【道道142号 北太平洋シーサイドライン(の枝道)】
道東ツーリング4日目の朝、テントのフライシートは、明け方に降った雨で盛大に濡れていた。
初日からフライシートを濡らすと、何かと面倒くさい。テント本体を濡らさないために、分けてパッキングすることになる。
それだけでも荷物が嵩張ってしまうのが問題なのだ。
別海の中心部から、道道123号でスタート。走り出すと、再び雨が落ちてきた。
地平の彼方へと続くロングロングストレートを、水飛沫を巻き上げながら疾走していく。
飽きるほど真っ直ぐ、真っ直ぐな道をひたすら走り、国道44号を跨いで道道142号で突き当たる。
D142は昨日走った北太平洋シーサイドライン。未練がましく来てみたが、昨日のほうがよっぽど天気の状況は良かった。
北太平洋シーサイドラインについては、今回は完全に嫌われてしまった。
まぁいい。それは裏返せば、再訪する理由ができたってことだから。
昨日は初田牛まで走って別海に向かったので、本日はその続き。D142を根室方面へと行く。
根室本線と並走しながら、駅を見つけては最果て感を味わってみる。
駅舎の可愛い別当賀駅。
時刻表を見ると、1日上り5本の下り4本。意外と走ってる方か?
落石駅はパスして、その次の昆布盛駅。この駅、名前が忘れられない。
実際、コンブ漁している姿を見ることも多く、そのビジュアルとともに記憶に焼き付いている。
ボヘっと写真撮ってたら、突然踏切が鳴り出した。
1日数本しか通らないはずの気動車が、根室方面から向かってくるではないか。何という偶然。
停車し乗降のドアが開いても、誰も乗り降りする者はない。
それが当たり前かのように、前触れもなくドアが閉まり、再びディーゼルエンジンが唸りを上げる。
すれ違いざま、中の様子が目に入ったが、意外にも多くの乗客が乗っているのには驚いた。
1両編成の普通列車なのに、まるで特急にでも乗っているかのようにくつろいでいる。窓際には弁当、お茶にワンカップ(笑
ボックス席に座るオバチャンが、コチラに向かって手を降っていた。
釧路まで行くだけでも長旅なんだろう。内地では見られない風景にホッコリ。
勢いで東根室駅にも来てみた。
コチラは根室市街にあって、これまでの駅とはちょっと様相が違う。
本当に利用されてるのか疑いたくなるほど、住宅地の裏手にひっそりとあるのだが。
東根室駅は、日本最東端の駅だ。
根室本線が大きく半円を描く軌道で終着駅である根室駅に向かうので、その円弧の途中にあるこの駅が最東端に位置するということになっている。
その割には、扱いが地味だけど。板張りのプラットホームが渋い。白い鋼製の柵がなかったら最高にクールだ。
東根室駅からは道道35号で納沙布岬へ。
ここまで来たら、天気が悪くても行っておきたい場所、ではあるのだが、実際のところ、これが目的だったりする。
日本最東端のコンビニ、セイコーマート歯舞店の筋子おにぎり。ホクホクのご飯の中に大量の筋子(っていうかほぼイクラ)を擁する、コンビニおにぎり界の帝王(?)だ。
セイコーマートの筋子おにぎりは北海道ツーリングの朝ごはんの定番中の定番。毎朝セイコマに寄っては筋子おにぎりばかり食べていたというのは事実である。
デリカコーナーにはたいてい存在するのだが、微妙に量と味が違ったりする中、歯舞店は別格。
自分にとっては、納沙布岬よりもこっちの方が重要(笑)だったりするのだ。
そんなわけで、納沙布岬の扱いはこんな程度。
D35は根室半島を周遊する道路だが、納沙布岬から根室湾側に回り込むと、それまで視界を遮っていた霧は瞬く間に晴れていった。
夏の道東太平洋岸は霧に覆われるとは言うが、襟裳岬以東の沿岸部のみ、ここまではっきりと霧に阻まれるとは。
根室市内に戻り、R44に入って春国岱と風蓮湖を望む日本最東端の道の駅「スワン44ねむろ」にて小休憩。
厚床から国道243号にスイッチして北上開始。昨日別海に向かったR243ともう片方のR244の分岐では、ルートが重ならないようR244を選択。尾岱沼まで一気に走る。
道の駅「おだいとう」で、その先のルートを模索。
2日目の夜に決めたように、明日の朝は知床で観光船に乗船の予定だ。
天気も悪そうなので、今晩はウトロに宿を取ったのだが、このまま直進してウトロに入るのはどうも安直過ぎる。
というわけで、R244と離別。道道363号で中春別へ。
このD363、牧場の中を走る一本道なのだが、今朝のD123と異なって、路面の抑揚が無意味に激しい。
舗装状態も良いとは言えず、激しく車体を揺すられる。そんな道でも、エスは4輪で路面を捉えて離さない。
ツーリングでのドライビングに合わせ込んだ足回りが、トリッキーなコースでキラリと輝く。
中春別から道道8号で中標津へ。
中標津市街で、ちょっと行ってみたかった回転寿司屋に入店。さっきおにぎり食べたばっかだけど、、時間的にはちょうど昼になりかけていたのだ。
訪れたのは、国道272号沿いにある「花まる」という回転寿司チェーン店。
むかーし昔は、なんか違った名前だったような気がするが、場所的には記憶と相違がない。
中身はというと、右のとおり。
オレンジ色も眩しいサーモンは、標津産のトキシラズ。夏に穫れる若い鮭のことで、産卵のために栄養が取られない分、旨味が詰まっているようで美味しい。常識的な値段では、この近辺でしか味わえない逸品かと。
その他にも羅臼産、根室産、一部宗谷産と、近海物からオホーツク産まで地物のネタが豊富。
オペレーションにミスが目立つのはご愛嬌。はるばるここまで来て回転寿司!?というのが、決して損にはならない店だと思われる。
中標津市街で保険的に継ぎ足し給油。
中標津に来たのだから、開陽台方面にも行っておくかと空港方面に走り出すと、とたんに雨脚が強くなってきた。
道道150号から北十九号に入ると雨は更に強くなり、有名な直線道路に出た瞬間、図ったように土砂降りの雨。
降りて写真なんてもってのほかという状況になってしまった。
北十九号線から道道975号、そして道道1145号へと乗り継ぐ。どの道も飽き飽きするくらい真っ直ぐな道。ステアリングを切る楽しみがまるでない。
景色が良ければまだ楽しみもあるが、雨降りの状況だと、轍に注意しながら路面を捉えることくらいしかやることがない。
完璧な雨天となってしまった。これじゃどこに行ってもツマラナイ。
気にせず走り回ることも考えたが、せっかくの道東の旅、これ以上無意味に湿った景色を記憶に刻むのは却って勿体無い。
そう結論付けて、国道335号に入って羅臼へと向かう。今日は早めに投宿して、明日に備えるのだ。
いつもツーリストで賑わっている羅臼の街は道の駅に寄っただけで通り過ぎ、国道334号と1つだけ番号が変わった道を、知床峠に向かって登っていく。
北海道では珍しい部類に入る、峠道らしい峠道の知床横断道路の羅臼側。
単独行でFun to drive !
タイトなコーナーが連続するハードなヒルクライム。
開削に数十年の歳月がかかった道路、知床横断道路。原生林の中をひたすら登り続ける道路は、まるでクローズドコースをヒルクライムしているかのような気にさせてくれる。
この道路は、世界自然遺産「知床」の指定区域内を走る、ただひとつのワインディングロードでもある。
開発が厳しく制限される同区域内を走るので、今後大幅に人の手が入って景色が変わってしまうことは、まずありえない。
また、北海道内の国道では唯一、冬期通行止めになるという側面を持つ。
それだけ道内でも極めて厳しい自然環境にあり、こんな道を自由に走れるだけでも涙モンなのである。
標高を上げるにつれて濃度を増していった霧は、峠に着くと完全に視界を奪う形となった。
本来であれば、この画角から羅臼岳を望む絶景が拝めるはずなのである。
滞在すれば、いずれは視界がひらける日も来るだろうが、あいにく今自分が楽しみたいのはそういった旅ではない。
これも時の運。また来る時の楽しみにしようじゃないか。
知床横断道路のウトロ側は、打って変わって峠道とは思えないストレート区間が連続する。峠から下ると、国内有数の超ハイスピードなダウンヒルステージに。
しかも、ウソのようにいきなり霧が晴れた。ここぞとばかりにVTECサウンドを高らかに歌わせながら、一気に高度を下げていく。
峠をはさんでまったく異なるコースレイアウトを知床横断道路。北海道ではなかなか貴重な本格派のワインディングロードだ。
非常に遠い場所にあるが、峠から眺める景色と合わせて、ここを走るために道東に訪れる価値は大いにある。開通時期に合わせて、ぜひ堪能してもらいたい。
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ウトロに着いて、道の駅で情報収集した後、予約しておいたホテルにチェックイン。
北海道の果てなのに、結構なお値段がした。従業員はなぜかアジア系の人々。これも世界遺産効果だろうか。。
天候がすぐれず、16時にチェックインしてしまったこともあり、大浴場でノビノビと入浴。
その後、隣接していたセイコマで調達したスパークリングワインで、早々とイイキモチに(酔
明日はいよいよ知床岬へ。
悪天候の予報だが、船は無事出航するのだろうか。