2月 172024
 

オフシーズンも、スノードライブやメンテナンスでそこそこ忙しかったりするのですが、この週末は久しぶりにブレーキのメンテナンスを行いました。
前に行ったのがいつだか覚えておらず、サボり過ぎということで、ブレーキパッドの交換はもちろん、フルードも全交換します。

ブレーキパッドは長らくZONE/88Bを使用していますが、既製品ではなく、摩材の厚みを1mmプラスした特注品をオーダーしてます。
摩材が断熱材の役割をするからか、長時間の使用でもフィーリングが変わりづらく(若干ですが)、そこそこ長持ちするという利点があります。
パッドは5mmになったら交換、という判断基準を設けていますが、今回外したパッドはちょうど5mmくらいでした。
一部、角が崩れかけていたので、交換時期としてはちょうど良かったかも。

88Bというグレードは、正直効きは強くないです。
その反面、急に制動力が立ち上がったりしないので、姿勢のコントロールがしやすく、ワインディングを走る分にはむしろ楽しいと感じます。
一応、03Cや10Fも持ってはいるのですが、88Bを装着して走っている時間が圧倒的に長いのが現実。

フロントまわり。ブレーキローターは、それこそいつ替えたんだかまったくわからないくらいに、昔々装着した骨董品レベルの無限製ローター。
とんでもなく長持ちしてます。いまだかつて、変なジャダーもない。無限に対して失礼かもですが、コスパ抜群の商品です。(まぁまぁサビるけど)
キャリパーは、ローターのずっと後に一度新品に交換していますが、新品感は薄れて既にローターと同化してます。

ブレーキフルードは、これも変わらずずっとAP Racingですが、最近は手に入りにくくなる一方。
今回は全交換の予定なので、銘柄を変更する良い機会だったのですが、運良く手に入ったので継続使用と相成りました。

交換は面倒で、逆流防止弁付きのホースをブリーダーに接続して、ひたすらシュコシュコとやります。
コンプレッサーで強制的に吸い出す道具もあって持っていたりするのですが、何となく昔ながらのやり方の方が安心で、相変わらずシュコシュコです。

エア抜きと違って、やっぱり全交換は気持ちがいい。
ペダルを踏む回数が違うだけでやることは同じなので、前回から時間が空いているなら全交換ですね。

余ったフルードで、クラッチフルードも交換するのが世の常(?)
クラッチのフルードはブレーキほどシビアではないので、極端な話何でもいいわけですが、踏む回数が多いので、フィーリング良好になるフルードがいい。
そこのところを重視すると、APはベストに近い選択。高いので勿体ないですが、どうせ余ったフルードなので。

クラッチフルードって、なぜだかすごく汚れやすいです。
EK9もそうでしたが、HONDA車だけ?すぐに黒ずんでくるのは、ブレーキよりもマスターシリンダーの位置がエンジンに近いから?
EK9は重症で、サーキット走るとフェードして、クラッチが切れなくなるという恐ろしい現象が多発したのを思い出します。S2000はそんなことないですが。

そんなことをやりながら、S2000と触れ合うのが、冬場の楽しみのひとつ。
思いがけない部分が傷んでいたりして、次はここ直さなきゃ、という発見もあったり。
春には車検を控えているので、メンテナンスを積み重ねて、車検時には交換・調整が必要なもの一切無し!の優良体を目指します。

 Posted by at 6:44 PM
10月 112023
 

2023 10 10 01

交換パーツが揃って、ようやくミッションが組み上がりました。

時間を要したのは、部品が揃うまでの時間よりも、より確実により丁寧な仕事をするために、様々な課題を含めて乗り越えた結果。
その分、組み上がったミッションの出来栄えには、何の文句もつけようにありませんでした。

2023 10 10 02

ケースにはブラスト仕上げ、ボルト類も純正新品に交換してあることによって、新品ミッション以上の品質感が漂っています。

2023 10 10 03

内部のギヤ類は既に見えなくなっていますが、当初の予定より、純正新品を贅沢に使用して組んであります。
以前の投稿で磨きを入れてもらったギヤ類を紹介しましたが、新品が手に入るならということで、少しでも気になる部品は新品交換の上、改めて磨きを入れてもらいました。
一手間も二手間もかかった手製のミッションには、機械的に組み上げただけの新品ミッションとは異質の凄みが感じられます。

2023 10 10 04

搭載前の全景。

ケースはすべて、元のケースをブラスト処理してそのまま利用。したとは思えない程の光沢を放っており、その姿はまるで彫刻作品のよう。
下回りに収めるのを躊躇ってしまうほどの光沢感です。

2023 10 10 05

ミッションを外すということは、クラッチが露出するということですが、クラッチ関連の部品は消耗がほとんどないので再利用しました。
通算3枚目のクラッチ&カバー。R styleでは、クラッチ関連は純正が基本。
ノーマルエンジン&ノーマルサイズのタイヤでワインディングを楽しむ用途であれば、純正で十分楽しむことができます。

2023 10 10 06

クラッチ周辺でポイントになるのは、むしろレリーズベアリングとフォーク、ベアリングガイドだと思ってます。
ここの摩耗やグリス切れが、クラッチフィーリング悪化の原因になっていることが多い。

今回組み直しになるので、取り外した部品を洗浄し、グリスアップして再使用。
これだけでもフィーリング回復効果は絶大。ということが、後日のドライブで改めてよくわかりました。

2023 10 10 07

遂にハラワタに格納完了。
歯車の集合体と言えばそれまでですが、ひとつひとつの部品を調整した上での手組みによるミッションは明らかに存在感が違う。
リフトから降ろしてしまえば、その存在はまったく確認ができなくなりますが、ひとたびドライビングに興じれば、以前と比べ物にならないほどの違いが感じられるはず。

2023 10 10 08

その舞台として、早速ロングツーリングを決行。舞鶴から若狭湾エリアに点在するワインディングでその感触を存分に味わってきました。

結論から言うと、当初の想像からは少しだけ異なった印象でした。

すべて正直に言いますが、当初想像していたよりは、ある特定のシフトチェンジの際の「硬さ」はそれほど変わらない印象です。
もっと細かく言えば、低いギヤの入りについてはヌルっとした感じで、力を要さずともヌルヌル(スコスコ、ではない)と入ります。
対して高いギヤに関しては、気になっていた引っかかる感じは無くなりましたが、多少の「押し込み」は必要です。

これは構造上の特性であり、元々の性格が完全には変わらないことによるものだと思いますが、ちょっと思っていた感じとは異なる印象。
ただ、それよりも想定外と言っていいほど変化があったのは、駆動系のフリクションが極めて少なくなったことです。

エンジンからの出力がそのままデフを介してリアタイヤに伝わる感じで、媒介しているはずのミッションの存在感がまったく感じられないほど。
その結果、まるで車体が軽くなったか、羽根でも生えたかのような感じで走ります。
ミッションから発していたと思われる音も少なくなり、特に高速道路走行時の駆動音は明らかに少なくなり、わずかなエンジン音とロードノイズが聞こえるだけ。
相対的にデフの存在感が増して、軽快感があるのに重厚感があるという、何とも不思議な乗り味のクルマになりました。

 

シフトについてはS2000特有の構造上の特性を残した上で、ドライバーに余分なストレスを感じさせないフィーリングに仕上がりましたが、
それ以上に、組み上げ精度の追求によるフリクションの極小化が、O/Hの最大の効果として体感できたというのが、今回のリアルな印象です。

ミッションというのは、常に手で感じて身体で感じる、ドライビングプレジャーにとって重要な部位だと思います。
まずは壊さない操作を心がけるというのが先決ですが、長く付き合うのであれば、O/Hはエンジン同様、有効な選択だと実感しています。

 Posted by at 12:03 AM
9月 182023
 

2023 09 09 09

スリーブを挟み込むように設置される、計4本のシフトフォーク。
複雑な形状の金属部品が溶接固定されて、鈍い輝きを放っています。
こんなところにも、剛性を高めシフトフィールを良くするこだわりがあるというわけ。

シフト操作の動きを伝えるレバーとの接触面も、艷やかに磨きを入れてもらいました。
磨きの入っていない接触面と比較すると、一目瞭然。
金属との接触面において、引っかかりのないスムーズな摩擦面とすることで、シフトフィールの向上を狙っています。

磨いていないフォークは、要交換部品なのかも。(未確認)

2023 09 09 10

カウンターシャフトにシフト操作を伝えるレバーの先端もこの通り。

ここまではミッション内部の部品と、その加工状況でしたが、以下はミッションケースについて。
ケースは基本的に再利用に支障はないので、ブラストかけた上で再使用します。

2023 09 09 11

ブラスト処理する前のクラッチケース内部。
軽く汚れは掃除してあるようですが、バラした直後も割ときれいな状態でした。
最後にクラッチ交換して、それほど距離走っていない(5万kmくらい)ので、当然か。

2023 09 09 12

外側のフィンの一部が、豪快に欠け飛んでいたのは衝撃的でした。(今まで気付かなかった)
岩でも巻き込まない限り、こんな割れ方しないと思いますが・・・身に覚えがないこともない– -;

2023 09 09 13

ケース交換も考えましたが、シリアルナンバーも入っているし、実際の走行には支障がないとのことだったので、再利用することにしました。
傷口を研磨してもらったら、あたかも最初からあった「逃げ」加工のようになりました(笑
その他の部分についてもバリ取り。その後、ブラスト処理の予定です。

 

さて、ここまでバラした部品を眺めつつ、お勉強の成果を報告しました。
あとは組み上げと取り付けを待つのみ。完成時期未定ですが、取り付け完了したら、また続きを報告します。

 Posted by at 2:07 PM
9月 152023
 

2023 09 09 05

#1と同じような写真ですが、わかりやすいのでもう一度眺めてみます。
左側がメインシャフト側で、上から3速ギヤ、シンクロとスリーブを挟んで4速ギヤ、5速ギヤ、シンクロ・スリーブ挟んで6速ギヤ。
右側がカウンターシャフト側で、上からリバースギヤ、1速ギヤ、シンクロ・スリーブ挟んで2速ギヤ。

2023 09 09 06

これらギヤの集合体は、ニードルベアリングを介して、それぞれのシャフトに取り付けされます。
真ん中がメインシャフト、下がカウンターシャフト。(上はセカンダリーシャフト)
メインシャフトには3〜6速のギヤが取り付きますが、左から2速、1速の各ギヤが最初からシャフトと結合しています。

対するカウンターシャフトには1〜2速が取り付きますが、左から6速、5速、4速、3速の各ギヤが最初からシャフトに結合しているのがわかります。
つまりメインとカウンターは、ニードルベアリングを介して取り付くギヤと、シャフトに結合しているギヤのそれぞれが向かい合うように配置されることになります。
ギヤは常時噛み合って回転し、シフト操作によりスリーブが動くことで、シンクロを介して動力が伝達されるわけです。

2023 09 09 07

このシャフトに「結合している」ギヤは、よく見たら何と一体成型!、つまり削り出しなんですね。
もちろん剛性があったことに越したことはない部分ですが、コストも技術も求められる部分に妥協がないのは、さすがホンダのスポーツモデル。
金属加工技術が生み出す芸術と言っていいレベルの機能部品に、ずっと眺めていたいくらい惚れ惚れとしてしまいます。

2023 09 09 08

先程スリーブという部品が出てきましたが、シフトフォークによってスライドするこの部品の内側には、剣先状の突起が成形されています。(写真上部の部品)
これが写真中央のシンクロナイザーハブに嵌合していて、一体となって回転しているのですが、スライド方向の動作を許容します。

シフト操作を行うと、スリーブが動いて剣先状の突起がシンクロナイザーリングを介して、各ギヤの突起と噛み合います。
シンクロナイザーハブはシャフトとセレーション結合しているので、スリーブがスライドして噛み合った先のギヤに動力が伝わるという仕組みなわけです。

で、その剣先状の突起ですが、これがシフト操作の度にシンクロナイザーリングやギヤ側の突起に点的に衝突を繰り返すので、スリーブ側とギヤ側の突起が摩耗します。
これが度を過ぎると、ミッションのフィーリング悪化やトラブルにつながるというわけ。

逆に言うと、この部分の金属同士ができるだけスムーズに当たるようにすれば、フィーリング改善には大きな効果があるわけで。
なので金属干渉が起こるこの部分を加工してもらっている、ということになります。

(つづく)

 Posted by at 8:32 AM
9月 102023
 

2023 09 09 01

北海道レポの中でも話題として出しましたが、現在、ミッションのオーバーホール中です。
バラして加工までは早かったけど、交換部品が揃うのに時間がかかったりしているため、およそ1ヶ月経った今もまだバラバラのまま。
急ぎではないので、問題はありません。むしろ、不安要素は全部しっかり潰しておきたい。

とはいえ分解中はヒマなので(笑)、バラバラになった部品を見ていろいろと考察してます。

2023 09 09 02

27万km走行で初O/Hですが、症状とは裏腹に、各パーツは思いのほかキレイな状態でした。
摩耗が進んでいて交換した方が早い、というパーツも無いことはなかったですが、距離を考えると許容範囲かと。
交換かどうか迷うパーツは、新品が出る限り、基本的に交換。それ以外は洗浄、一部研磨加工していただきます。

シンクロを司る金色と銀色の2つの山型の突起部分の隙間に、スリーブが嵌まり込むことによってギヤチェンジが完了するわけですが、その際のスリーブの接触によって、金属の先端が摩耗していきます。
激しく摩耗し角が丸まっているような状態は見られず、距離の割には状態は良い模様。
それでも手には引っかかる感触があったわけで、人間の手の感覚って鋭いってことです。

2023 09 09 03

再利用するシンクロナイザーの突起部分については、ひと山ずつ手作業で研磨を入れてもらいました。
なかなか骨の折れる作業ですが、単純に新品部品に交換して組み上げるよりも何倍も効果がありそうなわけで。
ただのO/Hではなく、オリジナルのミッションを制作してもらってるような感じです。

2023 09 09 04

一つ前の写真の金色の歯車(シンクロナイザーリング)の拡大写真。
ピンボケで見づらいですが、、内側が黒っぽくなっているのは決して汚れではなく、カーボン素材です。

AP1後期モデル(04〜05)より「カーボンシンクロナイザー」採用というのは有名な変更点ですが、その実態がコレ。
たったこれだけの変更ですが、シフトフィールや耐久性は激変するらしく、同時に2速がトリプルコーンシンクロからダブルコーンシンクロ、3速と4速がダブルコーンシンクロからシングルコーンシンクロと、シンプルな構造に変更されています。

AP1前中期モデル(99〜03)のシンクロナイザーリングは真鍮製で、これはこれでダイレクト感のある操作性になるとか。
その結果、後期はスムーズなシフトフィールで、対する前期はガチッっと入るようなダイレクトなフィールという噂は、コレが要因でしょう。
部品の違いを理解しつつ、乗り比べてみると一層興味深いかもですね。

(つづく)

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 Posted by at 1:20 PM