■道北無名道道ワインディングアタック


5:30頃起床。テントの外に出てみると、湖は相変わらず白くもやっていた。
湖畔にはびしょ濡れのS2000。オープンドライブ難しいか。。

     

テントを撤収して湖畔のキャンプ場を出発。

浜頓別のセイコーマートで筋子おにぎりを調達し、朝飯とする。

                                             
                           

浜頓別から国道275号を進むと、すぐに原野の中の道となる。
道幅はいかにも北海道の国道ってなくらいに広く、快適な速度で突っ走る。ただし路面はヘビーウェットだ。

ちなみにこのR275、2日目にひたすら北上した空知国道の延長線上にある道である。

 
次の集落である中頓別まではあっという間だった。この町で、道道120号にスイッチ。
ここからは、今まで走ったことのないマイナー路線を中心に繋いで徐々に南下するルートを想定していた。
     
 
                                   

道道120号

国道から比べるとワンランク下がる感じの道になるが、その代わり交通量は皆無。思う存分ドライビングが楽しめそうだ。
R275ではまだ降っていた雨がほぼ止んで、木々の緑も青さを増してきた。

コースに勾配はないものの、なかなかのワインディング。
ノーズに荷重を移し、イン側の白線を舐めるようにコーナリング。素直でリニアな操縦感が持ち味のS2000。思いのままに動いてくれるこの感触。何にも例えられないエクスタシーを感じさせてくれる。

               

名も無きワインディングは、1台のクルマも見ないまま、道道12号に突き当たった。

一旦道道12号に入って、歌登市街を通過。
かつて北海道に住んでいた当時存在した全212市町村のうち、離島以外で足を踏み入れたことのなかった唯一の町が歌登。今は枝幸町に編入されてしまったが、心残りだった歌登にようやく足跡を残すことができた。プチ満足。

歌登市街で、小学生が登校するさなか、幌をオープン。 再び道道120号に入り、南に向かって走り出す。

           
       

再び道北の原野と森の中を走る長大なルートへと突き進む。道路以外に人工的なものが全く目に入らない。走っているクルマも全くない。

未知なる世界へと続く一本道を、取り憑かれたように駆けていく。
時折現れる距離表示の青看が、現実に引き戻す役割を担っているかのようだ。

   
市街地から遠ざかるほど、路面は荒れ気味になってくる。
そんな路面でも、追従の良い足回りによって路面を離さないS2000。ウェット路面でもグリップに優れるRE-11も、確実にインフォメーションを伝えてくれる。

天の川トンネルで峠越えした辺りから路面はドライになり、曇り空ではあるけれど爽快なオープンドライブが楽しめる状況になってきた。

ワインディングは実にダイナミック。 路面の荒れもターマックステージには付きもの。
歌登から次のスイッチポイントまでは相当距離があるように感じたが、時間にすれば決して長いものではなかった。

       
                                 
 

道道49号

トロッコ王国という施設の前で、道道49号に吸収される。この交差点を左折。

一連の道道ワインディングは、内陸を走る国道40号とオホーツク海沿いを走る国道238号のちょうど間を南北に走るルート。
普通のツーリングならオホーツク国道を走るであろうエリアなので、このルートを選択するツーリストは稀だろう。

かくいう自分も、北海道時代から通算しても、このルートは今回が初めてなのである。

             
   

道道60号

道道49号で松山峠越え。その後、道道60号にスイッチ。ほぼ真南に進むルートで、突き当たった所が下川の市街地になる。

様々な道道を繋いで走っているが、南下を続けるにつれ、路面のバンピーさが過激になってくる。

この道道60号がその最たる道で、うねりが凄まじい。ただ固いだけの足回りのスポーツカーなら跳ねて飛び回ってしまうんじゃないかと思うほどの抑揚豊かな路面。

ギュワンギュワンとサスペンション動かしながら乗り越えていく。
こういう道もまた、ドライブしがいがあって面白いんだけど。

                             

ずっと手付かずの森の中の景観が続いてきたが、この道でようやく変化が。

       

途中で何もない平原の中を豊かにカーブを描く、不思議な風景に遭遇する。と思ったら、突然大規模な道路工事現場。

そのうち波打ったワインディングロードは高規格な道路に変化し、山間の集落に向かって一直線に駆け下りていく大胆なルートに切り替わってしまった。

                                               
地図を見るとダムの建設計画があるようで、道路を付け替えているようだ。
その副産物としてのこの眺め。時を同じくして太陽の光が降り注いできた。ここまでのワインディング走行で汚れたボディが急激に乾いて土垢を浮き上がる。
       
       
下川の町に入ると、国道239号に突き当たる。国道沿いのセイコーマートでピットイン。
しばしのコーヒー休憩のついでに、仕事の電話処理。(久しぶりに電波の入る場所に来たので)

道道101号

下川からは道道101号。
最初は農場の中をズバーーンと直進する道路だったが、そのうち山の中へ。この道路に関しては路面はキレイで比較的走りやすかった。

峠を越えると士別市。
なぜかモンシロチョウの大群が道路にうようよ出現。避け切れる量ではなく、仕方なく突っ切っていく。

いつの間にか晴れ渡った空の下、長閑な風景もチラホラと散見。
ふと立ち止まって眺めてみたり。

           
     
           
     
           

道道61号に吸収されるところで、どちらに行くか迷った。
このまま南下していけば、旭川近くの愛別に至るが、東側に進めば上紋峠という美味しそうなワインディングが待っている。

けれど、選択したのはなぜか西行きのルート・・・その先はR40士別市街で何があるわけでもないのだが、士別には美瑛にも劣らないほどの丘の風景があるらしい。(という情報を「なまら蝦夷」でキャッチしていた)
思う存分ワインディングを楽しみ尽くすのもいいけれど、天気も良くなってきたことだし、北海道ならではの丘陵風景を楽しんでいくのも悪くないなと思ったのだ。

     
     

道道61号(岩尾内〜士別)

天塩川に沿った平坦地を走る区間の道道61号は、ただひたすら何kmも真っ直ぐな道が続く、これぞ北海道な道。
周囲は田園地帯で人家もあり、久しぶりに他にクルマが走っている道を行く。

 

旧朝日町を通過しても、ただただ一直線な道が続き、さすがに飽きがくる。
ちょっと寄り道的な発想で士別へと向かうことにしたが、寄り道というには随分と距離があった。(おそらく20kmはくだらなかったような)

 
   
士別市街でR40。
せっかく幹線道路に来たついでに、ガソリンを補給。ちなみに前回入れたのが昨日の稚内。そこから319.2km。ほとんどが名も無き道道だったことを考えると、北海道の並外れたスケールがわかるというもの!?
   

士別の丘

士別市街から東側に少しだけ分け入ったところに、丘の風景が広がるエリアがある。
訪れてみると、なるほど、美瑛ほどの花はないかもしれないが、普段着のままの静かな丘陵風景が広がっていた。

 
                               
                                   
奥へ奥へと分け入っていくに従って、その風景は純度を増していく。
そして圧倒的なスケール感とともに、比類無き雄大な風景が目の前に展開していくのだ。
 
                                   
 
                                   
   
   
   
 
緩やかな丘陵を登ったり下ったりして分け入っていく。
地平線が望める風景や、遠くどこまでも続いている畦道のような道の風景が次々と現れる。
 
   
 
   

観光客ゼロ。たまにトラクターが走ってるのを見る程度。静かで、誰にもジャマされない、普段着のままの北海道を堪能。
言ってみれば、ここまで走ってきたワインディングも、マイナーだけに普段着の北海道と言えなくもない。

利尻・礼文で誰もが知るコースを歩くのももちろん良かったが、ここにきて全く別の楽しみを味わえたことに感謝。晴れ渡った青空にも感謝。

 
 
・・・・・・・
     

道道61号(岩尾内〜滝上)

感謝、感動の寄り道に満足しつつ、道道61号を東へと引き返す。

ただひたすら平坦で真っ直ぐの道を道道101号分岐まで引き返すと、岩尾内ダムに向かって道は駆け上がっていく。
ダム沿いのワインディングロードは爽快で、上紋峠までそれは続いていく。

                             
             
   

ダム湖を離れると森の中の1本道。やがてコーナーが連続する峠越えが近付くと、コンクリート製の立派な覆道が連続する区間になった。

峠に近付くと、山に雲が垂れ込め、周囲が暗くなってきた。
峠の標高は800mに過ぎない。峠付近だけかと思ったら、その東側の空はすっかり雲に覆われ、先程までの晴天がウソのように沈んだ風景が待っていた。

 

上紋峠からは、滝上町に向かってズドーンと降りていく。
滝上町で本日3店目のセイコーマート。安売りしていたメロンカツゲンで水分補給。

この時点で13時過ぎ。士別の寄り道が効いちゃってるなぁっていう感じで、そろそろ真剣に(!?)距離を稼がなければ、と思い始めた。

というのも、明日は正午頃函館発のフェリーに乗らなければならないのだ。

 
 
初日のように有り余った体力に任せて夜通し走るわけにもいかないので、できるだけ函館に近付いた場所で寝床を確保したい。
   

国道273号

そう思いつつ、国道273号を選択。旭川方面に向かって一気に歩を進めることとした。
・・・って言っても、旭川まで何とまだ100km近く。次の町である上川町ですらまだ60kmもある(笑)道北の巨大さが身に染みるというもの。(ガス欠には要注意たる所以)

R273はさすがに国道なだけあって、クルマは走っていた(笑
しかも久しぶりに見る追い越し禁止のオレンジライン。
ズッバーーンとストレートが続く区間でも前を行くクルマの前に出れないので、ペースはガクンと落ちてしまう。
     

峠道に入ると、ある程度集団を形成して走る形になったが、北海道らしくかなりのハイペースなので(!?)、いつの間にか峠越え。

浮島トンネルを抜けるとすぐに高速のインターチェンジが出現した。旭川紋別道浮島IC。このご時世でも地味ーーに延伸している高速は、道央道と繋がって今や丸瀬布辺りまで延びている。全線開通していないため、全線無料共用中だ。

前回の北海道ツーリングでもちょこっとだけ使った旭川紋別道だが、今回も距離を稼ぐために使わせてもらうことにした。

                               

旭川紋別自動車道

全線片側1車線の旭川紋別道。無料区間だけにクルマの量も多く、ハッキリ言ってここまでの下道より全然遅く、ちっとも「高速道路」ではない(笑
けれど信号がない、並行する国道のペースよりはマシ、なので時間短縮には効果があるように思える。

道央自動車道

比布JCTで道央道へ合流。ここから正規料金(平日なので)、のはずだが、道央道の岩見沢以北は無料実験中だったので、ここからさらに交通量は多くなった。

道央道をそのまま直進し、旭川、深川、滝川と歩を進める。
数えるほどしか走ったことのない北海道の高速道路。何だか新鮮だ。

砂川SAで小休止。ハイウェイオアシスでソフトクリームを食らう。
この時点で15時。高速上にいる限り、とりあえず札幌までの時間は読めるので、気分的には楽になった。
       
     
 

美唄、三笠、岩見沢。岩見沢以南は正規料金がかかる区間だったので、潮が引くように周囲からクルマが消えた。

江別を過ぎて札幌JCTから札樽道へと入る。
札幌市街に入ると時間がかかりそうなので、このまま高速で抜けてしまおうという魂胆だ。

                         

札樽自動車道

この札樽道、道央道以上に走った記憶のない高速道路である。
雁来ICから先は、おそらく運転免許教習中の高速教習の時以来。つまり今回が2回目。
札幌に住んでた当時は散々下の道は走ったけれど、上の道は恐れ多くて(?)走ったことなどなかった。(単にカネがなかったとも言う)

札幌北IC通過。
札幌の空はドス黒く、今にも雨が降り出しそうな雰囲気だったが、ずっとオープンのまま走り続けている。

                               
       

札幌西ICも通過して手稲へ。
もうここまで来たら小樽まで行ってしまえ~

   
 

ってわけで、札樽道終点の小樽ICまで走り切った。時刻は16:30。さっきまで道北の名も無きワインディングを突っ走ってたことを考えるとエラいワープっぷりである。

そのワープっぷりに気を良くして、悠長に温泉タイム。小樽ICすぐ近く。フェリーターミナルのすぐそばにある温泉と言えば、ここしかない。

       
     

小樽温泉「オスパ」

とてつもなくB級のニオイがプンプンする健康センターのような佇まいの温泉施設。そこがどうしてこんなにも思い入れがあるのか。

何を隠そう、このオスパは札幌の青春時代(?)に通い詰めた、言わば自分の温泉好きの原点とも言える聖地だからなのである。
黒いシビックに友人を乗せ、徹夜明けにハイテンションで向かい、はたまた独りで考え事をするために向かい。。。何かとお世話になったオスパ。
実に9年ぶりの訪問であるが、健在だった。

 
中身は正真正銘B級である(笑
だけどオスパにはそれが許される。この緩い空気感がタマランのである。
しかし温泉そのものは、非常に塩分が濃くて個性的。
                                             

露天風呂にはテレビが設置されている。道内の夕方の番組、どさんこワイドをやっていた。タイムスリップに等しい体験である。

個人的に思い入れのある温泉施設なので、万人にはオススメしない(爆)けれど、こういう思い入れのある場所があるっていうのはいいものだ。
小樽に足が向いたのは、このオスパがあったからかもしれない。そういう場所が日本全国にできればと思うのだ。

   

国道393号

そんなオスパに1時間ほど滞在し、小樽の町を出発。
いい加減寝床を決めなければマズい時間帯に入ってきたが、躊躇なく毛無峠へと向かう国道393号へ。つづら折れのヘアピンコーナーが連続する急勾配のワインディングを駆け上がる。

・・・と思ったら、超ローペースの道外ナンバーのデミオに鼻先を抑えられる。同時に濃霧が垂れ込め、視界は極端に悪くなってパスすることができない。

背後にズラズラと隊列(トラックも含む)が形成されても、先導車は一向にペースを乱す様子もなく、峠まで付き合わされてしまった。

                                     
  峠を越えて霧が晴れた隙を狙ってデミオをパス。あとはマイペースのクルージング。赤井川の森を突き進む。

道道36号との分岐で左折し、さらにR393を辿っていく。この辺りから道路は高規格になり、幅広の道が山々をかき分けていく。
白いS2000とすれ違う。あっという間の出来事に、手を振ることもできなかった。

樺立トンネルという長いトンネルを抜けると、倶知安町に入る。

昔はこんな道、なかったような気がする。確かR393は未開通区間が残っていたはず。それがいつの間にやら貫通していたようだ。

     
   
倶知安に入ると風景は一変。一面のジャガイモ畑。大規模な農場が羊蹄山の麓に広がっていた。
その羊蹄山は雲に隠れて、全く姿は見えなかった。
 

倶知安の中心部を目指して国道5号を跨ぎ、函館本線の駅前付近へ。線路を跨ぐと、公園の中に入っていく。
この旭ヶ丘公園の中に、無料のキャンプ場があるはず。今回のツーリング最後の幕営となる今晩は、そこで一夜を過ごす心づもりだった。


旭ヶ丘キャンプ場は無料ということもあり、ちょっと探すのに難儀したが、間もなく発見。しかし正規のサイトは思いのほか狭く、既に他のツーリストに占拠されていた。

仕方ないので、張っていいところかどうかはわからなかったが、サイトから一段下がった原っぱでテントを張ることに。
周囲は暗くなりかけていたので、選択の余地はなかった。

   

テントを張ったところで、町内のスーパーへ買い出し。
せっかく最後の夜だから北海道らしいものをと思ったが、マックスバリューではそんなもの売ってはおらず、ごくフツーの食事となってしまった。

適当に選んだサイトは蚊が多く、虫除けスプレーを塗ったくって食事した。
昨晩までの道北でのキャンプとはまるで体感温度が違う。倶知安とは言え、道北に比べたら夏を感じる。
夏の空気と蚊の来襲に、戻ってきつつあるんだなという感慨を感じて眠りについた。

   
6日目 / 8日目
   
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