国道152号 /分断国道による南信州縦断ツーリング


                                           
   

一夜明けて6時頃出発。気田川沿いの県道286号の狭路をウネウネ走って国道152号へ。

見通しの良い幅広の2車線路が続く。
前のクルマに追い付いてしまったので、路肩にクルマを停めてルーフをオープン。外の空気はひんやりとしていて気持ちがいい。

龍山村を過ぎると秋葉ダムがあり、そこから水量豊かなダム湖状の天竜川を横目に走ることになる。
それにしてもダムの多い川だこと。。

                           

右斜め前方の山から陽が昇りつつあるが、湿度の高い空気は相変わらずひんやり感抜群。

天竜川(ダム湖)沿いのR152は、ひたすらにロングストレートが続く。朝からギャィィィーンンンとVTEC唸らせてストレート加速を楽しむ。

国道473号との分岐までこれが続いた。なかなか爽快な気分。 単純にスピードを上げるにしても、エンジンの軽さ、車体の剛性感、足回りのしなやかさ、全てが揃ってこそ感じられる気持ち良さだね。

                                           
   

重複区間が終わると、道路は急激に森に飲み込まれていく。

しばらく走っていると、比較的開けた町の中を走る。水窪町の中心で、自販機で缶コーヒーを買ってみたり。

んで更に谷間の道路を奥深くまで進んでいく。

                   
       

突如として、高規格な高架が現れる。
国道表示は無く、特に地図で確認することなく、その測道の狭路へとクルマを進めていく。

 
 

ちょっと躊躇っちゃうような急勾配の狭路が続いていた。路面も荒れ、明らかに不穏な雰囲気。

途中、道端に停車していた人が奇異の目をこちらに向けている。
やべ、道間違えたかな・・・

適当な空き地にそろりと入り込んで地図を確認。どうやら思い込み違いで、やはりR152探索ルートから逸れてしまっていたようだ。

この獣道並みの悪路は、青崩峠へと向かう道だった。この峠、本来ならR152が越えるべき峠なのだが、クルマでは越えることができない不通区間。なのでこのままいくら進んだところで行き止まりになってしまうのだ。

当然の選択として、ここで引き返す。静岡県と長野県を隔てる青崩峠を越えられなくとも、ちゃんと迂回路が用意されているのだ。

   

兵越林道

さっきの高規格の高架まで戻ってその橋を走り、トンネルを抜けるとR152は一旦途切れてしまう。
代わりに兵越林道というルートが途絶えることなく続いている。

       
         
林道というイメージとは裏腹に、凄くキレイで走りやすい道路が続いている。
渓流沿いに直線路が続くイージーなコース。
   
           
     
             
     

あっという間に兵越峠に到達。
R152の青崩峠が不通なので、こちらが交通を担っているだけに、案内板やら行き先板やらが充実していた。

             
     
   

そんな歴史ある名峠を越えた直後から、むむむっと唸ってしまうほど絶景が展開を始めた。

静岡県側だって結構な山奥を走っていたが、信州側は雄大な山岳風景を楽しめる豪快なルートにその印象がイキナリ変化するのだ。

         
   

眼下に広がる名も無き峰。道路はガードレールも無く、抜群の高所感をもってしてその景色を楽しませてくれる。

方角位置関係としては、昨日通った天竜川沿いの県道1号富山村以北辺りを眺めていることになる。
深い谷間を形成していた地形は、この山の向こう側にあるはずなのだ。

                       
   
                       
イージーだった静岡側に対して、長野側の下りはタイトコーナーを含む典型的な山道だ。道幅も狭いだけでなく落石も多いので、路面状況は慎重に把握しながら進んでいく。    
                       
           
                               
     

林の中を下りていく舗装林道を走り続けていると、ひとつの分岐に遭遇する。振り返ると、←の看板が。。。

青崩峠の反対側に出てきたみたいだ。

 

×印が付けられている方向に目を向けると、明らかに使用頻度の低そうな、荒れた舗装面が森の中へ消えていた。。
その手前には、古びた国道152号の表示。更にその先には「通行不能」の看板。寂しい限りの、まさに「酷道」である。

100番台国道で未だ不通区間を残していることに加え、それを迂回する林道が存在していることが、国道152号をツーリング界の有名ルートに押し上げているような気がする。これが青崩峠1ヶ所に限った話ではなく、このあと再び登場するのだ。

     
 

国道に戻ってからもしばらくワインディングは続き、ハンドリングとアクセル操作のコンビネーションを楽しむ。

いつの間にか下界に下りて来ると、まずは国道418号との分岐が現れて、すぐに南信濃村の中心部へと入っていく。

   
     

昨日は温泉にありつけず、汗を流さずまま2日目の朝を迎えていた。夏場にオープンで汗ばみながら走っているカラダは、さすがに放ったらしにするには限界があるってもの。

日帰り入浴の施設があれば、何でもいいからすぐに風呂に入りたい!と思ってたところに、うまい具合に新設の道の駅があって、温泉施設が併設されていた。

しかしこの時点でまだ8時過ぎ。冷静に考えれば、こういう類の施設がそんな早い時間から営業してるわけがない。

   
         
渋々入浴は諦め、銅像前の源泉を飲泉してみる。たまご味で、強く硫黄分を感じた。入浴してみたかったなぁ。
 
 

その後もR152をずんずんと北上していく。
細い道が続いて対向車に気を付けながら走ったかと思うと、今度は見通しの良い直線路主体のコースレイアウトになり、ちょっとした集落を通過したり。

いつのまにか上村の中心部(村の中心部だなんて気が付かない程の規模)を通過すると、道沿いには所々バイパスの工事跡が。。途中で予算切れで頓挫しちゃってるような中途半端な道路状態の光景に目をやりながら走っていくと、ようやく既に開通しているバイパスへの分岐が現れた。

正確にはバイパスではなく、「三遠南信自動車道」という名前が付いている。
場所的にも部分的な造り方からしても、非常に政治的な臭いが漂う高規格道路だ。

その存在意義が全く不明の政治的道路を尻目にR152をトレースし続ける・・・と思ってたら、直後に←こんな青看が現れる。

またしてもR152不通区間だ。
さっきの青崩峠とここからの地蔵峠の2区間で、100番台国道ともあろうものが不通のまま放置されているのだ。
正確には放置されているわけではなく、何度も開通させようとトンネル掘削等を試みたらしい。

 

しかしこのR152という道路は、フォッサマグナに沿って列島を縦断している(南信のこの区間はね)ので、地質的に非常に脆くて、青函トンネルを掘った世界に誇る日本のトンネル技術を持ってしても、開通させることができないのだそうだ。

とは言ってもここもさっきと同様、林道を使って迂回して向こう側へと至ることができる。
どっちの峠か忘れたけど、不通区間をどんどん入り込んでいくと、いつの間にか河原に出てそのまま国道が消滅していってたりするらしい。(さすがにそれをS2000で確認しにいこうとは思いませんが)

           

蛇洞林道

話は戻ってその迂回路。
蛇洞林道と名の付いた道路は、最初こそ広めの2車線路だが、すぐに林道らしい道幅に変化する。
とは言え、しっかりと舗装はされていて、先程の兵越林道と同じく、普通車が走る上では全く問題がない。

等高線に沿ってジグザグ方向を変えながら高度を上げていくと、やがて大きな分岐に辿り着く。
左に行けば大鹿村、右に行けば、しらびそ高原とある。

 
           
     
           

迷わずしらびそ高原への寄り道を選択。
そこからは高所感溢れるドライブが展開する。遮るものがないドライビングビューからは、深い深い緑の海原。圧倒的な高度感と鮮やかさを極めた初夏の山の色に吸い込まれていきそう。

走ってる道の特徴とも相まって、去年の夏走った大台ケ原ドライブウェイを連想させる。

 
               

極めつけは登り切った後のしらびそ峠からの眺めだ。
1000mの高低差に迫ろうかというほど真下に落ち込んだ巨大な谷間の向こうに居並ぶのは、まさしく南アルプスの山々。特に高い峰は、赤石岳や聖岳だろう。
この峠も標高1833mとかなりのものだが、目の前の3000m超の山々はここに立ってても相当に巨大に感じる。

思わずしばらく見入ってしまい、峠の大パノラマを前にしばらくの間佇むことになった。

       

峠を越えた後も、なぜか登り道が続く。それを登り切ると、大きなロッジに辿り着く。しらびそ高原の核になるこのロッジの前に再びエスを停めて、周辺を散策することにした。

ロッジの目の前には広い芝地がある。どうやらキャンプ場の模様だ。何の設えもない単なる芝生の広場だが、南アルプスを目の前にした天空のキャンプ場にはプリミティブな環境こそが相応しい。

そのキャンプスペースの前の小高い丘に登ると、しらびそ峠で拝んだのと変わらない絶景に再び出会うことができた。

遮るもの無く目の前に立ちはだかる南アルプスの峰々。
眼前に存在しているのに、まるで絵画を見ているかのような不自然さ。自然界ではこういった対峙が当たり前なのに、都会という人工的な環境が逆に当たり前になってそれがカラダに染み付いていることをまざまざと感じさせられる瞬間だ。

 
奥の駐車スペースからは、ほぼ全方位に渡って素晴らしい眺望が広がっていた。
360°ただひたすら空と山に囲まれる世界。。
無理矢理パノラマ写真なぞ撮ってみたり(汗
東側に南アルプスなのは前述した通りだけど、その反対側、北西方面にはたっぷりと冠雪した峰が望めた。
木曽駒か、はたまた御岳か。
 

しらびそ高原でたっぷりと時間を過ごし景色を楽しんだ後、来た道を引き返して蛇洞林道まで戻って、林道の続きを走る。

比較的道幅が確保された木立の中の道が続いている。やはりこの区間も、林道の名の響きからくるような荒れた感じは皆無。走り易い。

                       
   

蛇洞林道の峠は、地蔵峠。この峠の→この地点で林道から国道152号に切り替わる。ぱっと見たところ分岐は無い。国道はほとんど登山道か獣道かで向こう側に繋がっているのだろう。

この峠付近には珍しくたくさんのクルマが停車していた。何してんだろ?

                       
                           
       

地蔵峠の下りはタイトコーナーが続いた。勾配が緩くなった後も、狭路が続く。深い緑のトンネルを抜け、川沿いのルートに出て北上を続ける。
既に陽は高くなっていて、日差しはどんどん眩しくなっていく。

2車線の広い道になる頃には、周りに民家が目立ち始めていた。細長く続く大鹿村の中心部だ。

山深い谷間を単独走するR152だが、大鹿村から中央道の松川ICに出れるような行き先表示がいくつも現れた。

 
中央道と国道153号が通る隣の伊那谷に抜ける県道22号が通っているためで、フォッサマグナの谷を走る孤独なR152への貴重なアプローチのひとつになる。
大鹿村では、R152を走り始めてから全くいなかった前走車が何台も現れて、ちょっとした隊列をつくることになった。
しかし、全てのクルマ、バイクが何の変哲も無い枝道に吸い込まれていったため、結局村の集落を出る頃にはまた単独走に。ラッキー。
                       
               
               

大鹿村を抜けた後も、R152はまだまだ続く。次なる峠を目指して再び駆け上がっていくわけだが、全然登ってる感じのしない山道が延々と続いている。

→途中工事で通行できない区間があったりしたが、未舗装の迂回路が用意されていて影響は無かった。

 

この先の峠に至るこの区間、一見これまでの峠とさほど変わりが無く、もう3つ目の長大な峠道ってこともあってダラダラしてそう(笑)だが、時間が昼に近づいてきてることもあって、強い日差しに照らされる山々の緑と澄んだ青空のコントラストがとにかく素晴らしかった。

こういうナマの色彩に感動できる瞬間があるってのが、オープン最高!と思える瞬間のひとつだ。特に初夏から盛夏にかけての濃緑の深さと鮮やかさには、いつも心躍らされる。

 

色彩のコントラストに目を奪われつつ走っていると、分杭峠に辿り着いた。

標高1424mとあるこの峠、南側から走ってくると、真っ正面に高遠方面の眺望がフロントガラス越し一杯に広がるので、それまでの景色とは一変する。山と緑に囲まれて、ありのままの自然との距離感が近い環境から、一気に解放されて発散するように飛び出していく、そんな展開が待っていた。

 
     

写真でエスを停めているところの下に、峠の駐車スペースがある。そこそこの広さがあるスペースだったけど、これが満車で大盛況なのだ。さすがにバスなんかはいないものの、今までの道程の交通量の希薄さからすれば理解し難いほど。

なんでこんなに大勢の人がこの峠にいるのか?
どうもこの分杭峠、ゼロ磁場のパワースポットとして有名とかで、それ目当てに訪れる人が多いようだ。・・・と勝手に推測してみる。。

分杭峠からの下りでは、峠の盛況ぶりから想像つく通り、対向車にたくさん遭遇するハメになった。
人出は多いが道幅はこれまで通りなので、すれ違い困難な箇所も多く、下りのこちらがバックさせられるハメになりこと数回。。あまり慣れているというクルマは多くなく、十分スペースを空けて寄ってあげてるのに自分から動こうとしてくれなくて困った。

     
     

峠を下りてフラットな路面を走っていると南アルプス林道の入口を通過し、その後に美和ダムの湖の湖畔路へとR152は延びていく。
久しぶりの高速クルージングを楽しんでいると、やがて高遠の町へ。

桜で有名な高遠の町は、さすが城下町で今までの集落とは規模が全く違う。
今回のツーリングでは浜松以来の市街地らしい市街地といった感じだ(笑

この高遠の町でようやく風呂にありつくことができた。高台にあった日帰り入浴施設「さくらの湯」だ。

とにかく汗でベトベトだったから温泉は何でもよく、泉質などあまり期待してなかったのだが、掛け流しでぬるぬるの温泉は結構上質だった。
さっぱりしたぁ(嬉々

   

高遠以北はもうフツーの道といった感じ。2車線だし対向車は来るし、走ってれば前走車に追い付くし、白バイは潜んでるし(汗

諏訪直前の杖突峠までのワインディングは、トラックに抑えられての我慢のドライブ。勿体無くなって、杖突峠の駐車場に滑り込んで時間稼ぎすることに。

                       
   
峠の展望台からの眺望は、諏訪から茅野の市街地、美ヶ原から蓼科、八ヶ岳を遠望するウワサ通りの大パノラマ!
写真の先にあるパノラマ展望台に行くには、料金箱に100円を投入せよとある。。。
生憎100円玉を切らしてたので、10円玉で勘弁願った(爆
 

タイミング見計らってコースインした杖突峠ダウンヒルは、コースクリア。2車線は確保されているものの、タイトな低速コーナーの連続で、その上うねった路面を、抜群のフットワークに感謝しながら次々とクリアしていく。

って遊んでたら、やっぱり隊列に追い付いちゃったけど。

中央道の高架を潜って、国道20号甲州街道を跨ぐ。
まだまだ東京からは遠いのに、随分近くまで帰ってきた気分になった。

R152をそのまま走り続けて、茅野のスタンドで給油。
アルファやらマセラッティやら、オフ会と思わしき集団がばんばん通り過ぎていく。
ビーナスラインが近いのだ。あそこを走ると、大概あまり見ることのできない輸入スポーツに会うことができる。

給油後はR152で白樺湖へ。
さすがに交通量は市街地並みに多く、走行ペースは著しく落ちる。
   
白樺湖湖畔で蓼科山を望む。
人もクルマも多いし、さっさと通過しちゃおうかと思ってた矢先、最高の天気の下、輝く白樺湖と高原の緑をバックに、雄大な蓼科山の山容が僕とエスを引き止める形になった。

よく訪れるビーナスラインだが、不思議とこういうアングルで蓼科山を眺めている記憶が無い。景色を眺めるより、屈指のロングワインディングをテストコース的に楽しんでいるケースが多いからかな。

メルヘンチックな高原リゾートの風景をしばし楽しんだ後、県道40号で北上することにした。

朝からずっとトレースし続けていた国道152号とは、これにてお別れ。R152はこの後、上田市まで延びている。

 
 
 
浜松が起点なのでその大部分を走破したわけだが、不通部分が多いという特徴以外は、交通量が極端に少ないこともあって割と走り易い印象だった。

県道40号は白樺の木立の中を突っ切る、長大なストレートが気持ち良いハイスピードコース。右に左に牧場が現れるが、目もくれず高速クルージング。ただ交通量はそれなり。

すでに正午は回っているので、日差しが強い。火照った二の腕がヒリヒリだ。
オープンのままエアコンをONにして冷やす。

そうこうしているうちに国道142号に合流。佐久方面に進路を取る。
この辺りから、あれだけ強烈に降り注いでいた日射が弱まり、青空は見えているのに陽の光が弱く薄暗い状況が続く。
まぁフツーの幹線道路走ってるとこなので、クールダウンには丁度いいか。。

                       

佐久を通過後は、国道254号で下仁田へ。
全線隊列を成したまま、ジリジリ走って下仁田ICから関越。そのまま練馬へと帰還した。帰宅は17時頃。帰ってきてすぐにテントを干して乾かせるくらいの余裕があってナイス。

 

・・・・・・・

今回のツーリングは、振り返ってみれば初日が奥三河、2日目が国道152号を延々と、という2本立てという感じだった。
奥三河は地図を見て、ここ面白いんとちがう?と思って最近気になり出してたエリア。それに対して国道152号はずーーっと前から走ってみたかったのに走る機会が無かったっていうルート。
そういう意味では、恋焦がれた新旧!?ワインディングルートを同時に楽しめた、とも言える。満足感高かった。

国道152号は2ヶ所もの不通区間を林道で迂回するという特徴からしてハードそうだが、思ってたよりも・・・という印象。
有名になって走る人が多くなって、道がクリアになってきてるんだろか。

むしろ1日目の天竜川沿い県道1号の方がハード。こっちのがマニア向けかも。。

何はともあれ、東京から比較的遠くないこのエリアで、これだけ散々ワインディング走りまくれるっていうのが貴重。
奥三河、南信州。なかなかコアなエリアですよ。いかが?

 
1日目 / Touring S2000
 
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