紅葉の飛騨路、秋色の旅

 

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今年の秋口はぐずついた天気が続いたものの、10月に入った辺りから毎週末は好天に恵まれて嬉しい限り。
すでに奥志賀、廻り目平と、比較的近場で紅葉ドライブ&登山を楽しんできた。

奥志賀の紅葉は時期外れか何かで今ひとつ、廻り目平はドライブと言うより登山とキャンプが中心だったこともあり、純粋に紅葉ツーリングを楽しめないかと画策していた11月の初めの連休。
第3弾としてその紅葉ツーリングを目的に、半年を待たずして早くも購入後走行距離1万kmに達した愛機S2000を駆って、陽が明けたばかりの中央道を西へと向かった。

目指すは岐阜県、飛騨地方。飛騨と言えば今年の夏、郡上八幡ツーリングで訪れたばかりだが、熱心な読者はお分かりである通り、あの時は天候不順でメインのひとつだったせせらぎ街道は楽しめず、エスカレートする雨脚によってツーリングそのものを中断せざるを得なくなった。

あの時の無念を晴らすべく、早いうちからリベンジを画策。せせらぎ街道がドライビングビューの美しさのピークを迎えるという紅葉時期に照準を合わせ、夏のツーリングの続きをしようというわけだ。

幸い今回の週末は少なくとも雨が降る気配はない。
果たして無事リベンジを果たすことができるのか!?

 

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中央道から下りたICは伊那。ローメンの伊那である。

天竜川と木曽川が形成する2本の長大な谷間に挟まれてそびえる木曽駒ヶ岳。前者の谷に位置する伊那側から古い街道が通る木曽側に至る道は険しい。

その唯一と言っていいルートである国道361号権兵衛峠を経て木曽側の国道19号へとアプローチする。
以前は超タイトで目の前に動物が飛び出してきたりする スリリングな狭路だったが、近年権兵衛トンネルが開通し、山岳ハイウェイを経て容易に相互が行き来できるようになった。

   

トンネルができてからは初めて通る

かつて越えた神経をすり減らすルートの面影はなく、あっという間に山を越え、交通量の多い中山道をしばらく南下する。

木曽福島を越えて県道20号へ。御岳山へと向かうメインルート。

                                         
 

R361を使わず、敢えて県道20号経由で開田高原を通過しようとしたが、途中交差点で方向を間違え、御岳へと至る王滝方面への道を延々と深入りしてしまった。

それでも何となく風景で誤りに気付いたのは、以前御岳ツーリングで走った記憶が少なからず残ってたからか?

<<< 三岳村の中心部で予定のルートに復帰

県道20号に復帰した後、県道473号というマイナーなルートに入り込んでいく。

               
今回の目的地は飛騨地方だけど、そこに至るルートまで前回と同じとはせず、今回は開田高原経由のR361と考えていた。
R361と言えば、御岳の麓を通るルートでもあり、以前訪れたとき印象深かったワインディングに久々に訪れてみたいという気持ちもあって、早くも妙なルートに入り込んでいく。
                     
 

この県道、やたらと墓場の中を突っ切ると思ったら、御岳霊場と名の付いた一帯らしい。。
その物々しさに、写真は撮る気がしなかった。

それを過ぎると、それまで空を覆っていた雲が徐々に開け出し、青く澄んだ空が視界に入ってきた。

タイトなヘアピンカーブの連続で高度を上げていく。道路脇に唐松の落葉が敷き詰められて、道路景観的には独特の雰囲気。コーナーでは縁石を舐めるようで、クローズドコースのような趣がある。

                     
唐松のオレンジロード!?を登り詰めると、ぱっと開けた空間に出る。大きな広場を中心に、同方向に3つの道路が延びている。真ん中の道路には鳥居。御岳(中の湯)に続く登山道だからか。  
               

鳥居方面に行くと、霊峰ラインを経て御岳ブルーライン。その右のルートをとると、倉越パノラマライン。

立派な名前こそ付いてるけど、ほとんど通るクルマもいない超マイナーなワインディングロード。
特に今登ってきた道と霊峰ラインは轍が酷い。エスは車高落としていないから大丈夫だが、オーリンズ履いたEK9ではちょっと通過が難しかっただろう(以前来た時はまだノーマルの足回りだったのでOKだった)

それより何より心奪われたのがこの美しい唐松の紅葉である。
ここにきてすっかりと澄み渡った抜けるような青い空をバックに、黄金色に輝く木々で構成される森と山の色彩が美しい。

     
エスから降りて、その色彩を十分に堪能してから、倉越パノラマラインへと進路を取る。
 
           
 

倉越パノラマライン

紅葉した木々の色彩、落葉が敷き詰められた路肩、緑色を保つコマクサのよって、ドライビングビューは至極賑やかな印象。

落葉によって走行ラインは著しく狭められてしまっているが、通るクルマなんてからっきしいないので問題無し。

                       
   
結構高度を上げてきているので、植生にも独特のスッキリ感がある。極上の高地紅葉ドライブを孤独に楽しめるという点では、この上ないワインディングルート。
           
紅葉だけじゃなく、御岳や乗鞍といった名峰を眺めながら、ストップアンドゴーの迫力あるドライブも楽しめてしまう。
             
 

緩やかなS字コーナーをクリアした先には、急激な落差を伴うヘアピンコーナー。アウト側の視界は開けていて、乗鞍と思われる山塊が視界を覆う。

実はこのコーナー、当サイトのトップページを長らく担っている、EK9が佇む写真を写した場所なのだ。
ドライビングの楽しさを連想させるワインディングの1コーナー、その先には豊かな自然の中を駆け巡るツーリングの楽しみを表す山々が鎮座している。その背景を全身で受け止めながら、今にも走り出しそうなワインディングスペシャルEK9・・・

R styleのコンセプトがすべてこの1枚に表れているようで、大変お気に入りなのである。
EK9からS2000にスイッチしたことにより、この写真もS2000バージョンにしようかと思って、今回わざわざ同じ場所に立ち寄ったのだ。

           

残念ながら当時とは季節も時間帯も異なって、冬支度の整った風景にモロ逆光と、とても使える1枚とはいかなかった。
せめて逆方向から1枚・・・ってのが上の写真。うん、やっぱ構図はこの背後がイチバンだ。

再度夏にチャレンジしてみることとしよう。

ヘアピンを重ねて、やがて県道20号へと戻っていく。

倉越パノラマライン、結構いい道だと思うのだが、ツーリングマップルでさえ途中で途切れて表示されているだけに、走っているクルマは皆無。

御岳周辺のワインディングは、その秀逸な景色とは裏腹に非常にマイナーで、孤独感を味わうには申し分なかった。

   

県道に戻った後も、燃えるような紅葉の勢いは止まらず、コーナーひとつ抜ける度に感動しっ放し。
山は赤く燃え、葉は黄金色に輝いている。

御岳ってあんまり紅葉の名所とかでは聞いたことないけど、十分過ぎるくらい美しい景色が次々と現れる。
飛騨のついでに、と立ち寄っただけだったが、これは儲けモンだった。
本来の飛騨がこれを下回ってしまわないか不安になっちゃうくらい。。

 
                         

県道20号では曲がる箇所をミスして反対方向へ進んでしまうハプニングはあった(御岳周辺わかりづらいんだよなー)が、景色を楽しむうちにあっという間に開田高原を抜け、国道361号へと合流してしまった。

       
 
                   
長峰峠前のワインディング区間で、最後の御岳の勇姿を楽しみつつ、県境を越える。
岐阜に入ったら、いきなりもう高山市だった。平成の大合併で日本一広い市になり、こんなとこまで勢力を伸ばしている。
   

岐阜側に入ると、やたらと工事区間が続いた。舗装が剥いであるのはオープンカーにはツライ。前を行くバイクにとってもおそらくツライ。

このオレンジ色の彼、とても安全運転で、前がどーんと開けてもほとんどアクセルを開けることがない。
それに付き合ってるうちに高根ダム沿いの狭いトンネル区間になり、後方から年配の爆音ツーリング集団が追い付いてきた。

   
   

それに気付いたのか、オレンジ色の彼もペースアップ。自らのツーリングペースを乱されたようで少々可哀想だった。

2輪集団に先を譲ってのんびり走行。
高根の道の駅にピットインしてトイレ休憩。
名産品?の唐辛子を使った「うま辛王」なる調味料を購入。今晩の楽しみとした。

             
 

道の駅周辺の色付き具合もまた素晴らしかった。

先を急ぐと程なくして朝日村(今は高山市だけど)。ここで県道87号にスイッチ。混み合う高山市街をショートカットして国道41号久々野方面に向かう。

途中で早めの給油。今時カードが使えないスタンドだった(結構大きいのに)
燃料は必ずカード払いなのだが、離島含めて日本全国色んな所で給油したけど、カード使えないってここ最近ないんだけどな。(仙台には逆にボッタくる店があったが)

               

久々野でR41に出て一旦南下。道の駅「飛騨街道なぎさ」で相方がスタンプを押す。
岐阜県の道の駅は単独でスタンプラリーをやっている。それだけに県内の道の駅数は非常に多い。

その後すぐに訪れた「モンデウス飛騨位山」もそのひとつ。県道98号の小さな峠にあって、妙な場所にあるなーと思ったら、スキー場の駐車場&トイレを兼ねていた。

だからなのか、連休中だというのに閑散としていて、スキー場の広大な駐車場にぽつんとS2000。寂しいどころか、この蒼い空の下では非常に贅沢な気持ちになる。
アスファルトの上だろうが、大の字になってずっと空を眺めていたい衝動に駆られる。

そんな折に遠くから聞こえる小さなエンジン音。よく見れば、道路を挟んで向かい側には、こんな山の中にもかかわらず立派なラジコンコースが。

そのミニコースで、幾人かの大人たちがエンジンラジコンを器用に走らせている。僕もラジコンブーム世代のひとり。今はこうやって実車にハマっていても、そのミニチュアには今だに興味を惹かれてしまう。

               

県道98号をそのまま南下し、あららぎ湖を過ぎて位山峠を越える。狭い道とは容易に想像ついたが、それに加えて少々荒れ気味で、あまりオススメはできないルート。

萩原で国道257号にスイッチして清見・明宝方面を目指す。

 

馬瀬を過ぎた辺りから猛烈な睡魔が襲ってきた。。
決して走りやすい道とは言えないのだが、慣れとは恐ろしいもので、こんな狭い道でもウトウトしてきてしまう。

さすがにヤバくなって、森の中の喫茶店の駐車場を借りて休憩する。そこまでの道のりがほとんど記憶に残っていない・・・無理し過ぎては取り返しがつかないことにならない保証はない。明らかに引っ張り過ぎた自分に喝。

 

このR257、馬瀬〜清見村に入るまでは地図で見る以上に狭く、すれ違いが難しい。
どういうわけかトラックが多く行き来しており、対向してきたトラックに道を譲るため、延々バック、ってこともあった。

道が広くなって走り易くなると同時に、道端に大量のカメラマンが出没していた。周囲はイイカンジに紅葉している。

やがてT字路に突き当たる。左に行けば明宝村を経て郡上八幡、右に行けばせせらぎ街道だ。
当初計画では、ここらで1泊して早朝のせせらぎ街道ドライブを楽しむことにしていたが、思った以上にペースが良くて、まだ14時前という始末。とても停滞という時間ではない。
この辺りで寝床を確保するにしても、せせらぎ街道は走っておくことにした。気持ち良く晴れ渡った空が、明日も続く保証はないし。

       

せせらぎ街道

もの凄く混んでた・・・そりゃ東海地方随一の紅葉スポットだもんなぁ。県外ナンバーのクルマが道路上、道路脇にも構わず溢れている。

そんな観光シーズン真っ直中に行われる道路工事によって渋滞してしまう区間も。色付いた景色の中を走るのは気持ちイイけど、ちょいと騒々し過ぎる状況。

 
           
   

クルマを停められるだけのスペースは比較的多い方だけど、いいポイントはどこも既に埋まっている。
少し離れた所に停めて、しばらく散策する。

ここにきて空を覆ってきた雲によってしっとりとした紅葉風景となってしまったが、色濃く染まった木々の葉はどういう状況であれ美しいもんだ。

それにしても混んでいる。
今回の旅は夏のリベンジってことで、良い想い出を作った郡上八幡はパスして、せせらぎ街道から当初予定してたルートをなぞるイメージでいる。
前回雨で棒に振ったせせらぎ街道は今回メインのひとつなわけで、どうせなら静かな環境で紅葉ドライブルートを楽しみたい。
やはり今晩はこの辺りで停滞し、明日の早朝出発で、せせらぎ街道を楽しみ直そう。

                   

来た道を引き返して、これまた激込みの道の駅「パスカル清見」へとやってきた。
この道の駅には、ホテルやらオートキャンプ場やらが併設されている。当然狙いはキャンプ場。ただまずもってしてこの時期ちゃんと利用できるのかが心配。少々早い時間だが、早めに寝床を確保して安心してしまおうってことでキャンプ場に向かった。

・・・・・ゲートが閉まってた。。。
と思ったら、 ホテルのフロントで受付せいという看板が。言われる通りフロントでキャンプ場使用の旨を伝える。そしたらゲートを開けるリモコンをくれた。その代わり5000円近く取られた。。
こんな大仰な設備付けんでもいいから安くしてくれい。

                   
     

高いだけあってサイトはそこそこキレイだった。
サイトに来てみてびっくり。結構人がいるんだね、こんな時期にこんな山の中でも。
まーオートキャンプ場だから、大きなキャンプ道具で楽しむファミリーキャンパーばかりだが。

一人異質なクルマでやって来て、指定されたサイトで異質なテントを立てる。周囲の光景からすると、明らかに自分は異質な状態に見える。だから端っこのサイト指定されたんだったりして。

キャンプの準備ができたら再びエスに乗り込み、温泉に向かうことにする。
近くの温泉と言えば、明宝温泉くらいなもの。特に拘りのない選択だが、入れればいいだろう。

その明宝温泉の日帰り温泉施設である「湯星館」にやってきた。館内はやはり混雑を極めていたが、まぁ銭湯だと思って入浴。出てくる頃には薄闇になっていた。

ところでこの温泉にマトモに行こうとすると、飛騨美濃有料道路をほんのちょっとだけ通ることになる。それだけでも料金所を通過する必要があるので、結果的に往復通行料を払うことになってしまう。
たぶん旧道から行けばこんなことにならないはずだが、そんなことどこにもアナウンスされていないところに道路行政の陰謀を感じる。。

 
 

帰ってきたら早速夕食準備。本日のメインディッシュは、この道の駅の売店で買った明宝ハム。これを輪切りにしてフライパンで焼くだけという手抜きっぷりだが、これがまたウマイ!
昼間高根の道の駅で買った「うま辛王」をスパイスとして味わうと二度美味しいのだ。

前回に続いて米も炊いたが、どういうわけか最高の出来。芯も残らず焦げ目もつかずで絶妙の炊き具合。最近は計量とかほとんどせずに、経験と勘だけでえいやっとやってしまうほど手抜きしまくりなのだが、逆にこれくらい適当な方が料理音痴な自分にはいいのかもしれない。

     
   
2日目 / Touring S2000
   
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