田代平湿原

見渡す限りの大自然。背後に八甲田を抱え、雲の降りる田代平を見る。
昨晩は、なかなか寂しい場所でのキャンプでした。
草原の中を県道40号線が走っていて、道路から少しだけ入った場所でのキャンプ。
携帯の電波も届かない人気のない中で、たった一人の野宿は身に染み入るものがあります。根が寂しがり屋の自分には、ちょっと心細い。夜中になってもびゅんびゅん通り過ぎるトラックが、皮肉にも安心感をもたらす結果に。

 

でもまぁ明るくなってしまえば別に何てことはない。
日の出とともに起き出して、テントをたたんで片付けて、暖気をしながら今日の旅程を確認する。
ここでは顔を洗うこともできないので、八甲田から国道394号で東に向かった先にある七戸の道の駅に、まずは向かうことにしました。

                           
 

国道394号線

八甲田山麓から七戸方面へ抜ける道。
この方向で走ると結構なダウンヒルとなり、朝からタイヤを酷使する結果となってしまった。
前半の丘陵地帯は牛が草を食む牧歌的風景の中を走ることになるが、その後タイトなコーナーがこれでもかと続くハードな区間になり、それが終わるとハイスピードの直線ステージになる。
八甲田を望みながらのドライブになる反対方向の方が、走っていて楽しいかもしれない。

                           

道の駅「しちのへ」で顔を洗った後は、国道4号で野辺地に向かう。
さすがは東北の大動脈、4号線は朝から交通量が多い。
かなり時間をかけて野辺地に入り、複雑な市街地を抜けた後は、国道279号で海岸線をむつ市に向かう進路をとる。

                           

国道279号線

ここもかなりの交通量。特にトラックが多い、物流街道のようだ。
道は海とある程度の距離を保ちながら、海岸線と平行して走っている。
地図を見ただけだと、海岸線の平坦な地形をまっすぐ走って行くだけの退屈な道に見えてしまうが、実際の印象はかなり違う。緩やかな丘が続いているので、適度なアップダウンを繰り返しながら走ることになるのだ。
それでも退屈感は否めない。野辺地からむつ市までは相当距離があるので、我慢の走行になる。

 
                           
 

県道4号線

むつ市はそのまま通過して、県道4号線に入り、恐山へと向かう。
恐山を登る山道だが、観光名所のため道はかなり快適に走れるよう整備されている。
とは言え、険しい峠道には変わりないので、低中速コーナーが連続するテクニカルなワインディングロードになっています。
登っていくにしたがって勾配がきつくなり、外輪山のてっぺんを越えると突如急激な下りに変化する。ダウンヒルを楽しむ間もなく一気に視界が開けて、目の前に恐山のカルデラ湖、宇曽利山湖が広がるといった具合。

                           
   
                           
  やってきました恐山。
富士山、立山とともに、日本三霊山に数えられる有名な山であり霊場です。
カルデラ湖のほとりには菩提寺があって、このお寺の中に入ることを「入山」と呼んでいるみたいです。
実際、霊場を思わせる○○地獄とかはこのお寺の敷地内にあります。
   
                           
   

入山料は500円。普通ならお金とるの〜なんてケチなこと思ってしまうところ。
しかし、今回ここに来たのはちゃんと目的があってのことだったので、躊躇せず入山しました。

お寺の建物はなかなか立派でしっかりしたもの。敷地内では回廊などを新築していて鄙びた感じはありません。

 
                           
        そんな敷地内にぽつりぽつりとある簡素な板張りの小屋。立派な境内の中で浮いている気もしないでもないこの小屋の正体は。。。      
                           
 

そう、温泉小屋なんです。
正門から本堂までの石畳の脇に、何の疑いもなく湯小屋があるわけ。こんな寺社はちょっと他にはないでしょう。
恐山に来た目的というのは、この温泉に入ること。入山すれば誰でも自由に入ることができるので、入山料は入浴料みたいなもの。
男湯とか女湯とか書いてあることで、かろうじて浴場であることがわかるこの小屋。

   
その温泉の詳細はこちらをどうぞ→青森名湯案内恐山温泉
 
    入浴の後は恐山散策。
霊場は結構広く、歩き回るとかなり時間がかかります。
無間地獄とか血の池地獄とか、あらゆる地獄が勢揃いする殺伐とした風景。そこに御供物を拝借するため住みついているバカでかいカラスがわんさと飛びまわっていて、荒涼とした雰囲気をさらにおどろおどろしくしている。
 
                           
  極楽浜は宇曽利山湖ですが、ここの湖水は薄いエメラルドグリーンで透明度が高く、とてもきれいだ。
先程の温泉とよく似ていると思ったら、湖水の方も酸性であるとのこと。かと言って温泉が溜まっているわけではないんですが。
   
     
                 
    帰りがけにアイスを食べて、恐山を後にする。
ちなみに、今回は有名なイタコの口寄せを見ることはできませんでした。
7月と10月(だったかな?)の大祭期間中にやっているという話を聞いたことがある。
まぁ、わざわざ見学するようなシロモノでもないような気もするけど。。
 
       
むつ市に戻って、国道338号を西へ。
今日は下北半島を時計回りに一周する予定。距離感がわからんので、どこまでいけるか見当がつかない。行けるとこまで行ってみましょ。
           

国道338号線

半島の左下部分の脇野沢村までは海岸線を走るシーサイドロード。
常に人の手が入っている風景のような感じがして、そんなに自然いっぱいという雰囲気ではない。
交通量も意外と多く、だらだらと走ることになってしまった。

                   
           
     

脇野沢を過ぎて進路を北にとると、うってかわって深い山中を走るワインディングロードになる。
これが思ったよりも本格的な山岳ワインディングで、中速コーナーをメインとする気合の入った道路。

この先の最北端の町、大間までは、川内から脇野沢をショートカットして行けてしまうので、通行するクルマはかなり少ない。
一見、幹線道路のように見えるけど、実は観光のための道路というのが実態みたい(とは言っても途中に観光名所があるわけでもない。むしろ人家ひとつない)。
そのくせ道路はフル2車線でよく整備されていて、おかげで安心して走りを楽しむことができます。

       
                 
             
かわうち湖への分岐を過ぎると、交通量は比較的多くなってくる。それと反比例するように道路は狭くなり、すれ違いに気を使う道幅になってくる。(普通逆ではなかろうか)
今度はそんな1.5車線程度の狭路を舞台とした低速ワインディングコース。それまでの開放感あるステージでのコーナリングから、せっせと忙しく車の向きを変えるコーナリングを必要とするコースになります。
そんな道に通る車も多いので、たいてい前を行くクルマのお尻を眺めながら延々とつながっていくハメに。
           
 

仏ヶ浦

この道を通る車が多いのは、ここがあるからかな?
下北半島有数の名勝、仏ヶ浦。
見ての通り、ただの断崖絶壁ですが、どこか桃源郷ちっくな雰囲気があり、確かに迫力と美観を感じさせます。
遊歩道で下まで降りることもできるけど、遠目で見るだけで十分。この写真は国道沿いの展望台からの眺望です。

                   
             
       

この辺を走っているのは県外ナンバーの車ばかり。重そうな車が力を振り絞って坂を登っていく。普段走ってない分慣れないのか、後ろから見てても危なそうな車もちらほら。

一番困るのは、ゆっくり行きたいのはわかるが、あまりにゆっくり過ぎる上にぜんぜん譲ってくれない車。自分のペースを他人に強要しないでほしい。自分のペースを守りつつ、周囲のペースを乱さないのもテクニックですよ!

そんなわけで、わがままなワンボックスを1台、この狭路で強引に抜いてしまいました。強引な運転は主義に反するんだけどさ。。
たまにはこういうこともあります。

     
                         
   
                           
 

午後2時過ぎ、大間崎到着。言わずと知れた本州最北端の岬です。

大間崎への道は国道をそれる必要があるんですが、これがまたわかりにくい。表示はあるにはあるんだけど、くねくねと何回も右左折を繰り返すので、本当にこれでいいの?と不安になってしまう。

   
                   
                     
     

そして大間崎に着いてみると、こんな辺鄙な地にどこから集まってきたものやら、すごい人、人。大賑わいなのでした。

空は雲で覆われていて、せっかくの眺望は今ひとつ。対岸に見えるはずの懐かしき函館山は、眺めることはできませんでした。そのかわり恵山というマイナーな山はしっかり見えましたが。

 
                     

大間崎で遅い昼食。
賑やかな岬の土産店の一角にある「かもめ食堂」の大間崎丼。甘辛く煮たイカとホタテが超美味。これはオススメです。

ところで、店内ではラジオが流れてましたが、内容にどこか聞き覚えが。。
「札幌、小樽間の現在の交通情報は・・・・」
そう、北海道のFMが流れてるのです。さすが最北端。電波はもう北海道。
ここから函館にフェリーが出ているので、その時間待ちと思しきライダーの方々が腹ごしらえしてました。そんなツーリスト達のためのラジオ放送だったのかも知れません。
   

大間崎の駐車場横には、住宅地に不釣合いな芝生の広場があります。
ここは無料のキャンプサイトで、これもフェリー待ちの旅人にとってはうれしい限り。

ここで夕方になってればテントを張ろうと思ってたけど、まだまだ時間はあるので走り続けることにしました。

     

大間崎から国道279号を東へ。津軽海峡を左手に望みながら、快適な2車線の幹線道路を行く。むつ市から大間崎までの最短ルートなので、交通量は多い。

やがて下北最大の漁港をもつ大畑町に入ると、今度は県道4号線を薬研渓谷方面に進路をとる。

       
 

奥薬研温泉「夫婦かっぱの湯」

薬研渓谷の森をどんどん入っていくと、大きなホテルがある薬研温泉がある。そこからさらに2kmほど行くと、今度は奥薬研温泉だ。
ここには大きな建物はない。あるのは自然に囲まれた温泉だけ。

奥薬研温泉「夫婦かっぱの湯」で本日の締めということにしました。

この温泉についてはこちら→青森名湯案内奥薬研温泉
 
さて、今晩は近くの国設薬研野営場でキャンプしようかと思ってたんですが、温泉から出てくると既に雨が落ちてきていたので、迷った末に今日は車中泊で夜を明かすことに。
薬研温泉近くのきれいなトイレがある駐車場でこの日の旅を終えました。
       

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ツーリングは日付をまたぐ場合が多い。つまり、どこかで睡眠をとる必要があるのだ。

いくら運転するのが好きで、何時間も運転し続けていても苦にならないと言えども、さすがに体力には限界がある。
第一、しっかり睡眠をとってすっきりした頭でないと、走っていても気持ち良くない。度が過ぎると危険極まりないのは、誰もが承知しているはず。

で、ここでまた話は戻るのだが、例えば人に「5日間くらい○○へ行ってくる(「ツーリング」という言葉は先のような誤解を招くので使わない)」と言うと、だいたい「金持ちだねぇ〜」という類の感想が帰ってくる。
つまり、毎晩どこかの宿に泊まりながら、悠々とドライブを楽しんでいると想像されるわけだ。

私が温泉好きだということを知っている人なら、温泉宿を転々としながら、さながら移動湯治でもやってるような姿を想像する。
これに関しては、ここを読んでくれている方ならもうご存知の通り、私が旅先で布団に包まって寝るということはほとんどないと言っていいだろう。
温泉が好きなので、年に何回かはここぞ!という温泉宿に泊まることもあるが、基本的にはいつもテントor車中泊である。

宿に泊まらないというのは、ひとえにお金を節約するという理由のためだが、テント泊や車中泊がまんざらでもないというのが本音かもしれない。
宿を押さえておくと、チェックインだのアウトだのを気にしなければならないが、テント泊だとそんな心配もいらない。好きな時間に好きな場所でテントを張り、好きな時間に出発できるのである。

キャンプ場の場合は少し時間を気にしなければならないが、車中泊の場合はもっと自由である。
行ける所まで走っていって、迷惑にならない道端の駐車スペースをちょっと間借りして休み、日が昇ったらまた走り続けるのである。
せっかく気ままな旅なんだから、時間に制約されずに自由に動きたい。それにはテント&車中泊はうってつけである。

ちなみに冬は凍死してしまうと困る(冬にキャンプできるような装備もってないし)ので、布団に包まります。ま、冬はそんなにツーリングしないんだけど。

また話を戻すと、クルマでツーリングするのが好きだと言ったら、キャンピングカーに乗っているのかと思われたことがあった。
あんなトラックに乗ってまで遠くに行きたいとは思いません。
走るのが目的であり、キャンプや車中泊が目的ではありませんから。今のところは。