■台風18号襲来


実はこのツーリングに出発する前から台風17号と18号が、日本のずっと南の方でうろついているのは知っていたのだが、まさかそのうちのひとつが列島を縦断していくことになるなんて、本気で思ってはいなかった。

結果的には17号こそどこかへ行ってしまったが、18号は急激に進路を変えて、沖縄を暴風域に巻き込み、本州に直撃する進路で迫ってきたのだ。当然その進路には、今いる屋久島が・・・
ゆっくりとした速度で近付いてくる大型台風18号の直撃は免れないようだった。

宮之浦岳登山から帰ってきて、屋久島ツーリング通算5日目となるこの日は、その台風18号が屋久島に最接近する日となった。

キャンプ場にいても危険なので、クルマに乗って動き出したものの、安房に差し掛かった辺りから風雨が強くなってきた。

あてもなく宮之浦の町まで来たものの、人通りはおろかクルマ通りもほとんど無い。立ち並ぶ店はほとんどがシャッターを閉めている。
うろうろしているうちに暴風となり、叩き付ける雨も強烈になってきた。

宮之浦の南、島で一番大きな病院の前にあるスーパー「わいわいらんど」がかろうじて営業していたので、その店内で雨宿り。
しかし何の解決になるはずもなく、美味しそうなお惣菜(このスーパーの総菜の取り揃えは素晴らしい)を買って食べると、やることが無くなってしまった。。
 
 

空港に向かって走り出すも、強烈な風雨により道路には木々の葉や枝が散乱。雨風はとどまるところを知らず激しくなり、途中の大型雑貨店に避難した時には、もう立っていることなど不可能なくらい猛烈な風と、横殴りというよち縦横無尽に叩き付けてくる雨で、完全に嵐と化していた。

さすがは南の離島である。南国の台風は、本州のそれとは比べ物にならないくらいに強烈だった。

 

荒れ狂う暴風に煽られ、幌が飛ばされそうな恐怖感。もはや外にいることは危険以外の何者でもなかった。

ガイドブックを開き、適当に選んだ空港近くの宿に電話し、空室を確認。平日だけに簡単に確保できた。
チェックインできるまで時間があったが、かと言って外で待つにも行く所は無いし、何が飛んでくるかわかったものじゃないので、早めに宿に向かうことにする。

ロビーで台風情報を流すテレビを眺めていた。

   
 

・・・てな顛末で、この日は1日中ホテルで時間潰し。退屈だった。こんなに長いことテレビ見たのってどんだけぶりだろ。ホテルにいる時間は、まるで屋久島にいるという実感の無い、無味乾燥なものだった。

丸1日損をして勿体無い気がしたが、台風が相手では仕方が無い。むしろ山を歩いている時に当たらなくて良かったと思った方がいいだろう。
その後、台風18号は屋久島には上陸せず、島の東側をかすめるように想定より速いスピードで通過していった。
本州へは翌日知多半島付近に上陸し、この年唯一本土上陸を果たした台風となったのだった。

 
4日目 / 6日目