW。
そのほとんどがワンボックスやミニバンで、EK9のようなクルマはどこに行ってもまずいない。
こういうクルマで旅をすることこそ自分のアイデンティティなわけで、このスタイルは大切にしたいと思うわけだ。

     
                                     
   

前の日から降っている雨は天気予想通り降り続いており(悲)、グレーな空を眺めながらのドライブ。国道448号で大隈半島の東海岸を南下する。

ちょっとでも高度が上がると雲の中に入ってしまうような悪天候。雨は強くなったり弱くなったり。
おそらくかなり爽快なワインディングであるはずなのだが、ほとんど楽しむことができないまま淡々と距離を稼ぐ結果に。もったいないなぁ。。

 
大隈半島は、その大きさの割にあまり人の気配がせず、何か原始的とも言える雰囲気が残っていた。
陸地が隙間なく緑に覆われてるカンジで、その密度というかボリュームが凄い。九州独特の景観だと思う。東北とは全然違って、密林的な深さと迫力を感じるのだ。
国道沿いの駐車スペースにあった妙なオブジェ
この辺りを走ってた頃はまだ降ってなかったんだが・・↓
 

ずっと南下していくと、やがて国道は内陸部に入って半島を横断する道になる。海岸線を辿る道は県道74号だけど、ツーリングマップルで見たところ、かなりハードでロングな山岳路のようだ。相当の根気と時間が要されると見た。
昨日から降り続く雨量と雨脚を考えると、このテの道路を走る状況ではない。国道でさえほとんどクルマが走ってないんだから、県道の方を走るクルマは皆無だろう。何かあった際に危険だ。

・・と考えた末に、(今回はあっさりと)県道は諦めた。スカッと晴れてれば間違いなく走っただろうが・・

 

すぐにこうなってしまった

                             
    国道448号の内陸部分は、うって変わって道幅の広い2車線道路。半島屈指の高速コースと見た。
ここまで信号も通るクルマもほとんどなく、一気に走行距離が伸びる。
                     
   

大隅半島中央部を縦断する県道68号

 
                 
  田代で県道68号に入り、再び南下を続けるが、途中で道を間違えてしまい、海に出たと思ったら道が港で行き止まりになっていた。。そそくさと引き返して佐多町(現在は南大隈町)の中心部に出る。
その後、大隈半島先端部分の西海岸を更に南下。
目指すはもちろん、本土最南端の佐多岬だ。
   
                                 
佐多岬ロードパーク
岬へは有料道路で向かう。通行料、何と1000円!
距離からするとどう考えても高過ぎだが、ここは私営の道路。割高なのも仕方ない!?と思ってたんだが、現在は公営なんだそうだ。。
管理会社が運営を取り止めることになり、一時は通行ができなくなる事態になりかけたロードパークだが、町が運営を引き継ぐ形で通行継続となったらしい。最南端に行くには実質この道を通る他ないので、この決定は大歓迎。1000円は最南端に到達する記念と考えれば安いモンだ!?
ロードパークは全線2車線だが、路面状態はあまり良くない。けど、ここはコーナーを見据えて走りを楽しむコースではない。
何しろ走り始めから周りの植生に目を奪われる。ここジャングル!?って思ってしまうほどの密林状態。背の高い南国の木には、ヤシの実やらバナナでもなってそう
日本の道とは到底思えない程インパクトが強い。
                   
  亜熱帯植物のトンネルをくぐり抜け、2つ目の料金所(切符を切るのみ)を通り過ぎると、半島の最先端に向かって登っていくような雰囲気の道になる。
                     
 

途中、どこかで写真で見たことのある北緯31度線を示すオブジェを見つけた。
カイロやらニューデリーやら書いてある。物凄い南に来てしまった気になるな。。

31度線を越えるとほどなくして駐車場へ。クルマはここまで。以後は徒歩で岬に向かう。

 
             
     
       

雨は相変わらずザーザー降ってるので、雨具を来てレッツゴー。
100円払ってトンネルを潜る。その先は、比較的ライトな山道風情の歩道をひたすら歩く。佐多岬は小高い山が急に海に落ち込む地形のようだ。

やがて展望台が見えてきた。
いよいよ先端は近い!

 
佐多岬

遂に来ました、本土最南端。
灯台までは行けないけど、地形の険しさを考えればここで十分。
あぁ、これで本土最○端というのは全部クリアしてしまった(北と東はEK9では行ってないけど)。 密かに感慨に耽る。

歩道の行く先には展望台がある。これがなかなかコワイ立地で、おまけにこの天気。絶景は絶景なんだけどね。
職業柄、これどうやって施工したんだろうと考えてしまい、鳥肌が立ってきた。

   

豪雨に霞む最果ての灯台

岬から見えるのは、三方に海、背後に小高い山。それ以外は何も無し。そんな環境に加えて、こともあろうにが鳴り出した。雨はますます激しさを増す。

ちょっと危険かもしれない。
こんな無防備な状態では落雷の可能性だって否定できない。不安が渦巻く・・・

   

展望台で暫く雨宿り。雷鳴の間隔が長くなってきた頃に、元来た道を戻る。
雨脚は強烈で、結局びしょぬれになってしまった。何とかクルマに辿り着いたけど、おかげで最南端はどの端っこよりも「極地」を感じた。

晴れてる時に来たかった。

   
・・・・・
   

ロードパークを戻って、更に佐多町のまでは元来た道路を折り返す。

佐多町から先は、国道269号を錦江湾(鹿児島湾)沿いに走る。ゴキゲンなシーサイドウェイのはずだが、強い雨脚が更に強烈になり、ますます豪雨になってきた。。
路面に水が溜まり、幾度となく激しい水飛沫を上げる。

ワイパーが追っつかない

     

そう言えば、今回から無限のエアクリーナーにしてたんだった。
EK9のページにも書いたんだけど、このエアクリは空気を低い所から吸う構造になってるため、水たまりへの進入は自殺行為に近い。最南端でエンジンブローしたらシャレにならない。

極力右フロントを道路中央線に近づけて水たまりを回避する。視界が遮られ、ハンドルがとられる。それはまぁ慣れたモンだしいいんだけど、エンジンが心配で心配で、道の駅「根占」に着くまでは生きた心地がしなかった

  道の駅では、巨大な「つけあげ」を頬張りながら雨宿り。
その間にも道路では、滑ってコケるバイクはいるわ、縁石に乗り上げて動けなくなるクルマはいるわで凄まじい状況だった。
 
     
  実際は洪水時のような相当深い水たまりに入らなければ大丈夫なんだけど、こういう想定以上の悪天候には肝を冷やすなぁ。
       
  道の駅を出て根占の町を過ぎると、雨はようやく落ち着いてきた。鹿屋市街をショートカットする県道68号に入ると、雨はひとまず止んだ。
今度は国道220号に入り、引き続きシーサイドラインを北上。すぐに海岸にある温泉に立ち寄り、濡れて冷えた身体を温めることにした。
       
ティエム牧場温泉
ヘンな名前の私設の温泉。柵で囲まれた小さな公園のような敷地に料金を払って入る。仮設倉庫のような建物に入ると、勢い良く注がれる温泉の音が響いていてかなり期待させられる。
適当な造りの浴室内部では、褐色の温泉が迎えてくれた。
目を引くのはつるつるとしたオレンジ色の固形物。既出物が固まったと思われる。これが物凄い勢いで増殖していると思われ、外の露天に向かう段差なんかは既に原形を留めていない。
 

露天は内湯から溢れた湯を使ってるので、
内湯の方が新鮮な温泉を楽しめる

源泉の注ぎ口からは、温泉と共にゴーゴーと炭酸ガスと思わしき気体が放出されている。この成分の濃さにはオドロキ。鄙びたと言うより、飾り気のない原始的な温泉の雰囲気と相まって、かなり個性的で記憶に残る温泉だった。

うーん、九州の温泉はやっぱりスゴイなぁ。

   

垂水を通過すると、いよいよ桜島が近づいてきた。近づいてきたと言っても、分厚い雲にジャマされて、どこまで行っても全く桜島は視界に入ってこない。

桜島の付け根の分岐に差し掛かると、多くのクルマが立ち往生していた。さっきの豪雨で、この先の錦江湾沿いの国道220号が通行止になっているようだ。
桜島から鹿児島に直接フェリーで渡ろうと思ってたので、さほど気にせず桜島を周遊する国道224号に折れる。

     

溶岩道路

国道224号は通称溶岩道路で、その名の通り桜島の噴火で流れ出した溶岩が積もった大地の中を貫くルート。

その溶岩台地のまっ只中に設けられた遊歩道があったので立ち寄った。

 

溶岩展望台

冷えて固まったマグマが一面に広がっていてかなり壮観。この辺り一帯は昭和溶岩と呼ばれ、昭和初期の大噴火によって流れ出した溶岩らしい。
桜島はその名の通り以前は島だったのだが、大正時代の大噴火によって流出した莫大な量の溶岩によって陸続きになり、現在のような地形になったそうだ。桜島の右下部分で微妙に大隅半島と繋がっており、おかげで気軽に桜島に訪れることができる現代人はラッキー。

                                   
 

桜島には7千人程度の人が住んでいるんだそうだ。これまでの桜島と言えば海上に生えるほとんど無人の島的なイメージだったが、実際行ってみると印象が違う。モクモクと噴煙が立ち上って、降灰で人も住めない、なんてことは全くないみたいだ。

 

フェリー乗り場周辺が最も賑やかで、観光客も集中していた。
道の駅「桜島」でお土産を物色。その後、フェリー乗り場を一旦通過して、湯之平展望台まで桜島を登ってみることにした。

             
 
   
 

湯之平展望台

まぁこの天気じゃ確実だとは思ってたが、やはり分厚い雲の中で何にも見えましぇーん。
せっかく鹿児島まで来て、シンボルの桜島を拝めず帰れと言うのか。
寂しすぎる。。

               
   

さっさと降りてきて、ちょっと今後の行程について考えた。

この後フェリーで鹿児島に渡る予定だったが、渡ったところで中途半端で、その後の行程が読めない(本当はこの日の夕方の便で奄美に渡る予定だったが、変更してるので)
雨は幸い小康状態となっているので、このままいけばキャンプできそう(車中泊が続くとさすがに疲れが溜まるのよ私でも)
そう睨んで、このまま桜島を一周して錦江湾を回り、明日鹿児島入りすることにした。錦江湾沿いの国道は通行止のハズだが、一時的なものでもう解除になってるかもしれないし、そうでなかったらフェリー使えばイイや。

                   
   

桜島北部の県道26号は、南側と全く異なる素朴な雰囲気。南は観光地然としているが、こっちには全くその気配がなくイイ感じ。
時折日が射してきて、おおっイイねー♪と久しぶりに心弾んだ。

大正溶岩の中を走り切ると再び大隅半島へ。果たして予想通り国道は開通していた。ズバリ。めでたく錦江湾沿いのルートと相成った。

 
                   
     

新しくできたと思われる道の駅「垂水」は大混雑。
垂水と言えば温泉水!ってことで、ペットボトルの温泉水を買って飲料水とする。

その後は開通直後で交通量の多い220号を、青い現行セリカのお尻にくっついてひた走る。

                   
 
国分キャンプ海水浴場
                   

国道10号に合流してすぐにあった国分キャンプ海水浴場が本日の寝床。

海が目と鼻の先のキレイな芝生がテントサイト。しかもここが無料!
ってことでライダーのテントが多数発生していたので、少し離れたスペースに幕営する。
駐車場と堤防で隔たれていて荷物を運ぶのが結構しんどいが、サイト状態は申し分無く、錦江湾を眺めながらの芋焼酎が美味い。桜島が見えれば言うこと無しなんだけどな。

とにかく天気に悩まされた3日目が終わった。

これだけ雨が降ったのに、芝は乾いてて
フライシートも撤収まで濡れなかった

     
     
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