五浦で見つけた小宇宙
土曜の常磐ツーリングの続き。
阿字ケ浦からは東海原発の脇を抜けて日立市へ。
日立市街は幹線道路と生活道路が渾然一体となっていて渋滞気味。何も用事がなければ、高速で通過したいところだ。
辛抱して通過した後は特に混み合うこともなく、かと言ってスイスイ走れるわけでもなく、茨城と福島の県境付近までやってきた。
勿来の関の手前でちょっと寄り道。
太平洋にちょろっと突き出す五浦の岬に降り立つ。
突き出た岬には公園があったが、灯台はやや内陸に入り込んだ場所に立っていた。
不自然なまでに青い空だけど、実際真っ白な灯台とのコントラストが美しい。
モザイクタイルが張り巡らされた胴体は、透き通っているかのように純化されて、見る者を魅了していた。
五浦と言えば、明治期の美術家岡倉天心と、彼が創設した日本美術院だ。
近代日本の美術教育に尽力した天心が、自らの別荘地として五浦一帯の土地を所有し、日本美術院の絵画制作部門をこの地に設けた。
現在は茨城大学五浦美術文化研究所として、天心自邸と六角堂が保存、公開されている。
興味があったのはこの六角堂。
五浦岬から望んだ、周囲を海に囲まれた小さな茶室のような建物だ。
朱色に塗られた六角形の建物の壁面は、床の間になっている一辺を除いてサッシが取付けられており、六角形に配された畳の中心に座れば大海が眼前に一望できるという素晴らしい佇まいを見せている。
天心は晩年、自身がデザインしたこの六角堂に隠って、読書や思索に耽ったという。何てことない小さな祠のような建物だが、幾何学的な形状とシンプルな建築構成が、眼前に果てしなく広がる海原と対峙するに十分な永続性を表現しているかのようだ。
天心が宇宙の永続性の象徴として捉えた波が打ち寄せる五浦の岸壁と、無限の思索を生み出した六角堂との対峙が、このささやかなツーリングの一番の収穫だったかもしれない。
2007/02/04(Sun) 21:49:16 | 以前のコメント
Re:五浦で見つけた小宇宙
長文コメント全然オッケーですvクルマのこと、旅のこと、いくらでも話せそうな気がします。またそういう話大好きですし。
どんどんやりましょう!
えーっと、せっかくエクステリアの話になったので、新しいコラム立てますね。