9月 212016
 

2016 09 20 01

【道道88号 置戸町と足寄町境界の名も無き峠】

いよいよ(やっと)9日目。この日が実質、道内最終日である。
夜の便(往路と同じ、シルバーフェリー)を予約済みなので、それまでに苫小牧港に行けば良いのだが、帯広から直行だとどう考えても早過ぎる。
よって、寄り道決定。今回は最後まで走り通すのだ。 

帯広から国道241号で、まずは北上。つまりは苫小牧方面とは逆に進路を向ける。
空は相変わらず重たく、上士幌では遂にパラパラと細かい雨粒が落ちてくる始末。
今日も天気には恵まれないか・・・ 

意気消沈して、道道88号にスイッチ。
このD88、かの国道273号糠平国道(三国峠)の東側を並行するマイナー道道。
その距離たるや、R273に並行するだけに、上士幌から層雲峡までと同じくらいあるので、たっぷり満腹になるまで走るにはちょうどいい選択だ。

今回走ってみようと思うまで、地図上にあってもまったく意識しなかったD88。
こんなに長くてエスケープのない単独ルートなのに、なぜ今まで気づかなかったのだろう。
昨日のR274標津〜本別に匹敵するほどの、「忘れ去られた感」が地図上に充満している。ソソられるなぁ。

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そんな期待とは裏腹に、いきなり前走車登場。こんなレアルートでなんで??
この後もファンなカーでゴーのお尻を眺めながら、樹海の中を淡々と行く。

途中には何もない。あると言ったら、芽登温泉への分岐くらいで、あとはひたすら一本道。それが数十kmも続く。
ドライブ初心者で北海道慣れしていない人なら気が狂ってしまいそうなほど、ひたすら延々、延々、延々・・・
ワインディング感には残念ながら乏しいので、ちょっと飽きてきたなぁ、って思ってたら、何やら眼前が明るくなってきた。

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それまで分厚く、空が宇宙に続いていることを一切拒むかのように覆っていた分厚い絨毯のような雲が、あっけなく切り開かれていく。

おぉ・・・劇的じゃないか。

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緩やかな峠を越えて、置戸町へ。
ここでわざと小休止して、ファンなカーでゴーをやり過ごす。
基本、ほとんど交通量がないのに、たまたま前走車にハマって、大事なドライビング区間の大半をロスしてしまった。

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その後は期待通りの単独行。ぐひひ、これこれ。

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D88は置戸に向かう前に左に折れ、やがて国道39号にぶち当たる。
路面状態も良く、思ってた以上に快走路線だった。もっと脚光を浴びてもいいかもしれない、が、あまりに単調なのが一般的ではないのか。
(ちなみに今日現在、例の台風で堂元〜R39間は通行止の模様) 

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R39は旭川方面に向かう。
先程とは打って変わって、交通量の極めて多い、道内の主要幹線道路。物流トラックも観光バスもオートバイも、全部ごちゃ混ぜになって隊列を成したまま石北峠に侵入。
登坂車線で鈍重なライバルたちをお行儀よくパス。最後は単車とコーナーで競り合ってラップリーダーに。あっという間に単独走ひとり旅。

しかし天気が良い。良過ぎて暑くなってきた。
出発の時は肌寒いくらいだったのに、道東エリアを抜けるだけで、この差は一体何なのか。

石北峠を越えたら、大雪湖で国道273号へ。
こちらが十勝平野と大雪山系を繋ぐメインルート。三国峠に向かってガンガン登っていく。(なんとこちらも本日現在、通行止)

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峠を越えれば、お決まりのショット。
三国峠にはパーキングと、なぜか小さな山小屋のようなカフェがある。
ここのソフトクリームが美味しいのでオススメである。

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樹海の中をひたすら貫く三国峠。ずっばーーーんなロングストレートがこれでもかと言うほど続く。

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しかし調子に乗ってると、こんなクルマとランデブーを申し込まれるので注意が必要だ。
正直、こんなトコで追い回すのはどうかと思うが。(簡単に切符切れるトコじゃなく、やるならもっと効果のある場所でやってほしい) 

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R273三国峠の糠平川には、道路に沿っていくつものアーチ橋を見ることができる。
旧士幌線の遺構であると思われ、ちょっとした観光資源になっているようだ。

その中でも、もっとも有名なのが、タウシュベツ川橋梁。
糠平湖に沈むアーチ橋で、湖水が引いた時はその姿を露出する、幻の橋として名高い。
近くに行くには許可をもらってダートを走って行かねばならず、残念ながらエスでは行く気になれないので、対岸から。

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見事に水没中。うーむ。
ま、ちょっとだけでもこの目で見られたからヨシとするか。 

糠平湖から今度は、道道85号にスイッチ。然別湖に続く山道は、珍しく道幅に余裕のない山岳路で、ペースは格段に落ちる。
しかも路面状態も悪いときた。想定以上に時間かかるなぁって思いながら然別湖畔へ。(またまたここも、本日現在通行止中) 

湖畔の道は、湖面に落ちちゃうんじゃないかという適当な道で、これを根気よく走破すると、然別温泉ホテルを横目に白樺峠へと向かうことになる。
ここで、またまた雲が流れてくる。十勝平野に下りてR274に合流する頃には、朝の空の状態に戻ってしまった。
今回は、本っ当に、十勝平野を始めとする道東エリアだけが太陽に嫌われている。ここまで劇的に、極端に変わることもないだろうに。。

R274で鹿追、道道133号と75号で新得。
新得と言えば、新得そば。道内有数のそば処で、その昔とても美味しいそばを堪能した記憶が脳裏に焼き付いている。
ちょうど小腹も空いたことだしせっかくだし、できればかつて訪れたことのある美味い蕎麦屋で、、と思いながら、およそ20年前の記憶を手繰り寄せる。

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そしたら見事、想像していた場所で見つかった。駅の真ん前の「せきぐち」。大昔、一度だけ訪れた老舗の新得そば屋は、立派な外観で今も健在だった。

外観は立派だが、内観は田舎の食堂をちょっと佇まい良くした感じ(笑
早速もりそばを注文していただく。極太のそばは食べ応えも風味も十分で、大満足。

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時を超えた新得そばとの再開は、実に感慨深いものとなった。

胃も心も満たされて、濃霧に覆われた国道38号狩勝峠を越える。
ハイスピードで一気に昇り詰めると、それまで視界を遮っていた霧はあっという間に吹き飛んでいく。残ったのは青空。
十勝平野は、何か呪われるようなことでもしたのだろうか。

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南富良野には行かずに、途中で道道1117号にスイッチ。そのまま道道136号に入ってトマムに向かう。
再び快晴のドライビングビュー。小雨、曇、快晴、曇、濃霧、またまた快晴と目まぐるしく天候が変わる。北海道恐るべし。

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快晴に恵まれたD136。トマムのタワーを望みつつ、石勝線と絡み合いながら占冠方面へ。

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占冠で継ぎ足し給油。
レモン色のホクレンGSは、セイコマと並ぶ北海道ツーリングの友。ちょっと見ないうちに、セルフ方式が主流になった気がする。

占冠からは国道237号。日高で今回の旅最後の道の駅「樹海ロード日高」に立ち寄り、引き続きR237を南下。
意外とトラックが多い道で、ペースは上がらない。

幌毛志で道道131号。打って変わって交通量極小のワインディング。(ただし、ここも例の台風で・・・)
エンジンをアツくしたまま、道道74号、59号と繋いで厚真へ。
この2本の主要道道は、特筆すべきことのない道だった。2日目に楽しんだ同じ日高の道道とは比べるべくもない。

道道287号、482号で国道234号へ。そして苫小牧。
既に夕刻だったが、ちょっとだけ時間に余裕ができたので、最後に市内の回転寿司へ。
ただしこれは蛇足だった。中標津の回転寿司の方が100倍良かった。

フェリーターミナルに行く前に、最後の給油とセイコマで買い出しをしていると頃合いの時間に。

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帰りの便は、比較的空いていたと思う。低床車の列もエスのみ。
今回はなぜか、乗用車の中では一番先に船内に案内された。 

今回は最終日であることと、次の日の早朝から八戸→東京間を走破することを考慮して、予約時に個室を取っておいた。
長らくカーフェリーを使った旅をしているが、個室を取ったのは今回が初めてである。奄美も屋久島も、これまでどんな時でも2等船室でしか泊まったことがなかったのに。
意味もなく、ちょっとだけ成長した気分になれた(笑

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船が新しいこともあるけれど、陸上のちょっとしたビジネスホテルと何ら変わりはないアメニティ。
おおよそ8時間足らずの航行時間だが、知らないうちに疲れがたまっている復路では、リラックスできる環境がありがたい。シルバーフェリーのようにリーズナブルなエクストラコストで個室にできるんだったら、個室を取らない手はないなぁ。

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セイコマで仕入れたスパークリングワインで打ち上げ。
いやいや、まだ最後に残ってますって。東京までの長い道のりが。

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翌朝、八戸ICから高速へ。帰りは色気を出さず、一目散に帰宅して余韻に浸るのが1059流。
電光掲示板にあるように、八戸道では一部霧に遭遇したけれど、おおよそはグッドコンディションによる高速移動だった。

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ひたすら走り続けるのみだったが、関東エリアに入った頃に、区切りのカウンターを刻む。

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帰宅は正午前。その日のうちに片付けて、次の日からの社会復帰に向けてリハビリするにはちょうどいい時間配分だった。

・・・・・・・

てなわけで、R style 史上最長距離を刻んだ、3回目の北海道ツーリングレポートは終了です。結局2ヶ月もかかってしまったけど。。

今回のテーマは「道東」でしたが、結局、道北に抜けたり何だりで。
その理由は何と言っても天気で、道内に滞在した期間はなぜか道東だけがずっと天気が悪かった。
特に中盤から後半にかけては、道東から出さえすれば天気がいいのに、十勝釧路は天気が悪いなんて状態がずっと続いていたんですね。もうこれは何か道東が悪いことでもしたんだと諦める他ないほど、傾向がはっきりしてました。

そんな中で、一番天気が崩れる日に敢えてぶつけた(笑)知床岬への観光船クルーズ。
さすがに天気が悪いのでどうかなと思ったけど、ドライブの時間を削ってでも行ってよかったと思えます。
あれは非日常がなせる技。そういった意味で、こういう旅を志向している方なら共感できるはず。オススメします。

北海道って、切っても切っても同じような印象が残る広くて薄い印象があるけれど、細かく突いていけばそうでもない。
まだまだ知らない道、知ってはいけない道(笑)がある。
発見がある限り、まだまだ追い求めていくのだと思います。

いずれまた訪れる日が来るまで、さらば北海道。
また呼んでね。

 Posted by at 1:14 AM

  12 Responses to “道東 splash! /ラストスパート!”

  1. レポートお疲れ様でした。最後まで楽しく読ませてもらいました。

    D88は私が走ったときには、恐ろしく早いハイラックスサーフが前にいて、あっという間に走り抜けた記憶があります。
    R273下りでのランデブー申し込みは恐ろしい。こんなところノーマークです。

    今回1059さんが走ったルートは、私のツーリング時にはほぼ全滅(ブログにそう書いてありますが)で、次回への課題になりました。

    • ていしあさん、ありがとうございます。

      北海道を走っていると、とんでもなくかっ飛ばす四駆とかよく見ますね。
      あんな重い車体で、急に動物とか出てきても絶対止まれないだろうって、いつも思うんですけど。。(お構いナシに轢いてしまうつもりなんだろうか・・・)

      ツーレポ後半に出てきたワインディングは、ことごとく台風でやられてしまったみたいで、心が痛みます。
      自分の場合はたまたまタイミングが前になっただけで、、、誰もこんな被害が出るなんて予想してませんでしたからね。
      私も食べ残しがゴマンとありますので、またリベンジしたいと思います。

  2. レポ、お疲れ様でした。
    道東は残念でしたね、リベンジを期待しています。
    さて、それはそれとしてタウシュベツ川橋梁の水没写真は初めて見ました。
    たいへん申し訳ないけど興味深かったです。
    そんな写真も載せてくれる1059さんに感謝です。

    • シバタクさん、どうもです。

      タウシュベツ橋梁、皆様のイチオシ(笑)があって初めて訪れました。と言っても、対岸から望遠レンズで覗いているだけですが^ ^;;;
      このまま流出しちゃってもおかしくないくらい沈んでましたが・・・あれ見ると、本当にいつもまでも遺るようには思えませんね。。

      北海道の旅は、お酒より食、って感じでしたので、次は酒を楽しむ旅にしたいと思います(クルマ旅をテーマにしているとは思えない発言だ(笑)

  3. ボリュームたっぷりのツーリング・レポート、自分も旅に出た気になって楽しませていただきました。
    北海道はスケールが違う・・・なんて、ありきたりな表現ですが(汗)マイナールートを交えて広大な北の台地を走り回るツーリングは(私の想像を超える)素晴らしい時間だったのではと思います。
    それから、キャンプがいいですね。まさに「旅」という感じです。

    天気は思い通りにならないのが悔しいところですが、いつか再訪した際には、また違った表情で迎えてもらえると嬉しいですね。
    充実した旅の終わりに17万km到達(!)丁寧なメンテナンスで若返っている分、“お疲れ”な感じがしません(笑)

    • いつもながらの遅筆で、結局2ヶ月もかかってしまいました。。。いつも書き始めは速攻終わらすぞ!って思ってるんですけど(笑
      やっぱりまずはメジャールートがあって、それを味わい切ったら、ちょっと趣向を変えてマイナールートという順番だと思います。
      内地(北海道では、本州以南をこう呼びます)とはまったく異なる、大陸的なツーリングをぜひ楽しんでみてください。

      また、北海道はキャンプ天国ですんで、そちらも免疫があれば是非。
      事始めに、キャンプツーリングでもしてみますか!?(笑

  4. 読み応えのあるツーレポ、ご苦労さまでした。
    僕は北海道に自分のクルマで上陸したことはありませんが、北海道ツーリングを疑似体験させて頂いた気分です^^
    とにかく好天時の海と空のブルー、そして緑が鮮烈ですね。
    実際の景色も見事なんでしょうが、それが眼前にあるように切り取られる1059さんの撮影技術に脱帽です。
    1059さんのエスが20万キロ突破されたら、僕とチームBB200K(ベルリナブラック20万キロ)を結成しましょう(笑)。

    • 起承転結、飽きずに呼んでいただけるよう抑揚をつけて構成しているつもりですが、いかがでしたでしょうか。
      北海道はやっぱり独特な場所です。気候も違えば歴史的背景も違う。そこに内地的な開発をそのまま持ち込んだがゆえの無理矢理さ加減が、そのまま風景になってたりします。
      そういうのもちょっとながら伝えられれば、もっと面白いんですけどねぇ。(そういうヘンなとこって普通は撮りませんが)

      BB200K、イイですね!
      自分はまだ先ですが、全国レベルでその条件満たしてる人はほとんどいないかも!?(ベルリナブラック自体、NSXとS2000にしかないし)
      他にいらっしゃったら、是非連絡をもらいたいものです。

  5. レポートお疲れ様でした 楽しく読ませて頂きました

    今の北海道の状況を考えると天気はいまいちの所も有ったようですが良い時に来られたようで何よりでした
    北海道が復活し元気になった頃にでも またお越しください

    • ありがとうございます。

      天気は時の運ですので仕方ありませんでしたが、それも今となっては良い思い出です。
      台風の被害は本当に残念でしたが、復旧してまた元通りの姿になることを願っています。
      北の里さんも、最北のS2000、末長く乗り続けてくださいね。

  6. 国道273号の、この区間で取り締まっているのですか?
    ちょっと信じられません。覆面だからレーダー搭載車ではないでしょうから
    どこかに潜んでいて、追尾?
    これは回避する自信が無いですね。たまりません。

    乗船前にセイコマで酒とツマミを買い込むのは一般的ですけど
    スパークリングワインは盲点でした。あそこはオリジナルの500円ワインなど
    見ているだけでも楽しい。
    私も次回、やってみたいと思います。

     

    • この写真、R273のタウシュベツ橋梁の展望台に入る駐車帯から撮ったものです。
      ご存知の通り直線区間で隠れる場所もないはずですから、流しで捕らえたのかと。
      路上で駐車して誘導を始めたので、この後プチ渋滞してました。取締りは、もうちょっと考えてやってほしいですね(笑

      今回特に思ったのですが、セイコマのワインの充実度は、内地のコンビニの比ではなかったです。
      もともと酒類には定評のあるコンビニではありましたが、ワインのコストパフォーマンスは群を抜いて素晴らしいと思います。
      この日だけではなく、ウトロのホテルでもしこたま楽しみました(酔

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