■森と水の島へ
港へと向かう国道58号(鹿児島から那覇へと至る大部分が海上の国道。鹿児島市内にも数百mだけ存在する)から海に向かって走ると、桜島がとてつもなく大きく迫って見えた。 |
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ターミナルで乗船手続き。今回乗るのは、その名もズバリ「屋久島丸」。クルマを搬送するには大型フェリーしか手段は無く、通常多用されると思われる高速船はツーリングでは利用できないのだ。 屋久島丸の車両搬送には、事前予約が必要。どれだけ混んでるのか、って思ったら、←こんな程度だった。 |
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ちなみにフェリーの搬送料金は、余程ドル箱路線でもない限り、とても高いのが普通だ。それに比べれば2輪は格安で、この点(だけ)は羨ましいと思っている。 別にETC車載器が付いてなくても、往路が土日祝日であれば割引対象らしい。この機会に屋久島を愛車で駆けるっていうのはいかがだろうか。(いつまで続くキャンペーンなのかは知らない) |
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朝7:00に、鹿児島港をボーーっと出発。 2等船室の客は、大学生と思しきグループが何組か。それ以外は数えるに足らないほど。 たとえホテルのベッドでの睡眠時間が足りなくても、これから島に着くまで睡眠時間の補充ができるのは助かる。何せ昨日は深夜2時台の起床だったので(^ ^; |
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出航からしばらくは、デッキに出て早朝の錦江湾の景色と潮風を楽しんだ。 船室に戻ってコンビニで買った朝飯を食べた後は、しばし横になって夢の中。乗員の少ない広い2等船室は、造りも結構新しめな感じで気持ちが良かった。 屋久島丸で一番ビックリしたのはトイレ。改装したんだろうが、カーフェリーでここまでキレイな(と言っても地上では普通レベルですが)トイレは初めてだった(^ ^; |
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一眠りが済み、デッキに出ると船は既に外洋を航行していた。海はますます青さを増している。 カーフェリーは、屋久島への移動手段の中でもっとも所要時間のかかる乗り物だが、それでもたった4時間の船旅。同じ鹿児島港発でも、一晩かかった奄美と比べれば近いもんである。 |
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船室で屋久島のガイドブックに目を通したりして時間を潰した。 今回は屋久島の登山地図は事前に目を通していたが、ガイドブック的なモノはほとんど見てなかった(汗 そうこうしてるうちに、目指す島の影が見えてきた。それまで青空だったのに、山に覆い被さるような分厚い雲がその周囲だけを包み込んでいる・・・ |
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屋久島は別名「洋上アルプス」とも呼ばれる。周囲約130kmの島に、標高2000m近い山々が峰を連ねている様は、まさに海原に突如として現れた山脈で、驚くべき地形であることが地図上の情報収集でも十分に推し量ることができた。 その実際の光景がこれである。洋上のアルプスは分厚い雲によって隠され、その全景を見ることはできない。 そうやって発生する大量の雲によって、島はいつでも包み隠されているのかもしれない。 |
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屋久島の玄関口、宮之浦の港に着岸。我先にと降りていったカイエンの後を付いていく。 まだ昼前だったが、この日はとりあえず何もする予定が無く、早めにベースキャンプを設えてしまおうという思いだった。 今回の屋久島ツーリングでは、滞在型のツーリングという一風変わったスタイルを楽しんでみようと考えていた。そのため、基地となるキャンプ地を設定する必要がある。そのキャンプ地は事前にピックアップしておいたので、まずはそこに向かうことにする。 |
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とは言え時間が早過ぎるので、寄り道しまくりながらの移動になる。 |
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地上部分だけが雲で覆われた島のシーサイドロードは、爽やかさとは無縁の状態だった。 本土の鹿児島よりさらにずっと南に位置しているにもかかわらず、あんまり南国風情が感じられない。体感的には風も暖かいし、やっぱちょっと違うよな、ってのはあるんだけど。 |
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空港を通過し、アップダウンのある道路を走っていると、やがて安房(あんぼう)の町に着いた。 町中でなぜか信号が点灯していない交差点があった。日曜の昼は節電するのが島の常識なんだろうか・・・(でも点いてる信号もある) |
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ここまで県道77号を走ってきた。 だからツーリングで「走る」って言っても、その舞台は限られているのである。とりあえず移動のために走っているこの周回路が、ツーリングの主な舞台になってしまう。それだけの要素だったら滞在しても退屈かもしれない。 |
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松峰大橋 安房では県道を逸れて港に向かったり海岸に向かったり。それと上流の方に向かって走って、松峰大橋という絶景ポイントにもやってきた。 安房川に架かる高さ70mの橋。町からほんのちょっとしか離れてないのに、このV字渓谷。イキナリ見せつけられた地形の険しさ。静かな川面には、リバーカヤックが浮いてることもあるようだ。 橋の近くの道路脇で、さっそくヤクザル(屋久島に生息するサルの固有種)に遭遇。後日イヤってほど遭うことになるんだけど。。 |
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安房の町外れで見つけた小さな商店「しいば」で手作りパンを買って昼食。 島内周回路の県道を、安房からさらに先に進んでいく。 |
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のんびり走っていると、道端に「千尋の滝」という看板が。 瞬時にその矢印の指す方向に向かうことで決定。狭い内陸路へと入り込んでいく。 |
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すると、橋上からこんな感じの滝が現れた。 | |||||||||||||||||||||||
しかしこれは「千尋の滝」ではなく、「竜神の滝」というらしい。周囲ではトンボが飛びまくっている。 | |||||||||||||||||||||||
千尋の滝 本物の千尋の滝はコチラ。手軽に遠目に眺める展望台で済ませちゃったので、あんまり迫力無い写真になっちゃってるけど。水量も少ないし。 この千尋(「せんぴろ」と読むらしい)の滝、滝そのものよりも、周囲の地形にその特徴があるように思う。 屋久島は、花崗岩が隆起して海面から顔を出した結果生まれた島だと言われている。 |
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県道に下りてくると、さらに「トローキの滝」なる滝があるらしい表示を見つけた。 屋久島は小さな面積に標高の高い山があることから簡単に想像がつくように、斜面が急峻で沢は一気に海に流れ込む。その結果、島の至る所で滝を目にすることになるのだ。 |
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トローキの滝 県道から遊歩道を数分歩くと、トローキの滝が姿を現した。 ここからの写真ではちょっとわからないが、このモッチョム岳もよく見てみれば、花崗岩が切り立って形成されたのがよくわかる。標高にして1000mないくらいだが、海沿いから見上げるととても勇壮で、存在感抜群のオトコらしい山だ。 |
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尾之間温泉 トローキの滝から県道をさらに進むと、すぐに尾之間の集落に入る。 そのおサボり中の信号機の交差点を、北に折れて進むと、尾之間温泉という共同湯に行き着く。 |
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時間はまだ14時台だったが、せっかくとばかりに湯を味わうこととした。 ・・・何だ停電だったのか(^ ^;; |
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温泉は、砂利敷の浴槽の底から湧き出る本格派。微かな硫黄の香りが鼻孔をくすぐる。泉温は熱め。しかし足元湧出温泉という湯温調節不可能な温泉で適温に近いのは奇跡的(適温に近いから足元湧出にしたんだろうけど)。非常に肌触りが良いのも印象的。 地元の住人の憩いの場でもあるらしく、風呂に浸かる地元の方々の話に耳を傾けることもできる。 |
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温泉から出て、外で涼んでいると、突然近くの自販機が動き出し、建物の中からテレビの音が聞こえ出した。突如停電から復旧。 先の信号交差点の角付近にあったAコープで買い出しをしようと戻ったら、信号が点いていた。 停電復旧の集落内放送が鳴る中、そのAコープに来てみると、停電による臨時閉店から開店した直後だった。 |
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買い出し後、再び屋久島周遊道へ。 尾之間の町は島のほぼ南端に位置するため、時計回りに周回すると、ここから島の西部地域に向かって走ることになる。 この先尾之間より大きな集落が無いためか、沿道の様相はそれまでとはまるで異なる景色に変化した。 |
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ようやく南国の島っぽくなったっていうか、離島の最果て感が感じられる景色が周囲を支配する。 島に来たからには、やっぱこのくらいの景色の中を走りたいんだよなぁ。 |
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とは言っても、コンスタントに小さな集落が現れるので、全くの荒野に飛び出したわけではない。いくつかの集落を通り過ぎ、バスの路線も途絶えようかという最後の集落「栗生」を通過すると、今回のベースキャンプ地候補となるキャンプ場に辿り着く。 | |||||||||||||||||||||||
屋久島青少年旅行村キャンプ場 屋久島の中でも、もっとも大きく設備充実のキャンプ場が、栗生川の河口近く、海を望む小さな半島の大部分を占める形で存在している。 いくら屋久島で一番目につくキャンプ場とは言え、今はオフシーズンもいいとこなので、まるで人気の無いサイトに一瞬怖じ気づくが、そんなのはいつものこと。(特に九州では) |
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まだ明るいが、まずは今回のベースキャンプをしっかりと建てねばなるまいと、住処造りに余念無く取り組む。 その後は、なし崩し的にディナータイム。初日のメニューは、キャンプ専用超適当ポトフだが、そのお供は屋久島産の芋焼酎「三岳」である。 |
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三岳の芳醇な味わいに神経をマヒさせられながらも、食後は次の日の準備を取りかかる。 ロングツーリングの途中に本格的登山を織り込むのは、今回が初めての試みである。 それはともかく、この遠隔地にて山中泊まりを伴う高所登山なので、支度はいつも以上に余念無く行う必要があった。(まぁ出掛ける前に相当念を入れて準備してきているので、直前の今は再確認って感じだが) 3日目はいよいよ屋久島の中枢へ。 |
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