【国道194・439号 道の駅「633美の里」】
京柱峠を何とか、えっちらおっちら下りると、国道32号出る。
高松と高知を結ぶ大動脈をしばらく南下し、大杉で高知自動車道大豊ICの案内に従って、右に折れる。R439の後半戦の始まりである。
ここからは割と、どこにでもあるような普通の道になる。
土佐町に入り、早明浦湖の南端にある道の駅で小休止。小さな道の駅だが、休日の真っ昼間ということで、ごった返していた。
土佐町の地酒でちょっとした物を見つけて購入。最近は、その土地の地酒を土産に買って帰ることが多いけれど、今回はここ一つだけだった。
ここから、R439は劇的に変化を遂げる。
目も覚めるような山岳ハイウェイ。ロングストレートが連続し、速度の乗るコーナーが、これでもかこれでもかと挑んでくる。
R439にこんな区間があるとは思いもよらなかった。バイパスやトンネルが開通して、とんでもないハイスピードコースになっているのだ。
おそらく数年前までは「酷道」の一部で、こんな快走なんてとてもできる状況じゃなったであろうと思われ。。。
土佐で前を走っていたヤンチャな軽四が、道を譲ったと思ったら、猛烈な勢いで追い立ててきた。
軽四と勝負する気にはさっぱりならないので、5割程度のペースで流していたけれど、後ろの御仁がターボの過給音とタイヤのスキール音を撒き散らしながら、煽る煽る。
・・・すんません、一人でやってもらえますか? (頼まれたって相手しないですよ)
そんなKYな軽四もいつの間にかいなくなり、またしても快走の連続。
R194と合流し、道の駅「633美の里」に立ち寄るも満車のため、すぐさま立ち去ることになる。
R194とはすぐさま別れ、単独区間で大峠を長大なトンネルで越え、今度は仁淀川町で国道33号に合流。
しばらく並走して、また単独区間に。少し走ると、京柱峠以来、久しぶりに狭路区間が始まった。
場所的には、四国カルストのすぐ東側だが、カルストには寄らず、一心不乱にR439とお付き合い。
国道197号に合流した後、梼原方面に少し行った後、分岐するような絵が地図には描いてあったが、この分岐をナチュラルに見落としてしまう。
すぐに気付いて引き返した分岐は、トンネル出口の青看もない寂しい交差点だった。
これが始まりの合図みたいなもので、ここから大正までの区間は、とにかく長い。
檮原川(とその支流)沿いに延々と行く谷筋の道は、険しくはないものの、見通しの悪い狭路がとにかく、とにかく、とーにかく延々と続く。ほんと飽きるくらいに。
この区間だが、走ってて、どうもどこかで体感したことあるなぁ、って思ってた。後で確認したら、この区間、以前一度走った経験のあるルートだった。
まったくもってして忘れていたが、記憶の片隅に残ってたがゆえにデジャブー感じて、それが当たっていたというのは、ある意味恐ろしい。。
めちゃめちゃ長く感じる川沿いの狭路区間を完走したら、国道381号に合流。大正の道の駅でトイレ休憩を済ませる。
ここまで来たら、R439もあともう少し。想定外の快走区間のおかげで、当初の想定よりも1時間も早い。もう勝ったも同然 !?
しかし、ここからが難敵だったのだ。。
大正を出た途端、遂に土砂降りに。
しかもR439は、R381から離れた途端に狭路が始まっていく。
今までの川井峠、見ノ越、京柱峠と寸分違わぬ悪路が待ち受ける。
土砂降りはやがて、霧となって視界を奪う。
狭路にもかかわらず、霧で周囲の視界が失われた挙句、強雨で路面は散々たる状況に・・・
今回、R439でもっとも過酷だったのは、結果としてこの大正〜中村間の杓子峠だった。
それは天候によるところが大きかったに違いない。雨によって路面は荒れ、視界も奪われる。(写真がマトモに残ってないのは、それどころじゃなかったから)
また、R439の峠としては例外的に、とにかく交通量が多かったのだ。
次々現れる対向車。しかも路幅は極度に狭い。
離合するスペースも極端に少なく、延々後退を強いられる。それがかなわない時は、路肩から左側車輪を落としてやり過ごすこともしばしば。
この天候なので、路肩に逃れることは相当の勇気を要するが、極微低速でおそるおそる車輪を落とすことで何度か難を逃れる。
途中、対向してきたデリカの運転手に、哀れんだ表情で「この先ずっとこうだよ」と声をかけられた。
わかってます。わかっててやっている。
でも傍から見たら、迷い込んだにしか見えないよなぁ。
R439の走破は、天候が悪かったらヤメといた方がいいなと思っていたのだが、ここまでギリギリ空がもってたので、最後の杓子峠は勢いで突っ込んでしまった。
これまでの経験と度胸があったから事なきを得たが、状況が悪かったら到底オススメできない。ましてやS2000でなんて・・・
杓子峠を何とか無事に乗り切り、住次郎の集落に辿り着くと、そこからは快走区間。
しかし折からの強雨(てか、豪雨)で、道路は所々浸水気味。
万が一のことを考えて慎重に走って、中村の市街地に到達した。
R439終点は、四万十市(旧中村市)で国道56号に当たる交差点(交差点名不明)。めでたくゴールに到達。想定より1時間早い17時の到着だった。
今朝6時に出発して、約11時間。約350kmをこの時間で、と思うとペースが悪い気がするかもしれないが、その大半が極狭路なので、これでもいい記録だろう。
途中の超快走区間がなかったら、到着した頃には周囲は暗くなっていたと思われる。
無事完走した達成感に包まれて、中村市街で給油。その後、抑えておいた民宿に投宿。
そう、今日は民宿である。しかもビジネス民宿という微妙なジャンル(笑
GW真っ最中のこの時期、こんな辺鄙な地方都市だから、ここしかなかったのだ。
案内されたのは六畳一間の寂しいお部屋。トイレもお風呂も、当然共用。ま、泊まるだけだからこれで十分なわけで。。
駐車場は道路向かいの荒地に詰め込む方式だったが、「明日早いんです!」と主張したら、建物下のガレージに収納していただけることになった。ラッキー。
さて、中村である。
中村と言えば、2年前の秋に訪れた際に、なかなかいい思い?をした街である。
その再現を、と思っていたのだが、前回訪問した居酒屋は超満員で、まったく受け付けてもらえない状況だった。
ならばと思い、手当たり次第に当たってみるのだが、、どこもかしこも超満員。ケンもホロロな扱いを受けて、傷心気味となった。
街にはあぶれたと思われる集団が闊歩している。こうやってツーリングして、連休最中に地方都市に泊まる機会があると、地方都市ならではの「帰省」宴会に阻まれることが実は多々あり、今回もそれにハマってしまったようだ。
散々街中を歩いたが、結局良い対応をしてもらえる店はなく、最後は投げ出すようにホカベンで処理することに。。
ビジネス民宿で食すホカベンは、まったく美味しいことはなく。
R439を走破した祝杯を上げることもできず、四国中村の夜は、何の華やかさもなくいつの間にか終わってしまっていた。