
丘の斜面から見ると、山田峠を挟んた対岸側にも、大きな山が視界を遮っているのがよくわかった。
この正面の山が、どうも白根山らしい。
湯釜を抱くようにして位置する白根山だが、地図上で見れば確かにその後ろ姿(?)が見える位置にあるようなのだ。
結局渋峠には向かわずに(行動時間の制約の為)、この白根山を登って山の向こうのレストハウス側に下りていこうということになった。
白根山の山肌にと取り付いてすぐ、某大学の火山観測施設と記されている小さな建物の陰に隠れてランチタイム。
いつもよりじっくりランチを楽しみ、荷物をもう一度整えて、白根山頂へと歩を進める。

先程の丘の上よりも、更に標高の高い頂を目指してスノーシューを踏み出す。
尾根に出ると凄まじい風が、再び容赦なく吹き付けてくる。それと引き換えに、またしても遮るものの無い絶景が眼前に提供される。
白根山頂までは、ほぼ平らな尾根筋を巻くように歩いて到達した。
山頂は強風で着雪することもなく、大きなケルンが無防備に突っ立っていた。


前の記事の最後の写真の先が山田峠。
その先で目を引くアンテナの林立した山が、おそらく横手山だ。
あの山の右側の裾が、志賀草津道路最高所の渋峠のはず。
その山田峠だが、大規模な雪崩によって、道路は完全に急峻な雪面に覆われていた。横断するのは不可能。てゆーか危険過ぎ。
なので、向って左手にある小高い丘の上を迂回することにした。

夏場でも、クルマで走っている途中で何となく気になるこの山。
斜面は緩く、山というほど息をつくような感じではない。
・・が、周囲の景色はやけに見晴らし良く、そして空の青さが一層濃くなっていく気がする。

・・・・・・。。。

頂上はそこそこ広い雪原になっていた。
遮るものが無くなったところで、強風が容赦なく叩き付けてくる。
それでも奥へと歩を進めると、息をのむ絶景が待っていた。

鋭く盛り上がった近景の山々の背後に広がる、白い峰の大パノラマ。
背後でもっとも高いのが妙高、その左側の頂上の平らなのが黒姫だと仲間の一人が言う。そのまた背後に控えるのが、北アルプスの峰々だろう。その左手には穂高乗鞍の辺りまで・・・
この景色、ちょっと凄過ぎやしないか!?

近景の渋峠、横手山もド迫力である。
遮るものの無い丘の上からは、まさに360度の大パノラマが待っていたのだ。
それもこれも雲ひとつない天候の賜物。金曜夜の嵐が過ぎ去った後、雲も何も吹き飛んだその瞬間を狙ったのがズバリ。
とてつもない絶景に立ち尽くしたのは言うまでもなかった。。

先週末のお話。。
世の中バレンタインだとか騒いでるのを尻目に、そのようなイベントに関係の無さそうな野郎同士、2号車に乗り合わせて冬山へと向かいました。
訪れた先は万座温泉。冬は一大スキーリゾートと化している温泉地。多くのスキー客に混じって足に履いているのは、スキーでもスノボでもなくスノーシュー。
リフトは一回券のみ。あとは自分の足と装備だけが頼り。本当の自然を求めて、小さな冒険に旅立つのだ。
万座草津周辺のスノートレッキングで歩いてみたかったのは、普段夏場にツーリングでよく利用する国道292号志賀草津道路その道。走り慣れた日本最高所を走る国道ワインディングの真冬の姿を、クルマで走れないならこの足で歩いて確かめてみたかったのである。
関東エリアのツーリストなら誰もが走るであろうメジャーなこのワインディングの、真冬の姿ってどんなものなのか・・・R styleの熱心な読者様なら興味あるでしょ?

実際に歩いてみるとその道は、地形と風向きに大きく影響を受けながら、所々で様々な形態の積雪を残していて、まさに地形の一部となって自然に帰しているかのようだった。
場所によっては大きな雪崩の巣になっていて、通過することが著しく危険な箇所も。そんな場所は当然ながら避けていくのだが、白い急斜面に飲み込まれた国道は、優雅なワインディングロードの曲線を完全に放棄して、自然の驚異に平伏していたのは衝撃的な風景でさえあったのだ。。


そんな風情豊かな向瀧は、忘れてはならないが(笑)温泉宿である。
肝心の温泉はと言うと、建物内に3つの浴場があり、うち2ヶ所は別浴の内湯、残りの1ヶ所は貸切の家族風呂×3である。
露天風呂はない。こういった歴史ある温泉宿の場合、後から付け足した場合を除いて露天は無いのがごく普通である。
内湯のうち最も古いのが「きつねの湯」と呼ばれる湯。
向瀧となる以前、官営の保養所として指定され営業していた時代の名残であり、これまた歴史の深い温泉なのである。
だからと言って何か驚くような特徴があるわけでもなく、割とフツーな浴室と泉質なのであるが、それがまたシンプルでイイのだ。
湯は澄み切っていて新鮮そのもの。源泉から近いせいか、かなり熱め。
浴室の床と浴槽内部はタイルで、特に床の六角形の白いタイルが可愛らしい。こんなところにも、数寄屋の風情が垣間見られる。
浴室の中央に、この浴槽があるだけ。湯を楽しむ以外に何も無い。
こんこんと注がれ続ける湯口と、その周りに固着している析出物に、泉質の確かさを感じる。それだけでいいのだ。

これはきつねの湯の入口にあった洗面台。
何と大理石彫り込み。何でもない設えに、とびきりの洒落と贅沢が混在しているのである。

せっかく泊まったので、最後に食事はどんな感じかを軽く紹介しとこう。
夕食朝食とも、部屋のこたつでゆっくりと味わうことができた。
この宿には、鯉料理という名物料理がある。
写真左がそれで、「鯉の甘煮」というやつ。どっしりとしたコクのある味。鯉は苦手な人がいるとかいうけど、何がダメなのか自分にはよくわからないくらい美味しかった。
右のは桜肉。会津名物だそうで、これは別注文。
総じて華美過ぎず質素過ぎずで、非常にバランスが取れていた。それでいて味は二重丸。歴史と泉質に負けない実力を持ったお食事でした(^ ^)
それにしても、これはゼッタイまた来たい!と思える宿に久しぶりに遭ってしまった。
次はどこの部屋にしようか、と早くも思いを巡らせながら帰途に着いたのでした。

東山温泉のある谷筋が夜の帳に支配され出す頃、明かりの灯る客室を中庭越しに見る。
斜面に忠実に建てられた数寄屋建築が、絶妙のパースペクティブで、実に絵になる風景を見せてくれている。
暗くなるとともにその風情が一層増してくる。
そこに中庭に据えられた竹筒の灯りによるライトアップが始まる。

細工が施された竹筒から漏れるロウソクの明かりが、雪面に滲み出している。
ところ狭しと据えられた竹筒灯籠は、その数70本以上とか。。
最初は数本から始まって、好評を博すうちにここまでになったとか。
モノが竹なので、あまり長い時間灯すことができず、ものの1時間ほどのショータイム。まるで天体観測でもしてるかのような儚さだ。

この旅館の最大の資産である建築を借景としているからこその、魅力ある冬限定の演出だ。