四国2009 〜四国西部・山河海街を走り尽くす旅
 
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2日目 second day

7時前に、わじきライン林間キャンプ場を出発。もうちょっと早く動き出したかったけど、今シーズン最初のテント泊ということもあってか?、片付けやら何やらでこんな時間になってしまった。

R195をそのまま西の方角へと突き進んでいく。那賀川沿いの国道は人気もクルマっ気も無く、爽快なオープンドライブが始まる予感。

                   
     

このR195は、阿南から高知までを一直線に抜けている。その地図的なポジションから、幹線道路っぽくも見えるが、地図上には周囲にこれといった道路が見当たらず、見渡す限りは山っぽい。
唯一、北側に国道438号&439号(通称ヨサク)が並行しているくらいなもの。
青看には「高知114km」の表示が・・・この山道で100km超とは、高知への近道と言うにはちょっと苦しいかも。

途中で一瞬、国道193号と重複する。
100番台国道どうしの重複で、それなりの格調ある道路かというと、それも否。ダム湖に架かる黄色いトラス橋も、辺鄙な山峡の風合い豊かである。
じゃあ走り難いかと言われればそうでもなく、山深いとは言え、緩やかなコーナーを快走することが可能だ。そういった意味では、幹線道路という予想もあながち間違ってはいない。
そう思ってると、木頭を過ぎた所で狭い区間もまだ残っていた。

鷲敷から50kmは走っただろうか。。
こういう道の50kmは、結構長く感じるもの。相当山深くなっているはずなのだが、集落や民家が途切れない。

それでも県境である四ツ足峠まで10kmを切ってきた。
その下には剣山スーパー林道の文字が。。

エスに乗ってるから全く興味の範疇に入らず忘れてたけど、日本最長ダートとして有名な林道がこの近くを走ってるんだった。

四ツ足峠へ登る直前に、その剣山スーパー林道との分岐があった。ツーリングマップルで確認すると、ここから全長87.7kmとある。そのほとんどが未舗装のダート林道。ダートを延々走った経験はあまり無いけど、かなりお腹いっぱいになれそうな数字だ。

オフロードバイクとかに乗ってたら、おそらく憧れの道になるだろうけど、、スポーツカーで日本の道と自然と文化を味わうのがR style流。ダートのワインディング(って言うのか?)は残念ながらテリトリーの範疇外なのだ。
てわけで、林道入口の路肩に停めての記念撮影だけでスーパー林道は終わり。

林道との分岐点から峠となる四ツ足峠トンネルまでは、それまで川沿いをのんびり走ってたワインディングから急変してヒルクライムになる。

ただ、それもそんなに長くは続かず、あっという間にトンネルへと辿り着く。ようやく徳島と高知の県境に来たわけで、ここまで結構長く感じたが、時間的には1時間半程度しか経っていなかった。

長いトンネルを抜けると、そこは高知県香美市。とは言え、市街地へはまだまだ遠い。

驚いたのは、こんなにも町から離れた山深い場所でも、道路沿いや眺める山肌にポツリポツリと民家が張り付いていること。昔からの街道だったかどうかは知らないけど、ほとんど人の生活の気配というのが途切れることが無いのだ。(写真には写ってないけど)

べふ峡

峠を下りてくるとすぐに、べふ峡への分岐があったのでちょっと寄り道してみた。

クルマでアプローチできるV字谷っていうことで、紅葉時期のために駐車場もあったりするが、この時期にこの時間では、例えGWでも訪れる人はいないようだ。扉を閉め切った休憩所などの施設も寂しい限り。

 

なんて思ってたら、1台だけ地元ナンバーのクルマがやって来て、景色を眺めていった。それ以外はとんと静かなもの。

それにしても、5月に入ったばかりの四国の山肌の景色。黄緑色の若葉が、なんて鮮やかなんだろう!
みずみずしい色彩に、無限の生命力を感じる。深緑の常緑樹の森に混じる弾けるような明るい色彩が、独特の景観をつくり出しているのだ。

 
 
   

べふ峡を後にして、再びR195に戻って走り出す。
徳島県側では那賀川沿いのワインディングロードだったが、高知県側では物部川に沿ったワインディングになる。

徳島側と明らかに異なるのは、トンネルを多用して大胆に山を串刺しにする山岳ハイウェイの様相を呈していること。
県境によって分けられる1本の道の両側で、整備状況が全然違うのって結構見かける。R195もその典型のような気がする。

 

高知県側でも、ひっきりなしに民家が道路沿いに現れる。見上げると向こうの山肌にも、段々畑に混じっていくつもの民家が建っているのだ。
他にも、急斜面に無理矢理石垣の塀を作った上に家屋があったりと、なんでまたこんなとこに?と思ってしまうような場所にも人が住んでいる。

大きな街から相当の距離があっても、とにかくどんなところにも人が住んでたり、田畑があったりするのは、四国ならではの独特の景観かもしれない。

その後もズガーンと走行、直線路と町並みが多くなってきたところで、道の駅「美良布」に到着。小休憩のために立ち寄ることに。
この道の駅に隣接した、気になる施設。
立方体に近い整形の建築に、曲線のブリッジが美しいこの建物。ずばり、アンパンマンミュージアム!である。

作者ゆかりの土地とかそういう意味合いでここにあると思われ、その存在だけは知っていたのだが。。
それにしても凄い人の数。駐車場は誘導員によって整理され、開館前のエントランスに長蛇の列。GW連休初日ってこともあって、子連れの家族が多いこと多いこと。

中身を探索しようという気にはならなかったので(笑)、道の駅直売所と食堂を探索したが、メボしいモノは見つからず、結局向かいのコンビニ(←久しぶりに見た)で朝食を買った。

 

龍河洞

アンパンマンミュージアム、じゃなくて道の駅を出発し(^ ^;)、県道22号との分岐で遂にR195と別れを告げる。
その県道を進むと、有名な鍾乳洞がある山へと辿り着く。駐車場にエスを停めて、散策に出掛けることに。

隙間なく立ち並ぶ土産店の前を素通りし(この辺の雰囲気、秋芳洞そっくり)、洞窟入口へ。
その前に入場料。見る前からアレだけど、1000円はちょっと高くないか??
  鍾乳洞の洞窟探検開始。のっけからかなり狭い通路を通過することを余儀なくされる。石灰岩に触れないよう、全身をくねらせて怪しげに(笑)歩いていく。

頭上からはボタボタ水滴が落ちてくるので、カメラを抱え込みながらの行進。

見学コースの途中には案内人のおばちゃんが所々に突っ立っていて、見学者が現れる度に同じ台詞を繰り返し唱えている。

ライトアップがやや気色悪いんですが(笑

龍泉洞のイメージから、洞窟の中は寒いって思ってたんだが、結構階段を上るので、逆に汗かくくらいだった。

見学コース後半のハイライトは、大昔、この洞窟に人が住んでいたということがわかる痕跡。
   
「神の壺」と名付けられた土器は、弥生時代のものだとか。
あまりに長い年月放置されていたがゆえに、石灰岩と一体化してしまっている。

それを真似て、人為的に壺を設置しているのがコレ。
昭和12年にここに置いて、72年目を迎えるんだそーな。へー。
ちなみに、壺はまだまだ一体化する気配はない。

その他にも弥生時代の住居跡とかが洞窟内部に残されている。その住居跡を通り過ぎたら、洞窟探検は終わりを告げる。

洞窟から抜け出て山道を下っていくと、珍鳥館なる施設が無料で見られるとのことで寄ってみた。

珍鳥って言っても、展示してあるのはほとんどニワトリだった。中でも土佐の尾長鶏は珍しい。尾羽だけが生え変わらずに一生伸び続けるという種で、モノによっては10m近くになるものまでいるらしい。

ただ、尾羽を長く伸ばそうと思ったら、右の写真のような飼育箱に入れなければならないのだそうだ。重力の力を借りて伸ばすということか?
動きすら取れない箱に入れられた姿を見て、見学者は一様に可哀想だと言っていた。運動不足で弱ったりしないんだろうか。

<<<フツーに飼われると、こんな感じになるらしい。
尾羽が伸びるのは雄だけだそうな。

↓その他にも多種多様なニワトリ達を激写。どれが何がだか忘れてしまいましたが。。

 
         

龍河洞スカイライン

龍河洞と海側の平野部を結ぶ、元有料道路である龍河洞スカイライン。ザラザラの荒い舗装路が尾根伝いを走っていた。
全線2車線が確保されていながら、お世辞にもキレイな道路とは言えないあたり、無料化されてただの一般道になってしまった道路らしい。

三宝山に近付くと、道路レイアウトは急変して、急激な高度さを伴うヘアピンコーナーの連続になる。
海側の平野を見下ろす眺望は秀逸。展望台みたいのがあるかなーって思いながら走ってたら、めぼしいスペースが見つからないまま下り切ってしまった。

山のてっぺんに立派なお城が・・・何だろう? >>>

野市から国道55号。高知市西部のメイン幹線道で、交通量は多い。道端に柑橘類の直売所が数多く目につく。
かなり高知市街に入ってきた所で給油をして、何となく高知駅経由で市街地通過。

はりまや橋前の交差点で信号待ち。

市電が十字にクロスする交差点内は、クルマと市電が入り乱れていた。
それにしても、はりまや橋って言われないと気付かないね・・(欄干があるだけじゃん)

国道33号を西に向かう。市電と並走して走るのは、どこの都市でも楽しいもんだ。
特に高知は市電並走区間が長かった。
 
 

普通、道路の真ん中を走ってるイメージが強いけど、市街地の外れに差し掛かって道路が狭くなり出すと、道路脇で並走するようになる。

道路沿いの家の玄関先を線路が横断してるような状態で、かなりレアな風景。

   
いつの間にか高知市を通過し、いの町での国道194号との分岐でR33から逸れる。
ほとんどのクルマはR33へと向かい、R194に流れたのはごく少量だった。
てことで、朝の爽快ドライブの続きのような絵に。
何kmも走らないうちに、気になる道の駅があったので立ち寄ってみた。

「土佐和紙工芸村」。伝統手漉き和紙で有名な土佐和紙を見ることができるのか。

クルマから降りると、高知県の職員に観光についてアンケートを要望される。特に急いでもいないので答えておいたけど、僕みたいな旅行はたぶんデータにならないような気が(笑

土佐和紙がテーマの施設は、表から見るより結構大規模なものだった。思惑通り、土佐和紙を扱う店があったので、吟味して購入。
エスには載らないので(笑)、宅配便で自宅に送付する。

ついでに昼飯を。。

産地直売所の奥にあった小さな食事処でのそばとおでんで済ます。
計500円くらいでとってもおトク、かつ美味かった。

 

道の駅と国道を挟んだ向かい側には、清流で知られる仁淀川が流れている。
大河の様相で谷間をとうとうと流れるスケール感が印象的。
R194はその仁淀川に沿いながら、上流へと向かって伸びている。

やがて仁淀川と別れ、R194は北上を続けていく。この道は高知と西条を結ぶ、瀬戸内〜太平洋間の最短路のひとつ。
そのR194との旅は長くは続かず、国道439号との分岐で別れを告げることとなった。

そしてR439である。

酷道揃いの四国でもナンバーワンの知名度を誇る酷道439(ヨサク)。走破するのにやたらと時間がかかるため、日数と時間が限られたツーリングには向かないルートなのだが、今回はちょっとかじってみることにした。

 

最初はフツーに2車線だったものの、すぐに本領を発揮し出した。
山中の林道と違わぬ狭路が続いたと思ったら、美しい石塀によって構成された集落の中を行く。

ところがまたまた様相は変わって、大峠のトンネルからは快走路が続く。

 

やがて仁淀川町に入り、T字路の交差点に突き当たるが、突き当たった先の道は国道33号。いの町で分かれたR33に再び出会ったわけだ。

ルート的には当然R33が最短路で幹線路。それを北側から大きく迂回するように山間を走ってきたことになる。
こんなムダとも思えるルートを敢えて通ることこそ、ドライブすることそのものが目的のR style流ツーリングの醍醐味の一部なのであるv

<<< R33から再びR439が離れる交差点

大渡ダムの手前で再びR439単独区間へと走り込む。
矢筈峠へと続く山中国道は狭路続き。走っているクルマも皆無の、実用性の乏しい400番台らしい道路だ。
矢筈峠はトンネルで越える。このトンネルの脇に分岐路があり、一応県道だが、あまりにも荒れていて、とてもエスでは入り込める状態ではない。
その険道の入口にひっそりと「←四万十源流点」の立て看板が。。

四国の山中を蛇行しまくって流れる清流四万十川の源流がこの先にあるというのだ。
その存在感から相当の大河に思えてしまうが、実際は高知県内に源流を持ち、高知県内を流れ、高知県で外洋へと繋がる川なのである。
にもかかわらず、四国で最も長い川(全長196km)とは意外だ。これもS字コーナーをこれでもかというほど連続して緩やかに流れる姿ゆえか。

ちなみに正式に「四万十川」という河川名になったはつい最近のことで、それまでは「渡川」が正式名称だったらしい。

矢筈峠を下りてそのままR439を走っていく予定だったが、ちょっと欲が出て県道48号で山登り?をすることにした。

集落の中の農道のような道をトコトコと登っていくと、やがて完全に山中に飲み込まれる。急勾配と見通しの悪いコーナーを続けざまにクリアしていく。
地図上ではほんのわずかな距離でも、こういう道は時間がかかる。時間がかかるというより、地図で確認した距離感と、実際の平均走行速度に大きな隔たりがあるために、感覚的に「長いな」という印象を受けてしまうのだ。

       

四国カルスト

県道を登り詰めると、大きなレストハウスと、久しぶりに見る多くのクルマ(笑)が待ち受けていた。

天狗高原の西側に広がる四国カルストは、日本有数のカルスト台地で、尾根伝いのドライブルートからの眺望が抜群。

前回訪れた時は雲の中でまったく展望が利かなかったので、実質初めて見るカルスト台地からの眺望だ。
ゴロゴロと転がる石灰岩の台地には、樹木の類は一切生えていない。樹木の代わりに台地に点在するのは、草を食む牛たちだ。

すれ違いの難しい狭い道路には、観光に訪れたクルマが行き交っている。お世辞にも交通の便がいい場所ではないだけに、これだけ賑やかだったのにはちょっと面食らった。

標高1500m近い四国カルストの台地は想像以上に肌寒く、また牛以上に人とクルマの数も多かったので、レストハウス間を往復するだけで早々に立ち去ることになってしまった。
理由はそれだけでなく、1日の行程を考えた時に、本日の寝床になりうる場所に上手く辿り着くには、結構大きなタイムロスになる寄り道だったので、あんまりゆっくりしている余裕など無かったってこともある。
帰りは東津野城川林道を利用。
この道、6年前の四国ツーリング時に、早朝にEK9とfun to driveした想い出のワインディングロードである。
それでは今回も、と意気込んで走り出したら前走車に捕まってしまった。
結局全線お付き合いしてしまい、fun to driveの再現には至らず。本当に気持ちのいいドライブが堪能できるワインディングだけに残念。
   

林道を走り切ると、国道197号に出る。これを東へと少し進んで、再び国道439号へ。

ここから旧大正村へと向かう区間は、相当気合いの走りを必要とするのが、のっけからの狭路具合で見て取れた。
谷筋の川に沿って心細いアスファルトの筋が張り付いている感じで、この調子で大正まで抜けるのかと思うと、背筋の辺りがゾクッとする。地図で見る限り、グニャグニャと蛇行する道路は相当に距離が長いのだ。

通常の時間帯なら慌てる必要も無くじっくり攻略すればいいのだが、四国カルストに寄り道しちゃったせいで、R439に入った時点で既に16時を回っていた。
本日の寝床に設定したのは、大正の更に先の旧十和村。キャンプであることを考えると、明るいうちに着いておきたい。

そんなこんなで走り始めてすぐに、このR439檮原〜大正区間をコンセントレーション高めて攻略するため、再度気合いを入れてステアリングを握り直した。

ほとんど道行くクルマも無いのだが、それでも何があるかわからない山峡のR439、ひとつひとつのコーナーを確実にクリアしていく。

驚くのがこんな道を走っていても、ひっきりなしに民家や集落が現れること。
四国という所は、本当にどこにでも人が住んでいると、改めて驚嘆せざるを得なかった。四国の狭路ワインディングには、人の気配の全く無い辺境の道という印象は全くなく、逆に常に人の生活感を感じる不思議な景観がある。
それだけにドライブする際は一層の注意が必要になってくる。

半分以上を過ぎても、青看の距離表示には「大正 37km」とある。まだまだ先は長い。集中力を切らさず運転に集中する。

既に1時間以上、休むことなく狭路を走り続けているが、何があるかわからないこういう道路では、コンセントレーションを高めることで、実際より走行時間が短く感じることが多くある。そしてそういった時間は非常に濃密なのだ。
1日に何度もこういう走りができるものでもないので、大変だけど走り切った時の充実感は代え難いものがある。

遂に狭路を抜け出し、R439に別れを告げて国道381号に移った時には、既に18時近くになっていた。
四万十川の沿うR381は快走路で、旧十和村の市街地まではあっという間だった。

この日のキャンプ地として設定した旧十和村の「ふるさと交流センター」は、市街地中心部の川縁という利便性と環境を両立した抜群の立地だった。
が!、GWも本番ということで、広大な芝生の広場にはおびただしい数のテントが・・・利用料各安のフリーサイトなので人気があるのだろう。テントが張れるか一瞬心配になるほどだったが、クルマに近いエリアに隙間を見つけて、そそくさと張って入浴に出掛けた。

本日の入浴は、旧十和村十川にある「清流四万十の里 十和温泉」という宿で日帰り入浴である。
風呂は普通の銭湯みたいで泉質がどうこう言うレベルではなかったが、寝床の近くで1日の終わりに汗を流せるのはありがたい。

サイトに戻ると既に真っ暗だった。スーパーで買い出している時間は無かったので、この日は常備色として持参していたパスタを作る。
星空を眺めながら飲む缶ビールも最高だった。

   
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