■青空の帰路


昨晩泊まったビジホは、国道57号と国道325号と交差点付近にある「スリープイン熊本空港」というホテルだった。モーテルをイメージしたチェーンホテルで、クルマで訪れて泊まってすぐに旅立つような使い方が想定されていて、都市を経由するツーリングにはとても向いていると思う。
姉妹ブランドでコンフォートホテルというのがあり、シンプル&スタイリッシュなデザインながらベッドが広くかつ安価なのでよく利用している。(昔、仕事で関わったということもあり(^ ^;)

さて、そのスリープイン熊本空港を出発したのは午前6時頃。まだ朝もやの残るR57を熊本市街に向かって走り、熊本ICから再び九州自動車道に乗った。
昨日今日と土日なので、高速にどこで乗って下りても1000円である。鹿児島から東京まで行くのに気軽に途中下車ができるというのも、隠れたメリットだ。

 

九州道を北上し、往路と同じく広川SAで、復路最初の給油を行う。
テンポ良く、鳥栖、太宰府、福岡、と通過する。九州は朝のうちに抜けられるだろう。

7:30頃、太宰府IC通過。福岡が近いけど、この時間じゃまだ交通量もまばら。

関門トンネルの、集中工事通行止を知らせる看板 >>>

 
     
 

小倉を通過するトンネル区間を過ぎ、九州道最後のパーキングであるめかりPAでトイレ休憩。
8:30頃には出発して、関門海峡を渡った。

今回のツーリングでは、九州本土は完全に通過するだけだった。

屋久島で台風に襲来される前までは、帰り道は九州をのんびり北上しつつ帰路につくようなプランをぼんやり考えていた。しかし、台風により屋久島滞在時間を延ばしたため、その余裕は無くなってしまったのだ。
日曜日(本日)中に帰るには、もはや道草を食っている余裕は無い。体力を温存し疲れを残さぬよう帰り着くために選んだルートが、往路と寸分違わぬ本日の復路だった。

まぁでもそれも悪くない。屋久島ツーリングという素晴らしい旅の想い出をより鮮明なものにするには、敢えて行き帰りをシンプルなものにするのもひとつの手段だろう。
R styleツーリングでは本来、目的地に着くまでのドライブも重視するのだが、今回のは滞在型ツーリングの特殊ケースとして、屋久島に注力するための特殊解だと勝手に解釈している(^ ^;

それでも。
たとえ行きと帰りが同じルートで、それが高速道路だったとしても、まったくもってしてドライブがつまらないということはない。
操るのがS2000という乗って楽しいスポーツカーであることが大きな要因だし、また、中国自動車道のようなワインディングまがいの高速道路が、単調さをかき消してくれるのである。

         
大阪(起点)までの距離表示が、よく見ると干支になっている
下り線にもあった中国道名物おもしろ看板の一例

関門橋を渡り、本州に上陸した後は、その中国道だ。
山口JCTで山陽道と分かれた後は、周囲にはほとんどと言っていいほどクルマがいなくなってしまった。

コーナーを抜けると遠くに1台だけクルマが走っていて、それを追い抜き次のコーナーを曲がると、またずっと遠くに1台だけ走ってるのが見える、っていう具合の状況の繰り返し。自分の好きなペースを守れるというのは、疲労の抑制にかなりの効果がある。どこまで行っても飽きずに、運転に集中できるのだ。

とか言いつつ全然集中してない(爆
         

九州道広川SAを起点に、往路同様、給油作戦を練り上げる。
途中の給油は広川SAを含めて3回。最終給油は新名神土山SAと最近は決まっているので、その間の1回をどこに置くか。

往路は中国道七塚原SAだったが、復路は広島北JCTを過ぎた所にある安佐SAとすることにした。

     

安佐に着いたのはまだ午前中だったが、既にSAは行楽客で一杯だった。広島北JCTで山陽道から合流してくるクルマが多く、高速道は突如として混雑を始めたのだ。

本日は連休中日。市街地から離れて行楽に向かうクルマが多くて当然。中国道とは言え、ある程度混雑の覚悟が必要なのかも。

広島県北部、というか中国地方の山岳部は手薄で、どこが有名な観光地で、どういったクルマの流れがあるのかをあまり知らない。
安佐からは混雑しているというほどにではないにしろクルマは多く、車線を変えてペースを守る必要があった。

どこだか忘れたけど、あるインターチェンジで周囲のクルマが次々と出て行く。大きな公園でもありそうな雰囲気のICだったが、いったいそこに何があるのかは全くわからない。
確かなのは、周囲のクルマが劇的に減少したということだ。再び走りやすい孤独な中国道に戻っていた。

 
       
高速ワインディングが楽しい広島県と岡山県境を過ぎ、岡山道との分岐を通過。
続いて米子道。ここでだいたい正午くらい。
津山を過ぎて兵庫県に入ると、山岳高速は平坦な道へと変化していく。
単調化していく高速に、まったく退屈さを感じなかったといえばウソになるが、でもまぁ飽きることなく走り続けることはできた。
     

吉川で舞鶴道の分岐。兵庫に入った辺りから妙に雲が多くなり、雨粒が。。。

神戸で山陽道を吸収すると、いよいよ都会の混雑が帰ってきた。

 
宝塚ではいつも通りの渋滞。吹田JCTで太陽の塔に余所見しつつ中国道完走。

混んでいなければ名神で京都を通過するのが気分なのだが、たまたま事故か何かで名神ルートは混んでいた。

天王山トンネルで左ルートを選択し、大山崎JCTで京滋バイパスにスイッチ。

滋賀県の瀬田で名神に合流したと思ったら、速効草津JCTで新名神へと乗り換える。忙しい(笑

特に京滋バイパスから新名神に行くところは、車線が入り乱れて気が抜けない。

 
でも、新名神に入るとまた平穏が戻ってくる。幅広の直線道路が続く新世代の高速道路は、同じ山岳高速でも中国道とは正反対なくらいに趣が違う。

土山SAで最後の給油。ついでに休憩。

ここはSAの店舗もトイレも上下線共用なので、いつも混雑している。ゆっくりと休憩できるような種類のSAではない。いつも給油のついでと割り切って利用しているのだ。

土山SAから東京ICまでは、約400kmの道のり。 おぉ、あと少しだ、とは思うが、まだ夕方の東名高速が残っている。

 
     

亀山JCTから東名阪、四日市JCTで伊勢湾岸。全線3車線の伊勢湾岸をぶっ飛び、16:20頃、豊田JCTで遂に東名高速へ。

陽の傾いた頃の東名高速は、全線で混雑が始まりつつあった。

東名の愛知県区間が、体感的にいつも長い。いつもじりじりと混んでいるからそう思うのだろう。

静岡県に入って浜名湖を通過。
浜松を通過中に、黄金色に輝く太陽が背を照らしてくれたおかげで、旅の終わりに相応しい美しい色彩の風景を、走りながらに楽しむことができた。

あとは徐々に暗くなっていくのを、無防備に受け入れるだけだった。

富士川SAで、コーヒータイム。東名の上りは時間がかかる。時間がかかるだけでなく、混雑による精神的疲労の度合いも、他の高速を走るより遥かに大きい。富士川辺りで一服し、最後の一踏ん張りをするのが常になっている。てゆーか、富士川SAにはスタバがあるので、つい寄ってしまうってだけか(^ ^;;

既に暗がりが支配する本線に復帰したが、渋滞は既に始まっていた。
厚木~横浜町田間を先頭に、徐々に渋滞が伸びている。今更どうしようもないので、淡々と走り続ける。休日を絡めたツーリングでは、甘んじて混雑を受け入れなければならないのだ。

大和トンネルを起点とした東名上り線の渋滞は、いつも間違いなくお付き合いさせられるので、今更どうという感想も何もない。ただ「いつものように」渋滞に参加し解消される地点までじっくり走るのみだ。

横浜町田を通過する頃には、マトモな速度で走っていたが、それまでの渋滞による時間的体力的ロスは大きかった。
東京料金所に辿り着いた頃には、時計は既に22時に迫ろうとしていた。熊本ICから15時間以上。鹿児島に行く以上に時間がかかっているのは、もちろん渋滞のせいだ。

環八を北上し、練馬の自宅に着いたら真っ先に洗濯をした。あれもこれも、とにかく洗った。
登山によって汗と雨にまみれた衣類は、ハードなこの旅の勲章のようなものだった。

 
8日目 / エピローグ