前人未踏の山、その記録


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今年の秋に、トレッキングとして訪れた剱岳。
現在は僕のような素人でも何とか登れる山ですが、ほんの百年前までは、誰も登ったことが無い、登れない、登ることが許されない山でした。
明治時代末期に、その山をある測量士とそれを取り巻く山男たちが、自分に与えられた仕事として登った記録があります。それを新田次郎という小説家が世に広めた物語が、今夏映画として封切られたのが「劔岳 点の記」です。

この映画、原作を何度も読んでいたし、何よりも自分の故郷の山の物語なので、映画館で2度も見てしまいました。
その後、DVDとして発売され鑑賞していますが、これが何度見てもイイ!
美しい立山連峰の風景、孤高の霊峰「剱岳」を写す出すフィルムは、現地を知っているだけに感動の連続ですが、それ以上にストーリーの奥に潜む「信念」というか「姿勢」に、何度見ても感服してしまいます(涙

地位や名声とはかけ離れたところで、自分の仕事をあくまでやり遂げる姿勢。
正直、僕はただ与えられる仕事をやるだけでは社会的に偉いとは思わなかったのですが、それを成し遂げるだけの信念と精神力が伴った後に本質が見えてくるんだと気付いたような気がします。
自分に向かない、何で自分がコレをしなければならないんだ、そんな気持ちは現代を生きる若い人にありがちな論理ですが、少なくとも自分が信じている道を貫き通してから言えることなのではないかと、この映画、物語を通して感じます。

この頑固なまでの信念は、例えば相方がコレ見てまるで感動しない(てゆーか理解できない)ように、人によって性別によって全く相容れない考え方なのかもしれません。
ただ、少なくとも仕事という日常において、尾根伝いの足を踏み外せば真っ逆さまみたいな細い道?を歩いている(キャリア上の話ですよ)ので、物語上とはいえその信念には影響を受けます。

映画の中で、なぜ地図を作るのか、という本質的な問いを投げかけるシーンがあります。
地図を作るのが仕事だから、と言ってしまえばそれまで(それを極めることができればそれはそれで素晴らしいとは思うけど)ですが、どんな仕事でも本質に到達するのはとても難しいことだと思います。ただ真摯に与えられた仕事をこなす姿勢を描いたとも見える映画ですが、この本質に対する問いが、含みを持たせているようなカンジが。。それも現代の自分たちに向けて。
まぁその本質を追い求めるのが全てではないかもしれませんが、そういう信念が根本的には必要なのかもしれません。


若くして道に迷える多感な男性には是非見て考えてほしい映画ですね。
あ、剱の美しい映像も必見です。ホント、こんな場所が自分の故郷にあるっていうのは、今となっては手放しで自慢できるとこです(^ ^;
2009/12/26(Sat) 22:13:43 | 以前のコメント

Re:前人未踏の山、その記録

この時期、故郷の町から眺める立山連峰は最高です。
北陸の冬はほとんど晴れないので、いつも見れるわけではないのですが。。

写真のMacの壁紙にしてる剱は、剱沢の野営場から105mmで狙った写真です。
あの時は連日快晴で雲ひとつない状態だったんですが、初日の夕方に、霧状の雲が剱岳の胴体部分に舞った時間が一瞬だけありました。その時の写真です。
快晴時よりもどこか神々しい、近寄り難いほどの威厳に満ちた山容が、強烈なインパクトとして残っています。
1059(2010/01/04(Mon) 13:21:27)

Re:前人未踏の山、その記録

DVD、僕ももちろん買いました(^^ゞ
本当に何度見てもいいですね。撮影の記が1月に福岡で上映されるので見に行こうかと思っています。
ヤマケイのアルペンガイドの剣、立山連峰を買いましたがいつ見ても素晴らしい山々ですね。
いつも立山連峰を見て育った環境が羨ましいです。
TSUYOSHI(2009/12/31(Thu) 21:29:42)
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