7月 282019
 

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九州・奄美に訪れて9日目を数える朝、ミルクロードをひた走り、大観峰へ。
阿蘇山を中心に、切り立った外輪山が取り囲むカルデラ地形の特異な光景が、もっともよく見て取れるスポットのひとつ。

訪れる時間帯は、決まって朝。
白い陽光が、阿蘇の山並みを照らしている。

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今回のツーリング前半でも訪れた阿蘇ではあるが、前半は悪天候で思うように楽しめなかった。
申し分のない空となった終盤のこの日、阿蘇をもう一度楽しみたい。

結果的に今回の旅は、奄美と阿蘇にフォーカスするという、いつもとは異なった色合いの九州ツーリングとなった。

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国道212号でカルデラに下り、阿蘇登山道路へ。
詳細は3日目にレポートした通りの道。しかしこの日は、空と山の色彩がまるで違う。

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メジャーな観光道路ゆえ、自由に走りを楽しむという類のコースではない。
ただ、それを補って余りあるほどの絶景が次々に展開するのが、登山道路の真骨頂。

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ハイライトは一般的には草千里ヶ浜や米塚だが、個人的には外輪山とカルデラ内の風景を一望する北山麓を走るゾーンと、荒涼たる火山地形の風景を楽しむことができる古坊中がお気に入りだ。

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いずれのスポットも、足を止める人はほとんどおらず、広大な大地の風景を独り占めできてしまう。
ただひたすらに走ることに徹した昨日からは一転、じっくりと景色を堪能。阿蘇の雄大な景色を、この目に焼き付けるように。

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登山道路を南側に下り、阿蘇南部広域農道経由で、国道265号箱石峠。県道11号で一の宮に向かう。

 

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阿蘇神社

本来であれば真っ先に訪れて、阿蘇の神々に感謝と旅の安全を祈願しなければならないところだったが、後回しになってしまった。
肥後国の一の宮であり、農耕の神様を祀る由緒ある神社。
先の熊本地震により、重文の楼門、拝殿が倒壊してしまったのは記憶に新しい。

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境内の中心的な建造物が両方とも無くなってしまったことによる痛手は計り知れない。
倒壊した建物は、既に基礎石を残して撤去されており、再建の時を待っている。
ここまでの旅路に感謝し、残りの旅の安全を祈願しつつ、早期の再建を願って神社を後にする。

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阿蘇神社には、通常正面にある参道が、横向きに形成している。
この参道が、等身大の佇まいの中に、自然な賑わいを見せていて印象的だ。

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ひとしきり参道の散策を楽しんだ後、ゆっくりコーヒーでもいただこうとエスに戻り、カルデラの農村内の道を行く。

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カルデラ内の広大な農地の中に。ぽつんと佇む農家の家屋。
その農家の敷地内に、レストランやカフェが点在する謎のスポット。

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ヒバリガレージ&ヒバリカフェ

一面に広がる田畑の中に、まさに異世界と言っても差し支えないほど、センスフルな空間がそこにあった。
元は加工食品の工房から始まったというが、今はその敷地内に、カフェ、レストラン、ガレージが建ち並ぶ。
そのひとつひとつがセンスの塊のような建物。オーナーの優れた才能を垣間見る。

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特に楽しいのは、敷地内で中心的位置に配置されるガレージ。
農家の納屋を改造したと思われる建物だが、ブラックのサイディングと木板を基調とした、シンプルなリフォーム手法にグッと心を掴まれる。

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ガレージの内部も、実に魅力的。オーナーの遊び心があちこちに散りばめれられていて、見ていて飽きさせない。
懸命に仕事して、真面目に遊ぶ。そんなスピリットを感じると、居ても立ってもいられなくなる。

自分はいま、自由な発想で、毎日楽しんで生きているだろうか。

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運良く、ちょうどカフェの開店時間となった。
窓際の席に陣取ると、目の前の窓から阿蘇五岳。 これは絵画か!?素晴らしい眺望だ。

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ヒバリカフェの名物は、工房で作る少量手作り生産のソーセージを挟んだホットドッグ。となれば、それを頼まない手はない。
ボリュームたっぷりの「ヒバリドッグ」を頬張りながら眺める阿蘇の絶景。どんなに有名なグルメやレストランよりずっと贅沢で心に残る、極上の体験となった。

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遮るものがない阿蘇山の勇姿を眺めているうちに、そろそろこの地を離れなければならないことに寂しさを感じ始めた。
今回ほど阿蘇を味わった旅は、これまでになかった。それほど走りの楽しみが詰まったエリアだということと共に、非常にスケールの大きいエリアということもあって、常に新しい発見があるというのも大きい。

名残惜しさに後ろ髪を引かれつつ、旅人を包み込むように愛してくれるこの地を後にすることとなった。

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県道11号、通称「やまなみハイウェイ」を行く。
九州で一、二を争う観光道路ということもあり、特に晴れたこの日は交通量が多い。
県道40号に逃れると、周囲から一瞬クルマはいなくなる。ただそれも束の間、すぐに観光中の軽自動車に追いついてしまう。

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このルートは温泉の宝庫であり、数々の温泉地をつないで蛇行していく。
高原風景となったところで、「四季彩ロード」にスイッチ。高速コースを一気に走り切り、国道210号を経由して、水分峠から再び「やまなみハイウェイ」へ。

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水分峠から南、九重に向かうコースは、中速コーナーが連続する快走区間。
しかも、奇跡的なクリアラップ!次から次へと迫りくる大きなコーナーに、S2000は水を得た魚のようにコーナーをクリアしていく。
ドライバーの身体には心地よいGが加わり、ステアリングとシートから得られる路面とマシンからのインフォメーションが、次へのアクションへといざなってくれる。

クルマからのフィードバックが確かなものとして感じ取れる瞬間、それこそがドライビングの快楽。
インフォメーションが多く、それに対して自然とアクションできるクルマこそが、真にドライビングを楽しむことができるクルマであると思うことがある。
パワーがあるとか速いとか遅いとかは関係なく、ドライバーとマシンの感性がシンクロできる関係性こそ、重要なのではないか。

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長者原から牧ノ戸峠を越えて、瀬の本に戻ってきた。
飯田高原の周囲を、K40とK11で大きく周回したことになる。交通量は多いが、走って気持ちが良いことには変わりはないので、よく選択するルートである。

国道442号で小国方面に向かい、黒川温泉を過ぎたところで、広域農道「ファームロードわいた」にスイッチ。
この広域農道、確か2008年のツーリングで走行しているのだが、その時は夕暮れ時にも関わらずとんでもない濃霧で、ほとんど走った気がしなかったのを覚えている。
その時の霧は自分の経験上でも最悪の視界で、一寸先も見えず、以後は大抵の霧でもビビることなく走れるようになった。

今回も同じように夕刻が近づく時間帯だったが、空が雲に覆われつつあったものの、天候は悪くない。
視界を奪われる心配はまったくなく、安心して走りを楽しむことができそうだ。

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広域農道らしく、地形を無視したストレートとアップダウンの連続。谷間は大きな橋が架かり、完全無欠の快走路線。これが日田までずっと続くのだから末恐ろしい。
途中、国道387号を跨ぐところが、行き先表示がないので迷いやすい。今回は勘が外れて、鄙びた温泉集落に迷い込んでしまった。

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すぐさまリカバリーして、再スタート。
コースは相変わらず、高速走行を許容する。しかし、対向車などいないわけではないので、あまり調子に乗ると痛い目を見そうだ。
実際にこのコース上で、対向車同士のアクシデントを目撃。先程、やまなみハイウェイの峠区間でも衝突事故を見たところだったので、いつも以上に安全性を考慮してドライビングを楽しむ。

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非常にロングなコース。広域農道は日田市街を迂回するようにして続いて、国道212号へと至る。
飯田高原からここまで、一気走りに近い形で走り切った。トイレ休憩に立ち寄った日田市郊外のコンビニで、じっとりと汗をかいた身体をクールダウン。

さて、そろそろ再スタートとコックピットに収まった時、頭上から声をかけられた。
プリウスで買い物に来ていた年配の男性だったが、S2000に乗っているという。少し前までバイクに乗っていたが、エスに乗り換えて走りを楽しんでいるそうだ。

様々な年代の人が、様々な楽しみ方をしている。
S2000は量産車ではあるが、極めて趣味性の高いクルマだから、所有できること自体が一般的には難しい。
それを13年以上も継続していられることに感謝しなければならないし、その素晴らしさを広く伝えて、後世にS2000が1台でも多く残り、多くの人が楽しめるように貢献していきたい。

エスを走らせることができる、喜びと幸せ。
永く付き合って、多くの人と共有したいと思う。

改めてそう感じた旅も、フィナーレは近い。 

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 Posted by at 3:52 PM

  2 Responses to “聖地、再び”

  1. 少し前にブラタ○リで阿蘇の特集やってました(笑)(直近では阿寒湖)
    カルデラ地形の事等も触れられていて、興味を持っているこの頃です。

    ガレージ&カフェのオーナーさんが見てみたいくらいに、センスフルな空間ですね。自分にはこういうセンス、全く無いので逆に興味が湧きます。

    こういう旅先で、S2000オーナーさんと話せる機会イイですね。
    やはり皆さん、休日用に普段は寝かせてあるのでしょうね。(笑)

    • 世界最大規模と言われる阿蘇のカルデラ地形には、いつも圧倒されます。
      外輪山の絶壁のワインディングも、その上に広がる草原地帯も、すべて過去の火山活動に起因することを知れば、ただ走るだけの旅でも深みが増しますね。

      旅先でS2000(またはオーナー)に出会うこと自体が稀なので、こういった経験はそれほどあるわけではありません。
      どちらかといえば、子供に大人気!屋根なしのクルマは、それだけで非日常的な存在ですし、それがあるだけで周りの風景が一変することがあります。
      逆に、周囲の風景を変えられるオープンカー&スポーツカーは貴重で、大切に受け継いでいくべき存在なのだと思っています。

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