2日目 second day

翌朝、既に雨は上がっていたものの、フライシートはびっしょり。片付けるのにも一苦労だ。

クルマに戻って、荷物の片付けと本日の行程の確認をする。
隣にライフが停まっているが、昨日の夜にはいなかったはず。中では若者が車中泊中。若いなァ(^ ^;
自分も昔はこうだった。こう思うってことは、何かちょっとずつ変わってきてるってことなんだな。。

   
                                           
   

県道経由でまずは国道496号に出ることにする。

400番台の国道をわざわざ選ぶってことは、それなりの風情を期待してのこと。←のようなキレイなバイパス路は最初の一瞬だけ。すぐに期待通りの道が待っていた。

 
                                 
         

山道というよりは、小さな集落を繋いでいく道である。とにかくそれが延々と続く。
山奥に向かっていることは確かだが、いつまでどこまで行っても里山と農村の風景。

道端にひっきりなしに現れる議員ポスターがウルサく感じる。

         

いつまでも続くかと思われた里山の風景は、突如峠道となって終わりを告げた。

野峠に向かって登っていく峠道は急峻でかつ狭路。ハンドルさばきが忙しい、これぞ典型的な3桁国道の峠道といった感じ。
やや霧が残っているものの、それほど走りにくいという感じは無かった。

登り切った野峠で、英彦山から来る国道500号を吸収して山国に降りていく。

野峠から山国、耶馬渓へのこのルートは、五島列島ツーリングの際に通っているルートでもある。
あの時はGWの真っ只中で、しかも昼間だったこともあって賑やかこの上ないワインディングだったが、本日は静かなもの。
前回と被るので、淡々と走って国道212号から県道28号に入る。
今回は深耶馬渓に訪れつつ南下を進めることにしていた。

                                   

深耶馬渓

県道を走っていくと、土産物屋が密集しているエリアがあり、その辺一帯を深耶馬渓という観光スポットとしているらしかった。

珍しい風景がありそうなカンジだったので、一応公共駐車場にクルマを置いて散策することにした。
駐車場は十分過ぎるほど広かったが、まだ誰もいないに等しかった。

 
                           
   
               
                                       

駐車場横に渓流が流れていたが、展望台があるらしく、そっちに行ってみることにした。

駐車場からは道路を数百m程度歩く必要があった。
数ある土産店もまだ開店準備中で静まり返っている。

 
                   
   
                       
 

その展望台は、道路沿いに唐突にあった。
そこからの眺望は一目八景というらしく、同じ場所で様々な奇岩の風景を楽しめることから付いたのだという。

で、その実際の風景は・・・正直微妙(- -;;

奇岩の迫力という点でイマイチ。。9月とはいえ夏も盛りといった感じで緑がモコモコ岩にまとわりついているせいもあって、フツーに岩壁が見えてるだけってそんな感じ。
たぶん紅葉時期に来るべきなんだろうな。

                       
   
渓流も別に道ってことは無かったが、ニジマスのような川魚がたくさんいた。
帰りは対岸の散策道を通って帰ったが、相当歩かれてないのか、行く手を阻むクモの巣に辟易してクルマへと戻った。
                                       
 

再び県道を走り出すが、深耶馬渓を出て割とすぐに走る、緑と斜面に覆われた薄暗い区間が、しっとりとした雰囲気を存分に醸し出していて良かった。

一目八景よりこっちの方が風景的には味わいがあったような・・・(ワインディング好き限定の感想ですが(^ ^;)

                                       

国道210号に出ると、そこはすっかり幹線道路の様相で、交通量はそれまでと雲泥の差だった。

大分自動車道九重ICを過ぎ、県道40号の入口で右折。九酔峡と呼ばれる渓谷に向かって走り続ける。

その九酔峡、落差の大きい見事な渓谷らしく、その渓谷内を走る県道も立派にワインディングしている。
1.5車線の道を走っている分には景色は今ひとつだが、超タイトな低速ヘアピン区間などもあって面白い。
イン側はほとんど段差のように見えるくらいの急勾配なので、1速に落としてやや大回りならインを選択して向きを変える。

 

九酔峡の展望台は、クルマと人でごった返していた。
そうか、今日は日曜日か。。長い休みになると、2日目ですら曜日感覚がどっかいっていまう。
いい駐車スペースが無さそうだったので、九酔峡は通過。そのままタイトなワインディングロードを楽しみ、筌ノ口温泉を過ぎたところで県道621号に左折する。

621号沿いには洒落た牧場のカフェみたいな店がたくさんあった。
徐々に高原風景の色が濃くなっていく。

いくらかも走らないうちに、県道11号との交差点に近付いてきた。
県道11号は、言わずと知れた「やまなみハイウェイ」である。
この名前は愛称であって正式に表示される名称ではなく、どこにも看板とか無かったような気がするのだが、脇道から入っていこうとすると、ちゃんと青看に記載されていた。
一般名称として遂にお上にも認められたのだろうか。

         

そのやまなみハイウェイとの交差点(飯田高原交差点)の角にソフトクリームの店を見つけたので、おやつがてら小休止。
濃厚な牛乳の味がするソフトは美味しかった。

ここからはやまなみハイウェイを南下することにした。
九州に来れば必ずと言っていいほど走る定番ロード(前回は走ってないけど)。だけど、何度走っても飽きず、知らず知らず訪れてしまうような吸引力のあるルートなのである。

 
                                 

やまなみハイウェイは、元はと言えば、「別府阿蘇道路」という有料道路だった。言われてみると、今でも有料道路だった名残が見て取れる。
水分峠から阿蘇の外輪山までは特に、信号はもちろん交差点が極端に少なく、道沿いに民家やロードサイド店があるような光景もほとんど無い。

更に特筆すべきは、別府〜阿蘇間の距離が100km近くあり、起点終点と湯布院を除いてはほとんどがワインディングロードか、または高原を貫く爽快なドライブルートになっているところ。
日本中探しても、これほどのボリュームの単独コースはそうそう無い。

     

くじゅう連山を間近に望む長者原に出る。
ここから久住山の山腹を超えて、阿蘇の外輪山に至る辺りまでが、超ロングワインディングやまなみハイウェイのハイライト。

今回もすっきり久住山の山容を眺めることはできなかったのは少々残念。

 

やまなみハイウェイにはもうひとつ忘れてはならない大きな特徴がある。それは、その沿線がほぼ全域(100km!!)に渡って名湯、秘湯の宝庫であるということである。

別府温泉郷や由布院温泉はもちろんのこと、黒川温泉や筋湯温泉、宝泉寺温泉といった名立たる温泉地から、知る人ぞ知る秘湯まで、数え切れないほどの良質で情緒豊かな温泉が密集している。
九州には素晴らしい温泉が本当に多いが、その中でもやまなみハイウェイ周辺の密集度は群を抜いている。
限られた時間でどこに訪れようか、本気で悩んでしまうほどだ。

 

寒の地獄温泉

その中で訪れたのは、ここ。強烈なその名称で、ずーーっと気にはなっていたにもかかわらず、毎度通り過ぎていた寒の地獄温泉。長者原のすぐ南の林の中にある一軒宿の温泉だ。

その名の通り、泉温たったの13℃という超冷泉が湧き出していて、修行の如くそいつにさぶんとつかることができる。源泉の泉温のままの浴槽は混浴で、水着着用でしか入れないらしく、普通に男女別の浴室に行くことにした(水着なんて持ってきてないので)

こちらは加温された温泉浴槽があるので安心して(!?)入れるが、脇に小さな源泉浴槽があり、その冷泉ぶりを体感できる。
もちろん挑戦してみたが、泉温13℃はとてつもなく冷たい。あー、心臓発作ってこうやって起こるんだ、っていうのが何となくわかったような気がした(笑
数秒も浸かっておられず、すぐさま加温浴槽へ逃げ込む。こっちはやや温めの硫黄分を含んだお湯で、石を積んだ浴槽の趣と言い、長湯が非常に気持ちのいい温泉だった。

個性的で良い温泉には違いないのだが、、単純にオススメしていいものやら・・・(笑

       

やまなみハイウェイに戻ると、さっそく久住山の山麓を登っていく。登り切った地点が牧ノ戸峠。久住山の登山口があるため、広い駐車場に空きを見つけるのも一苦労だった。

クルマを置いて一応展望台まで歩いてみたが、眺める景色は所々厚い雲に覆われた暗い眺望となりイマイチだった。

峠を下りると、国道442号と交わる瀬の本交差点があり、それを過ぎると広大な草原地帯の中を行く。
これぞやまなみハイウェイの白眉たる景観。日本離れした素晴らしいドライビングビューなだけに、観光交通量もすこぶる多い。
                   

県道45号の分岐で、やまなみハイウェイを離れることにする。

阿蘇の外輪山の縁を走るこの県道は、通称ミルクロードと呼ばれている道。
その名の通り、これまた広大な牧草地だかただの草原だかの真っ直中を緩やかなアップダウンとコーナーを伴って走っていくルートなのだ。

ここをオープンカーで流すとどんなに気持ち良いだろうと、エスで九州に訪れた際はまず走ろうと考えていた道だ。

 
                     
 

大観峰

そのミルクロードから乗り入れることができるのが、有名な阿蘇展望台、大観峰である。

大観峰とは、阿蘇の北外輪山の最高峰ピークの名称。地形的には、阿蘇カルデラに半島状に突き出るような格好でそびえる小高い丘、といった感じ。

 

さすがに有名展望スポットということで、想像以上に(てゆーか想像を絶するほどに)混雑していた。観光バスと乗用車とおびただしいバイクの群れで、奥の駐車場にはまるで空きがない状態。

人とクルマとバイクの群れに揉まれてまで展望台まで歩いていく気にはなれなかったので、かなり手前の空いたスペースにエスを停めて、静かな環境で阿蘇カルデラの景色を楽しむことにした。

                                 

心地良い風に身を任せ、眺める阿蘇の地形は雄大だ。

阿蘇のカルデラ地形の眺望には、毎度新鮮な感動がある。
阿蘇山とその周囲を取り巻く外輪山から構成される巨大カルデラ。その中には、ごくフツーに田んぼや街が存在し、意識しなければ逆にカルデラの存在に気付かないほど。

そのギャップが、僕にはなぜかとても面白く感じるのだ。

   

時間が許せば、腰を下ろして景色を眺めつつ、ゆっくりコーヒーでも入れたいくらい気持ちのいい時間だった。
エスを停め放った隣では、ボロいスターレット(失礼)のハッチをカルデラ目がけて全開にし、そこに腰掛けながら話し込む若い二人の姿。昔の青春ドラマかクルマのCMみたい(笑)で、凄く絵になっていた。

また、少し離れた駐車スペースには、白いS2000が1台。なんと袖ヶ浦ナンバー。上がいた(驚
しかも走り去っていったのは、明らかに僕より年上の男女。素晴らしい(何が?)

後から思えば、今回のツーリングで九州で出会ったS2000は、結局この1台だけだったな・・・

 

これぞ九州が誇る絶景阿蘇、といったような風景が展開している中、十分にその景色と空気を楽しんで出発。
ミルクロードをそのまま外輪山沿いに進んで大津(熊本側)に下りていくつもりだったが、気が変わって菊池側に下りていくルートを走ることにした。

そのルートは地図には菊池阿蘇スカイラインと書かれていて、楽しそうなワインディングを連想させる。

 
 

ところがその名称から連想する印象とは裏腹に、外輪山から離れると終始森林の中を行くといった感じだった。

途中に菊池渓谷という名所があるので立ち寄ってみようと思っていたのだが、駐車場がやたらと離れている上に、大勢の観光客でごった返している。
大幅なタイムロスになりそうだったので通り過ぎた。

そんなこんなで初走行の菊池阿蘇スカイラインは、まったく停まることも無く一瞬にして通過してしまうことになった。

     

森に埋もれたスカイラインは、国道387号にぶつかる所で終了。そのままR387を菊池市街に向かって走り続ける。

途中、道路沿いにあった「いがぐり苑」という食堂で遅い昼食とした。
目的は熊本ラーメン。シンプルだが濃厚で食べ応えのあるラーメンは美味かった!

昼食時をとっくに過ぎているにもかかわらず、店内は超満員。人気のあるラーメン店なのだろうか。

 

ラーメン屋の駐車場で今後の作戦を練る。既に15時近くになっていて、そろそろ寝床の心配が必要だからだ。
このまま熊本市街に向かい、それを抜け出た辺りで幕営、というのが理想だったが、地図やガイドブックによると、都合のいい場所にキャンプができそうな場所が無いことがわかった。

考えた末、今日中に熊本を抜けることは諦め(夕方に通ることになって混雑してそうだし)、手前の阿蘇東部でテントを張り、明朝熊本を抜けることにした。
向かうは大津町の県道23号に程近い、陽の原キャンプ場だ。

出発してすぐ、菊池に向かう途中でパラパラと雨が落ちてきた。
菊池市街に着く頃には上がって、県道23号で旭志を通る頃にはまた酷く暑くなり、いよいよキャンプ場に近くなったところで小さな酒屋でビールとワインを調達する時に、今度はバケツをひっくり返したような豪雨に見舞われた。これからテント張ろうという時に・・・

その陽の原キャンプ場だが、通年営業で日曜なのにもかかわらず、入口にはロープが張ってあり、管理棟も厳重に閉鎖されていた・・・・九州のキャンプ場はこれだから信用できないのだ。(以前のツーリング時からコレにはいつも泣かされている)

どうせそうなんじゃないかという心構えも最近はできてしまっているので、諦めて別のサイトを当たることに。
そしたらごく近くに、四季の里旭志という総合公園のような施設の中にオートキャンプ場があるのを見付けた。
なんでそれまで気が付かなかったんだろうというくらい近くにあったので、即移動。

2車線の快速路が続いたと思えば、離合の難しい狭路に突然変わる山間の道を、山腹に沿って走る。
熊本方面を眺める景色がとてもいい道路。しかし、県道でも何でも無いこんな山奥の道、今回のような明確な目的でもなけりゃ絶対走らんぞ。

目指した四季の里旭志は、思った通り大きな公園だった。その中に日帰り温泉施設があり、そこでキャンプの受付をする。少数だが数組の相客もいる模様。
非オートサイトは昨晩と同額くらいで高価だったが、区画されたサイトも得られるのでヨシとした。

 
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