奥志賀 志賀草津道路から奥志賀林道へ

 

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志賀高原方面には、草津や万座の名湯に加え、日本一の高度を誇る志賀草津道路がある為、非常に出走率が高い。ウチから高速料金節約しつつ行くと、草津まで3時間程度かかって決して近いとは言えない場所なのだが、そのスケール感に圧倒されながら走る快感を得たいがために、つい足が向かってしまうのだ。

久しぶりのオフは、最高の秋晴れ予報。紅葉には少し早い時期ではあるが、例年先陣を切って見頃を迎える志賀高原方面だったらきっと極彩色の景色を楽しめるハズ。
数ヶ月前エスで訪れたばかりだが、その時通れなかった奥志賀林道にもリベンジしておきたい。

朝6時前に練馬を出発。草津に行く定番ルートは、藤岡ICから高崎抜けて国道406号で最短距離を結ぶルートだが、今回は趣を変えて、昔よく使ってたちょっと懐かしいルートを辿ってみることにした。

上信越、碓氷軽井沢ICまで走って軽井沢。そこから国道146号〜鬼押しハイウェー、嬬恋を経由して県道59号で草津に向かう。自分的にはクラシックで懐かしい感じがするルートだ。

それもそのはず、このサイトの一番最初の記念すべきツーレポ第1弾でまず紹介しているルートだったりする(この時は白糸ハイランドウェイ使ってるけど)
今や恥ずかしいこと極まりない文章。決して改めて見てはいけない(爆

国道146号はわりとハードワインディング
登坂車線が続くけど道幅は狭いので要注意

                 
     
     
 

鬼押しハイウェー(有料)。この辺は浅間白根火山ルートってことで、気持ちの良い高原ルートが続く。

この道路のハイライトは前半(軽井沢側)の鬼押出しまでの区間。浅間山麓を貫くストレートが遥か向こうの丘の上まで延びている。

                                           

浅間山を望むパーキング。
頂からは僅かに噴煙が見えている。

ここは通る度にクルマを停めて浅間山とのツーショットを収めるのだが、決まって雲ひとつない快晴に恵まれる。高原にしては高確率。ゲンの良い場所なのかも。

もちろん、以前のツーレポにも快晴で登場している。

 

鬼押出しを通過して、嬬恋村から県道59号。高原野菜の農家の道という感じ。所々日影の湿った路面に落ち葉が積もっていて、グリップを失う恐れがある。ひとつひとつ用心して通過しながら走り切る。

草津で早めの給油。200km程度だが、ここから長丁場が予想されたので、先手を打った形。

   

志賀草津道路

草津からはご存知、日本一高い場所を走る国道292号、志賀草津道路。いきなり殺生河原から。

予想はしてたけど、クルマが多い!
天気は文句無しだし、これ以上贅沢言っちゃイカンが、こりゃ先々思いやられるなぁ。

                       
 
     

案の定、詰まって動かなくなってしまった。
この先、湯釜の有料駐車場があるから、きっとそこに入るのでつっかえてるんだろう。

いつぞやの乗鞍を思い出す風景・・・

 
     
 
 

湯釜を過ぎるとフン詰まりは解消。万座を過ぎて渋峠へと向かう。
日本有数の高所感が体感できる道路がこの辺り。登山してる時のような展望が、右に左に次々と展開していく。

   

渋峠を越え、横手山を横切ると、一際紅葉がキレイなダウンヒル区間が待ち受けている。

・・・・と思ったが、どうにも美しくない。
少し早過ぎたのか、まだ深い緑が山肌の大半を占めているのだ。
ただ例年の傾向からすると、この時期では紅葉はもうピークを過ぎてるはず。とすると単にもう終わってるだけなのかな。。(見た感じではどうも判別つかないのだ)

車窓から(オープンだから「直接」だけど)はそんな印象だったので、草津からは結局ノンストップで南志賀まで走り切ってしまう。
この南志賀辺りがそれなりに黄葉を楽しめた。そこんとこから考えると、やっぱり上の方では「終わってた」のかな。
                     

R292から逸れて、志賀高原の直中を走る。
長めのトンネルを2本抜けると、いくつもの大規模なスキー場の麓を縫っていく。

雪の無いスキー場は、実に不自然な風景。道幅は異常に広く、どこを走ったら良いのかわからなくなってしまうこともしばしば。

                       
     
 

奥志賀林道

最後のスキー場を過ぎると、あれだけ潤沢にあったアスファルト舗装面が一気に縮小した。

いよいよ奥志賀林道。奥志賀から野沢温泉に抜けるこのルート、以前は有料道路だったはず。今でこそ全線舗装されているが、冬期閉鎖期間は例年6月までと、過酷な環境には変わりがない。

以前走破した時の印象としては、とにかく長いってこと。見通しの悪い山岳森林道路が延々50km程度は続いていたような記憶がある。途中に何があるわけでもないが、野沢と志賀という2つにの有名観光地(温泉地)を結んでいるだけに利用価値が高く、自分の中ではメジャークラスのワインディングという認識だ。

あまりに孤独で延々としているので、いくら観光地を結ぶと言えど交通量はほとんどないイメージだったが、この日は最初からやたらとたくさんのクルマにすれ違った。
それを納得させるに十分な山々の色彩。志賀草津道路とは異なって、奥志賀林道はちょうど紅葉真っ盛りだったのだ。

   
     
                                     
                               
 

黄金色に輝く木々のトンネルを・・とまではいかないものの、程良く色付いた山々は、まだ夏場の生命力を維持しているかのようにも見えて健康的だ。時折エスを道端に停めて、印象的な構図をファインダーに収めていく。

     
 
   
         

道路は渓流と並走し、その体を入れ替えながら山地の奥へ奥へと入り込んでいく。
道幅は広くはないが、決してすれ違いに苦労するようなレベルではない。けど、それはごくフツーの一般車での話。レクサスやらBMWが対向してきた時には、その不釣り合いな光景に思わずニヤけてしまう。

やがて青看と共に分岐が現れる。秋山郷に抜ける雑魚川林道との分岐点だ。
秋山郷と言えば、急峻で長大な谷間に挟まれた上に超豪雪地帯という秘境中の秘境で、そこはそこで大変見応え走り応えのある所なのだが、6月に来た時に奥志賀林道がまだ冬期閉鎖中だったために秋山郷へと抜けている。よって、今回は迷わず奥志賀林道を走り続けることを選択。

     

カヤノ平

またすぐに木島平へと下りる分岐があって、これを1kmちょっと入っていくと、ちょっとした高原チックな風景が忽然と現れる。ここがカヤノ平。

ブナの森と湿原のニッコウキスゲが有名な場所で、ビジターセンターには溢れんばかりのハイカーのクルマがびっちり。その手前の芝地には、思い思いに高原の時間を過ごす人たちがいる。

       
 

この芝地、実はフリーサイトでキャンプが可能。何年か前にここで幕営したことがある。

昼間でもこの文句の付けようのないシチュエーション。キャンプで過ごすゆったりとした時間は最高に気持ちが良かった。
EK9reportの夕闇のトップ画像はここで撮った写真である。

今でもこのキャンプ場がこれまで訪れたサイトの中ではナンバー1だと思っている。
そんなとっておきの場所だ。

               

草原の中には、1本1本存在感のある木々が鎮座している。草原がどこまでも広がっているわけでもないこのスケール感がイイ。

この草原には牛が放されている。この時はずっと奥の方に群れをなしていたので写真には収まっていないけど、そんな風景も牧歌的で隔地感を高めてくれるのだ。

非常に山奥で近くに人気もなく(管理人はいるが)、季節によってはクマなんかに注意しなけりゃならなさそうな場所ではあるけど、そんな所だから余計に魅力的に感じてしまうのだ。

   
 
 

無意味にシャッターを切り続けていた自分に気付き、カメラを仕舞い込む。せっかく目の前にお気に入りの景色が広がっているのだ。生の自分の目で時間をかけて楽しみたいもの。ついついファインダーに収めることだけで満足してしまいがちなこの頃。自分にとっての旅の楽しみ方の本質は、そういうことではないハズ。

しばらく草原をふらふらと歩きながら、今ここにいる時間を楽しむ。

   
  ブナの森をトレッキングするのもまた一興だったが、今回はパス。カヤノ平を後にし、再び奥志賀林道へと戻る。

奥志賀林道はこれといった特徴を見せず、淡々と山奥へと続いていく。

道端の木々は黄色やら赤やらでどんどん賑やかになってくる。
ポイント毎に駐車車両とカメラマン。秋色を求めて奥地に来る人は意外な程多い。この季節に奥志賀林道を走るのは初めてだが、こんなに賑やかとは驚いた。

上の写真のポイントより深く色付いてキレイな紅葉景色はいくらでもあった。でもその度に停まって眺めてってやってると、どうも走ってる気がしない。どんなワインディングでもリズムっていうのがあって、連続して走りながらそのリズムを掴んで一体感を得ることで、走ることの楽しみを味わうことができるんだと思う。

せっかくの奥志賀林道。紅葉は開け放たれた頭上を仰ぎ見ることで楽しむこととし、トレッキング気分で流れていく景色を楽しむことを優先した。
後ろからダンデムのオートバイがつかず離れずのんびりとついてくる。彼らもきっとエンジンの鼓動と物理的な運動特性を把握しつつ、秋色を楽しんでいるに違いない。

   
   

林道はやがて山越えの道となり、漠然と把握しにくい峠を越えて、野沢方面へと降りていく。

途中幾度となく超スローペースなクルマに追い付いたが、その度にすぐに譲ってもらえた。

                         
             

どんどん下っていくとリフトが現れて、道路と何度も交差する。視界の開け方と斜面が、この道路上が冬場はゲレンデであることを明確に示している。

クルマでスキーしてるようなカンジでなかなか新鮮。

このゲレンデ区間が延々と続く。野沢温泉のスキー場がいかに大規模化ということを知らしめるに十分な走行量だ。
ようやく、といったカンジ(やはり奥志賀林道長い)で、眼下に野沢温泉街が見えてきた。
山間の温泉街かと思いきや、意外な程平地に広がってるんだな。
                   

ここもまた明らかにゲレンデの一部である。ガードレールも無く崖下へ真っ逆さま。ヒョエ〜

でもガードレールやカーブミラーが立ってるゲレンデもあるんだな。これって冬は雪に埋まるからあっても大丈夫なんだろうか。ゲレンデに生えるカーブミラーに激突ってのも笑えないよね。

   

野沢温泉の共同湯にでも入ってこうかと思ったけど、あまりに良過ぎる天気の昼下がりに走らないのも勿体無く、そのまま通過。県道38号を木島平方面へ。
ローソンで軽い昼食を立った後は、国道403号を南下して山ノ内に向かおうかと考えていたが、地図を見ながら何となく野尻湖の方に行ってみようかと思い立ち、飯山の街を通過して県道97号を西へと走る。

斑尾高原へと続くワインディングロードは結構な急坂で、登坂車線でゴボウ抜きにした後はほぼ単独行。
万坂峠を越えて野尻湖へと降りていく。

野尻湖畔は自然に囲まれた静かな場所だった。ここは明らかに「対岸」にあたる場所なのだろう。
写真を撮ろうかと思ったけど、思いっ切り逆光だったため、どこか他の撮影ポイントを待とうということで、湖の東岸を走る県道96号を南下する。

       

道は木立に囲まれ、走れど走れど湖の展望が開ける場所なんて出現しない。
そのうち岸辺を走る区間はあっさり終わってしまった。

せっかく野尻湖の名前に惹かれて来たのに、あっけない幕切れ。対岸に向かえば表側のカオを楽しめるのだろうが、そこまで周遊する気にならず、そのまま96号を豊田飯山ICまで走り切り、国道117号バイパス経由で国道292号に戻った。

 
                                 
               
           
  中野からそのままR292を志賀高原方面へと走ることにする。
このまま渋峠に向かえば、途中からは朝走ったルートの逆向きバージョン。何度走ってもインパクトの強いワインディングロードなので、繰り返しになってもこの道なら構わないのだ。
                             

今回は結構S2000を見かけた。オープン比率は低かったけど。
この後、湯釜で駐車場待ちをしているモンツァレッドパールの04モデルを対向車線で鉢合わせ、思い切って手を挙げて合図してみる。
向こうも「おっ」というカンジで合図を返してくれた。

初めてバイクの北海道ツーリングみたいなことをしてしまった。これもS2000という特殊な車種だからこそ「やってみよう」と思えるのである。

どう考えても一般的ではないクルマなので、そのオーナーにはそれぞれ理解し合えるコダワリとポリシーがあるから、お互い好意的に意識し合える。

 

たまたまクルマを停めた所で見かけた初期型

                       

同車種っていうだけで、凄く親近感を覚えるのは僕だけじゃないハズ。

そのすぐ後に、今度はホワイトが来たのですかさずもう一度手を挙げる。
・・・今度は返してくれなかった。やはりソロ同士じゃないと難しいか。
今んとこ百発百中だぜ!、って思ってた数秒後に、確率5割まで転落してしまった。。

 
横手山直下の連続ヘアピン区間から眺める景色は、ずっと昔の志賀草津道路ツーリングの時にいたく感動した景色だが、紅葉真っ盛りの前回の方がずっとキレイだった。
                   
   
 
同じ場所から横手山。ここの山頂ヒュッテのパンが美味い。
 
                         
    渋峠は、日本の国道で一番高い所。それだけに気温は真夏に来ても一桁の時がある。
左の写真の碑は、渋峠からちょっと下がった駐車帯にある。
この駐車帯からは、白根山や浅間山、眼下には草津の街を眺められるだけあっていつも満員。
この復路では運良く目の前で1台出ていったので、初めてここに停まることができた。
 
                       

湯釜を過ぎると、クルマの流れが悪くなり、遂には詰まってほとんど動かなくなってしまった。観光客が一斉に帰路に着く時間に運悪く重なってしまったのだ。

少なくとも草津まで渋滞してるんだろうから、その距離を想像すると寒気がしてしまった。
一瞬折り返して万座ハイウェーを利用する案も過ったが、高額な通行量が惜しくなって実行に移せなかった。(それに久しぶりに草津の湯に浸かりたかったし)

   

殺生河原
駐停車したくて留まっているわけではない

                                 
     
               
   

予想通り草津まで渋滞の列は続いた。
やっとのことで草津の裏道に逃れ、大滝の湯になだれ込む。
ここも大混雑で、ちょっとゆっくり疲れを癒す雰囲気じゃなかったが、やはり草津の酸性泉はイイ。

大滝の湯の前でラーメン食べて帰路に着く。

                                           

渋川伊香保ICから高速で帰るつもりで走ったが、今度はそこまで行く国道で再び渋滞・・・東京まで渋滞繋がってんのかよーーと思わないでもなかったが、川原湯温泉からは流れ出した。

高速に乗ると、今度は藤岡〜花園まで渋滞の表示が・・・
時間的にもう渋滞は解消してると思ったけど、ちょっと早かったか。

気を紛らわすために、オーディオを珍しくFMに切り替える。
ラジオって普段ほとんど聴くことがない(EK9もエスもマトモに音聞こえないし)が、結構誰でもそうであるように、未成年の頃はよく聴いたものだった(深夜)

その十何年も前に聴いていたラジオのパーソナリティーがゴールデンで喋っていて、メジャーになったのかと思わず聞き入ってしまった。
昔ほどハズすこともなく(笑)面白い内容で、楽しんでいるうちに練馬に到着。
おかげで断続的に渋滞してた割には苦にならずに済んだ。

 

ちょっと紅葉を楽しむには遅過ぎたこともあるけど、景色的には全般的にイマイチだった今回の旅。
にしてもピークと思われる奥志賀でも後から考えると目に焼き付いて離れない!というほど印象的でもなかった(その場ではなかなか、と思ったのだが)ので、今年はハズレなのかとちょっと思ったりもした。

まぁ久しぶりに走ったわけだし、距離的にはそこそこ満足。奥志賀林道は特にボリューム感あるし。
レポにはしてないけど、かなり足繁く通っているエリアなので新鮮味は薄れつつあるけど、思わず向かってしまうということは、それだけ魅力が溢れているからということに他ならない。

奥志賀林道だけでなく、夏前に走った上信スカイライン等、志賀草津道路はサブ的ワインディングも一級品だから、ちょっと脇道に逸れて、マイペースで自然とドライブを楽しむのがまた一興だね。

                                           
Touring S2000
                                           
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