コクーンタワー


life_772.jpg

前述の「繭の塔」には、そのまんま「コクーンタワー」という呼び名が付いている。
見るからに複雑な造形の印象があるけれど、これが実はすごくシンプルな発想に基づいている。

まず目を引く表皮の絹糸が絡み付くような無数の白い帯だが、近くから見るとわかるように、実は規則的な格子状の網目があって、そこにランダムに帯が張り付いている。
この規則的な格子は、このビルの骨格の一部を為している構造体。ランダムの帯は、ガラス面に貼られたグラフィックだ。

そしてこのビルの奇妙な形状だが、真上から見ると、実にシンプルなカタチをしている。
センターコアの構造体に、先程の格子状のフレームが3方から頂上で寄り添い合い、フレームとフレームの隙間は、ガラスのカーテンウォールで埋められている。
単純に言えばそれだけで説明がついてしまうほどの簡潔さなのだ。
それでいてこれだけの造形が創れてしまっていることが、とにかく素晴らしい。建物を平面に解くと、その凄さがよくわかる。

その理路整然としたシンプルな造形により、都市のシンボルとしての魅力的な形態を生み出す。シンプルな形態は、常に美的感覚の琴線に触れる。
生み出された時代は違えど、西新宿の主である東京都庁舎と同様の魅力が備わっていた。
一見まったく異なる雰囲気の両建築だが、シンプルな構成要素によるシンボリックな造形っていう面での完成度と魅力は、どちらの建築も群を抜いている。

ちなみに両建築とも実は同じ丹下事務所の設計によるもの。
ただ、都庁舎が巨匠丹下健三晩年の代表作なのに対し、コクーンタワーは息子丹下憲孝率いる第二世代丹下事務所の作品。
その事実抜きにしても似たような評価になったと思うが、何となく受け継がれたDNA的なものを感じざるにはいられないのだ。
2009/02/05(Thu) 00:38:50 | 以前のコメント

Re:コクーンタワー

バージュ・アル・アラブとは大きく出ましたね〜(笑

日本には地震や台風といった天災が豊富なので、建物ひとつ建てるにも、クリアしなければならない厳しい条件が存在します。
加えて、2000年近い独特の歴史文化が存在するわけで。。

それを踏まえながらも新しい形態(造形だけでなく機能的な面や技術的な面も)を追求していく。
その精神が結実してるものには、やはり感動させる何かがありますね。
1059(2009/02/07(Sat) 09:10:17)

Re:コクーンタワー

こうやって見るとほんと不思議な建物ですね。
建築関係の方には興味をそそられる建物なのでしょう。ほんと繭みたいっ。

こんな建物を最近どこかで見たなぁ〜と思ってたら、とある雑誌でみた
ドバイにあるバージュ・アル・アラブと言う最高級ホテルにそっくりだなと思いました。

建物っていうよりオブジェですね(^-^)
TSUYOSHI(2009/02/07(Sat) 00:54:14)
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