10月 112023
 

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交換パーツが揃って、ようやくミッションが組み上がりました。

時間を要したのは、部品が揃うまでの時間よりも、より確実により丁寧な仕事をするために、様々な課題を含めて乗り越えた結果。
その分、組み上がったミッションの出来栄えには、何の文句もつけようにありませんでした。

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ケースにはブラスト仕上げ、ボルト類も純正新品に交換してあることによって、新品ミッション以上の品質感が漂っています。

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内部のギヤ類は既に見えなくなっていますが、当初の予定より、純正新品を贅沢に使用して組んであります。
以前の投稿で磨きを入れてもらったギヤ類を紹介しましたが、新品が手に入るならということで、少しでも気になる部品は新品交換の上、改めて磨きを入れてもらいました。
一手間も二手間もかかった手製のミッションには、機械的に組み上げただけの新品ミッションとは異質の凄みが感じられます。

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搭載前の全景。

ケースはすべて、元のケースをブラスト処理してそのまま利用。したとは思えない程の光沢を放っており、その姿はまるで彫刻作品のよう。
下回りに収めるのを躊躇ってしまうほどの光沢感です。

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ミッションを外すということは、クラッチが露出するということですが、クラッチ関連の部品は消耗がほとんどないので再利用しました。
通算3枚目のクラッチ&カバー。R styleでは、クラッチ関連は純正が基本。
ノーマルエンジン&ノーマルサイズのタイヤでワインディングを楽しむ用途であれば、純正で十分楽しむことができます。

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クラッチ周辺でポイントになるのは、むしろレリーズベアリングとフォーク、ベアリングガイドだと思ってます。
ここの摩耗やグリス切れが、クラッチフィーリング悪化の原因になっていることが多い。

今回組み直しになるので、取り外した部品を洗浄し、グリスアップして再使用。
これだけでもフィーリング回復効果は絶大。ということが、後日のドライブで改めてよくわかりました。

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遂にハラワタに格納完了。
歯車の集合体と言えばそれまでですが、ひとつひとつの部品を調整した上での手組みによるミッションは明らかに存在感が違う。
リフトから降ろしてしまえば、その存在はまったく確認ができなくなりますが、ひとたびドライビングに興じれば、以前と比べ物にならないほどの違いが感じられるはず。

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その舞台として、早速ロングツーリングを決行。舞鶴から若狭湾エリアに点在するワインディングでその感触を存分に味わってきました。

結論から言うと、当初の想像からは少しだけ異なった印象でした。

すべて正直に言いますが、当初想像していたよりは、ある特定のシフトチェンジの際の「硬さ」はそれほど変わらない印象です。
もっと細かく言えば、低いギヤの入りについてはヌルっとした感じで、力を要さずともヌルヌル(スコスコ、ではない)と入ります。
対して高いギヤに関しては、気になっていた引っかかる感じは無くなりましたが、多少の「押し込み」は必要です。

これは構造上の特性であり、元々の性格が完全には変わらないことによるものだと思いますが、ちょっと思っていた感じとは異なる印象。
ただ、それよりも想定外と言っていいほど変化があったのは、駆動系のフリクションが極めて少なくなったことです。

エンジンからの出力がそのままデフを介してリアタイヤに伝わる感じで、媒介しているはずのミッションの存在感がまったく感じられないほど。
その結果、まるで車体が軽くなったか、羽根でも生えたかのような感じで走ります。
ミッションから発していたと思われる音も少なくなり、特に高速道路走行時の駆動音は明らかに少なくなり、わずかなエンジン音とロードノイズが聞こえるだけ。
相対的にデフの存在感が増して、軽快感があるのに重厚感があるという、何とも不思議な乗り味のクルマになりました。

 

シフトについてはS2000特有の構造上の特性を残した上で、ドライバーに余分なストレスを感じさせないフィーリングに仕上がりましたが、
それ以上に、組み上げ精度の追求によるフリクションの極小化が、O/Hの最大の効果として体感できたというのが、今回のリアルな印象です。

ミッションというのは、常に手で感じて身体で感じる、ドライビングプレジャーにとって重要な部位だと思います。
まずは壊さない操作を心がけるというのが先決ですが、長く付き合うのであれば、O/Hはエンジン同様、有効な選択だと実感しています。

 Posted by at 12:03 AM