年も押し迫った12月30日。かねてより計画していた紀伊半島ツーリングの出発日。派遣先の大阪から東京入りし、前日までに準備を終えた私は完全に浮き足立っていました。

思えば久々のロングツーリング。9月の東北ツーリング第4弾以来か(アップしてないけど(汗))
その頃はまだ余裕があったんだけど、ちょうどその時を境にして仕事が忙しくなり、自由に旅に出かける時間がすっかりなくなってしまいました。
それでも強がって仕事の後、家に帰ってそのまま走り出して、翌朝山に登ってキャンプして、温泉入って帰ってきて、その日の夜のうちに会社に戻る、なんてことまでして無理矢理遊んでたな(あの時は久しぶりに学生時代を思い出したよ)
それが祟ったのか、今度は大阪に期間限定ながら異動になって、クルマにも乗れない状況になってしまった。ストレスとの闘いに疲れて、たまに東京に帰ってはショートツーリング。初冬の富士山の絶景を拝みに行ったり、日帰りで仙台に牛タン食べに行ったり。こんなことでオレのツーリング魂は潰えないぜとばかりに(半分悪あがきにも見えるが)ちょっとのヒマを見つけては走りまくってました。

そういった意味では、純粋に久しぶりのドライブってわけでもないんだけど、帰る時間を当面は気にしないで存分に走りまくれるロングツーリングはやっぱり特別なわけで、ウキウキするのもムリないでしょ。


今回の行き先の紀伊半島は、最初はGW頃に行こうと計画。だけどいろんな事情で断念。
その後は、そんな忙しいとは思ってなかった秋頃に行く予定にしていた場所で、それが流れに流れて3月頃行ければなーという心づもりでいた。
しかしクルマに乗れない日が長く続いて、正月にどこにも行かないのがもったいなく思えてきて、なら前倒しで行っちゃえ!っていうノリで、正月ツーリングを決定。

当然、季節は真冬。紀伊半島は南紀と言えど内陸部は冷え込むだろうし、山では積雪があるかもしれない。毎晩キャンプになるわけだし、耐えきれるんだろうか。
秋にテントとシュラフを新調して、かなり寒さを凌げる仕様になったとはいえ、冬の悪天候に対応できるかどうかはわかりません。
降るか降らないかわからない雪のためにグリップのないスタッドレスを履いていくのはイヤなので、山奥のキャンプ場で降雪に見舞われたら帰って来れなくなってしまう。緊急時のためにチェーンを買うべきでしたが、機会を逸してしまって結局夏装備のまま(ブレーキなんかサーキット用のまま)強行することに。

ほんとはこんな行き当たりばったりは良くないんでしょうけど、そこは楽観的(大雑把とも言う)なB型、最後はまぁ行けばなんとかなるでしょって感じでスタートの日を向かえます。

                                 
 

早朝、東京ICから東名へ。
日程的に帰省ラッシュからずれていることもあるが、すいすい流れる東名高速。朝6時までに東京ICを通過できれば、渋滞に捕まることはない。

厚木IC辺りから、朝日を受けてピンク色に染まる富士山がくっきり見えてきた。
天気は申し分なし。素晴らしい旅の予感。

   
                         
   

富士川SAで朝食。富士宮やきそばを食す。案外ちゃんとした富士宮やきそば(ラードが効いてるんだよね)でウマかった。

駐車場からは、富士川と富士山の眺望に加え、東名の赤い橋がアクセントになった絵に描いたような景色。富士山てどこから見ても絵になるね。
中でも、冠雪したこの時期が一番キレイかも。

 
富士山と並ぶ東名高速きっての景勝地、由比ヶ浜を疾走する。
東名って箱根以外はずっと平坦で、かなり単調な高速道路。でも(空いてれば)最も早く西の方に行けるので、やっぱり活用率が高くなる。時間が多分にあれば、1号線を延々名古屋方面に向かう方がお金もかからないんだけど。
逆に中央道は、ずっと山道でほとんど80km/h制限。道は起伏に富む。どっちを選ぶ?
                 

浜松ICで高速を降り、浜松市外を迂回するように1号線を西へ。浜名湖を浜名バイパスで横切る。
行き交うクルマも少なく、単独走行が続く。走行料金は確か200円くらいだったと思うけど、これだけ爽快な走行を楽しめるなら気にならないな。

浜名バイパスから和歌山へと続く国道42号へスイッチし、渥美半島に進入していく。

         

渥美半島の太平洋岸を走る国道42号は、とりたてて特徴のない地方道路といった感じ。民家と畑が絶え間なく続く景色。
岬に近い最後の一区間を除いて、海を望むこともない。
要はあんまり走ってて面白い道ではない。わりとハイペースで流れてるのが救いだな。

 
 
 
いよいよ伊良湖岬ってとこになると、ようやく視界に海が入ってくる。
浜名湖から岬まで40〜50kmくらい(もっとあったかな)。結構長い。
         

道の駅「伊良湖クリスタルポルト」

伊良湖岬の先端にある道の駅で、ここから発着する伊勢湾フェリーの乗船場を兼ねている。
ここから鳥羽行きのフェリーに乗って一気に伊勢志摩までワープ!
料金は5m未満で5750円。自走で伊勢湾を大回りしていった方が、時間はかかるが安いでしょう。今回は単にこのフェリーで南紀に行きたかったからっていう気分的な理由でこの方法をとっただけ。船旅キライじゃないし♪

駐車場すっげー混んでた
帰省客?

         
  伊良湖ー鳥羽航路(海の上の国道42号線!)は所要55分。1時間に1便のペースで発着している。
到着したときちょうど前の便が出て行ったところで、難なく次の便のキップを買うことができた(内心混んでて何時間も待ったらどうしようかと思ってた)
実際乗ってみると、家族連れで超満員。昼時の一番混雑する時間だったので、さくっと乗れて本当ラッキー。
             
   

いよいよ洋上へ。
伊良湖岬がみるみるうちに遠ざかっていく。
伊勢湾の湾口側(北側)は強風で寒くていられたモンじゃないが、太平洋側(南側)は日差しも暖かく、潮風が心地良い(水しぶきがばしばし飛んでくるが)

         
 

三島由紀夫「潮騒」の舞台、神島。
こんなとこにも人が住んでいるんだなー。

などと考えつつ、ウキウキしながら55分間ずっとデッキにいた。景色を眺めて写真も撮って。ホント子供みたいだな。

 
                       

定刻通り鳥羽港に入港し、紀伊半島の入口、伊勢志摩の土を踏む。
ここからだと、今年から一部区間を残して無料になったパールロードはすぐそこ。パールロードと言えば、ちょうどこのツーリングのページの初期を飾った伊勢志摩の代表的ワインディングロード。久しぶりに走りたいところだけど、志摩のリアス式海岸に沿う道は思いのほか時間がかかります。パールロードは次の機会ということで、ここは先を急ぐことに。

目指す潮岬に明日のうちに到達するには、今日中に少なくとも紀伊長島までは行っておきたいところ。鳥羽からの距離はさほどではないけど、前述した通り、この辺のリアス式海岸の道は狭い上に曲がりくねっていて(それが楽しみなんだけど)異常に時間がかかるので油断はできません。単純に国道42号を南下するっていう手もあるけど、42号は物流街道なので、走りを楽しめる道ではないらしいし。
ツーリングマップルで確認すると、国道260号が海に沿ったロングワインディングといった感じで楽しそう。国道167号から県道16号に乗り継いで、五ヶ所湾に面する国道260号に出ることにしました。

                       

国道260号(南勢〜紀伊長島)

南勢町の五ヶ所湾岸の260号は、まさにシーサイドドライブ。手の届きそうな距離&高さに海があります。
しかし、波の気配すらない水面に、ほんとに海?って感じ。周りは島のような小高い山に囲まれてるし。まぁこれがリアスの情景なんだけど。

 
                   
                   
   

←志摩のリアスと言えば養殖。
  (何の養殖かはわからんけど)

                   
           
集落の中は所々道が狭い。
片側通行用の常設信号機なんて珍しいものまであった。

風情のある集落の中を行く。

そう言えば、ここ南島町って1回来たことあるんです。高校生の時、部活の遠征で。会場の南島高校に着くまでのバスの中で、全員ヘロヘロに酔った(酒じゃないぞ)覚えが。。その後よく試合なんかできたもんだ。あいにくバスの中(と500円玉を側溝に落としたこと)以外の記憶がないので、どこ通ったなんて全然わからないんだけど。。

                       
そんな南島町を過ぎると、道は主に山の中を走る(といっても海からすぐそこなんだが)
トンネルをいくつか過ぎると、道はまた急に細くなり、急勾配のコーナーが続く区間が目に入る。
待ってました!
 
                   
               
                   
       
野太い排気音とともに、力強く勾配を駆け上るEK9。こういう登りは小排気量にはキツイんだけどね。

見たところまだ新しい道。
ギヤを2速にホールドし、アクセルを踏み込む。

                           

勾配を登り切ると、完成間もない感じのトンネルが見えてきた。「紀勢南島トンネル」とある。

地図で確認すると、このトンネルを迂回するようにそれはそれは険しそうな山道が描かれている。
トンネルができるまでは延々その道を走ってたんだろうな。
ちなみにこの旧道は、崖崩れのために通れないままになってるそうです。

 
                           

トンネルを抜けた後も狭いワインディングが続くが、それも程なくして終わり、やがて紀伊長島の町に入っていく。国道42号に突き当たるところで260号はおしまい。

その交差点の角にある道の駅「紀伊長島マンボウ」で小休憩。名前の通りマンボウで有名な紀伊長島。今晩の食材にマンボウでもと思い特産品コーナーに行くと、カチンコチンに冷凍された切り身しかありません。これではすぐ食えないので、外で売ってたマンボウの串焼き(みたいなの)を購入。その場で食す。マンボウって一度食べると忘れられないあの食感が魅力。是非一度お試しあれ。
夕飯用にはこの辺一帯の名物、サンマ寿司を購入しておきました。

本日の疲れを癒す温泉!紀伊長島の古里温泉にやってまいりました。こぢんまりとした公営の日帰り入浴用温泉で、雰囲気的には共同湯に近い感じ。場所がかなりわかりづらく、頼りない案内板に従って集落の中の道をくねくね入っていくと・・・

ガーン、お休みでした。。
本日から正月休みとのこと。そりゃそうだよな、公営だもん、正月はやってないわな。

そう、今回は年越しツーリング。正月を挟んでいるので、行くところすべてが受け入れてくれるとは限りません。当たり前のことですが、(防寒に気を取られていたばっかりに)そのことに全然気付いていなかったオレ。。
この後ことあるごとに、今までまったく気にしたことのなかった「年末+正月」という目に見えない壁にぶつかることになります。。。
 

中はほぼ魚屋さんです

温泉を諦めて、国道42号をとぼとぼ走る。

だいたいこの辺で暗くなるかなって思ってたけど、もうちょっと行けそうです。この先の海山の道の駅か、キャンプ場で今晩は泊まるつもりで南下していくと、国道沿いに「おさかならんど」(だったと思うが自信がない)っていう海産物売り場を発見。反射的にクルマを滑り込ませる私。温泉入れなかった腹いせに、おいしい地場の魚でも食ってやるーって感じで。。

ここでは殻付きのカキと、マンボウの干物を購入。地図には載ってないでしょうが、安くてオススメです。

   

到着した道の駅「海山」は国道沿いの小さな道の駅でした。
ここで車中泊でも良かったんだけど、どうせ近くにキャンプ場があるんでそっちでテント張ることにしました(最近は道の駅でテント泊するのってあんまり褒められたもんではないらしい。昔はそうでもなかったが、道の駅が世間に認知されるにつれてマナーが問題になったせいだろう)

川沿いのキャンプ場「キャンプinn海山」は良く整備されていて、清潔さも申し分なし(ここまでキレイにしとかなくてもいいと思うほど)。しかし、2人で1泊4000円は高い!しかも朝は8時まで外に出れないらしい。ツーリストにはとことん不向きなキャンプ場だ。今更引き返すのもなんなので泊まることにしたが、もったいなかったな。。
時期が時期だからか、キャンプ場は貸し切り状態。ほんとひとっつもテント張られてなかった。川に一番近い区画に陣取って、テントを張る。なんとか暗くなるまでに幕営できました。

   
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