Prologue・・・


今年の一週間連続休暇は、梅雨まっただ中の7月上旬に取得することになっていた。
別に意図があったわけではなかったが、この時期でないと取得することが難しそうだったからだ。(昨年のように秋に取るのは例外措置に近い)

全国的に雨量の多い時期にツーリングに出かけても、今ひとつ楽しめない。オープンカーであるがゆえの贅沢な悩みとはわかっているのだが。
であれば、梅雨とは関係のない所に行けばいい。そうなると必然的に、北海道が選択肢として浮かんでくる。
思い返せば、3年前の北海道ツーリングも同じような時期だった。本州以南の梅雨空とは裏腹に青空が広がる北海道の空は、以前札幌に住んでいたことがあるので充分認識しているつもりだった。

 

北海道に行こう。

それは割とすんなりと決まった。
しかし、ただ北海道を周遊するツーリングなら、3年前とコンセプトがかぶってしまう。同じようなポイントを巡るような目新しさのない旅にはしたくなかった。

あの時とは異なる、何か味のあるテーマはないものか。

このR styleというサイトが生まれる以前、僕は北海道に住んでいた。
その頃からドライブは大好きだったので、北海道のほとんどのエリアには足を踏み入れているつもりだった。
しかし、その頃に踏み落としている場所も少なからずある。

まず、離島にはまったく渡ったことがない。
北海道から渡れる離島は、どれもさほど大きな島ではないし、クルマで渡るにもお金がかかり過ぎた。(それはどこの島でもそうだが)
しかし、これまで全国の離島をドライブしてきて、北海道の離島を避けて通る理由は、今はもう無い。
そこで、いくつかある選択肢の中で、今回の目的地とした島。

   
             

利尻島&礼文島

最北の島。そしてクルマで渡り旅するに値する規模の島。
この2つの島を選んだ理由はそれだけではなかった。

昨年のツーリングスペシャルver.で紹介した屋久島ツーリング。
ロングツーリングに本格的トレッキングを織り交ぜるという野心的試みを実行し、得難い経験を得た想い出に残る大きな旅だ。
それに味をしめてしまった、というのもあながち間違ってはいないのだが、、もう一度屋久島のような密度の濃い、旅先の場所に溶け込んだツーリングがしてみたい。せっかく屋久島でひとつのスタイルを見付けたのだから、どこかでそれを応用してみたいと思っていた。

そこで利尻・礼文なのである。

利尻島と言えば、利尻富士とも呼ばれる秀峰、利尻山が独立峰として島の真ん中にそびえている島である。
その姿形からは、島というより海に立つ山と言った方が正しいかもしれない。そういった意味では、屋久島とは非常に似ている。(屋久島は「山脈」だけど)

最北の島、礼文は、利尻とは異なり標高の高い山は無い。その代わり、海岸線の半分は断崖絶壁に近い海岸で、道路が満足に通っていない。クルマで走れない区間はそれだけ自然そのままの形で残っていて、歩いてしか体感することのできない世界があるという。

2つの島に共通することは、どちらも歩く=トレッキングの舞台としての魅力があるというところだ。
クルマで走れるルートは正直限られていそうだが、最北の離島というポジションが生み出す固有の風景と、エスというオープンスポーツカーがコラボレートする風景は、きっと魅力的なものになるに違いない。
何よりも、どこまでも自分の愛機で走り尽くすというのが、R styleツーリングのコンセプトだ。走れる距離が短くても、風景と一体となるために、エスとともに渡るのである。

             
   

背景を知るにつれ、今回のツーリングのアウトラインも徐々に頭の中に形成されていった。
利尻礼文を目指すとなると、自動的に道北を走ることになる。実は道北はそれほど訪れた回数が多いわけではなく、走ったことの無いエリアも多く残っている。
利尻礼文とともに、道北のワインディングと風景も楽しんでしまおうということで、今回のツーリングテーマは決まった。

夏の北海道はハイシーズンなので、フェリーの予約だけは事前に取っておいた。それでも行きの青森発のフェリーだけは、希望の便は既に満車で、スケジュール上不自然な時間の便しか抑えることはできなかった。
できれば、こういった時間に縛られる旅はしたくないのだが、ハイシーズンだけに乗れないリスクだけは回避しておく必要があり、それを考えると仕方がない。

屋久島同様、トレッキングを織り交ぜたツーリングゆえ、エスの小さなトランクへのパッキング計画は入念に行った。いつものキャンプ用品一式に加え、トレッキングシューズやらザックやら、登山に必要な装備も一式用意していかなければならない。
でもそこは屋久島の経験が生きる。アタックテント持参でザックが大きかった屋久島に比べれば、日帰りトレッキング対応の今回の方がパッキングは幾分楽だった。(それでも相当ギリギリではあるけれど)

装備の方は準備万端。あとは時間(^ ^;
休暇前の仕事はいつものことながら多忙を極めていた。出発前日の深夜、会社のデスクに張り付きながら思う。本当に明日(というか今日)自分は北海道に至り、その次の日には最北の離島に上陸しているのだろうか。。。

   
             
 
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