■礼文島プチドライブ


翌朝、手早くテントを撤収し、エスを島の南側に向かって走らせる。
礼文島の車道は限られていて、既に香深の北側はほとんど走っている。残るは南側だが、道路自体がそもそもそんなに存在しない。

 
 

まずは、香深から島の西海岸へと続く道道765号に向かった。
西海岸に出ることのできる道は、島の北側の浜中から澄海岬に続く道と、この県道くらいしかない。

県道は香深から急勾配を登り、トンネルを経て西海岸へと至る。

トンネルを抜けた直後、強い海風に煽られる。霧雨がフロントガラスを覆う。
外に出ると、7月とは到底思えないほどの寒さだった。

                                                 
 

道道を海岸線まで下り、北へと向かう。

海岸線をしばらく走ると元地の集落があり、そこを通過すると、やがて道は途切れた。
視線の先には、鋭く切り立った岩山がそびえ、行く手を阻んでいる。

     
                                               
                           

地蔵岩

刃物で一刀両断されたかのように、垂直に割れた巨岩がそそり立っている。
地蔵岩と呼ばれる岩壁の展望地が、車道の突端だった。もしこの海岸線を歩いていくことができるのであれば、ずっと先に宇遠内の集落があって、8時間コースに合流することになる。(が、ここから先は通行が禁止されている)

地蔵岩をひとしきり堪能した後、元地の集落へと戻る。
ここで本日の朝食。佐藤売店という休憩所のような小さな食堂で、再びウニ丼を食すのだ。
 

佐藤売店

こんなとてつもない辺境にあり、しかもこんななりの店ながら、ある筋ではかなり有名なお店。海の家みたいな簡素過ぎる客席には多くの色紙、写真の他に、「食べログ」の認定証まで飾ってあった。

この店を有名たらしめている絶品のウニ丼がコレ!
鮮やかな色彩のウニに驚愕。

礼文島ではバフンウニという品種のウニが水揚げ後直後に食べられるという、産地ならではのメリットがある。普通、本州の居酒屋とかで食べるのはムラサキウニだし、保存のためにミョウバンに漬かっている場合がほとんどらしい。

 
   
 

産地の礼文ではわざわざ保存液に浸す必要がなく、希少なバフンウニが新鮮なままいくらでも頂けるのである。

しかもこの佐藤売店、目の前が収穫したウニの加工場っぽい。 おそらく今そこで剥かれたであろうウニを、惜しげもなくご飯の上に乗せて食べさせてもらえると思えばなお至福の時。

そんな新鮮極まりないウニは、まさに海の味。今までに食べたことのない濃厚かつ自然の味がした。(昨日のウニ丼と比べても、だ)
礼文島に来たら、まず外せない店だろうなぁ。(この超B級な感じもタマラン)

   
                 

元地海岸を戻り、ユースホステルに続く道にあった展望台へと立ち寄る。

桃岩、猫岩と呼ばれる奇岩を眺めることができる場所らしいが。。。

   
 
猫岩。
まぁ言われてみれば。。

桃岩。
むむぅ確かに。。

終わり。寒いので撤収(マジ寒いんだってば)

   
       

香深まで戻って、海岸線を行く道道40号を今度は更に南下する。

礼文島最南端までそれほど距離はなく、海沿いの集落の中を走っていると、民宿が密集している辺りで突如道は途切れる。

一応最南端なのだが、岬らしい地形ではないので、これといったビューポイントでもなく。。。
礼文島を走破したという満足感だけ得て、すぐに引き返すことに。
     
 

ってな具合で、あっさりと礼文島周遊は終わってしまった。何せ走れる道が少ないので仕方がない。

香深に戻ってきたが、予約している稚内行きのフェリー出航は3時間も先。余裕あり過ぎ。
とりあえず、港の土産物店でお土産を物色。利尻礼文らしく、コンブとウニのお菓子を買う。じっくり品定めしたおかげで1時間くらい消化。

 
   
その後、近くのホテルの1階で見つけたカフェでコーヒータイム。
   

カフェの窓越しにフェリーターミナル。稚内から到着したフェリーから乗客が降りてくる。

その手前に林野庁のHR-Vが。

 
コーヒー休憩が終わっても1時間くらい余ってしまったので、最後にもう一度、スコトン岬までドライブすることにした。
 
           
         

スコトン岬

スコトン岬はこれで3回目。毎日訪れている(笑
毎度曇りの天気で景観には変わりがなかった。相変わらず観光客で盛況。

スコトンの番屋のような小さな土産物店は、実はかなりしっかりしていて、品物も店員の数も充実している。もしかしたら、礼文島土産はここで揃えるのが一番確実なのかもしれない。

     
友人向けにトド肉の缶詰を購入。土産をじっくり物色しただけで、再び香深にとんぼ返り。
フェリー乗船のために並ぶには、ちょうどいい時間になっていた。
   

フェリーの乗船待ち。乗船するクルマは結構多い。


礼文島を出航し、稚内へ。
離島を離れるときの感慨は、いつも格別のものがあり、甲板に出て名残を惜しみたいところだったが、やっぱり混んでいた(利尻島に向かう時ほどではないが)ので、一度陣取った場所から動く気にはなれなかった。

それでも今回は横になることはできたので、寝転びながら本を読んで過ごす。天気の回復だけが気になるところだった。

     
・・・・・・・
     

14:30頃、稚内フェリーターミナル到着。

国道40号を走り、2日目と同じスタンドで給油。
その向かいにあった最北のオートバックスで、切らしてしまった窓フクピカを補充。(ツーリング中の視界は常にクリアに)
準備万端で再び国道40号へ。

                                     
               
R40を豊富まで南下。
この辺りは必ずと言っていいほどサロベツ原野側を走るので、マトモにR40を走ると新鮮。
 
   
 
     
   
                         
 

豊富の市街地に入る直前で、広域農道に左折。

農地帯をおおらかに巡る気持ちのイイ道路が多いので入ってみたわけだが、この落合広域農道は今ひとつだった。(天気も良くないし・・)

写真を撮るポイントを探してるうちに、道道に吸収されて終了。諦めて温泉へと向かう。
今日はこれといって何もしていないが、早めの入浴でスッキリするのだ。

   
                                   
 

豊富温泉

道北の温泉の中でも、ずっと注目してて行きたかった温泉にようやく訪問。

豊富温泉は、北海道では珍しい湯治場っぽい温泉場。ふれあいセンターという日帰り入浴施設が道道84号沿いにある。
その特徴は何と言っても泉質。石油かと思わせるくらいの濃厚な油分が漂う、かなり珍しい温泉なのだ。

   
                                   
             
 
濃厚な湯治浴室と、薄めの日帰り入浴用浴室があり、気分的には濃厚な方に行きたかったが、湯治客に遠慮して一般的な方で入浴。
土色のお湯に油膜が張る温泉は、超個性的だった。満足。
 

温泉を出発する時、時刻は既に16:40だった。もうそろそろ今晩の宿が気になるところ。
今日も終始天気が優れず、このまま雨粒が落ちてきてもおかしくない様相だったので、それなりにちゃんとした場所でテントを張りたい。

幸い道北には、大きなキャンプ場がいくつも思い当たったが、ここまで来たら今回もクッチャロ湖の湖畔でキマリ!って気分になっていた。
クッチャロ湖畔キャンプ場は、前回の北海道ツーリングの中でも訪れた、指折りの素晴らしいキャンプ場である。

しかし、クッチャロ湖はオホーツク海に面する浜頓別町にある。今はまだ、どっちかっていうと日本海が近い豊富町。
目指すキャンプ場に辿り着くには、北海道を真横に横断する必要があるのだ。夕刻を迎えつつあるこの時間から、果たして辿り着くことができるのか!?

道道84号

という不安とは裏腹に、ルートは至極単純である。豊富から道道84号を真っ直ぐ東へ向かえば浜頓別に至ることを地図が示している。
距離はそれなりにあるだろうけど、この時間に道北の道道に交通量があるはずもないので、ハイペースで横断できると見ていた。
いざ出発。

         
       

予想通り整備された2車線路で、完全なる一人旅。快適極まりない高速クルージング。

・・・だったが、人里離れるにつれ、道もまた怪しくなってきた。路肩線はなくなり、幅員が狭まる。と同時に、路面はバンピーに。
うねりを伴った路面を通過し車体が飛び跳ねる。北海道の荒野を、ターマックを攻めるラリーカーの如く突き進むS2000。何ともミスマッチ。

 
猿払村に入った後も、うねるワインディングは延々と続く。ずっと遮る者なく、喜々として走り続けていると、突然工事区間が現れた。
舗装を剥がれた砂利道は、それまでの元気は何だったかのような極低速で通過(^ ^;
   
       
   

そして残り18kmの表示の所で、浜頓別町に入った。

そこからはもう、広大な原野だか牧草地だかわかんないけど、ただひたすら広い景色の中をズバーンと下りていく。
豊富から浜頓別は、思いのほかあっという間だった。


浜頓別の町中のスーパーで買い物してから、クッチャロ湖畔キャンプ場へと入場。時刻は18時数分前。キャンプ場の受付に向かうと、受付は18時までだったので危なかった。

                                     

クッチャロ湖畔キャンプ場

クッチャロ湖は既に薄暗くなり始めていて、さらに霧雨が舞っていた。前回は美しい夕陽を眺めることができた湖面の景色も暗く沈んでいる。
同宿人も前回ほど多くなく、ライダーのテントがいくつか立っているくらいだった。

素早くテントを立てて、霧雨の中、夕食タイム。利尻や礼文でのキャンプよりさらに寒く、そそくさとテントに撤収。

せっかくのクッチャロ湖畔キャンプは楽しめそうにないのが残念だったが、明日は何日かぶりに思いっきりエスを駆る行程になるので、その期待に胸膨らませつつ寝袋にくるまった。

   
                                     
5日目 / 7日目
                                     
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