1月 142012
 

上棟2日目。
昨日に引き続き早朝からの作業で遂に棟が上がり、R style Houseの全容が出現しました。

 

自分が現場に着いた時間には既に作業が始まっていて、柱の数本は既に立てられていました。
今日は上棟本番ということもあって、職人さんたちの数も倍増。大工さん4人、鳶さん3人、それに工務店から2人の総勢9名が現場内で組み立て作業中。これだけ人がいるので、自分は今日は見てるだけ。(てゆうか一部始終を見る施主なんてそんなにいないと思います・・)

昨日金具を取付けた梁を、柱の金具に差し込み、ドリフトピンで締結していきます。材の精度が良く、スコスコと入っていくので、次々と組み上がっていきます。
ホントあれよあれよという間に形になっていくので、一瞬たりとも見逃せない感じ。(だから普通はそこまで見ないって(笑)

敷地と道路の境界線上空に電線が通っているため、大型のクレーンで電線上を大きくまたぎ、材を吊ってはめ込んでいきます。

あっという間に2階の梁が組み上がってしまいました。
金具に木材をはめ込んでピンを打つというシンプルな施工法なので、作業性がいいです。それでいてガッチリと組み上がっていくので、見ていて気持ちが良い。

2階の梁が完了したら、床板の合板を張っていきます。
この合板は床仕上げの下地となると共に、水平力を負担する構造材でもあります。合板もあらかじめ張る位置が決められているので、あっという間に張り終わって、2階の床面が出現しました。

通し柱以外の2階の柱、梁を組み立てていきます。

材を運搬してきたトラックが到着すると、置き場所を確保しつつクレーンで吊り上げ。住宅の施工現場とは思えないほど大胆に吊り上げて荷下ろし。迫力十分。

ロフト階の梁に到達し、いよいよ建物の頂上部分が見えてきました。通常の3階レベルなので、見上げてる方も首が痛くなってきます(笑

クレーン大活躍。今回の敷地は道路状況に恵まれ、重機を使った施工が可能でしたが、東京のような過密した市街地では、こういったケースはむしろ珍しいようです。そもそもクレーンが入らない道路も多く、その場合は人力で手上げになるわけで、施工作業性には雲泥の差が生まれます。
R style Houseの敷地は分譲された住宅地で密度も低いので、施工のしやすさという点ではかなり優れていると思われます。

お昼前には、ほぼ外形が見えてきました。迷うことなくどんどん組み上げていくので、すごいスピード。
ほんの数時間で大きな空間を感じさせる構築物が出現するのは、自分の家であることを差し引いても、感動的ですらあります。

午後の工事は小屋組に移行しつつあったので、2階に上ってみました。当然ながら眺めが違います。
それまでずっと地上レベルからしか見たことのない周辺環境が、異なった風景に見えます。

2階の床に立つと、これまで想定でしかなかったことが明るみに。
2階レベルが周辺の家よりやや低いこと(目線がやや異なる)、窓の位置が明確になり、見える風景や光の入り方がほぼ正確に把握できたなど、確認できたことは少なくありませんでした。

躯体が完成しつつあるところで、昨日加工した軒下地を吊り上げ、取付けていきます。
ほとんど家の外形が見えたところで、クレーンのオペさんに「カッコいいねぇ、モダンだねぇ」とお褒めの言葉を頂きました。

小屋組が完成した後、屋根下地の合板が張られていきます。
上棟と言う意味では骨組みができた時点で完成ですが、躯体を濡らさないために一気に屋根下地まで施工するという計画。
時間的には結構厳しい内容のようでしたが、このままいけば暗くなる前に予定通りの工程までいきそうな感じです。

屋根下地の上に、断熱材を敷き込み、気密テープを張っていきます。
しかし、急なところで5.5寸勾配の屋根上で、よくこんな作業するもんです(笑

上棟の最後に家の一番高い部分に、「幣串」と呼ばれる上棟のお祝い?みたいなものを南向きに取付けてもらいます。幣串には、地鎮祭の際に神社からもらったお札が貼付けてあり、上棟後は小屋裏に設置して、家内安全、無災害のお守りみたいに扱われるもの。
工務店の会長さんの手作り(たぶん) で、会長(先代大工)自ら届けてくれました。

予定していた屋根下地工事まで無事に終わり、最後にささやかながら上棟式を執り行いました。
地鎮祭以上にやらないケースも多くなった上棟式ですが、工事関係者との顔合わせ、これまでの工事に対する労いと感謝、そしてこれからの工事に対するお願いという意味から、施主の立場でしっかりと行わせていただきました。

昨日今日と働いてくれた職人さんたちと改めて顔を合わせてみると、工務店お付きの大工さん1名以外は、ほとんど自分と同じか若いくらい。なかなかフレッシュなメンバーです。
みなさんシャイであまり話は盛り上がりませんでしたが(笑)、施主からの挨拶と手土産、ご祝儀で、感謝の気持ちは伝わったはず。
今後は大工さん中心の現場になりますが、しっかりと工事していただきましょう(^ ^)

 

このような感じで、無事上棟を迎えました。

実際に棟が上がってみると、いろんな感覚や思いが湧き上がってきました。
ここまできた道のり、計画、設計内容に対する確信と迷い、金銭的社会的な責任と不安(笑)。実物になって初めてリアルになった部分も多いです。

でも、ずっと思い描いていたものが、リアルスケールで実体になるという過程に立ち会えたことは感動的でした。
まだまだ工事は続きますが、せっかく満足のいく骨組みができたのだから、継続してしっかりと作っていきたいと思ってます。

 Posted by at 11:20 PM
1月 132012
 

上棟1日目。
朝から構造部材の搬入、土台の敷き込みから建て方が始まり、梁材に構造金具の取付、軒下地の加工、柱の搬入、立て込みと、予定通りに工事が進みました。

 

大量のプレカット材が搬入されています。朝イチに用事があって参加できない間に、搬入から土台敷きまで済んでいました。
また、建物周囲には既に仮設足場が。こちらは昨日立てた模様。

これが土台です。基礎の立上がりに沿って角材を敷いたもの。材質はヒバです。
土台は土からもっとも近い構造木材で、湿気やシロアリ被害の危険に晒されながら家を支えているという、非常に厳しい環境下と条件下に置かれた重要な部材。
構造的な強度があることはもちろん、特にシロアリ被害に耐えうるという特性を重視し、ヒノキやヒバといった芳香の強い(害虫が嫌がる)木材を使用するのが伝統です。今はコストダウンで通常の集成材に防虫材の薬品を塗っておしまい、というケースも多いみたいですが、先に書いた通り誰が見ても重要な部位なので、安易なコストダウンは避けるべき部分です。

今回は、柱梁は構造材に適したアカマツの集成材、土台だけはヒバ(正確にはアラスカイエローシダーで、土台に最適な青森ヒバに似ているので「米ヒバ」とも呼ばれるが、本当はヒノキの仲間。極めて耐水性があって腐りにくい木材)の集成材を使用しています。
防虫剤を塗らなくても大丈夫な木ですが、下面のみ一応塗ったとのことでした。

本格的な建て方に入る前に、構造材の下準備を行います。

通常の伝統的な在来木造だと、大工が仕口継手を加工し組み合わせて躯体を組んでいく工法になりますが、今回、接合部分は全て構造金具による接合を採用する工法としています。そのため、立て込む前にまず金具を取付け部材を組み立てます。
プレカットされた際に、金具の種類の記載と取付け位置も出してあるので、適合する部材を次々に大工さんが取付けていきます。

とりあえず一番に搬入されていたのは2階の梁。金具取付け完了後、後で組み立てやすいように、梁を適宜配置しておきます。

いくつもの接合金具が取付けられた梁材と土台が混在する光景は、木造住宅の現場に見えません。まるで鉄骨造ような(笑

梁の高さ(縦寸法)を表す「梁せい」も、大きい部材では360mmもあり、ますます木造の常識を逸脱しています。
今回こういう構造計画にしているのは、プランからの必然という直接的な理由と、構造的な強度(耐震性能)を確実かつ恒久的に確保するという理由から。構造躯体には正直、かなりコストをかけています。それだけ骨組みは重要視しているということです。

その後、次の構造部材の便が来るまで、大工さんの加工が始まりました。
材木屋さんが持ってきた木材を使って、格子状の部材を手際良く作っていきます。

その部材は「軒」の下地となる部分。R style Houseは軒が張り出したデザインなので、その張り出しを支えるために必要な構造体の一部となります。

本日の第2便として、柱部材が運ばれてきました。場内の搬入場所があく頃合いを見て、クレーンで現場搬入。
6m近くある非常に長大な部材を、上空の電線と足場の隙間を通すクレーン技は見物でした。

柱は梁と異なり、構造金物が全て取付けられた状態で運ばれてきました。それだけに、ひとつひとつの部材が相当の重量になっています。
その重量物を、今度は人力で立て込んでいきます。一人の力では到底上げられない柱(それ単体での重量も相当ある金具が複数付いているため、本当に重い)を、その場にいる人間全員で支え、位置を変え、角度を変え、足場上から引っ張りつつ、少しずつずらしながら、所定の柱脚金物にはめ込んでいきます。自分もジャマにならない程度に手伝いました。(現場では力仕事と整頓くらいしかできることがないので)

当たり前ですが、こういうのを日常的にやってる大工さんたちは手際がいいです。

土台から2階上部まで貫通する「通し柱」の立て込みを四周完了して、本日の作業は終了。
独立して立っている通し柱は柱脚金物にドリフトピンで締結され、そのままでも安定はしていますが、万が一のことを考えて、大工さんが仮の筋交いを入れていました。

1日目は建て方というより、そのための準備作業的な感じでしたが、明日は準備したものを本格的に組み立てていくことになります。
職方の人数も本日の倍になり、いよいよ、といった感じ。現場には隆々とした空気が漂っています。

 Posted by at 11:45 PM
1月 122012
 

R style Houseの建設現場が、年をまたいでようやく再開。
昨年末までで基礎が完成していたので、再開直後にいきなり建て方の工事から始まります。

建て方とは、柱を立て、梁を掛け、棟木を上げる工事。つまり、家の骨組みを組み立てる工事です。
建て方は通常1日か2日かけて一気に行うので、住宅の建築過程ではおそらく、もっともドラマチックな瞬間になります。
だって何もない基礎の上に、一夜城の如くいきなり家の形が出現するのだから。

そういう瞬間なので、家の建築では古くからこの建て方の完了は特別な意味を持っていて、その瞬間を差す言葉が存在します。「棟上げ」とか「建前」という言葉ですが、現代では「上棟」と呼ぶのが一般的でしょうか。

そんな感動的(になると思われる)瞬間なので、建て方が始まる明日から現場に張り付く予定。
予定では、土台から棟上げ、屋根の下地までを、丸2日間かけて一気に施工することになっています。
それだけにいつもは数人しかいない現場も、この2日間だけは10人程度の職人さんたちが大集結。大きな重機も稼働して、施工期間中もっとも活気のある劇的な時間になる予定です。

一生に一度しかないと思われるこの瞬間。ぜひとも楽しみたいと思います。

 Posted by at 9:54 PM
1月 072012
 

年が明けて、初めて新築現場に足を運びました。
工事は来週からなので、現場は年末の状態のまま。最後に見に行った後の年末工事で、以前紹介した基礎に埋め込んだアンカーボルトに、柱の取付け金物(写真の黒い物体)が据えられています。

今後の工事で、この黒い柱脚金物に直接柱を立て込んでいきます。
この金具が、構造計画上のポイントになる部分。

普通の木造住宅では、このような金物は使わず、基礎上に敷き込んだ土台上に直接柱を立てていくのが一般的かと思います。
それに対して今回の計画では、柱は土台から独立させ、基礎から直接立ち上がる特殊な工法を採用しています。
こうすることで、柱に対する引き抜き耐力(接合強度)を、従来の工法よりはるかに高く確保することができるからです。

建物(木造住宅)には地震時に、基礎上部の上物が揺すられることで、柱の根元に引き抜きの力が加わります。ここが破断する(柱と土台が離脱する)と建物は更に傾いて揺れの力が加速してしまい、最悪の場合倒壊してしまう恐れがあります。
なので、この柱脚部分の耐力確保は非常に重要。通常はホールダウン金物で引き抜き耐力を確保しますが、柱脚金物は更に大きな耐力を確保できます。

その分コストもかかるし、基礎から直接柱を立てるので、アンカーボルトの精度、更には基礎の精度が必要で、施工にも監理でも気を使うけれど、建築にとって生命を守る構造性能は最も重視すべき部分のひとつですからね。
金具自体の強度も必要で、当然経年による問題は懸念されますが、塗装は自動車と同じような電着塗装が施されていて、いかにも堅牢な感じです。

もちろん構造計画のポイントはこれだけではないですが、まずは足元からっていうことで。

 Posted by at 11:24 PM