3月 272015
 

昨日辺りから市販モデルの情報が流れていますが、3月30日にホンダからS660が発売発表になるようです。
S2000がラインナップから外れて以来の「S」の復活。
所詮は軽自動車、と思っていましたが、その仕上がり具合はなかなかのようです。

軽自動車規格、排気量660cc、ミッドシップエンジン、後輪駆動、オープン2シーター。
成り立ちからすると、90年代の名車、ビートそのものですが、モデル名は敢えてS660。
Sの名を冠するには、相当の動力性能があってほしいものですが、いかんせん軽自動車。
たった660ccの排気量から絞り出すパワーは、いくら新世代ターボエンジンとはいえ、たかが知れています。
オマケに、剛性確保のための補強や様々な安全装備によって車重は800kg超。
スペックだけ見たら、絶対に非力感は否めない。

でもスポーツカーに大切なのはパワーだけではない。
マーケティング偏重の弊害でクルマ好きを唸らせる独創性を欠いた昨今のホンダ、スポーツカーへの信念は辛うじて残っていたようです。

専用シャシーはサスペンション取付剛性の確保や、フロントリアのねじり剛性を確保した結果、静的剛性はS2000を超えているとか。
オープンボディながら当時驚愕のボディ剛性を誇ったS2000で培った技術は、時を超えて受け継がれて現代に蘇ったのか。

タイヤサイズは、フロント165/55R15、リア195/45R16というホントに黄色ナンバーかよと突っ込みたくなる変態サイズ。
しかも!新車装着がなんとネオバ!!
シャシー剛性が高いからこそですが、これにはさすがに凄いのが出てきた!という実感が湧きます。

パワーがなくてもハンドリングを楽しむことはできる。
むしろ程々の使い切れるパワーを剛性の高いシャシーで自由自在に操ることができた方が楽しめるのではないか。
ハンドリングに重きをおいたコンパクトスポーツとして、S660は生まれたに違いありません。

でもですね、なんだかんだ理屈を並べたところで、結局乗って楽しいかどうかに尽きるわけで。
実際にドライブしてみないことにはわかりませんが、試乗記を読む限りは、かなり期待できそう。

スポーツカーならば格好も良くなければなりません。
最近のホンダの??なデザインから完全に解き放たれてはいないのは残念ですが、まぁ、妥協点といったところ。
ルノー・ウインドにそっくりなリア・サイドビューはずんぐりむっくりで、お世辞にもセクシーとは言えないけれど、フロント周りがシュッとしているので、言うほど印象は悪くないですね。
構成要素としては、新型NSXのミニチュア版みたいな雰囲気があります。ビートも元祖NSXと同時期のミニチュア版だった。歴史は繰り返されています。

色はとりあえず4色ほどお目見えしてますが、市販ではもう少し種類があるといいな。
ビートのテーマカラーだったイエローもあります。
ビートのイエロー=カーニバルイエロー(同時期のEGシビックのテーマカラーもこの色だったなぁ)みたいな濃い目の黄色をまとったS660は、フロントから見ると一瞬ビート?と思ってしまうほど、共通性が倍増します。90年代のホンダファン(私も)にとっては涙モノかも。

その他では、黒、白、水色のボディカラーがあるようです。
水色は、S2000タイプSに設定されていた通称「バケツ色」(笑)にそっくり。
現時点で公表されている中では、この色が一番マッチしてるような。

内装は実際触ってみないと何とも言えませんが、目を引いたのはメーター。
中央にタコメーター、その中心にデジタル式スピードメーター。両脇に各種情報の表示パネルが並んでいる模様。
機能的で見やすいこともさることながら、情報パネルをスピードモードに切り替え可能で、レブインジケーターやブースト計、Gメーターを見ることができるらしいです。
インパネは常に目に入るところなので、こういうところにもスポーツカーの雰囲気があるのは、実にいいことだと思います。

そうそう、変速機は6MTとCVT。
一時、CVTのみという情報もありましたが、ちゃんと6MTを残してきたのはエライ。
エライって言っても、ここまでやっといてMTじゃないなんてありえないし当たり前だとは思いますが、このご時世ですからね。

シフトノブはS2000のとそっくり。てか、たぶんまったく同じ。(ただ、上級グレード限定の可能性大)
「S」モデルの関連性という意図があるとしたら、なかなか粋なはからいですが、これ、シフトフィールが似ているからと見ることもできるんではないでしょうか。
S2000のシフトフィールは、オーナーの自分がいうのもナンですけど、極上です。
ミッドシップなのでアドバンテージはありますが、黄ナンバーでS2000並みのフィールを持っているとしたら素晴らしい。運転が楽しくなる重要な要素ですから。

CVTは、歴代「S」では初めての自動変速機ってことになりますね。
ホンダのCVT、正直イマイチですし、同じエンジンにもかかわらず、許容回転数が6MTの7700rpmに対して、CVTは7000rpm。(実際には6600rpmでシフトアップするらしい)
AT限定解除してでも6MTに乗るべきかと。

そんなS660を開発したチームの責任者が、若干26歳っていうのも話題をかっさらってますね。
26って言ったら平成生まれですよ。入社何年の新人に近い若者(しかも本職はモデラー)に、いきなりLPL。
発案者がそのままLPLになっただけみたいですが、個人的にはこれが一番「ホンダらしい」。
でもその結果として、凄くピュアなクルマが生まれたんじゃないでしょうか。

ちなみに史上最年少LPLの彼、愛車はS2000だそうです。

思ったこと適当に書いてたら異様に長くなってしまった。。
普段からクルマ見てて「あぁこれイイな」と思うことはよくあるんですが、久しぶりに「あぁこれ欲しいな」と思えるクルマが出てきました。
アルミダイキャストリアサブフレームを抱えた剛性の塊みたいな専用シャシーだけ見ても、200万円の大台は確実だと思いますが、成り立ちを考えると当然でしょう。

まだ未発表なんで、公式画像がなく字だけのインプレ、まさに妄想レビューになってしまってますが、一言、楽しみです。

 Posted by at 7:36 PM

  2 Responses to “S660 妄想Review”

  1. ホンダに対する愛情をヒシヒシと感じさせる長文ですね。
    そんな1059 さんには失礼かもしれませんが、今のホンダは家電品と思えるような車ばかりで
    全く魅力を感じませんでした。ゴメンナサイ。

    ここにきて、F1参戦、Sシリーズの復活・・・・・やっと戻ってきたか、という感じです。
    コペンには全く興味がありませんが、S660は試乗してみたいですね。
    非力は承知ですが、やはり興味はエンジン。セブン160は正しくジムニーでしたから。(苦笑)

    • いやぁ昔は確かにそうでしたけど、今は全然・・・本文中にも書きましたが、「90年代の」ホンダファンですから。あの頃のファンには、バッサリ切り捨てられた感がありますよ。
      そんな中で、S660は久しぶりの光明です。その開発の経緯からして、久々にホンダらしい。

      シャシーは専用開発で、まるでS2000の再来のようですが、エンジンは残念ながらN-BOXの流用だそうです。ターボとか補機類の違いを除けば「正しくN-BOX」でしょう。乗ったこと無いけど(笑
      でも楽しければいいんじゃないですかね。

      一般的にはコペンと競合するのかもしれませんが、S660の詳細を知ると、案外セブン160に近いのかもしれないと思いました。

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