翌朝の空も、よく晴れていた。地下駐で十分暖気をした後、ルーフを開け放ってスタート。
市内を横断する国道2号を西へと走り、そのまま広島西バイパスへ。
ほぼ高速に近い高規格なバイパスで、一気に宮島へ。
そう、この日はまず宮島観光からスタート。
ベッタベタなセレクトではあるが、久々(15年ぶり)に厳島神社に訪れてみたかったのだ。
さすがに平日の早朝だけあって、フェリー乗り場の真正面の駐車場に停めることができた。
休日の昼間ともなると、長蛇の車の列が国道まで延々飛びていることが多い宮島口。
これまで近くを通ることはあったが、混雑で敬遠してきたので、今回は確実に混んでいない日と時間をぶつけての訪問なのだ。
宮島へはフェリーで10分ほど。便数も非常に多いので、ほとんど待たずに乗れる。
ちょうど着いた時が出航時間に近かったので、待ち時間はほぼゼロで済んだ。
宮島に着いたら、さっそく厳島神社へ。
早朝ではあったが、既に観光客の数は多い。今や世界遺産なので、外国人の姿も多い。
旅館の浴衣をなれない風情で羽織ったまま、散策している外国人もいた。
開店前の土産店の前を通り過ぎ、鳥居をくぐる。
そう言えば、宮島には鹿がいたんだっけ。
奈良の鹿とは違って、やたらとやせ細っている。あまり健康そうに見えない。
奈良のように鹿せんべいなんてものもないので、一様に腹を空かしているように見える。
だからと言って、缶コーヒーを飲むのはどうかと思うぞ。
食堂の入口から離れようとしない輩もいたり。。
鹿はさておき、厳島神社。初穂料を払って本殿へ。
朱塗りの社は、ほぼ左右対称。東側から西側に抜けるのが見学ルート。
ガイドの説明を聴きながら歩く団体観光客の間を縫って本殿中心部へ。
海面からそそり立つ大鳥居、のはずが、干上がって根元まで完全に露出していた。
思いっ切り干潮の時刻に重なってしまったらしい。
どうせなら満潮時、海に浮かぶ大鳥居を眺めたかったが、まぁ干潮時の姿も自然な姿の一部なわけだから、これもヨシとしよう。
前回(15年前)に来た時は、逆に満潮に近かった。
満潮だと、床板の間から海水が溢れ出してくるほど、海面が近かった記憶がある。
ちなみに、満潮時でも海水に押し上げられて床が壊れないように、厳島神社の床はわずかに隙間を開けて張られている。
原型を保ったまま、長い年月を経て遺っているのは、こういった細かな知恵の積み重ねによるんだな、と痛感する。
本殿ではいつものように、この旅の安全を祈願。
鳥居の前は、修学旅行の小学生が団体記念撮影のため占拠していた。
歴史文化を体感するための実地教育ではなく、記念写真を撮るために来てるんですかね、最近の修学旅行は。
残念ながら海に浮かぶ神秘の社という絵は見ることができなかったが、シンプルな構造体ゆえの質素な美は存分に体感することができた。
どんなシチュエーションでも、それなりにストーリーのある風景を切り取ることができる。
そんな力のある場。簡素な空間に、どうしたらこんなに魅力が備えられるんだろうか。
あっという間に厳島神社の拝観は終わってしまった。
戻る途中で一服。土産店の並ぶ外れに、場違いなほどお洒落なカフェを発見したからだ。
厳島神社に通ずる?簡素なインテリアが清々しいお店。若い店主が一人で切り盛りしている。
本格的なエスプレッソをいただき、リフレッシュ。
宮島では、厳島神社の他に、豊国神社にも訪れておきたかった。
豊国神社、別名「千畳閣」は、豊臣秀吉の命で建築が開始されたが、完成する前に秀吉が死んでしまったため、建設途中の状態のまま今日に至っているという。
何百年もの間、今でも未完成。サグラダ・ファミリアとは異なり、もう工事は続けられていないので、永遠に未完成。
未完成の美。凄くソソられる。
厳島神社と土産店街の間の高台に、千畳閣は建っていた。
傍から見ると、本当に未完成?と思うほど、結構ちゃんとしている。
靴を脱ぎ、昇殿料を払って内部へ。
するとそこには、壁も天井もない開放的な空間が広がっていた。
屋根と床と、それを支える柱、梁の構造部材という要素しか存在しない。
それが感覚的に非常に大きく見える面積で広がっている。
いったいここは何をする場なのか。
もちろん完成予想図はあっただろうから、ちゃんと用途や機能が存在したのだろうけど、途中で終わってしまっているから何の意味もない空間が、ただ広がっているだけのように見える。
つまりは空虚。なのだが、不思議なことに、濃密な空間力を感じるのだ。
なぜ、この何もない空間で、密度の高い空気感を感じるのか。
おそらく、そういう空間が、普段生活している身の周りにないからではないだろうか。
機能的に合理的に設えられた空間に囲まれて、それを是として暮らしている身には、一見ムダとも思える空間に敏感に反応するのかもしれない。
本当はこういう場こそが、逆説的に豊かさを感じる場であるということを身体が感じているのだろう。
そんな思索に耽ってしまう魅惑的な建物だ。
ちょうど建物の中心付近で、瞑想している人たちがいた。
一般的にも、パワースポットとして認知されているのだろうか。
感じてることは、一緒なのかもしれない。
千畳閣からは土産店街に下り、途中でもみじ饅頭を買って、帰りのフェリーに乗った。
フェリーに乗ると無性に空腹感を覚えた。宮島口に着いたらブランチにしよう。
急遽iPhoneで検索すると、穴子飯が名物らしい。
その中でヒット率が高かった「うえの」という店を訪問することにした。
有名店らしく、既に客で一杯。
運良く席が空いていたので、すぐにあなごめし並盛りを注文。
鰻ほど濃厚ではないが、上品な味わいに箸が進む。
特筆すべきは、穴子の出汁で炊いたご飯。これが抜群に美味かった。
駐車場に戻ると、隣に996GT3が
そんなこんなで宮島観光編、終了。
さぁ、あとは帰るだけ、、、だけど、まだ今日は全然走ってないぞ!?