4月 072012
 

いよいよ次週に迫った竣工引渡しを前に、床のワックス掛けを行いました。

既出の通り、床は無垢材を使用しているので、何らかの仕上げが必要(というか、やった方がいい)です。
仕上げの一環なので、当然本工事に含めていい類の作業なのですが、この作業だけは当初から自分自身でやることに決めていました。つまりは「施主施工」というわけです。

何で自分でやるかっていうと、ひとつはワックスそのものに多少コダワリがあるから。
もうひとつは、床板1枚1枚に自ら汗を流してワックスを塗り込むという作業をすることで、これから生活を共にする家に愛情を注ぎ、魂を吹き込む、という意味合いです。必要作業半分、精神的儀式的意味合い半分てとこでしょうか。

そうは言ってもこのワックス掛け作業、とてもタイヘンなんです(汗
カーワックス用のスポンジで塗り、ウエスで拭き取り。そう書くとクルマのワックス掛けと一緒なんですが、こちらは膝をついた体勢で、ひたすら大面積を塗り込み続ける作業。腕は張り、腰にもキます 。小さな家ですが、何せほぼ全面無垢材なので塗る面積はそれなりに立派。作業しながら、家の面積をイヤでも再認識させられます(-o-;

ワックスは、蜜蝋のものを使用しています。
肌触りや仕上りの暖かみを考えると、まずは浸透系の保護材であること。そして自然系成分であることは外せませんね。

このワックス、以前手掛けた富山の民家改修でも同じ物を使用し、やはり同じように施主施工で塗り込んだ経験があり、勝手がわかってたので使用したんですが、前回と今回では床材が違います。

前回はカラマツとスギの無垢材だったんですが、今回はブラックウォールナットとミモザ。で、今回の2種類の無垢材は、なかなかワックスを吸い込んでくれなくて、同じ面積でも前回の数倍は労力がかかる感じ。この材に関しては、オイル系の方が相性いいかもです。

そうは言いつつ、自分の手で最後の仕上げができるわけです(施工そのものは、誰でもできるくらい簡単。ただシンドイだけ)から、そのくらいはしっかりとやんなきゃなんない。家に命を吹き込むためにも。

本日1日では到底終わらず、明日も朝からひたすら格闘(笑)します。

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4月 052012
 

問い合わせが多く密かに人気(^ ^)の、R style House オトコのキッチンです。

前も書きましたが、特別手の込んだことはしていません。
キッチンは造作ではなく既製品のシステムキッチンだし、扉の面材ももっとも安価なシリーズを選択しています。
そのくせちょっとフツーじゃないように見えるのは、やはりカラーのせいでしょうか。

扉の面材は何の変哲もないダークグレー色ですが、壁面のキッチンパネルは汎用品でありながら、ほぼブラックに近いカラーを選択して、キッチン本体とコーディネートしています。
このパネルはよく見ると抽象模様が入っており、その模様は、以前自分がデザインした民家改修でキッチン面台に採用したパネルと同模様の色違いです。
この模様がとても好きで、自邸でも採用に至ったわけで、ある意味1059 designのスタンダードパターンのひとつと言えるかもしれません。

ところで、この写真を見てわかるように、昨今流行のアイランドキッチンやペニンシュラ型キッチンのようなリビング一体型キッチンではなく、スペースとしてはほぼ独立した空間の「閉鎖型」キッチンになっています。

料理をするお母さんが独りにならないようにする、遊んでいる子供を常に視界に入れつつ炊事をする、といった理由でキッチンがリビングの一部にすることが当然になって久しいですが、R style Houseではそのような必要が全くないので、意図的に閉鎖型としています。
それよりも、キッチンで調理をすることに集中したい(他人の干渉を受けたくない)という相方の要望と、生活スペースの空間に雑多なキッチン廻りを混同させたくないという自分の要望がうまくマッチした、というのが直接的理由かもしれません。

敢えて生活スペースと隔離する。そういう選択肢もアリだと思います。
ただ、完全に部屋として仕切っているわけではなく、実際には感覚的に空間が分かれているということが認識できるようにしているだけ。閉鎖型というより、むしろ「半閉鎖型」と言うべきか。
そういった操作が、このキッチンの不思議な存在感を増しているような感じです。

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 Posted by at 2:01 AM
4月 042012
 

常に直接触れることになる床材は、無垢材のフローリングに拘っていますが、水廻りに関してはコルクタイルを敷いています。

その名の通りコルクの木肌の破材を平板状に成形した素材で、水に強く足触りがいいのが特徴です。
水廻りによく使われるのはクッションフロアと呼ばれるビニル製の床シートで、いま住んでいるアパートの床なんかリビングも含めてどこもかしこもこの素材でした。
ベトベトとした肌触りが不快で、この上に寝転がろうなんて間違っても思わないような床材だったので、今回の家では水廻りであろうともビニル製床シートは排除しています。

使い方によっては無垢でもさほど問題はないですが、ズボラな生活が目に見えているので、濡れても気にならず、それでいてホンモノの素材感があるものということでコルクを選択した次第。
厚さは5mmで、断熱性能はさほど期待できませんが、無垢板以外の素材で思い付く中では、ベストの選択をしたつもりです。

このコルクタイル、張るのが結構難しそうなんですが、見た感じ、しっかりキレイに敷き詰められてました。

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 Posted by at 11:50 PM
4月 032012
 

R style Houseの階段は、最近流行りのリビングに露出している形式ではなく、階段室、というか廊下の延長のような存在になっています。設計の際、居間と通路の境界を明確に計画したためです。

何てことのない回り込む階段ですが、段板の色と質感が思った以上に良い感じ。
手摺の形状がうるさいですが、法規的に必要だし仕方ありませんね。

 Posted by at 7:37 PM
3月 312012
 

3月末日の今日は、施主、つまり自分による完成検査でした。

検査といっても堅苦しいものではなく、工務店の社長と担当者と、出来上がった家を隅々まで確認するという、いつもの週末の延長といった雰囲気でした。
毎週末現場に訪れて、検討事項や指摘事項をその都度話していたので、特に今更指摘するようなこともないんですけど、、一応線引きのためにも必要なので執り行った次第。

いくつか気になったところ、あるいは気になっていたところについて、ざっくばらんに話をしながら是正や変更をお願いしました。
とは言え、今まで見てきたものの延長であり、そもそも自分が計画、監修した家なので、思い描いたことと違うことなんてほとんど無いので、すんなりと検査終了。
工務店の方も、ここまではやたらと指示が多い施主に手を焼いたと思いますが、計画時からずっと一緒につくってきた家なので、最後は却って安心して見せることができたんでは、と思います。

前日に民間確認審査機関の完了検査(法定検査)も実施し、指摘事項も無く検査済を取得したとの報告も受けました。
検査済証が出れば表示登記が可能になり、それが終わって住民票の移転が済めば、ローンの決済も可能になります。その直後に引渡しを受け、正式に自分の家となるわけです。そこまでをこの後の2週間でやる予定です。

完了検査と施主検査をやったくらいですから、工事は完了しています。
厳密には、外構工事とcar pitの床工事がまだ未成で、引渡しまでの期間での施工はかなり残っていますが、内装に関しては若干器具の取付けが残っている以外は完了しています。

全ての空間が明るみになっていて、意図した空間になっているかどうかが否応無しにわかります。
「部屋」の集合体ではなく「空間」の組み合わせであること、用途を決め過ぎず汎用性の高い「空間」であること。
床壁天井をはじめとするひとつひとつの建築の要素が、紙面上の線の集合から実際の気積を構成するエレメントとして立ち上がることで、最初の意図と実際の計画が実現できているかどうか。
今まさに生まれたばかりの建築が訴えかけてきています。

しばらくは建築が発する言葉に耳を傾け、反省と充実を感じていたい、そう思っています。

 Posted by at 9:15 PM