能登半島2007 /半島内陸部横断ドライブ

 

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夜が明けたら、どんより薄暗い空が広がっていた。幾重にも重なった細かい雲によって、辺りは一向に明るくなる気配はない。

眼下に能登半島先端の集落、狼煙(のろし)を見下ろすテントサイトには、終始穏やかな風が吹き込んできていたために、前日びしょ濡れになってしまったフライシートもすっかり乾き切っている。

連休中だというのに相客は一人も現れず、寂しげな林間サイトは静寂に包まれていた。

                       

禄剛崎灯台

キャンプ場を撤収し、前日来た道を少しだけ戻って狼煙の駐車場にクルマを停め、禄剛崎へとやってきた。
早朝にまずここに訪れるパターンも2002年と一緒だ。

能登半島先端の灯台はもちろん健在だった。
前回と違うのは天気。2002年はこの上ない青空だったが、今回はこの通りだ。
まぁ時間が経つにつれて徐々に雲は切れていったけど。

 
     

正確には最北端でも最東端でもないのが地図から見て取れるけど、それでも能登半島の「角っこ」に位置するのは間違いない。
地理条件からして、日の出と日の入が両方見られる岬なんだそうだ。

今でこそ能登空港なんてものまであったりするのだが、ちょっと前まではあらゆる交通手段を使っても、首都圏からの時間的遠さが最も遠かったのが能登半島(だった気がする)

その先端のこの禄剛崎なんて、一般的な感覚からすれば気が遠くなるほど遠い、という感じかもしれない。

     
                         

クルマ旅に限定すれば、いくらでも遠い場所はあるので、能登は普通に遠い、という感覚になっちゃうのだが、やはり先端という深淵部に到達したという感慨は大きい。

それが二度三度となっても変わらないような気がする。

   
     
                                       
     
               

灯台へと至る急勾配の遊歩道から見下ろした狼煙の集落。黒い瓦屋根が密集して建て詰まっている、能登の漁村の典型的な風景だ。

方角的には、その向こうの半島の中程の天辺に、昨晩幕営した山伏山キャンプ場があることになる。

                                                   
       

エスに戻って県道28号を再び時計回りに走り始める。

山伏山キャンプ場付近はちょっとした峠道になっていて、林間にタイトコーナーが連続する。
小気味良く走ってこれをクリアすれば、再び海沿いの港町を繋ぐ周遊ルートになる。

   

前回同様ひたすら海岸線をトレースするなら、このまま内浦へと回っていくのだが、前回同様ということは、能登半島の内陸部は未体験ゾーンなのである。

てなわけで今回は、外浦のみでシーサイドは終了。残りは半島の背骨を走るルートを選択することにした。

   
             
 

能登半島が最も東に突き出た辺りから、珠洲道路に入り込む。

この珠洲道路とは、内灘〜穴水を結ぶ能登道路の延長のような感じで先端の珠洲市に至るルートのようだ。
地図上では、それは県道だったり農道だったりと様々。ほぼ直線的に珠洲に至っているところから、単純に能登半島を横断する際に有用な幹線道路的な役割を担っているのでは、と推測できる。
だからツーリングには不向きかもしれないのだけど。(^ ^;;

珠洲道路に入った瞬間、ぽつぽつと降ってきてしまった。

                 
 

途中、サークルKで朝食休憩。昨日小矢部のサークルKで食べた物と全く同じ物を食べてしまった。

国道249号との交差点で右折。さらにすぐに県道285号に入る。この道から珠洲広域農道に入り、能登半島の背骨のワインディングを楽しむつもりだったが、なぜかこの農道、地図の絵柄に反して県道と立体交差していたために、スイッチする機会を得ることすらできずに通過してしまうことになった。

                     

その後引き返すこともせずに突き進んでいると、道路は狭い峠道になってきた。前走車もいたので、一応道は確保されているんだろうという予測のもと進んでいく。

 
                                     
                 

と、そんな折にメーターが40000kmを刻んだ↑

峠を越えると、今度は山中の田んぼや畑や民家の合間を縫っていく狭い畦道な道路になっていく。

秘境っぽい存在の能登半島だけど、険しい地形は内陸部には少ないようで、結構隅々まで人の気配が感じられる。

   

珠洲広域農道

県道285号は、昨日敗退した鰐崎に出てきた。しばらく外浦の海岸を走り(結局半島を縦断してしまっていた)、国道249号を内陸に戻るルートを取る。
大谷峠を越えて下っていくと、今度はちゃんと農道との交差点があった。

これを右折して、晴れて珠洲広域農道へ。

 
 
                   

走り出しから道幅の広い2車線、ストレート主体の直線的なコースアレンジの雰囲気プンプンだったが、走れど走れどその特徴に変化はなかった。

農道とは名ばかりの高速ワインディングロード。尾根伝いを走っているような伸びやかさ。交差点がほとんどなく、その代わり登ったり下ったりのアップダウンが激しい。
それが高速レンジを維持しながらのダイナミックなドライブを許容してくれる。気持ちイイ!

その割に全くと言っていいほど展望は開けないので、写真を撮るようなポイントは無かった。高めのギヤで勢い任せに走り切る。

走ってるクルマもほぼ皆無に近く、R249の分岐から柳田で珠洲道路に吸収されるまで、かなりの距離があるはずなのに、所要時間はあっという間だった。

見事なまでの快走スカイライン。海岸線をトコトコ走っていくのが能登半島の醍醐味だけど、こんな豪快なコースも捨て難い。

 
   

珠洲道路に合流すると、飛躍的に交通量が増えた。やはり能登の幹線道路的役割を担っているようで、トラックや商用車の類いが目立つ。

道路は非常に道幅の広い2車線路で、峠だろうが何だろうが、これまた非常に直線的だ。
しかし珠洲広域農道とは違って交通量が半端じゃないので、同じような道路構成でもこっちは面白く感じない。時間がない時の短絡路的ポジションの道路だ。

             

県道37号

道の駅「桜峠」で小休止した後は、ツーリングには不向きの珠洲道路と袂を分かち、県道37号を使って内浦方面へエスケープ。

渓流沿いにうねる狭い田舎道で、民家や田んぼの隙間を通っていく。
古い民家の前で立ち話をしている人、畑仕事をしている人、稲刈り真っ最中の田んぼ、里山を背に鎮座する立派な民家。そのどれもが、そこにあるのが当たり前の風情で展開していく。ここ以外では当たり前ではないことを知っているから、ひとつひとつの景色が心に沁み入る。

               
 

県道34号

国道249号に出て鵜川から県道34号へ。
能登島が浮かぶ静かな湾口に面する漁村集落をトコトコ走る選択だ。

2桁県道だけど、道幅の広い区間はほとんどない。走破するのにも時間がかかる。2002年に走っていて、そんな印象が残っている。

                               

しかし同時に、凄く良かった印象も残っている。
能登半島のスローでローカルな雰囲気を肌で感じることができる、味わい深いルートなのだ。

外浦と異なって、ほとんど波立たない内海に面しているので、そんな雰囲気が余計に助長されているのかもしれない。

 

絶えることなくいくつもの漁村を繋いでいく。集落の中の道路はすれ違いが困難で、バスが対向してきたら、すれ違える場所までバックバック。

そもそもワインディングなんかではなく、風景を噛み締めながらトコトコ走る道路である。スローなドライブが実に心地良く感じられる時間。。

   
 
     

甲の集落を過ぎた辺りから、そこまでの漁村の風景は消え去り、海と緑と静寂に支配されたコースに様変わりする。これはこれで雰囲気があってイイ。

最後に再びR249に合流するまで距離は大したことがないのだが、やはり時間はかかる。
しかしここでしか味わえないような空気感があるのもまた事実。静かな能登の漁村風景を堪能するなら、間違いなくこの県道34号だろう。国道の交通量や観光地の喧噪等全く無縁の、能登の本当の空気を味わえる貴重なルート。オススメしたい。

               
 

R249で穴水を通過。そのまま国道に沿って南下する。
穴水〜中島間は完全なシーサイドライン。前方に能登島を見ながら走る。能登道路を利用しないクルマのメインルートなので、交通量はすこぶる多い。

中島から農道に折れて能登島方面へ。

 
                     
         
               
      ツインブリッジのとで能登島入り。
能登島はあと能登島大橋でも繋がっているので、離島というカンジが全くしない。
               
         
                         
 

能登島ではどこに向かうか全然頭になかったので、とりあえず道の駅がある方向に青看に従って走る。地図上ではどこを走っていたかイマイチ判然としないが、随分豪快な道が多かった気がする。

しかし着いたところで気が変わって、途中看板で見つけた日帰り入浴施設に行くことにした。

     
                                               
       

ひょっこり温泉「島の湯」

島の湯の意味はわかるが、ひょっこり温泉の意味はわからない。それはさておき、久しぶりに風呂である。入りたくて仕方なかった。

しかしこの手の温泉施設に過剰な期待は禁物である。やはり期待しないでよかった。まぁ風呂に入れたという意味では満足なんだけど。

                                               
 

能登島大橋で早くも能登島を後にする。
橋を渡りながら、右手に和倉温泉の大温泉街が望めた。・・しまった、和倉温泉に行って温泉入れば良かったじゃないか。。orz

再びR249で七尾市街へ。
七尾からは国道160号で富山湾沿いに出る。

   
                               
     
                       

七尾の道の駅でソフトクリーム休憩。

いよいよ能登半島も、富山湾側の付け根に向かって南下するのみ。
ここにきてようやく青空らしい色彩が広がってきたが、以前雲の多い空模様である。

せっかくの能登立山シーサイドラインも、ちょっと爽快さ半減かな。

追い越し禁止の2車線シーサイドロードを走る。
富山県に入っても様相はさほど変わらない。
ただ、氷見に近付くにつれて、温泉民宿のような建物が連続して道路沿いに現れる。

氷見市街をバイパス状に通過するR160は、ここから片側2車線になって高岡まで続いている。
高岡から国道8号。立体交差を駆使して一気に富山市へ。

   

実は前日に富山の実家から妹の出産報告を受けていたため、急遽病院に向かって生まれたばかりの姪っ子と対面を果たすことになった。オレもいよいよオジサンか〜〜(- -;

富山に停滞している間、市内はバケツの水をひっくり返したような土砂降りになった。道路と駐車場がみるみるうちに冠水して、危うくエスを沈めてしまうところだった(汗
実家で夕食をゴチソウになって再出発。日付が変わった頃に練馬ICを通過して無事帰還を果たす。

   

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というわけで、2007年度版能登半島ツーリングは終了。
今回はリバイバルと言いつつ、できるだけ2002年を意識せずにマッサラな気持ちで走りたいと思ってったんだけど、ポイントはやはり重なる傾向が。。。まーイイもんはイイので仕方ないでしょう。

能登半島のワインディングでオススメなのは、No.1が県道38号である。県道28号と外浦の国道249号ももちろんイイ。能登の素朴にして豪快なシーサイドロードはやはり良かった。周囲の風景の味わいとワインディングの楽しさが渾然一体になって印象に残るのが、能登のワインディングロードである。

また、能登半島の素朴な漁村風景を辿る旅ルートも忘れてはならない。
外浦の県道49号と内浦の県道34号が、その代表選手である。能登半島には、その交通不便な地理条件が作用してか、そこにしかない地域の特色が比較的色濃く残っている。日本の原風景とは言い過ぎかもしれないが、そんな風情を感じながら旅ができる場所が、日本の真ん中近くに残されているのが貴重だ。

 

能登半島が強烈なので忘れてしまいそうだけど、1日目の有峰林道は昔の記憶とは裏腹にかなり楽しめた。
自分で運転して、森の中をトレッキングする気分で走れば、かなり満足できるワインディングである。
また、トレッキングコース(本当に歩く方の)や、薬師岳の登山道入口なんかもあるのでいろいろ楽しめそう。ただし門限(通行可能時間)があるので、昼間しか出入りできないので注意が必要だ。

僕のようなツーリングが好きな人にはオススメ。国道471号&472号も同様。あんまり狭い道とか速度の出ない道を好まない人には勧められないかな。
ずっと対策強化エリアになっていた富山県山岳部の一部を走れて満足だった。

 


能登半島にはまた訪れたい!という気持ちにさせる何かがある。きっとまた訪れることだろう。
その日が来るのを心待ちにして。See you !

   
2日目 / Touring S2000
                                                   
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