12月 072011
 

ここで挙げたコンセプトは、それだけでは家をつくる上での具体的な指標にはなりません。
そこからイメージされる物体、環境、印象、感情などといった様々なものに置き換えて、空間や意匠的なイメージに繋げていくことが必要になってきます。

R style Houseにはまず、クルマのあるライフスタイル、敷地環境に相応しい佇まいといったコンセプトが、ごく初期の段階で定着してました。(そもそもR style的な発想の家という段階で、特に前者は必然なので当たり前なのかもしれませんが)
そこから具体的イメージに落とし込んでいきます。コンセプトから無制限に連想することによってアイディアを生み出し、潜在的に求めている空間・意匠的イメージを探し出していく・・

そこから生まれたのが「基地」「山小屋」というキーワード。

細かい連想の過程は省きますが、割とシンプルな発想です。
都会における生活。都会の利便性、先進性を享受し、感性を高めながら、仕事や趣味に打ち込む。その中でも生活の中心にあるクルマという存在。アクティブなクルマ生活を楽しみ、生活と趣味を豊かにする場所。
そういった発想から、「基地」というわかりやすいイメージのキーワードが生まれています。

また、敷地のある環境は、長閑で緑の残る場所。都会の住宅地でありながら、比較的低密度な町並みと屋敷林、畑地、すなわち土や緑の匂いが混在し、どこか素朴な環境が残っている。
そういった環境に建つ家。それは歴史風情に従順な形態や、モダンで鋭利なデザインでもない。むしろ郷愁を誘う、懐かしさと安心感のある存在が相応しいのではないか。それでいて、都会生活を営む日々の疲れを癒し、羽根を休め、落ち着き癒される場所であるべき。
すなわち、自然に寄り添いながらいつでも旅人を受け入れ癒しと休息を提供する「山小屋」のような、自然の残る周囲の環境に従順ながら、激しく動き続ける外的要因から守られるシェルターであること。

自分が潜在的に求めているイメージは、徐々に言葉とイメージに収束し、その後実際に計画するための指標となっていきます。
今回の場合は、都会生活と自らの趣味に起因して連想した「基地」というイメージと、周辺環境に相応しく家として求める機能から連想した「山小屋」というイメージが根本に据えられ、計画に落とし込んでいくことになりました。

(もうしばらくつづきます)

 Posted by at 2:21 AM
12月 062011
 

新築計画の主たるものは、やはり設計です。
設計と言えば、nLDKとか、いわゆる間取りを思い浮かべるのが普通でしょうか。あるいはテレビで見かける「〜の匠」みたいな建築家を想像するのが一般的でしょうか。

でも、R style Houseはそのどちらにも属していません。
そもそも部屋割りという発想がないのでnLDKという感覚が存在しないし、建築家が提案するような刺激的なデザインがあるわけでもありません。
あくまでコンセプトに忠実に、その軸線上で自分が欲しいと思う空間を組み合わせ、それをシンプルなひとつの箱に収めたのがR style Houseだからです。

では、R style Houseのコンセプトとは、一体何なのか。

家の計画コンセプトは、思いっきり拘る部分がある場合、ある程度までは明確です。
ただ、それだけでは計画は完結せず、その他の要因によって様々な付加コンセプトが生まれ、たったひとつのオリジナルな家が誕生する、と考えています。

今回、家をつくる上で、柱となるコンセプトとしては当然ながら、「クルマ」というものが挙がります。
しかし、単にクルマと言っても捉え方は様々。修理工場のようにイジる場所をつくるのか、ピカピカに磨いて眺められるようにするのか。休日、洗車するのを楽しむのか、どこかに走りにいくのか。
自分の場合は、まずクルマは走らせてナンボだと思っているので、クルマがいつでもスタンバイ状態にあることが必要。
それでいて、基本サンデードライバーだから、限られた時間でメンテナンスができる空間、不在時にセキュリティ上安心できる保管の仕方が重要になる。
そういうCar life styleを空間に落とし込むことが、重要なコンセプトの柱になっています。

また、家を計画する上でのデザイン根拠となるものとして、土地の属性というものを重視しました。
属性とはここでは、敷地周辺の雰囲気とか、町並みの状態、敷地の形状や隣接環境といったことを想定しています。そういった土地が持つ雰囲気によって、家を建てる上で目指すテイストが微妙に異なってくると考えています。
例えば今回の敷地の場合、以前書いたように長閑で都会の中にあって静かでのんびりした雰囲気があることから、家の有り様を発想することができます。これが今回の付加コンセプトとなっています。

この第一の「柱」と第二の「付加」コンセプトを軸に設計を進めていったわけですが、最初序列があったコンセプトも次第に並列になり、面白い効果を生んでいきました。
コンセプトから様々な発想を得ていくことで、ロジカルに空間を構築し、形状を決めていく。家に限らず、それがデザインをする上での、ひとつの方法ではないかと考えています。

もちろん最初からこんな文書にまとまったものではなくて、何となく頭の中に思い描いていた決めごとのようなことなんですけどね。
でも、この敷地に決めた、あるいは決める以前から、そういったコンセプトから得たイメージがあります。

そのイメージを表すのが、「基地」「山小屋」という2つのキーワードです。

(つづく)

 Posted by at 1:36 AM