11月 262017
 

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関西の山岳ワインディングの雄たる高野龍神スカイライン。
険しい山道の終焉に、突如として現れる山岳都市。それが高野山だ。

初めて訪れた時も驚いたが、11年経った今回はもっと更に衝撃的だった。
その間にもいろんな場所に訪れてきたが、山上にこれだけの都市が存在することは、国内では稀だ。
しかもそれは自然発生的ではなく、さらに独特の情景を保っているのが興味深い。

早速、エスを停めて散策に向かう。
ツーリングではあるけれど、ここぞというスポットは、自らの足でその地を踏みしめて味わいたい。

高野山は駐車場が充実している。
充実してるというか、車を停めることに対して「寛容」だ。
自分が知る限り、駐車場はあっても、どこも駐車料金を取らない(ような気がする)

道路にも、そこはかとなく(笑)駐車帯が設けられ、多少歩くことを厭わなければ、クルマを置いていくことに苦労することは、多分ない。
多分、というのは、横着して少しでも近くに行こうとすると、空きスペース待ちと渋滞にハマることになるから。
空いてる場所を見つけたら、すぐに停めてしまうのが高野山での鉄則だ。

前置きが長くなったけれど、高野山。
説明不要だと思うけど、弘法大師こと空海が開いた真言密教の総本山だ。
空海はこの地を見定め、その教えを伝える拠点とした。
それが綿々と受け継がれ、やがて山上の一大宗教都市として発展。現在に至るのだ。(と思われる)

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宗教都市、高野山は東西に長く、全部を歩こうと思えば一日がかり。
金剛峯寺と奥の院を見れば、一応は空海の足跡を見られるところだが、それだと11年前と変わり映えがしない。
まぁ時間が経っているので今回もそこは抑えるとして、壇上伽藍を目的に、ひたすらウォーキングすることに。

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高野山の街並みは、独特だ。
京や奈良の都とも、城下町がルーツである地方都市とも違う。
千年以上も続く宗教都市であるがゆえに、どこにもない景観がそこにはある。

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寺院が立ち並ぶのはもちろん、道の両脇を埋める商店や家々も、どこか空海が開いた都市の名残りを感じさせる。
突如として無関係な資本が入り込むことなく、その空気感を保ち続けているところに、高野山という都市の凄味がある。

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お香や数珠の店があったり、胡麻豆腐の店や焼き餅を振る舞う商店があったり。
現在は観光客主眼の店になっていても、仏具をメインに据えていたりしているので、他の観光地とは違う「本気度」みたいのが漂っているのが面白い。

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折しも紅葉真っ盛りの時期だったので、街並みも彩り豊か。

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そうこうしているうちに、金剛峯寺本殿に到着。
ま、ここにはあんまり見所があるわけではないので、参拝を済ませたら、その先の壇上伽藍へ。

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アプローチからしてこの色彩美。京の都に勝るとも劣らず。

この蛇腹道は、壇上伽藍の正式な入口ではない。
本来の正門はこれ。

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壇上伽藍の南側に鎮座する中門。
これが正式な入口となるが、2015年の再建だとか。つまり築2年である。
中門の完成によって壇上伽藍は、すべての建造物が揃った完全な構成を形成している。

ところで、壇上伽藍とは何か?

拙い知識で簡単に説明すると、空海が真言密教の道場として、最初に構えた建造物群である。
それがゆえに、高野山の中でも「奥の院」と並ぶ重要な聖地とされているらしい。
また、高野山=金剛峯寺なので、金剛峯寺の一部ということにもなる。

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中には巨大な「根本大塔」をはじめとする、様々な建造物が立ち並ぶ。
他に類を見ない建物配置は、壇上伽藍が、曼荼羅の世界を具現化した構成だからだ。

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中でも「御影堂」は、弘法大師御影が本尊の重要建造物。
背の低い軒が特徴の平べったいお堂だが、壇上伽藍の中でも異彩を放っている。

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その他、挙げればキリがないほど、たくさんのお堂が立ち並んでいるが、そのどれもが興味深い。
俗世から離れて、空海の描いた仏の世界に身を委ねてみるのは、なかなか心洗われる時間になると思う。

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壇上伽藍を後にし、来た道を戻ることにする。
途中、宗教都市に似つかわしくない野外ライブの音がするので向かってみると、そこは高野山大学だった。

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そこで真っ先に目に入ったのは、ヒストリックカーの展示(笑
学園祭真っ最中のようだったが、それと旧車は何か関係があるのだろうか?

ちなみにこの中だと、やっぱジネッタかなぁ(何が??)

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旧車よりも、これが一番ツボにはまった。坊さん仕様の86。ドライバー名「SESSHU KONDO」だって。
ボンネットとドアにでかでかと表示された「高野山」の書体がシュール過ぎる。。(カーナンバーまで・・・(笑笑)

この後、奥の院を参拝して高野山満喫。全部で6kmは歩いたかなぁ?
結構な歩行距離になることは間違いないけれど、他に類を見ない山上の宗教都市を満喫するには、最低限このくらいは歩かないと。
これでも訪れていない寺院はたくさんある。何せこの山の中に、100以上の寺院が肩を寄せ合って密集しているのだから。

・・・・・・・

路上の駐車スペースに停めたエスに乗り込み、高野山を後にする。
山上都市、高野山にアプローチする道はいくつもあるが、当然ながらどれもかなりの山道である。
その中から今回の下山路は、国道480号の有田川町側に下る方を選択。11年前は、国道371号で橋本だった。

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R371の高野山〜橋本区間はなかなかの狭路だったが、R480もなかなか手強かった。

道幅の広い区間と狭い区間をひたすら繰り返す、なんとも一貫性のない道。
高野山を目指すアプローチ路としては、超マイナーなのだろう。交通量は極めて少なく、寂しい限りの道。

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一心不乱に走って、有田ICから阪和道にて、和歌山ICまでワープ。
和歌山市街に至るまで、やや渋滞気味だったが、無事に駅前のビジネスホテルにチェックイン。

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すぐさま街角散策だ。
最近マイブームの「全国県庁所在地の旅」、今回はそれ自体が目的ではないけれど、たまたま和歌山市が停泊地だったので兼ねてみる。

和歌山市に宿泊するのは、今回が初めてではない。
一度、和歌山城近くに泊まったことがあるのだが、今回はより繁華街に近いと思われる駅前としてみた。
目指すは、地元民が集う大衆居酒屋である。

訪れたのは、駅前すぐ近くの「多田屋」。
酒屋の経営する大衆居酒屋という位置づけが、旅のコンセプトにもピッタリ(!?)

入ってみると、比較的早い時間なのに結構混雑していた。
カウンターの端っこを陣取って、適当に注文。まずは瓶ビールから始めて、地酒に移行するというテッパンの流れ(笑

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居酒屋というか、大勢の割烹着のおばちゃんが切り盛りする食堂みたいな店だったが、これはこれで味があってとても良い。
地元のサラリーマンや、若者、帰省中の人など、客層もバラエティに富む。酒屋が経営するだけあって、地酒が豊富で安価なのも◎。
その土地の風情を十分に感じることができるのもいい。駅前の「多田屋」さん、安いしオススメです。

大衆居酒屋でそこそこ呑んだ後、シメはやっぱり和歌山ラーメン!ってノリで駅ビル地下の店に入ってみた。

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これぞ和歌山ラーメンって感じで、とても美味しいのだが、よくよく考えたら、先週末から胃腸の調子がイマイチだったんだ。。
不覚にも脂っこいチャーシューは残してしまった。。
その前に散々居酒屋で飲んでいるのだが、多少は自重していたのだ。

旅の体調は、万全にね。

・・・・・・・

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明朝、ビジネスホテルの目の前の駅ビル駐車場から出発。
十分にアイドリングして、エスの各部を起動させてから向かうは、再び阪和道の和歌山IC。
最終日の今日は、連休最終日の渋滞を避けるために、一目散に帰ることとしていた。

せっかくここまで来て、多少時間がもったいない気がするが、渋滞にハマる時間を節約することも重要だ。
その結果、渋滞にほとんど悩まされることもなく、無事帰還。
そのまま、汚れたエスのボディを洗車する余裕まであった。

以上にて、秋の高野山ツーリングは終了。
3日間あった割に少々内容が薄い気もするけれど、費やしている時間はいつも通りで、なかなか充実した旅程だったとも思う。
今年は10月の週末が、ことごとく悪天候でほとんど出掛けることができなかったから、そういった意味でも充実感はひとしおなのでした。

 Posted by at 7:04 PM

  6 Responses to “高野山ツーリング 〜後編”

  1. こんばんは。
    龍神スカイライン方面から高野山へ行きましたが、下ったところにあるため、「山岳都市」とイメージしにくかったです。
    しかし言われてみれば、そこから「本当の平地」へはさらにかなり下ったので、紛うことなき「山岳都市」でした。
    私はあまり信心深い人間ではありませんが、あそこの独特の雰囲気に圧倒された記憶があります。

    それにしても、最後の写真・・・。県庁所在地の駅ビルとは思えぬ空き具合。私の地元も似たようなものですが(苦笑。

    • 確かに高野龍神スカイライン方面から来ると、護摩壇山から下がってくるので、少々イメージしづらいかもしれませんね。
      その他のアプローチ路は全て山岳路で、現代でもそのアプローチのしづらさは解消されていないところから、雲上の山岳都市、という表現がハマってるのではないかと感じています。
      空海が築いた真言密教の中枢を起源として発展してきた成り立ちと、その姿を色濃く残す街並みと都市構成が、非常に興味深いですね。

      最後のJR和歌山駅前ですが、、地方都市県庁所在地としては、これでもまぁまぁでしたよ。若者の姿も見られましたしね(笑

  2. 個人的にはオースチン・ヒーレーが開放感があって好みかもしれません。
    と、言いつつ、ビートで雨の日に走るのも好きだったりするので、ジネッタも捨てがたいですが。
    なんて言ってますが、僕はそこまでストイックになれないので、
    今のアバルト595のような快適性がありがたかったりします。
    バイク乗りの方々を見ていると、徹底的に走ることだけを楽しんでいる姿勢が時に羨ましくもなったりします。
    無い物ねだりみたいな感じですね。
    それにしてもR480のトリッキーな雰囲気の山道、あー!楽しいそう!!!

    • 旧車もここまでくると、立派なクラシックカーであり、所有するには気合も覚悟も必要ですからね。たまに拝ませてもらう程度が幸せですね(笑
      ここにあった展示車は、どれも程度が良過ぎて、まさに展示のために巡回してるんじゃないかと思うほどでした。
      自分はまだ、思いっ切り振り回せるクルマがいいなぁ。てなこともあって、古いけどまだそれほどでもないビートは、ちょうどいい玩具になるわけです。
      エスもビートも、徹底的に走りを楽しむには良い題材です。そういうカーライフを、できるだけ続けていきたいと思っています。

  3. 締めはラーメンって、1059 さんのブログ・イメージからかけ離れているのでは? (笑)

    龍神スカイラインみたいなメジャーな名道を気兼ね無く楽しむのは、定型休暇しか取得出来ない我々サラリーマンにとって
    結構ハードルが高いですね。 人気観光地の天気と同様、一度行っただけで楽しめるかは運次第かと思います。
    ダメだと、また再訪しようという気になるので、この趣味は止められないのかもしれません。(笑)

    ジネッタも良いけど、屋根が無いカニ目に一票投じます。

    • 瓶ビールに日本酒、締めはラーメンという王道を地で行くR styleです。思えば、ずいぶんと芸風も変わったもんです(笑

      高野龍神スカイラインは、連休中日の昼間という最悪?のコンディションでした。
      さすがに走りを楽しめるとは思っておらず、数珠つなぎの隊列を組んでも仕方ないかと諦めることができましたが、できれば思いっ切りエンジン回してみたいですね。
      ビーナスライン、西伊豆スカイラインといった超絶ワインディングと同様、走るがために訪れたい名道のひとつかもしれません。

      ジネッタはまったく詳しくはないのですが、何故かその佇まいに惹かれます。
      こんなので旅してたら、超お洒落だと思います^ ^

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