【生月島 サンセットウェイ】荒れ狂う暴風を切り裂き、ダイナミックなコースを堪能
翌日、佐世保から県道11号、国道204号と繋ぎ、佐々から県道18号へ。
初めて九州をツーリング(2004年)した際に通った道路で、途中の寂しい公園の駐車場にて野宿したことから、妙に印象深い道。これと言って特筆すべきコースの特徴などないのだが。。
田平天主堂
R204に合流して、道の駅の前で再び県道に入り、不安になりそうな田舎道を進んでいくと、周囲の景色とは不釣り合いな天主堂が現れる。
大正時代に建てられた教会で、そろそろ築100年になろうかという建造物。ここまでしっかりと、レンガ造の教会意匠が残っている例はなかなか無いんじゃないかと思わせるくらい、パーフェクトな容姿だった。
九州西部の海沿いには、古い教会建築がたくさん残っている。
そのどれもが個性的で見応えがあり、また地域の生活にしっかりと溶け込んでいる感じがして、地域独特の文化を見て感じる上では見逃せないスポットだ。
R style のツーリングでは、結構昔からこういう建築をくまなく訪れているのはそういう理由。
特に信心深いわけでは全然なく、単純に前述の理由と、お寺とか教会みたいな宗教建築の意匠に興味があるゆえ、どうしてもじっくり堪能したくなるのだ。
コンサバティブなレンガ造と思いきや、屋根は純和風な瓦屋根。このハイブリッド感が最高に面白い。
こんな大胆な組み合わせを取り入れ、今日まで残るような建造物を設計したのは鉄川与助という人物。2006年の五島列島ツーリングで訪れた、数々の教会の設計者と同一人物である。
地域の教会というテーマに、それぞれの風土を考慮しながら様々なデザインで応えた鉄川の能力は計り知れない。これだけ狭い地域に多くの天主堂を後世に残しておきながら、ひとつとして同じものがないのだから。
ステンドグラスにも一切の手抜きなしである。
田平天主堂はツーリングマップルに載ってたので訪れることができたが、この他にも名も知れない教会がたくさん残っているに違いない。(特にこの平戸周辺には)
そういう存在も調べた上で、いずれはツーリングの目的としてみたいものである。
さてここまで来たら平戸島に渡らないわけにはいかない。
雨こそほとんど降っていないものの、頭上の雲は分厚く、何より風が相当に強い。
実は台風27号が九州に再接近していたのがこの日だったのだが、台風の位置とは九州本土をはさんで正反対側にいることになるので、影響は少ないと踏んではいた。
風が強くて困るのは、この先、島に渡る手段が橋だということである。
運悪く通行止になっていたりしなければいいが。。
最初の平戸大橋。ツーリングマップルには「風速15mでバイク通行禁止」と書いてあるが、特に通行規制は敷かれていなかった。
以前渡った際は有料だったような気がするが、無料で渡れた。
平戸島では川内峠に向かったが、この天気ではちっとも楽しくない。
県道19号でさらに西へ。
生月大橋
その先、向かうところと言ったら当然、生月島。
その生月島に渡る生月大橋は、一度見たら忘れられない優美なトラスと爽やかなスカイブルーの塗装が印象的な橋。
この生月大橋も、以前は有料だったが無料化されていた。(後で調べたら、2010年4月に平戸大橋とともに無料化されたらしい)
そんなに古い橋ではないはずだが、過酷な環境によって美しいトラスにはサビが散見され、スカイブルーの輝きもやや失われつつあった。その塗装補修のためか、一部仮設足場が掛かっている。
普通なら吊り橋でつくるような長大スパンを、わざわざトラスで渡しているところに存在感がある橋。トラスの構造体は、まさに機能美といった感じでとても好きな橋だ。
平戸島側からジェットコースターのごとくアプローチする、あの感覚もいい。
暴風吹き荒れ、海峡も白波が立っているが、何とか通過。麓の道の駅で、暴風にもかかわらずルーフを開ける(笑
生月島は、西海岸線を走る通称「サンセットウェイ」が白眉だ。
断崖を眺めながら走る豪快なワインディングロード。先々に現れるコーナーに自然と吸い込まれていくかのような、リズムのいいドライビングが楽しめる。
楽しいワインディングロードほど、走っているとあっという間に終わってしまう。
何度か往復したい衝動を抑えながら、島の最北端へと向かう。
大バエ灯台
生月島最北端の大碆鼻の丘高くに立つ小さな灯台。
わざわざ灯台に登るのも躊躇するほどの暴風吹き荒れる環境だったが、一応登っておいた。
ここは灯台そのものよりも、この丘からの景色が素晴らしい。
海原の先には、見えないけど対馬が浮かんでいるはず。西の方角には五島列島だ。
海だけでなく、起伏のある生月島の地形が味わえるのもいい。
生月島、思えば2004年に最初に訪れて以来の再訪。
楽しみ方は相変わらずだったが、美しい生月大橋を眺め、豪快なワインディングを独り占めできるのなら、何度でも来たい。
帰りのルートはやっぱりサンセットウェイ。
平戸島に戻り、平戸大橋を渡って本土に復帰した後は、交通量の多いR204を、淡々と走って松浦、伊万里方面へと向かった。