5月 262019
 

2019 05 26 01

GWの九州ツーリングレポート途中ですが、備忘録的に。
先週と今週の土曜日朝、二週連続でビーナスラインを走ってきました。
この時期恒例となった、「定点観測」です。

昨年から続けている調整ごとと、GW前のささやかなメンテナンスが功を奏したか、非常に調子が良い2019年夏前のS2000。
操作系のフィーリングと、それによってついてくるパワー感、サウンドがよくバランスされていて、エスのドライブが輪をかけて楽しいこの頃なのです。

最近の定点観測の中では、一番のフィーリング。
一連の操作感は非常に滑らかで、細かいコントロールも意のまま。
ひとたびアクセルを踏み込めば、粒の揃ったビート感のあるエンジンパワーが湧き出してくる。

なんというか、抜群に呼吸が合った感じとでも言いましょうか。エスと自分のキモチがシンクロ。晴れて両想い!?
とにかく今、気持ちがイイ。良過ぎるくらい、イイのです。

 

こうなった要因はいろいろある中で、特に効果があったのは、GW前に紹介した触媒の更新。
壊れたから新品に換えただけですが、思った以上にフィーリングが変わりました。
多少なりともヌケの良さが改善されるということでしょうか。高価なパーツなのでオイソレとはいきませんが、距離によっては交換すべき部位であることを、身をもって認識しました。
シフト&クラッチ周りももちろん。人馬一体フィールには、不可欠なメンテンスでした。 

それともうひとつ、これはGW後に行ったメンテナンス。プラグ交換です。

何も目新しいことではなく、オイル交換同様、定期的に交換するおなじみの部品。
ECUに手を入れる前から、ずっとNGKレーシングプラグを使用していますが、今回ももちろん同じ。
20,000kmを目安に交換ですが、頻度としては年1回交換というサイクル。毎年同じ時期に換えるようにしていれば、忘れることがない。
今回は本当に20,000km程度走行後の交換でしたが、15,000kmでも10,000kmでも、回す人ならこまめに交換した方がベターだと思っています。

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プラグ交換自体も、エンジンフィーリング改善に非常に効果があるのですが、今回は同時にイグニッションコイルも新調しました。
イグニッションコイルを交換するのは、通算2回目。GENROMを書き換えした際に、一度、純正新品に交換しています。
交換からまだ5年しか経っていませんが、80,000km程度走っているということ、点火という重要部位であることを鑑みて、今回プラグと同時交換。

ただ、純正部品でなく、今回は社外品にしました。

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NGK製、補修用パーツとしてのイグニッションコイル。
社外品と言っても、天下のNGK。プラグもNGKなんだから、きっと相性は抜群。(純正はDENSO製)
更には、こちら比較的新しいパーツ(2015年発売)で、最近の技術が盛り込まれていると想定。20年以上前の純正品とは一味違う何かがある予感。

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さすがはNGK、S2000適合品も当然ラインナップされており、純正よりお安いときている。
取り付け状態は若干窮屈。純正のように、嵌めるときのパコッという節度感がなかったり。専用品じゃないので、この辺は割り切りが必要。

でもですね、そんなことは走り出せばどうでも良くなる。

エンジンの回転が恐ろしくスムーズになった上、クラッチの繋ぎからしっかりとコントロールできるきめ細やかさも。
それでいて、しっかりとしたパワー感があり、下の回転からでも力強く加速していきます。
加えて、アイドリング時の静かさ。停車している時、ふと周囲の音がいつもより身近に聞こえることに気付く。足元には野獣が眠っているのに。

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・・・これは素晴らしい。費用対効果抜群。
かけたコストからすると、感動レベルです。

もちろんプラグが新品になった影響もありますが、それにしても違います。
同じイグニッションコイルでも、何かが根本的に違うような。何かはわからないですが。

身も心もトロけるような官能フィール。滑らかなのにソリッド。
この二面性が堪りません。

 

話がやや大きくなりましたが、、13年目の定点観測。
エスとの蜜月は、2日後の5/28から、いよいよ14年目に入ります。

惚れ惚れすることばかりではなく、今回の定点観測ではブレーキ関連に課題がはっきり見えました。(制動時に微妙にふらつく、効きが安定しない)
ドライビングについても、課題を見据えて走り込んだ結果、ちょっとだけわかったことがあったり。
そういうことをしっかりと教えてくれる、ビーナスライン(の一部区間)はいつもすまし顔。そんなホームコースの存在に感謝。
走り込みの成果は、次の課題として取り組みます。 

S2000との(時間的な)旅はまだまだ続きそう。
14年目も、じっくり楽しんでいこうと思っています。 

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 Posted by at 7:59 PM
5月 192019
 

2019 05 19 01

翌日、内牧温泉から国道212号でミルクロードに上がるも土砂降り。
すぐさま県道11号でカルデラに降りて、登山道路を目指す。

かつて阿蘇パノラマラインと呼ばれた元有料道路。
素晴らしい眺望と火山地形を間近に感じることのできる、阿蘇のメインワインディング。

登山道路には3線あり、阿蘇駅からまっすぐ登っていくのが東登山道。
米塚で接続し、西に下っていくのが北登山道。草千里付近で接続し、南山麓を走るのが南登山道だ。
かつては東=坊中線、北=赤水線、南=吉田線と名前が付いていたが、現在は方角で表現するようだ。

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登山道路の途中からカルデラを眺めると、その外周を外輪山が取り囲む地形がよくわかる。
外輪山の高さは見渡す限りほぼ同一で、その向こうにはなだらかな台地が広がっている。
カルデラは噴火後に陥没、沈下して形成された平地であることを再認識する。

阿蘇の山肌には樹木が少ない。これは、北側外輪山尾根にあるミルクロード周辺にも言える。
噴火で吹き出した結果、堆積した土壌が酸性質であるために、樹木が育ちにくいからだ。
カルデラ内でも同じことのように思えるが、ここには実際には田畑が広がっている。先人たちの土壌改良の苦労が忍ばれる。

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痛々しい山肌の阿蘇。
かつてこの既設に訪れたなら、もう少し緑鮮やかな山塊の風景を楽しめたはず。
しかし、今回は赤い山肌が露出した風景を目の当りにすることとなる。
3年前の地震は、阿蘇の風景をも大きく変えてしまったのだ。

北登山道はさほど面白くないので通過。草千里ヶ浜は大雨で、そのまま南登山道に抜けるも、こちらも大雨。車外に出ることすらできずに、南側山麓まで降りる。
今日は一日雨が降り続く日。九州どこに行っても大雨だ。こんな日はつべこべ言わず、ゆっくりと時間が過ぎ去るのを味わうのも悪くはないもの。

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白川水源

走っても仕方ないような天候なら、観光でもしてみようということでやってきたのが白川水源。
阿蘇のカルデラは湧水が実に豊富。あまりに豊富で、それが川となってカルデラ内を流れ、外輪山の割れ目を通って島原湾へと流れている。
普通に考えれば、外輪山に囲まれたカルデラは、水が溜まるか、まったく水が無いかのどちらかのはず。
そのどちらでもないという奇跡の地形が、世界でも類を見ない「人が定住するカルデラ」を成立させている。

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中でも白川水源は、一体が観光地化していて人気がある。
神社の境内の脇にある池は、実に神秘的だ。透き通った池の砂地の底から、絶え間なく湧き出てくる地下水。その量、毎分60トンというから驚きだ。

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阿蘇のカルデラ内には、こういった自噴する地下水がいたる所にある。
それら地下水と雨水を集めて、北側に黒川、南側に白川という河川となり、外輪山西の立野で合流し熊本平野へと流れ出る。
その源流のひとつが、ここ白川水源なのだ。

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・・・・・・・

 

2019 05 19 08

山賊旅路

好天であれば、ここぞとばかりに走り回ることに熱中して空腹など感じる余地もないが、雨天なら話は別。
阿蘇のだご汁をどうしても食べたくなり、登山道を駆け戻ってR57沿いの店へとやってきた。

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だご汁とは小麦粉で作る練り物が入った汁のこと。阿蘇の農家で親しまれてきた郷土料理だ。
「だご」の食感はモチモチで、大変食べ応えがある。コクのある味噌汁が、雨に濡れた心と身体に染み渡る。

順番待ちして座敷でゆっくりと味わって、などという時間の使い方は、晴れた日中の阿蘇ではまず実行に移すことはない。
雨天だからこそ、出会えた味。

・・・・・・・

腹を満たした後、R57を東へ行き、R265で箱石峠を越えて阿蘇南部広域農道へ。
強まる雨脚により、視界も悪い。水たまりを避けつつ走り抜けて、県道28号。南阿蘇の道の駅へ。
昨年も立ち寄った道の駅だが、今回は併設のモンベルショップへ。

ツーリング時に使用するコンパクトテーブルとしてsnow peakを長年愛用していたが、より簡単に使用可能なSOTOのコンパクトテーブルが欲しかったので購入する。
決して潤沢な収納スペースがあるとは言えないオープンスポーツによるツーリングにおいては、収納性に優れた小道具を充実化することも、旅の楽しみのひとつと言える。

2019 05 19 10

K28で俵山トンネルを抜け、菊池人吉大規模林道。グリーンロード南阿蘇を横切り、吉無田高原、県道57号、国道445号で山都町通潤橋付近へ。
悪くない道だが、この雨では。
ただ、この逆ルートは、通潤橋から阿蘇に向かうルートとして、あまり目立たないが非常に有用かもしれない。

2019 05 19 11

国道218号を宇城に向かって走るが、この区間がこの日一番の大雨となった。
淡々と走るが、どうしてもホットコーヒーが飲みたくなり、途中のファミリーマートでびしょ濡れを覚悟してありつく。

国道443号にスイッチし、さらに県道25号へ。雨は幾分小康状態になる。 

2019 05 19 12

最初は素朴な田舎道の様相だったが、徐々に山岳路の色合いが強くなっていく。

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人里が周囲からなくなると、山深い極上のワインディングロードへと変貌を遂げる。
峠である大通越手前には立派なループ橋。ほぼ全線に渡って整備された2車線のワインディングは、穴場というほかない。
並行する国道445号五家荘ルートが狭路だけに、ハイスピードランを許容するK25ルートは嬉しい発見だ。

五木村の道の駅にて、この日最後の休憩。R445を人吉に向かう。
五木から人吉区間のR445はトンネルが連続するものの、走りやすい。
トルネオ、ゼスト、S2000というホンダレアモデルの隊列で途中まで走行し、広域農道で迂回して人吉市街へ。

2019 05 19 14

17:30、人吉市街にある、今晩の宿に到着。
ペンション風のこのホテル、場所はJR人吉駅の目の前である。後ろに見える白い建物は駅舎だ。
エスから降り立つと、その駅から雄々しく蒸気を吹き出す音が。

駅のプラットホームに見える黒い機関車。もうもうと煙を吹き出しているのは、紛れもなく蒸気機関車。
そう、現役の観光列車用蒸気機関車、SL人吉号だ。 

2019 05 19 15

子供のように思わずホーム裏のフェンスまで駆け寄る。
SLそのものは、飾ってあるのを見る機会はあったが、動いているSLを見るのは初めての経験。
何かを試すように、断続的に蒸気を噴き出し、発車時刻を待っているようだ。

2019 05 19 16

多くの家族連れ、子どもたちが、SLを取り囲んで見入っている。
蒸気を吹き出すばかりで、まったく発車の素振りがない。単なるGWのサービスだろうか。

発車時刻を調べてみると、この時間に人吉駅を出るSLはない。
不思議に思って改札に行ってみると、14時台発車予定のこの日のSL人吉号、故障により18時発車に変更という張り紙が。
この遅延を笑顔で楽しむ観光客と、SL関係者の皆様の心は広い。熊本駅に着くのは一体何時になるのだろうか、などと考えてしまうのは、首都圏在住者の心の狭さゆえか。

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SLに夢中になった結果、チェックインは大幅に遅れた。
看板猫ちーちゃんの出迎えを受ける。

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大きな将棋の駒のキーホルダーが付いた部屋の鍵、相当ご高齢ながら明るくフレンドリーなフロントのご老人。
看板猫といい、謎の多いホテル。しかし、本日も就寝が目的。大した問題ではない。

2019 05 19 19

一日中雨天がゆえに、本日は満足には走れていない。
そんな日は夜の街散策にて、旅心を満たすことになる。

人吉は一度訪れてみたかった街。
久留米にしろ、阿蘇内牧温泉にしろ、今回は以前から気に留めていた街を選んで停泊することになっている。
昨年の九州ツーリングが県庁所在地がテーマなら、今回は気になって仕方がなかった街がテーマか。

人吉が気になっていた理由。それは街に点在する温泉だ。
温泉ハンティングがツーリングのテーマのひとつだった頃、人吉は憧れだった。

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公衆浴場のうちのひとつ「新温泉」は、繁華街のすぐ近くにある。
繁華街と言っても住宅と雑多に混在しているエリアだが、それにしてもこの古風な建造物が忽然と現れたことに少々驚く。
人吉温泉でも、もっとも歴史のある公衆浴場だ。

番台で300円を払い、入浴する。
本当に何の設備もない施設。銭湯よりも、さらにシンプル。
脱衣室はカゴ以外には空間があるだけ。浴室には浴槽があるだけ。かろうじて温泉の出るカランが1個あるのみである。

このシンプルさがたまらない。

泉質の良さは言うに及ばず。
後から入ってきた地元の年配の方と言葉をかわすと、数時間前に到着したばかりにもかかわらず、この地に馴染んだような気になる。

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ぬるめのお湯だったが、外に出ると体の芯まで温まっていたことに気付く。
小雨の街を歩きながら、本日の店探し。

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予約無しで飛び込んでみると、宴会客で混雑はしていたが、運良く席は確保できた。
毎度のことながら、地方都市のGWは同窓会的な集まりで、本当にこの立地で成り立つのか?と思わせる店でも混雑する。
人吉も例外ではなく、外にはまったく人が歩いていないのにもかかわらず、この繁盛ぶり。 

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焼鳥屋ではない鶏料理の店で、これが昨日に引き続き素晴らしかった。
昼間のだご汁はいったいどこに消化してしまったのか。胃袋は次々と時の美食を欲する。
熊本県の店は、どこも期待を裏切らない。

そして人吉といえば、球磨焼酎だ。
熊本は米焼酎だが、中でも人吉・球磨地方の水で仕込んだもろみを、人吉・球磨で蒸留してできる焼酎に限って、球磨焼酎と呼ぶ。
山間の狭い地域だが、蔵元の数は多い。

常圧蒸留タイプと減圧蒸留タイプがあり、通常の米焼酎より味わいが濃く、それでいてマイルド。実に美味しい。
「武者返し」に次いで「球磨の泉」をいただく。温まる温泉と美味い料理とも相まって、極楽気分。

2019 05 19 25

雨で走りを存分に楽しめなかったのは、どこへやら。
人もまばらな怪しげなナイトストリートには、気になる佇まいの店にも遭遇したが、一軒目で満足した結果、暖簾をくぐることはなかった。

素晴らしきかな人吉の夜。
しかし、まだ旅は序盤。これで満足するわけにはいかない。 

 

・・・・・・・

 

翌日の朝、エスを謎のステーションホテルに置いたまま、近所の青井阿蘇神社に散策に出かける。
散策と言っても、相変わらずの雨。今日も一日、満足に走ることは叶わない。

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青井阿蘇神社

日本最南端の国宝建築を有する青井阿蘇神社。建造は江戸初期。
桃山様式を受け継ぎながらも、どこか田舎風。その味わいもまた良い。
この旅の安全を祈願し、人吉の町に別れを告げる。

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(神社の従業員駐車場に、オリジナル度の高そうな黄色いビートが)

この日は、走行中の写真がほとんど残っていない。
ひたすら雨だったので、さすがに撮る気にならなかったのか、理由は今となっては定かでないが、走った距離が短かったのは確かだ。
淡々とルートを紹介すると、国道221号でえびの。えびのからは県道30号でえびの高原。県道1号で霧島温泉。国道223号で鹿児島空港付近まで。

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通常なら走って楽しいワインディングロードなのだが、土砂降りでどうしようもなく、ただ走り過ぎるに徹することとなった。
久しぶりに訪れる霧島は、楽しみにしていたのだが。

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県道40号で姶良の内陸部を抜け、県道16号で吉田、鹿児島市内へとつないでいく。
鹿児島の街で向かったのは、市街地を望む高台にある、とある場所。

 

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南洲墓地

墓地である。鹿児島、つまり薩摩国とは、切っても切り離せない、そんな場所。

南洲とは、西郷隆盛のこと。
この墓地には、西郷隆盛の墓を中心に、西南戦争で命を散らした薩摩軍を中心とした士族たちが眠っている。

昨年の九州ツーリングをきっかけに、幕末から明治維新、西南戦争という激動の時代での、薩摩という地に生まれた西郷の生き様を知った。
今更ながら強く感化されたこともあり、どうしても訪れたかった地。
墓前に手を合わせ、彼の理想、思想を少しでも自らの生き方に重ね合わせてみたかったのだ。

墓地には南洲神社、そして西郷の一生を綿密に学ぶことのできる記念館のような施設がある。
この施設の展示内容は、実に事細かで興味深い。外は雨天だということもあり、時間を忘れて、薩摩と西郷の歴史に思いを馳せる。

 

・・・・・・・

 

既に時間は昼を過ぎ、鹿児島市内では天文館を少し歩くことに。
いくつか店を覗いた後、ふたたびエスを走らせる。とは言っても、市内から抜けることはしない。

それほど減っていないタンクにハイオクを充填したら、向かう先は。

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平成31年4月30日、平成というひとつの時代が終わりを告げようとしていたこの日、S2000と1059は雨の中、洋上へ。

新しい時代の幕開けは、今、すぐそこに。

 Posted by at 7:33 PM
5月 182019
 

2019 05 18 01

奥豊後グリーンロード

県道11号で瀬の本まで。国道442号に入って、県道669号経由で広域農道、奥豊後グリーンロードへ。
激しくアップダウンを繰り返し、マシンの性能を熱く引き出そうとする挑戦的なコース。

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ざらついた路面にタイヤを押し付け、オンザレールでコーナーを駆け抜ける。
コーナーの先にはロングストレート。すかさずアクセルを踏み込めば、粒の揃ったビートを奏でながら、黒い車体は軽々と加速していく。

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地形をダイナミックにトレースするように、登っては下り、曲がっては直線的に貫きをひたすらに繰り返す。
超ロングコース。その間、出会う影はほぼ皆無で、自らの走りに没頭し続ける。
無数のコーナーを切り裂くように走り抜けるS2000。いや、まだまだ、こんなものではない。

 

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大分中部広域農道

国道210号に出たら、すかさず今度は大分中部広域農道へ。
やや南寄りに向かって、複数の国道、県道をつなぐ道。奥豊後グリーンロードほどの刺激はないが、それでも。

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R442を跨げば、このコースのハイライト。
実は昨年も走った区間ではあるが、大峠に向かうワインディングロードは景色もよく、走りの魂を揺さぶる。

アクセルオンからクラッチを踏みしめ、素早く、そして確実にシフトアップ。
すかさずクラッチを繋ぐが、この一瞬の領域には、幾多のパターンがある。エンジン回転数や選択するギヤによって、すべてが異なる。
それを考え、繊細に、かつ大胆にコントロールすることが、マニュアル・トランスミッションの最大の楽しみ。

実はこの箇所、この旅に先立ってメンテナンスを施したことにより、操作フィールが大きく改善されている。

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余分な力を必要としない、軽快なシフトフィール。
クラッチフィールもそれまでとは別物で、駆動のつながりをより繊細にコントロールすることが可能に。
ドライブ中に無数の操作を行う部位だけに、小さな改善の積み重ねによるフィーリングの向上は、確実にドライビングファンに直結する。

その感触は、まるで生まれ変わったかの如く、絶品。

この旅、いつまでも、どこまでも走り続けたい。

 

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一気に駆け上がってトンネルを抜ければ、しばらく狭い道が続いて県道41号に合流。
旧国道57号である、県道57号を走って、朝地の道の駅で小休憩。

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もはや恒例、大分の道の駅での唐揚げタイム。ここ道の駅「あさじ」の眼の前にある、小さいながら存在感抜群の唐揚屋を見逃さなかった。
同じ豊後大野の道の駅「きよかわ」で出会った唐揚とはまったく異なった見た目と味。
この個性のバリエーションとファーストフード感こそが、からあげ大国、大分の底力。

しばらくR57を走り、竹田で三たびR442。先程の奥豊後グリーンロードのスタート地点に戻ってきたので、残りの区間を南下する。
ただ、この区間(R442〜R57)の奥豊後グリーンロードはどうということはない。ハイライトはやはり、R442から北側、R210に至るロングルートと言えよう。

道の駅「すごう」で、今度は丸福の唐揚。今日は唐揚だけで満腹だ。

 

2019 05 18 10

広域基幹林道阿蘇東部線

R57を波野の道の駅まで西進し、笹倉の交差点から広域基幹林道阿蘇東部線に入る。
阿蘇外輪山の東側を南北に貫く、素晴らしい快走路。広い2車線のストレートが、ダイナミックなアップダウンとともにこれでもかと言うほど続いていく。
林道だが、その実態は西側を走る国道265号のバイパス路。よく知られているのか、走っているクルマは多めである。

2019 05 18 11

阿蘇を離れたあたりから、空は雲で覆われつつあったが、このコースを走行中に、遂に雨粒が。
国道325号に到達しても粘ったが、コックピットも濡れる雨量に、さすがにギブアップ。

これより数日間、ルーフを開けることは叶わなくなるのだが、それは出発時からある程度わかっていたこと。永遠に続く雨天などない。
いずれ差すことになるであろう陽光を心待ちに、雨の日にしか味わえない旅を楽しんでみるのも一興だ。

 

2019 05 18 12

R265で高森峠を越えて、阿蘇カルデラへ。
R265の高森〜一の宮区間にある箱石峠は、とても眺望がいい。
根子岳と火山地形を眺めるには、最高の峠道。ただし、交通量はかなり多い。

2019 05 18 13

R57で阿蘇駅前。閉店間際の道の駅で物色。今日のドライブはこれにて終了。
道の駅で車中泊、ではなく、ここから国道212号で数km先。阿蘇カルデラ内最大の温泉地、内牧温泉へ。

2019 05 18 14

温泉街を貫く黒川の畔に立つ宿が、今夜の根城。

最近のツーリングでは珍しく、温泉宿である。
とは言っても至れり尽くせりのサービス充実な宿ではなく、ひとまず寝床と温泉があるという程度。
建物は古く、昭和の匂いしかないような風情だが、広めの和室は寝るだけの目的には十分過ぎるほど快適だ。

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軒下の駐車スペースが空いていたのは、雨天だけにありがたい。
隣にはこちらも遠方から、神戸ナンバーの156GTA。

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一度腰を据えてみたかった、阿蘇内牧温泉。阿蘇のカルデラに泊まるという経験も、キャンプを除けば初めてだ。
フレンドリーなフロントの女将さんに傘を借りて、温泉街へと繰り出す。
街に人影はなく、街灯が寂しく濡れた路面を照らしている。

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温泉宿とはいえ、いつも通りの素泊まりなので、夕食処(居酒屋)に向かう。
由緒ある阿蘇の温泉街ではあるが、特別規模が大きいわけではない。飲食店の数は限られていて、昨日のように彷徨う可能性が大きい。
よって今晩は事前予約。運良く一軒目で確保。

2019 05 18 19

厨房内、給仕すべて女性が手がける店だった。メニュー豊富で迷ってしまう。
まずはビール。そして地豆腐。この大きさは一体。

2019 05 18 20

早々と焼酎にスイッチ。ここは九州、自然と身体が焼酎を求めてくる。
阿蘇、熊本ということで馬刺しが有名だが、非常に高価だ。信州の馬刺しの方が庶民的。

しかし、馬刺しだけが熊本ではない。
こやつが酒量を増大させる。 

2019 05 18 21

唐揚で満腹だったはずが、あれもこれも美味で、箸も酒もどんどんと進んでしまう。
広いとは言えない店内を見渡すと、いつの間にか満席。入店できない客もちらほら。予約すべき店だったようだ。
店員の中で、いちばん下っ端と思わしきお姉さんがとても美人だったのも思い出深し。

すっかり楽しんで宿に戻り、歴史ある内牧温泉の湯に浸かれば、阿蘇の旅情は最高潮。
昼間は走りに走り、走り尽くして、夜は素朴で人情ある温泉街で過ごす。

それ以上の休日は、おそらくこの世には存在しないのだ。

 Posted by at 5:27 PM
5月 132019
 

2019 05 12 01

福岡県南部の中心都市、久留米。1日目はその久留米の街に、初めて停滞した。
焼鳥屋の密度が日本一という久留米。確かに、狭い範囲に焼鳥居酒屋が集中している。

2019 05 12 02

GWの地方都市の夜は難しく、久留米も例外ではなかった。どの店も満杯。
消去法的に見つけた焼鳥メインの居酒屋はまぁまぁといったところで、初日1,200kmドライブの疲れを癒やすことができた。
生ビールが身体の隅々まで染み渡る。

2019 05 12 03

締めは濃厚こってりな久留米ラーメン。

昨年も訪れた九州。だが、見知らぬ町はまだ多い。
魅力ある街に溶け込み味わうのも、いま楽しみにしている旅の要素のひとつだ。

2019 05 12 04

 

・・・・・・・

 

久留米から県道82号経由で、国道442号に入る。
福岡県の八女から、熊本県の小国方面に抜ける山中路。特段の特徴は無いのだが、何故かその雰囲気が好きだ。
以前も久住から山鹿に抜ける際に、九州ではあまり見られない緑深き谷間の快走路を楽しんだ記憶がある。

ダム湖畔のワインディングを楽しみ、竹原峠をトンネルで越える。
トンネルの先は、大分県日田市、旧中津江村。日韓ワールドカップの際に一躍全国区となった、山深い小さな村の道の駅で小休憩。

2019 05 12 06

そこかしこに、当時の名残が見て取れる。
今は日田市に吸収されてしまったが、その後もしっかりと村おこしに活用中。

2019 05 12 05

お隣の旧上津江村で国道387号、こちらの道の駅にも立ち寄る。
大分、熊本、福岡の県境が密集する山奥ながら、訪れる人の数は多い。
それでも、九州以外のナンバーを持つクルマは、エス以外には見られない。 

2019 05 12 07

R387を少し引き返し、県道12号へ。
走りやすい2車線路で標高を上げていく。

ところで、ここ日田市上津江、走りに興味ある人なら、こちらのイメージではないだろうか。

2019 05 12 08

バブル絶頂期に建設され、バブル崩壊とともにたった2年で破産、行き場を失った悲運の国際格式大型サーキット、オートポリス。
レーシングコースというのは人里離れた山間奥地に立地している場合が多いが、その中でも群を抜いてアクセス不便なこの立地。
そんなこともあり、常に倒産、閉鎖といったイメージがつきまとっていたが、現在はスーパーフォーミュラやSUPER GTも開催されるという、奇跡の復活ぶり。

ちなみに現在は、川崎重工が所有(筆頭株主)している。
国際規格ながら九州の走行会といえばオートポリス、というイメージがあるのは、敷居を低くしてでも存続の道を選んだ結果だろうか。

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K12は気持ちのいい道だ。
アップダウンを伴ったコーナーが連続するが、道幅が広いので走りやすく、景色も徐々に開放的になっていく。

広大な牧草地帯の住人たちに遠慮しつつ、草原をゆるやかに貫いていく。

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土地勘のある方なら、どこに向かっているか、おわかりだろう。

聖地、阿蘇。

九州でもっともメジャーなツーリングエリアであり、ワインディングの宝庫。
そして、ここにしかないユニークな地形と、それらが織りなす圧倒的なランドスケープ。

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旅の最初のメインディッシュは、阿蘇エリア。
走っても走っても、その魅力を味わい尽くせないほどのボリュームゾーンを、今回こそは堪能したい。

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K12は阿蘇外輪山北側の尾根筋を行くルートに合流する。
通称「ミルクロード」。阿蘇を代表する絶景のコース。

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右手には、雄々しく噴煙を上げる阿蘇山。
麓に広がる広大な平地を、ほぼ垂直に切り立った外輪山の斜面が取り囲んでいる。
いつ見ても、特異な景色だ。

これこそ、世界最大のカルデラ地形。火山が噴火を繰り返すことで生成された産物。
遠い昔、阿蘇は、数度の大噴火で大量の火砕流を吹き出した結果、地下が空洞になり陥没した。
あまりにスケールが大き過ぎて判別が難しいかもしれないが、その陥没した部分が目の前にある阿蘇山麓の平地。これが、カルデラと呼ばれる部分だ。

通常なら、長い年月の間にここに水がたまり、十和田湖や屈斜路湖のように、カルデラ湖になるはずだ。
阿蘇カルデラは、たまたま熊本側の立野という場所に割れ目ができて、そこから水が流出したと考えられる。
噴火で流出する溶岩流によるせき止めと割れ目の形成を繰り返した結果、湖は完全に消失、現在のような平地が形成されたそうだ。

カルデラ内を流れる白川と黒川が、外輪山の裂け目である立野で合流した後、熊本市街を通過、島原湾へと注いでいる。
このカルデラの裂け目が塞がると、カルデラ内でこんこんと湧き出る無数の湧水と雨水が溜まって、またいずれ湖になってしまうだろう。
そういった意味でも、いま目の前にあるこの地形は、まさに奇跡と言える。

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奇跡が生み出したコースは、走りのステージとしても申し分がない。
だが、既に交通量は多く、各展望台も溢れんばかりの大盛況だから、今日のところは少し阿蘇から離れて、マイナーコースを楽しもう。

旅はまだ始まったばかり。
慌てず騒がず、気の赴くままにエスを泳がせるのだ。

 Posted by at 2:01 AM
5月 092019
 

平成31年4月27日、30年弱続いた平成の世の、最後の週末。
コックピットに滑り込み、午前3時の時の中を走り出す。

これまで幾度となく繰り返し、いつになっても変わることのない、この瞬間の高揚感。
今日もその昂ぶる気持ちに変わりはない。東京ICから【E1】こと東名高速道路へ。

気の早い同類の車列に交じり、夜の帳を裂くように疾走する。
時折フロントガラスが、雨粒に覆われる。路面は黒く光り、虎視眈々と獲物を狙うかのようだ。
だが愛機は意に介さず、水飛沫を巻き上げながら、矢のように突き進んでいく。

夜が明け、東名同様【E1】の名を与えられた名神高速道路。
交通の脈動は予想通りの滞りを見せ始めたが、大きく想定を狂わすほどではない。
新名神で関西の大都市をパスすれば、そこは快速ワインディングハイウェイ、中国自動車道。

総延長約540km。国内2番目の長さを誇りながらもほぼ全線が山中路で、大都市を通過しないHighwayの異端児【E2A】。
幾多の吸い込まれるようなコーナーの連続をもって、遠い異世界へと誘う。

挑戦的なコーナーを次々とクリアし、いくつもの山を越えていく。
愛機S2000は、直前のメンテナンス効果か、いつになく好調だ。
凝縮されたパワーが湧き上がってくる感触。精緻な機械を操る感覚が研ぎ澄まされ、眠っていた野生が覚醒していく。

愛機に刺激されたドライバーも絶好調。
睡魔や疲労感とは無縁のまま、迫りくるコーナーに立ち向かう。
濃密な対話を繰り返して【E2A】を攻略。するとそこには、異世界の大地への架け橋があった。

 

時間を忘れ、ただひたすら走り続けることこそ、極上の喜び。 

Driver’s High.

かくして旅は、はじまる。

 

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 Posted by at 2:28 AM