2日目

6時にホテルを出て朝市を散策。観光客相手の側面の強い函館朝市。店の人との掛け合いや交渉が醍醐味なんだろうが、生憎僕はそういうの苦手なタチで、客引きが強引に感じて個人的にはあまり楽しめないのだ。

散策と言いながら、流し見程度でそそくさと退散。
早速エスのシートに座って函館の町を走り出す。

天気は曇りで今にも雨が降り出しそう。ま、この日は元から雨降りの予報だったから、ハナからウェットコンディションを楽しむつもりではあったのだが。

                           
       
                         
 

函館湾に沿った国道228号を西へ行く。
片側2車線のやたら道幅の広い道路が続く。この道幅の広さこそ北海道。土地に余裕があるってだけでなく、冬場に雪が積もった際のことを考慮しての広さだ。

そして周りのクルマのペースの速さ。軽四だろうがガンガンぶっ飛んでいく。本州的には無茶に等しい交通ペースも北海道を感じる瞬間。あぁ北海道に来たんだと実感した(笑

                         
                                   

2車線区間のうちに給油を済ませ、来るべき「北海道の道」に備えていると、片側単車線になった瞬間にそれは訪れる。
海岸線を行く渋い雰囲気のシーサイドロード。津軽海峡の寒風にさらされる山肌が寂しい。

松前に行くためにあるような海岸線の道であり、函館から江差以北に向かうには国道229号というショートカット路があるため交通量は少ない。

北海道に入って最初の道の駅は「しりうち」。青函トンネル北海道側最後の地上駅、知内駅に隣接している。

当然まだ営業時間外。当然便所は使えるけど、それより問題なのはスタンプラリーのスタンプが押せないということ。以前は営業時間外でもスタンプが押された紙を持ってけるようになっていたが、マナー違反が横行したのかそういう制度が廃止になっていた。それとも単に全駅制覇者が多数なためにハードルを高くしただけ!?

相方がスタンプラリーみたいのが大好きで、北海道ツーリングの醍醐味にしていたらしいのだが、しょっぱなからスタンプgetできず。この次に続く「横綱の里ふくしま」も同様。
一般の人が動き出す前の早朝の内から動き出すツーリストにとっては、結構痛手なルール変更である。
                     

アスファルトを叩き付ける雨は激しい。
白黒の高級車が後ろをついてきたので、駐車帯で潔く道を譲る。すると後続車も駐車帯で雨宿り。ではなく、獲物を狙ってスタンバイだ。

なかなかイベントのない北海道の田舎では、彼らはこうやって暇つぶしをしているので要注意だ。

 
                     
   

白神岬

北海道最南端の岬だけど、覆道入口の道端に駐車スペースがあるだけのあっさりしたもの。気を付けてないと通り過ぎてしまうほど存在感が無い。だからここに停車するのは、たぶん初めてのような気がする。

分厚い雲に覆われた津軽海峡の向こうに龍飛崎を望むことはできなかった。

                                         

松前から上ノ国までの50km少々の区間は、道南の中では割と珍しく北海道らしい何も無い風景が楽しめる、結構お気に入りの区間だ。

とは言ってもそれほど頻度高く走ったことがあるわけでもなく、前回は確か7,8年前の夜中に通過したことがあるのが最後で、明るい時間に走った経験となると、更に遡ることになる。

久しぶりの走行は残念ながら雨天で、丘の向こうは雲に隠れている。楽しみにしていた区間だけに、わかったていたとは言え、少々残念だった。

 
     
 

それが道の駅「上ノ国もんじゅ」に着いたら突然晴れ間が差してきた。と同時に気温も一気に上昇していくのを感じる。
福岡ナンバーの92レビンで現れた初老の夫婦に「今日も暑くなりそうですなぁ」と声をかけられる。
それまでの気候を考えると何言ってるんだと思いたくなるほど肌寒かったのだが。

道の駅は営業準備中で、ようやくスタンプ帳を購入できた。(最近は有料なのである)
早速1つ目のスタンプを押す。道内には何と100駅もの道の駅がある(2007年現在)。僕が最初に北海道の道の駅スタンプラリーしたのは1997年でちょうど10年前。この時はたしか40数駅しかなかった。それが今や倍以上である。
ちなみに97年は唯一全駅制覇した年でもあるのだが、もう一度となるともはや一筋縄ではいかない量になってしまっている。。(あの時代に制覇していてよかった)

         

上ノ国で遂に今回の旅初めてルーフオープン。江差で一瞬雲行きが怪しくなったが、再び空は明るくなる。そこからはもうずっとオープン状態での走行になった。予報ではほぼ1日中雨みたいな感じだったけど、早くも好転していきそうな気配。。いい傾向だ。

厚沢部で国道229号に切り替わるが、相変わらず日本海に沿って北上を続けているのには違いない。
この辺りは道の駅銀座でもあり、スタンプ押すためにちょこちょこ止まることになって時間的効率が悪い。

オマケに上手いことかわしたトラックに、停車中に追い抜かれてまた抜き返すみたいなことを繰り返してしまう。
また、同じようにスタンプ帳を埋める為に道の駅に寄っているキャンピングカーと各駅で遭遇するなど、周囲の交通に代わり映えがしない(笑

R229は大成から一旦内陸に入っていく。北海道に来て最初の峠越え。峠付近は雲がかかっていたが、下りになると晴れ間も覗き始め、高速のコーナーをハイスピードで駆け下りた。

                                 
                 

北檜山の町に入ってコンビニ休憩。

北海道と言えば、セイコーマートである。道内のどんな小さな市町村でも、1件は必ずある(ような気がする)地方限定のコンビニエンスストア。

コンビニだけどスーパーマーケット的な雰囲気は以前と変わりない。ザンギを買ってブランチ。この後行く先々で幾度と無くセイコマにお世話になることになる。

                                 

北檜山を出発してすぐに瀬棚。海沿いの漁村風景も、どこか本州とは違う風情を醸し出している。

瀬棚から島牧までは、断崖絶壁をくり抜くトンネルが連続する。
以前、道内でトンネル崩落が相次いだ際に、多くのトンネルで点検整備が行われていたため、道内のトンネルは驚くほどに仕様が高い。

 
                             
             
                 
  近付けば近付くほど目も眩むような断崖が、ストンと日本海に落ちている。その岩肌をくり抜いて通されているトンネル。
                 
             
空を覆っていた雲が晴れ、ここにきて完全に夏の空へと変貌していった。
延々と海際を走り続けるシーサイドルート229。信号も交差点もまるで無く、タイトなコーナーも少ないので、ほとんど6速ホールドのまま巡航していく。

目を見張る断崖絶壁と共に、無数の奇岩怪石が波打ち際に現れてきて飽きることがない。起伏もコーナーもほとんど無いに等しいイージーコースだが、不思議と走ってて気持ちの良い区間だ。

弁慶岬、雷電岬と、景勝地が続くが、この後にはもっと重要なスポットが控えているので、潔くカットする。
岩内港近くの道の駅「いわない」 に到着したのが13:30。ここから一旦シーサイドロードに別れを告げ、岩内の内陸側にそびえるニセコ連峰へと足を向けることにした。

               
                   

岩内から延びる県道66号が、ニセコパノラマラインだ。
カタカナ名の山々の合間を縫って蛇行し、様々なリゾートエリアを連絡する山岳ワインディングロード。今考えてみると、こんなにタイトなワインディングは、道内にはそうそう無いような気がする。外地(北海道の人は道外のことをこう呼ぶ)には全然珍しくないような道なのだが。

町を出た瞬間から、広大な畑が広がる中をぐんぐん登っていく。と思ったら、あっという間に山の中。

         
 

その山の中は完全に雲の中だった。
どこまでも濃くなっていく白い煙幕のような霧に視界を奪われる。道内きってのテクニカルワインディングロードもこれでは走ることができない。

こんな状況でも走ってるクルマが結構いるのは、やはりリゾート観光地。視界の効かない道路を前に、次々と道を譲られる。
こんな状態では、神仙沼も鑑賞するどころではない。

 

前にクルマが現れる旅に譲ってもらっていたが、トロトロと走る1台のセダンはついぞ譲ってくれず。余裕が無いわけでもなさそうで、単に気付かないのかなんなのか。。

そのまま峠らしきピークを迎える。
するとそれまで視界を阻んでいた霧が徐々に晴れ出した。分厚い雲の向こうには一面の青空が!

   

それまでの天候がウソのように、全く正反対の視界が遥か遠くまで広がっていた。日本海から流れる気流がニセコの山々に当たって雲となり、逆にニセコ高原の方には流入してこない、そういう寸法なのだろう。

何はともあれ、ようやくこの上ない晴天に恵まれ、気分が高揚してきた。天気予報では今日一日雨だったわけだし、凄くラッキーな気分。

パノラマラインはニセコ側で県道66号と58号に分かれる。前者はニセコの町、後者は倶知安に下りていくルートなのだが、メインルートはどっちかって言うと66号の方だ。

更に、この2つのワインディング沿いには数多くの温泉が点在していて、どれもかなり高レベルな良い温泉なのだ。
ほとんど温泉郷と呼んでも差し支えないくらいの充実度。北海道でこれだけ温泉が密集しているのは、ここと屈斜路湖畔くらいなものだろうか。

                   

ニセコ五色温泉

その中で今回訪れることにしたのは、58号沿いのニセコ五色温泉だ。ニセコの温泉の中でもかなり知名度は高い方ではあるが、今まで訪れたことが無かった。
当時ニセコと言えば、決まって湯本温泉の国民宿舎雪秩父が定番だったのが大きな理由だ。

北海道の中でも秘湯の誉れ高い温泉だったが、何年か前に改築されて、一般の人にも抵抗無く薦めることができる温泉宿になっている。

ロッジ風の建物には新しくできたと思われる男女別の浴室はあったが、そこは温泉クラブ発祥の地(!?)北海道の湯旅、昔から残っている混浴の露天風呂で入浴してみた。

明らかに「残した」感じのする佇まいで外からも丸見えな露天風呂には、歴史も情緒もしっかり残っている。
入浴客は僕ひとり。グレーの硫黄泉はやや温めで、夏場の暑い時期でもしっかり長湯が楽しめた。
ただ、正直ウワサが先に立ち過ぎているような気がしないわけでもなく、期待過剰だったかも、というのが偽らざるホンネといったところである。

         

湯上がりに火照ったカラダを冷ますべく、ニセコパノラマラインの絶景地で一休み。ニセコ高原はそれまでの行程の天気がウソだったかのような晴天に包まれている。

その後、県道58号を走って倶知安で国道5号へ。
岩内の手前まで戻って道道経由で再び国道229号へと復帰する。

           
泊原発を通過して神恵内。神恵内にはもうひとつ入っておきたい温泉があった。

神恵内温泉 リフレッシュプラザ温泉998

国道から積丹半島をショートカットするように通っている当丸峠への道の途中にある村の入浴施設。当丸峠はEG4時代結構走った道だけど、この温泉、いつも気になっていながら立ち寄ったことはなかった。

不思議な名称は、道道998号沿いにあるから。ユニークなのは名前だけでなく、泉質もなかなか個性的だ。
黄褐色の温泉は、海水より更に濃い塩分を含んでいる。当然非常に塩辛い上、祈出物の量も非常に多い。
施設自体はそんなに大きなものでもないが、温泉のチカラは一級品。濃いーのが好きな向きには堪えられないだろう。

 

北海道を離れた後に、あー入っとけばよかったなーって思ってた温泉に立て続けに入ることができて満足だけど、その分時間が押して、神恵内村を出た頃に既に17:00。
この日は函館から日本海側をR228とR229で北上しているだけ(ニセコには寄り道したけど)なのに、随分と時間かかるものである。

神恵内からは積丹半島を周遊する、道内でも屈指のシーサイドロードが待っている。ほんの10年くらい前までは、積丹半島を一周する国道はまだ開通していなかった。
それだけ険しく、かつ優れた景観がまだ残っているエリアなのだ。

       

新しい道路だけに道幅は広く、見通しもいい。ただ、以前に走った印象とは何かが違う。トンネルの数ってこんなに多かったっけ??

それだけじゃない、異様に長いトンネルも追加されてるような気が・・・確かに断崖絶壁をくり抜いたトンネルが連続するルートではあるが、それにしたって明らかに走ってる印象が違う感じ。

                           
                 

どうも数年前の台風被害で、所々ルート変更を余儀なくされたみたいだ。

神恵内〜余別のこの区間には、道の駅「オスコイ!かもえない」が存在してるはずなのだが、台風被害で閉鎖中とスタンプ帳に書かれてどういうことかいな、と思ってたら、その道の駅自体新しく掘ったトンネルですっ飛ばしてるみたいだった。

           

神威岬

積丹半島のハイライトは、何と言っても神威岬だろう。半島の先端に突き出す岬の先端に行くには、駐車場から写真のような歩道を片道20分程歩いていく必要がある。

ここは札幌から半日ドライブするにはちょうどよくて昔はよく(デートで)来たのに、そんなことすっかり忘れて、心の準備無く歩き出してしまった。。

 
         
   
     

雲が低く垂れ込めてて、岬での眺望は期待できないかな、と思ってたけど、一応ちゃんと見えた。
もう18時近いし曇ってるし(ニセコは晴れてたけど、日本海沿いはやっぱり天気イマイチなのだ)、せっかくのシャコタンブルーも今ひとつの輝き。

来た道をまた黙々と戻って、再びR229を行く。

積丹岬の分岐からすぐ北が余別の町。神威岬に最も近い半島先端部のこの町は、かつて合宿で幾度か訪れた町でもある。
それは決まって真冬で、合宿というより監禁に近かった。。
積丹の冬は想像を絶する。当時よくこんなとこに車高短シビックで走って来たもんだ。

今となっては遠い思い出が微かに残る町余別の国道沿いの民宿兼食堂で、積丹名物のウニ丼を食べた。甘くて美味しい。フツーに美味しい。味覚オンチな僕には、きっと勿体無い(笑

地のモノだからといって別に安いわけではない。けど、地でしか味わえない味なんだろう、たぶん。(やっぱり僕には勿体無い)

   
   

神威岬の他にもう一ヶ所、積丹岬も抑えておくべき景勝地だが、生憎の天気でせっかくの夕日も見れないことだろうし、何しろもう日が暮れそうなので割愛した。
・・・のに、通過中に背後を照らす夕日が眩しかった。。。

この日は出発時に函館で給油してそれっきり。すでに500km近く走っており、燃料の残量がかなり気になってきた。
高いギヤでアクセル一定のエコドライブに切り替え。たぶん小樽まではもつはず。

積丹の町、古平、余市を通過。遂に大動脈国道5号に合流。そこでセルフスタンド発見。迷わず滑り込んだ。
給油中、スタンドの店員がまじまじと僕のエスを眺めている。
「S2000、いいですねぇ。。好きなクルマなんですけど、北海道じゃほとんど走ってないですから。。」
へぇそぉなんだ。。その後意識してエスに遭うか数えてたけど、結論言うと遭ったのは合計3台。まー都内でもそんなに見るクルマでもないですが。。。

給油後はエコラン中止(笑
拡幅工事が進んだR5で小樽入り。時間は20時。本日はこの町で停滞だ。
直前に押さえたビジホにクルマを停めて、小樽運河へと繰り出した。(1台目のS2000はこの時見かけた)

   

小樽

言わずと知れた小樽運河。明治期小樽が北海道の金融の中心だった名残を忍ばせる歴史的建造物と、物流を担った倉庫が運河周辺の街を彩っている。

 
 
                   
    運河のほとりと、倉庫街を散策する。ゆったりと流れる時間、光に照らし出される街のうつろいは、海岸線をひたすら駆け抜けてきた疲れを癒すには丁度いい。
                   
     
           

運河沿いの倉庫は、大抵レストランが入っている。その中で、小樽の地ビールが飲めるビアホールにやって来た。

来るのは初めてではないんだけど、クルマでしか来たことないし小樽に泊まるという状況も今までなかったことなので、ビアホールなのにビールを飲んだことがないのだ。。。それだけにもう一度来てみたかったのだ。

 
                             
母体がびっくりドンキーなのでそれっぽい雰囲気だけど、ドンキー自体好きなので全然OK。
それより古い倉庫を改修した空間が贅沢にも感じられて凄く居心地がいい。
                             
                       
                             
3種のビールはどれも美味しかった!
地ビールはやっぱり蔵出し(って言うんだろか?)立てが最高だ。飲み頃の温度のビールがタイミング良く出てくるのは意識的なのだろう。こういう配慮がビールの味を引き立てている。
ほろ酔い気分で雰囲気を楽しんでいると、ステージでライブが始まった。そう言えば昔来た時もジャズライブしてたっけ。
始まったのはヒーリングミュージックみたいなそういう類の演奏だった。
       
思う存分ビールを味わい、満足して店を出た。
小樽の街は既に眠りつつあった。歴史的建造物や手宮線を見ながら宿に戻る。
その日は深夜にF1があったので、半分寝ながら観戦した。
   
   
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