■恒例!島ドライブ


前日の登山の疲れを癒すため、ちょっと遅めの朝。
テントを撤収し、エスの小さなトランクにパッキング。しっかりと順序よく詰め込まないと入り切らない。

そうこうしている間にも、次々と登山者が利尻山頂目指して上がっていく。

この北麓野営場にテントを張って早朝出て行くトレッカーの数は少ない。駐車場での車中泊で済ませている登山者もいるが、それもごく一部。ほとんどの登山者は、島のどこかの宿で泊まって、宿の送迎で登山口の野営場まで来て登っていく。
北の最果てまで来るのに、わざわざテント背負ってという人もなかなかいないと見える。

8:30頃になってようやく北麓野営場を出発。鴛泊に出て、島の周遊道路へ。
本日は利尻島をエスで周遊の予定。周遊と言っても、ほぼ真ん丸な利尻島、走れるとこって島の海岸線を周遊する道路くらいなものだ。

昨年秋に訪れた屋久島もそうだった。島の中央に高く険しい山がそびえ立っているので、内陸部に分け入る道路はほとんどないと言っていい。ドライブするには単調だと言えなくもない。
だが、そこはR styleのツーリング。誰も走りそうにない所を、敢えて愛車で走るところに意味があるのだ。

     
                                                           
                                     
                                                 
   

島の周遊道路を時計回りに走り出す。

鴛泊のフェリーターミナルを過ぎると、すぐに荒々しいイメージの海沿いの道になる。
いくらかも走らないうちに、姫沼という行き先表示で内陸側に右折する。
内陸へと向かう道は容赦ない勾配で高度を上げていくが、割とすぐに行き止まりとなった。

その端点はちょっと広めの駐車場になっていて、すでに多くのクルマと観光バスで賑わっていた。

 
                                                                       
   

姫沼

姫沼は、利尻の玄関口である鴛泊にほど近い上、利尻山を沼越しに遠望できるという眺望の良さから、人気の観光地となっているようだった。
湖畔には中国語が飛び交っている。姫沼の観光看板で記念写真を撮ろうという中国人の列ができていた。

                     
 

肝心の利尻山は、今日も分厚い雲に隠れて、その存在の一端すら感じることができない。
晴れていれば、沼の水面に優美な富士型の山容を写すらしいが、まるでそんな雰囲気すらなく、今はただ目の前に沼があるというだけ。

特段これといった眺めじゃないなというのが率直な感想だったけど、せっかくなので周囲に設けられた遊歩道を歩いて沼を一周してみることにした。

                     
     

姫沼の周囲には、しっかりとした木道が整備されていた。

距離もそれほど長くないようなので、気軽に湖面を間近にする散策が楽しめそうだった。
実際はどんより曇った空が今にも泣き出しそうで、湖面の風景もかなり沈んだものになってしまっていたが、散策道沿いの植物を眺めながら歩いていると、あっという間に一周が終わった。

明るい日光が降り注ぐ中での散策と風景は、さぞかし素晴らしいのだろう。
実際、姫沼越しに見る利尻富士の風景は、一見の価値がありそうだったが、今日の天気じゃいつまで待ってもそれは味わえなさそうだ。
               
   

姫沼を後にし、周遊道路へと戻る。

波は普通に高く、所々路面を濡らしている。潮水を浴びると厄介なので、濡れた路面を避けつつ走っていると、やがて小高い丘を登り、上り詰めた先にちょっとした展望台を見付けた。

                     
今走ってきた鴛泊からの海沿いの道の風景が眼下に見下ろせる。
低く立ちこめる雲が島全体を覆ってる感じ。
 
                     

→観光看板風の青看。
その後ろの北海道の漁村らしい風景。ようやく旅情が見えてきた。

集落でなくても、島のメイン道路である海岸線の周遊道路沿いには、民家が途切れることなく現れる。その風景は、離島独特というわけでもない。

どちらかと言えば、鴛泊の町中の方が、昭和の映画セットみたいな(高倉健が出てきそうな)風景で、旅情に溢れているカンジだ。

 
      ともすれば単調と言えなくもない道が続く。
利尻島はイメージするほど大きな島ではないらしく、あっという間に島の南側に到達。鬼脇という集落に入る。
   
                                 
         
鬼脇は比較的大きな集落で、ますます利尻という果ての離島という感じがしない。
                                                                   
 

鬼脇を通過すると間もなく、沼浦展望台という表示を見付けた。
こんな海岸線沿いに展望台なんてあるのかと思い、入り込んでみることにする。

細い坂道を登っていくと、小さな駐車スペースに突き当たった。
小高い丘の上からは遮るものなく全方位が見渡せたが、厚い雲に覆われた島では今ひとつ感動が・・・

場所が場所だけに吹き付ける風も強いので、そこそこで退散。

                                                                   

その沼浦展望台入口の、県道挟んで向かい側に、オタトマリ湖があった。
沼浦展望台の存在価値は、どうやらこのオタトマリ湖越しの利尻山を眺められる画角にあるようだ。

オタトマリ湖の駐車場は、姫沼以上に大賑わいだった。何台もの観光バス、乗用車が乗り付け、2棟あるレストハウスに人が群がっている。
それに対し、メインである湖の方にはあまり人がいない。有名観光スポットにはありがちな風景である。

                                                                   

オタトマリ湖

原野に佇む静かな沼に水鳥が舞う。
残念なのはやはり利尻山が見えないこと。晴れた日の湖越しの利尻富士はまさに絶景だろう。

北海道の土産品として有名な「白い恋人」の缶に描いてある風景は、ここから眺めた冬の利尻富士らしい。
季節も天気も真逆で、まるでその面影はなかったが。

 
                                               
         
団体観光客が群がる土産店には、いつも寄り付くことはないのだが、今回は珍しく立ち寄ってみる。
というのも、レストハウスの一角に寿司店が入っていて、そこのウニ軍艦が美味であるという情報をゲットしていたからだ。
 
  そのウニ軍艦。
値段を見たら、事前の情報無しでは食べる気は起こらなかったと思うが、夏の利尻礼文に来たら何はともあれウニ!と盛り上がっていたので、多少の贅沢は容認なのだ。
           
   
                                                           

実際、感動的に美味かった!
この甘さは新鮮さの証拠なのだろう。他で食べるものなんかとは全然別ものだ。

もうひとつのレストハウスでは、万年雪ソフトなるものをいただく。さっぱりしていて非常に美味しかった。

   
                                                             
  団体観光客で利尻島随一の賑わいを見せていたオタトマリ湖を出発。
ここら当たりに来るとほぼ島の南端に近いわけだが、最南端の岬である仙法師崎には、一度県道を外れて旧道のような集落の道を行くことになる。
                                             
   
                         

仙法師崎

岬の駐車場には、やはり観光バスと乗用車が。

山以外にそれほど見所の多いわけでもない島(利尻の観光資源はやはり利尻山なのだ)なので、観光ツアーの行き先もワンパターンに決まっているのだろうと予測。

   
                                                                   
           

岬と言っても何があるわけでもなかったが、磯の方に歩いていくと岩場を利用した天然の「いけす」のような、プール状になった場所が目を引いた。
何かと思って行ってみると、そこにはなぜか2頭のアザラシが・・・

いけすの中をひたすら背泳ぎしている彼らが、なぜここに幽閉されているのかは知る由もなかったが、せめてもの観光資源にはなっているようだ。

       

このアザラシプールの手前に一軒の漁師小屋。
そこではおばちゃんがウニの選別?の真っ最中。これがバフンウニだと言って、今朝穫れたばかりの行きたのを手のひらの上に乗せてくれた。

ウニってトゲトゲしたイガグリみたいなビジュアルのイメージがあったけど、初めて見るバフンウニは何だか「おはぎ」みたいなカンジ。痛そうなカンジではない。

漁師小屋の中では、おばちゃんの息子の元気のいい中年漁師が、自家製コンブやらワカメやらを売っていた。

漁師にしてはやたら商売上手で話も上手く、利尻の山や海の話から自分の経営する民宿の話まで、いろいろと語ってくれた。お礼代わりにとろろ昆布やワカメを購入。

   
                               
         
         
 

利尻と言えば、有名なのはやはり昆布である。
潮に揉まれた利尻近海の昆布は、おそらく国内随一のブランドである。その美味しい昆布を食べるので、そこで育つウニはまた絶品の味になる、んだそうだ。

穫れたての新鮮なウニは生食はもちろんだが、炭火焼が一番オススメらしい。
今度来た時、民宿に泊まって昆布漁、ウニ漁を体験してたらふく食って行けと言われたが、肝心の民宿の名前を訊くのを忘れてしまった(笑

                               
                                     
 

駐車場に戻り、島の南西側の海岸沿いを走る。
相変わらずキレイに整備された2車線の道路は、北限の島の環境の過酷さをまったく伝えてこない。

特に見所もないまま、やがて島の西側の町、沓形に到達する。
町中に入る手前から、大きな体育館みたいな建物とかがあって、鴛泊より町としての大きさを感じる。

       
                                           
         

利尻島には2つの行政区域があって、鴛泊は利尻富士町の役場、沓形は利尻町の役場がある町。
どちらも島の中心地として建物が密集しているのは当然だが、空港と港のある鴛泊よりも、何となく沓形の方が大きい町のような気もした。

沓形にも実は、フェリーが出る港がある。 稚内便は鴛泊港にしか就航していないが、お隣礼文島に向かう便は、ここ沓形港からも出ている。
そして本日の午後、ここ沓形港から礼文島に渡る手筈になっていた。

予定のフェリーが出るまでには、まだまだ時間があった。ひとまず沓形を通過し、島の北側を走って鴛泊まで一周する。

 

沓形を過ぎるとようやく、いかにも北海道の海岸線らしい雄大で何にもない平地の風景が現れた。
その中にポツンとある酪農家のような民家の脇の粗末な看板が唯一の目印。

     

ミルピス

愛用するツーリングマップルにもしぶとく記載されている、ミルピスの販売元がここ。
その佇まいから、一見そんな飲料物なんか販売してるわけなさそうなカンジ。おそるおそる敷地内に入っていくと、奥の一角に小さな食堂のような入口があった。

     
中に入っても人はいない。とりあえず呼びかけてみる。
しばらくしておばちゃんがやってきた。
ミルピスとは、このおばちゃんオリジナルの乳酸菌飲料らしい。
牛乳瓶に入った白い液体を受け取り、フタを取って外で飲んでみる。カルピスに似ている。でもちょっとだけ違うような気もする。
その違いは微妙な気がしたが、利尻産の貴重な飲料には違いない。その分値も張るが・・・

瓶を返しに店に戻った際に、旅のお供にとあめ玉を頂いた。ついでにFAX注文用紙も(笑

ミルピス小屋周辺は、おびただしい数の海鳥が飛び交い、原野の一部はまるでコロニーのように海鳥の集団によって占拠されていた。
鴛泊と沓形という利尻の中では大きな町を最短路の道にしては、随分と原野ちっくである。

 
     
    ここまで来ると、ほぼ島の北側沿岸を走ることになるのだが、海の向こう側には礼文島がしっかりと見て取れた。
地図上では小さな島だが、対岸の利尻から見る礼文は充分に大きい。
 
     
     
内陸に目を向けると、執拗に山塊を覆い隠す雲が、少しだけ切れようとしていた。
   
   
  途中、丘の展望台から周囲を眺める。海鳥のコロニーと、相変わらず顔を出さない利尻山を見る。
                   
       
                   
       
                                                       
   
                                                       
断崖の向こうには町が。
スタートの地、鴛泊はもうすぐそこだった。
   
                                                                   

これで利尻島は一周したことになる。途中断崖絶壁のワインディングを通るわけでもなかったので、離島一周ツーリングとしては何ともあっさりとしたものだった。

島自体が高峰という同じ特徴を持った屋久島でも、西部林道という類稀なる自然の中を疾走する区間があったものだが、同じ自然豊かな島でも利尻島は、走っても走っても、どこか北海道本土と変わらない風景の島と言わざるを得ない。
そういった意味では、ちょっと離島ツーリングの味としては薄いというのが正直なとこかもしれない。

                                                                   
     

鴛泊漁港に立ち寄って昼食とすることにした。島の玄関口であるフェリー港なら、土産物屋などのお店が揃っているだろうと思ったからだ。

思惑通り港の駐車場前には、何件かの店が軒を連ねていた。特にどの店とかいう情報もないので、一番端にあった素朴そうな食堂に入った。

           
佇まいは素朴だったが、メニューは思いっ切り観光地価格だった。。
比較的安価な(笑)焼魚定食を注文。出てきたホッケはさすがに美味い。北海道のホッケは、本州に売ってるそれとは大きさからしてまるで違うのだ。
値段は高めだったが、味そのものには満足。店内は満員に近かったが、そのほとんどが旅行者のようだった。
   

食堂でゆっくり昼食タイムを堪能後、店の前に停めたエスの車内で仕事の電話をいくつか処理。(マトモに電波の入るところは、離島ゆえそうそうあるわけではないので)
それでも沓形港から出るフェリーの時間にはまだ時間があった。

ここから引き返す形で沓形に行ったとしても、まだまだ時間が余ってしまう。
事前の想像では利尻島、もうちょっと見所があると思ってこういうスケジュールにしてみたのだが、予想外に山以外は何にもない島(汗)だったので、時間は余りまくりである。
仕方ないので、もう一周、島を周遊してみることにした。

     
         
     

オープン状態のS2000で、のんびり一周して鴛泊に到達。鴛泊から沓形に戻る形でフェリーの出る沓形港へ。

乗船手続きをしようと思ったら、受付の担当者がまだ来ていないとのこと。
結局担当者が現れたのは、出港30分前になった頃だった。
さすが離島、のんびりしてるもんである。

     
       
沓形港を15:10出港。対岸に見える礼文島へ。乗船時間は40分ほど。
言ってみれば対岸へと渡る渡り船のようなものだが、船は稚内から出ているカーフェリー同等。(フェリー会社も同じ)
       
       
 

礼文島

あっという間に礼文島に接岸。到着したのは、香深港という港。飛行機が発着していない礼文島にとっては、唯一の島の玄関口となる場所だ。
香深は礼文島の中心の町でもあり、港周辺には思いのほか大きな建物(観光ホテルとか)が立ち並んでいる。

下船後はその町中の細いメインストリートを通過して北上する。
既に時刻は夕方に近付いているので、早々に寝床を確保しなければならない。一応キャンプ場の目星は付けてはいたけど、利尻の山麓野営場のようなメジャーっぽい所ではなかったので、不安がないといえばウソになる。

島の東岸海沿いを南北に繋いでいるのが礼文島のメインストリート。島唯一の主要道道40号線がそれだ。

丸い形状の利尻島には島を周回する道路が存在したが、南北に細長い礼文島には、縦に一本道路があるだけ。(もちろん支線はあるが)
それも島の東側を通っているので、大陸の方角の西側には道路が存在しない。そのことが、礼文島の魅力を押し上げる一要素となっていて、明日はそれを楽しんでしまおうと企んでいるわけなのだが。

                                 

道道40号を走っていると、香深を過ぎてしばらくした所にセイコーマートがあった。北海道地場のコンビニは礼文島にも進出している。
北海道のキャンプツーリングには非常に助かる存在だが、ひとまず通過。

香深井という集落に入ったところで、海岸にエスを停める。
背後にある利尻島の姿が、厚い雲の切れ目から現れようとしていたからだ。

                                             

うーん微妙。。

これでも今回の旅の中ではもっとも全容が見えた方だ。

利尻の方の雲は切れ出しているけど、こちら礼文島は今にも雨が落ちてきそうな気配。
最北の島で冷たい雨に降られて寂しい夜は過ごしたくない。何とか持ちこたえてくれることを願って再び走り出す。

香深井から少し内陸に入った所に、今晩の寝床と考えているキャンプ場がある。しかしせっかく上陸した礼文島。時間も時間だったが、もう少し走りたい。

ひとまずキャンプ場は通過することにして、さらに北上を続けることにする。

 
                                             
   

海岸線沿いに続く道道40号は、時折覆道を伴いながら2車線のまま延びていく。集落に入ると狭くなる区間もあったが、バス通りでもあるので極端に走りづらいことはない。
地区、あるいは集落ごとにその名勝を示す道路看板が細かく立っている。礼文島の交通がこの道路に集中している証拠か。

道道40号は途中で島をショートカットして、最北の湖である久種湖に向かっていく。
とりあえず島の海岸線をなぞるように北上したかったのでショートカット路は利用せず、海岸線の脇道へと入っていく。

脇道も一応道道で、以前の島の幹線道だった名残を感じたが、実際には集落内の狭い道といった感じだった。北限の寂しい漁村集落風景に黒いオープンカー。見かけた住民の方は、一体何者かと思われたことだろう。

                             
         
                         
           
やがて海岸は岬に到達するが、これといって表示するものもなく、知らないうちに通過してしまう。
久種湖でショートカットしてきた40号と合流。道はそのまま、最北のスコトン岬へと続いていた。
   

スコトン岬

言わずと知れた、最北の離島の最北の岬。漢字で書くと「須古頓」となるらしい。ネーミングの響きも周囲の環境も、利尻礼文の岬の中では別格の存在感。岬に至るまでの道の雰囲気は、まさに最果てのそれだった。

寒風吹きすさぶ樹木の生えない丘を、1本の道が延びる。両側に海原が広がっているのが感じられた辺りで、駐車スペースが現れ、奥の小屋の手前で道は唐突に途絶えていた。

 
周囲を海に囲まれた小高い丘の上の駐車スペースは、完全に吹きっさらしの中にあった。オープンのままエスを停めると、いやでも風の強さを体感することになる。
駐車場横の番屋のような小屋は、スコトン岬の観光土産店だった。さすが礼文島で一、二を争うであろう観光地なだけあって、閉店間際にもかかわらず賑わっていた。
その土産小屋脇に続く、車止めの先の舗装路を歩いていくと、正面はもう海。岬の突端はすぐそこ。
 
突端には何があるわけでもなく、記念写真撮影用に大きな看板があるだけ。最果ての岬にはこれくらいの儚さ?が似合っている。
その撮影スポットから、さらに階段を下っていくことによって岬の先に近付けるようになっていた。
当然その階段を下りていくことにする。
 

その途中、岬にできた小さな入り江に挟まるかのようにして、一軒の鄙びた木造の建物が・・・

なんと民宿らしい。強烈に違和感のある立地である。冬は一体どうなってしまうのか、想像もしたくない。(と思ったら、冬は営業していないようだった)

     

民宿を過ぎると、今度こそ本当の突端に辿り着く。

よく雑誌の写真とかで見る、丸ゴシック調で「最北限の地スコトン岬」と書かれた標が立っている。
日本最北端こそ宗谷岬に譲るものの、その最果て感はスコトン岬の右に出るもの無しといった感じだ。

沖に浮かぶ細長い島はトド島とい
う島で、無人島らしい。どこかで申し込めば漁船で渡れるとか。冬になるとトドが集まってくるとかこないとか。

灯台はそのトド島の方に見えるので、スコトン岬には無い。それがまた原始的な岬の風景に一役買っている。

       

夕刻だけあって、最突端にはさすがに人影も無く、静かなものだった。すぐに立ち去るには惜しい最北限の地だが、明日はもう一度この岬に訪れることになる。
というのも、明日はこの最北のスコトン岬から、礼文島を歩いて縦断!する予定にしているのだ。

島を歩いて縦断!?しかしそれは、ここ礼文島では突拍子も無い発想というわけではない。
礼文島では、あまり道路網が発達していない(先程通ってきた道道くらいしか縦に走る道路が無い)ことを逆手に取って、歩いてしか行けないトレッキングルートが充実している。それは割とメジャーなルートであって、自分としても礼文に行くならぜひ歩いてみたいと思わせるルートだったのだ。

また、礼文島は通称「花の島」と呼ばれるほど、島中が高山植物に彩られることで有名である。
利尻島と違って標高高い場所なんてほとんどない礼文島だが、緯度が高く高地と同じような気候であることから、本来なら低地では植生しないような高山植物が標高の低い場所で見られるのだ。
しかも今は、高山植物が一斉に咲き誇る6月を僅かに過ぎたばかりの7月初旬。
せっかくこの時期に訪れることができたわけだし、当然挑まなければならないと心に決めていた。

そんな理由もあり、とりあえずスコトン岬を後に。既に夕刻を過ぎているので、さっさと寝床を確保しないことには落ち着かない。
急ぎ元来た道道を引き返し、途中にあったセイコーマートで夕食の買い出し。香深井に戻って、目星をつけていたキャンプ場に向かう。

 

キャンプ場は緑ヶ丘公園という運動公園の中にあって、野球場では地元の高校野球部が練習中だった。

キャンプサイトは駐車場から離れた敷地奥の林間にあり、青々とした自然に囲まれた居心地が良さそうだった。
既に数組のライダーらしきキャンパーがくつろいでいるようで、良い場所は限られていそうだったが、テント1つ張るくらいわけはなさそうだ。

     

それよりキャンプの受付時間はとっくに過ぎていたようで、管理人不在で受付ができなかった。
まぁ明日も滞在するので、その時に受付すればいいかということで、かまわずテントを張ることにした。

夕食をとりつつ、明日のトレッキングの準備。
さすがに礼文島ともなると寒い。7月だというのに、暗くなりかける外ではフリースが必要なくらいだ。

明日のスタートは、午前7時のスコトン岬。
天気が良くなってくれたらなぁ。

     
3日目 / 5日目
 
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