7日目・・・

  夜が明けて甲板に出ると、佐多岬が見えた。大きな岩が岬に転がっているような形状で判別しやすい。
大雨でモヤっていた4日前よりはっきり見えたかも。
                         
         
更に反対側には開聞岳。
帰ってきたなー、っつーても最南端の鹿児島だからめちゃ遠いんだけど。。奄美に比べれば、鹿児島と言えど普通の気候&風景で、一気に戻ってきた気になってしまう。
 
           
  昨日の夜は、霧島で民宿を営んでいるという人たちと隣り合っていろいろ話し込んでしまった。九州の話とか、仕事の話とか。「民宿に寄って温泉でも入ってケー」と名刺を渡されたけど、ゴメンナサイ、もう行きたい温泉は決まっているのです。
結局寄らなかったけど、霧島神宮近くの民宿の社長さん、いろいろありがとうございました。
 
           

桜島が見えてきた。

あぁ、桜島ってこーゆー形をしてたのか
7日目にして初めてその全容を見ることができた(曇ってはいるが)

結局、鹿児島(奄美は除く)では1日も晴れなかったことになる。
無念としか言いようがない。

                         
 

相変わらずフェリーに載っているクルマはほんの数台しかいなかった。ハーレーの集団が積載されていたが、奄美ではハーレーどころか、バイク自体にほとんど会わなかった(フェリーは那覇から来ているのでハーレーが奄美にいたとは限らないけど)

GW真っ只中なのに、ツーリングには最高の島なのに、バイクがいない。ま、実際はどこかで走ってて会わなかっただけなんだろうが、にしてもね。。

奄美はそれだけマイナーなスポットなんだろうな。
サイコーのツーリングエリアなんだけど、あんまり有名にもなってほしくないってのがホンネ。

フェリーの車両甲板
隣に見えるクラシックなハーレーはエンジンひとつかけるのも大変そうだった

                         
・・・・・

鹿児島新港に着岸、鹿児島市内に走り出す。国道3号線を北上し、鹿児島北ICから九州道へ。

この日のテーマは、ズバリ霧島。霧島温泉郷周辺のワインディングと温泉を、じっくり楽しむのだ。

フェリーの到着は8:40と遅めだったので、できるだけ効率良く霧島を堪能するには、国道10号の渋滞を避けて一気に霧島にアプローチするのが得策とみた。
それで短区間ながら高速を利用しようと考えたのだ。

 

バリアって何!?

         
 

溝辺鹿児島空港ICで下りて、県道56号から国道223号へ。ここまで交通量は少なく短時間で繋げてバッチリ。

ただ、223号からはクルマが数珠繋ぎになってしまったので、トロトロと走ることになってしまった。
妙見温泉郷を通り過ぎ(宿泊するならこの辺りの温泉宿もオススメ)、南山麓の国民休養地に入る。
キャンプするならココと考えてたけど、どうも日程と時間が合わず、今回は霧島でのキャンプは諦めざるを得なさそう。

 
           
           
霧島スカイライン 県道1号(霧島温泉郷〜えびの高原)

県道1号線に入るといよいよ霧島の山岳区間だ。

まず、もうもうと噴煙の上がる温熱地帯を横断し、いきなり霧島温泉の洗礼を受ける。ここらへんは大規模なホテルが立ち並んでいる。

         
いくつもの低速コーナーをクリアしながら、ガンガン標高を上げていく。ある程度パワーがないと登っていかない急坂だ。
超有名な観光地だし、宿泊者がチェックアウトするような時間なので、さすがに交通量は多い。
             

県道104号と合流する辺りからは、フラットなストレートが何本か続く。韓国岳の中腹を縦断しているのだ。

植生がどことなく高原風景に近づいていく。
       
途中、韓国岳の登山口があって、登山者の車が道路脇に溢れている。 対向する車も多く、大自然を貫くワインディングロードながら、人口密度がイヤに高く感じられる。
     
                         
    やがて霧島の北側に抜ける。
県道30号との分岐点には、大規模なレストハウスが集中していて、大勢の観光客で溢れかえっていた。駐車場も制限しているようで、空腹だったが仕方なく通過。県道30号を下りていく。
   
                         
霧島バードライン 県道30号(えびの高原〜えびの)
県道30号、霧島バードラインは、打って変わって道幅狭めのテクニカルロード。細かな複合コーナーをクリアしながら山腹を下っていく。
ヘアピンコーナーも多い中低速のダウンヒル。
 
えびの市に抜けていく路線だが、霧島へのメインのアプローチではないようで、走っているクルマは少なかった。
     
 
         
  一気に麓まで下りてしまう。風景的にはそれほど特筆すべきものはなく、ちょっと印象に乏しい気がする。
                             
    あっという間に霧島の北側に下りてきてしまった。もちろんこれだけで霧島を終わりにしてしまうつもりはない。
今度は小林市から霧島に登るルートに入って、北山麓のヒルクライムを楽しもう。
   
                               
えびのスカイライン 県道1号(小林〜えびの高原)
                               
爽やかな樹林帯を貫くテクニカルワインディングロード。低速コーナーが程良く連続し、ステアリングを回す喜びが味わえる。
全線2車線だが幅は狭めで、コーナーで飛び出してくる対向車には気を使う。
                         

最初は緩やかなカーブとストレートが主体。ここら辺は、周りの木々の黄緑、深緑の折り重なりがキレイで、この先に待っている風景に心が弾む。

やがてコーナーの曲率がキツくなってくると、周りの植生も変化して、高原ちっくな風景に徐々に変化してくる。 ガードレールが偽木でできていて、カネかけてるなーと思うと同時に、結構風景にマッチしてて気に入ってしまった。

       

当然、他にクルマが走っていないわけではなく、段々オイシイ区間になってきたところでハイエースに詰まってしまう。
この車が重たそうに黒煙を吐き出して、えっちらおっちら坂を登っていく。後ろが詰まってるんだから、どこかで譲ってくれればいいものを、いつまでたっても譲る気配も無い。後ろを見て見ないフリをしているのだろうか。パスしようにも安全にそれができるだけの直線もないので困った。

結局、かなり上の方に到達するまで、煙を浴びて走り続けてしまった。。
かなり美味しいワインディングだったのに、勿体ないことをした。

 

       
えびの市営露天風呂
えびのスカイラインが高原に登り詰める辺りに唐突に現れる温泉。
霧島の温泉の中でも圧倒的な高所に湧く温泉で、立地条件からも絶景の露天風呂ではないかと期待して訪れた。

入浴中のお兄さんに失礼して撮影

   
別浴だが、簡易的な脱衣小屋と露天風呂だけ、目隠しも最小限で、市営という形態としては例外的なほど簡素な設え。
石が積まれた露天風呂には、白濁した温泉がじょぼじょぼと注がれている。温泉が湧いて渓流になっている所を塞き止めて作ったという感じ。
               
白濁してるから硫黄泉かなと思ったけど、ちょっと違う。思ったよりも眺望は開けていないけど、高原のひんやりとした空気を吸いながらゆっくり疲れを癒すことができる。
                         

風呂から出て、EK9のエンジンをかける、と、、
きゅるきゅるきゅる〜〜とエンジンルームから耳慣れない異音が響き渡るではないか。
びっくりしてエンジンルームを開ける。パワステフルードのタンク横にゴムの切れっ端みたいな異物が・・・

イヤ〜な予感がした。

 

こ、これは・・・

         
       

一番奥のオルターネータ付近を覗き込む。
果たして予感的中、ダイナモベルトが見事裂けていた。これはマズイ。このまま千切れるとこまでいったら、エンジンかからなくなってオシマイだ。
緊張と不安が走る。

当然ベルトのスペアなんか持ってないし、手が入らない上、いじったことのない部分なもんで直し方がわからない。
唯一の気休めは、このベルトを去年交換した時までは同じように裂けた状態で10万km近く走り続けていたってこと。すぐには切れることはないだろうと予想はできたものの、気分いいものではない。

ベルトがささくれ立っている・・

それよりビニルやゴムが擦れるような大音量の異音が、まるで故障車の様でかなわない(実際、半分故障車なんだが)。発進する時のような低速時だけ音が出るので、普通に走っている分には大丈夫みたいだが・・・
 
えびの高原のような自然まっただ中で悩んでいても仕方ない、ある程度走れば馴染みも出て音も消えるだろうとタカを括って走り出した。
   
賽の河原

露天風呂からすぐ上には、不毛の地獄地形が広がっていた。霧島が火山であることを視覚的に知ることができる。

           

スパッと切り取られたような甑岳の山頂

 
                           
  さっそく車を停めて散策へ。
火口に登っていくと、不動池が一望できる。この辺りにはこういう大きな水溜まりがいくつか点在していて、これを周遊できるトレッキングコースもあるらしい。
                                     
    火口の縁に登っていくと、正面に韓国岳を拝むことができる。
韓国岳は霧島連峰の最高峰で、霧島を代表する山だ(霧島という名前の山があるわけではない)
なぜに九州に韓国の山が!?と思われるでしょうが、韓国まで見渡せるほど高い山だってとこからついた名前だそうな。
                                     

火口から道路の方を見下ろす。何だか磐梯吾妻スカイラインか志賀草津道路を見ているみたいだ。

クルマに戻って走り出すが、馴染むどころか、きゅるきゅる〜っていう音はますます激しくなっていくような気が。。。レストハウスの前を通る時なんかは、ぶっ壊れてんじゃないの!?っていう視線があちこちから向けられているようで、そそくさと走り去るほかなかった。

   
  県道1号を霧島温泉郷の方へと戻る。
走っていれば音はしないので、できるだけスピードは落とさないように国道223号まで戻った。
   

国道223号を霧島神宮の方へ向かう。鹿児島湾方面の眺望が開ける気持ちのいい道が続く。

途中、道の駅「霧島」で休憩。今後の作戦を立てる。
とにかくクルマを修理しなければマズイ。家から千数百キロ離れた所でエンジンプッツンになったらシャレにならない。
どこか大きな町に出て、ディーラーを探そう。ベルトは交換できなくても、音が出ないように調整してもらえるだけでもいい。

道の駅のカフェで食べた上品なカレー

     

本来なら、霧島神宮にも立ち寄る予定になっていたのだが、クルマのことが気掛かりでとにかく早く直したいという気持ちから、何となく通過してしまった。
その後すぐに県道480号に折れる。

← 窓越しに霧島神宮

       
霧島樹帯トンネル 県道480号・104号

霧島神宮から霧島神宮古宮跡を経由して県道1号に接続する道。その名の通り、深い樹海の中を貫くルートで、木々が道路に覆い被さっているかのようだ。

日光が遮られ(ここを走っている時だけ陽が射していた)、木漏れ日がアスファルトに落ちている様は、それだけで絵になる風景だ。クルマで走っているっていうより、低山をトレッキングしている感覚に近い。

               
     
     
 

古宮跡も通り過ぎてしまった。ここからも同じく緑のトンネルを抜けていく。
道幅は狭いが、路面は割としっかりしている。

やがてトンネルが無くなると、渓流を横目に走る区間が暫く続き、県道1号に出てくる。ここの分岐付近に霧島新湯温泉っていうのがあって、ここも是非行きたい温泉だった。

           
・・・が、大変な混雑だった上にクルマが心配で、ここもパスしてしまう。
霧島で行きたかったポイントを次々パスすることになって、後から考えるとかなり勿体ないことをしていたような気がする。。。
     

再び県道1号をえびの高原に向かって北上し、その後はえびのスカイラインを逆向きに走った。

賽の河原の風景に見とれすぎたのか単に寝てたのか、路肩に乗り上げて危うくコースアウトしそうになる前走車(停まっているわけではない)
     

えびのスカイラインはダウンヒルも楽しい。つくづく気持ちのいいワインディングだ。

今回は別の車に引っかかりがちだったけど、早朝とかに思いっ切り走れれば、更に印象は良くなっただろう。

     
                   
・・・・・
   
 

県道1号を走り続けて小林市街に出たら、何はともあれ修理工場(プリモetc.)を探す。
ようやく国道沿いに発見したが、、、なんと定休日。そう、今日はまだGW中なのである。田舎のディーラーはGWはやってないのだ。

絶望的だぁ。。。

当初の野望ではこの後、国道265号で九州中央山地を縦断するなどというかなり冒険的なドライブルートを考えていたのだが、クルマがこの状態ではわざわざ遭難しに行くようなものである。
非常に心残りだが潔く諦めることにして、とにかく大きな町を繋ぐように走るルートをとることにした。のだが・・・

     
   

小林ではもう一軒見つけたが当然休み。えびの市まで走って探したが、こちらでは見つけることができず、諦めて国道221号を人吉方面へ。

有名なえびののループ橋をぐるぐる登って熊本県へ突入。再びループ橋で下っていく。

 
                             
   

人吉では二軒見つけたが、案の定お休みで万事休す。
今日探すのは諦めることにした。。

明日になれば平日だし、きっとどこかで見つけられるだろう。そう信じて国道219号を八代方面へ走り出した。

                               
     

17:30頃、国道沿いのラーメン屋で夕食(ちゃんぽんがウマかった)
あとは日本三大急流の球磨川沿いを延々と走るのだが、暗くなるにつれて雨脚が強まる。

あんまり降水量が増えると不安になるような道だったが、集中力を高めて走り続け、真っ暗になった後、坂本村の道の駅で車中泊とした。

                               
       

雨はますます激しくなり、EK9の屋根を叩き付ける雨音をBGMに、不安を抱えながら眠りにつく。

トラブルに翻弄された1日が終わった。。

 
                               
                               
6日目 / 8日目